「膀胱がんの予防法」はご存知ですか?症状・原因も解説!【医師監修】
膀胱がんを予防するには何をしたらいいの…?と疑問を持っている方もいらっしゃると思います。
膀胱がんを予防するためには、リスクファクターを減らすことが重要です。
本記事では、膀胱がんは予防できるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- ・膀胱がんの症状
- ・膀胱がんの原因
- ・膀胱がんの予防法
膀胱がんは予防できるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
目次 -INDEX-
膀胱がんとは?
膀胱がんは、主に膀胱の内壁を覆う粘膜、尿路上皮から発生する悪性腫瘍です。膀胱は下腹部に位置し、腎臓から送られた尿を一時的に蓄える役割を担います。膀胱がんは、膀胱の内側にある尿路上皮によく見られ、膀胱がん全体の90%以上を占める尿路上皮がんに分類されます。
年間に人口10万人中約15人がこのがんで診断され、特に50歳以上の男性に多く見られる傾向があります。膀胱がんは、特定のリスク因子に関連していることが指摘されていますが、早期発見と適切な治療が重要です。
膀胱がんの症状
膀胱がんの症状は、見過ごされやすいとされています。具体的な症状は以下の通りです。
- ・血尿:膀胱がんの主な症状であり、尿に血が混じる現象です。この血尿は多くの場合、痛みを伴わない無症候性です。
- ・頻尿や排尿痛:膀胱がんによる膀胱の刺激症状で、約20〜30%の患者さんに見られます。
これらの症状はほかの病気と共通することもあるため、正確な診断のためには医師の診察が必要です。
膀胱がんの原因
膀胱がんの原因は、生活習慣や職業的な暴露と密接に関連しています。膀胱がんの原因は以下の通りです。
- ・喫煙:膀胱がん患者さんの中で高い割合を占めます。タバコの煙に含まれる発がん性物質が、血液を通じて膀胱に運ばれ、尿中に排出されることで膀胱の細胞に影響を与えます。
- ・職業的暴露:化学物質、特にナフチルアミン、ベンジン、アミノビフェニルなどが含まれる環境での作業は、膀胱がんのリスクを高めます。
- ・飲酒:近年、飲酒も膀胱がんとの関連が指摘されています。アルコールが代謝過程で生成するアセトアルデヒドには発がん性があるとされ、多量のアルコール摂取は膀胱がんのリスクを増加させる可能性があります。
- ・そのほかのリスク要因:ビルハルツ住血吸虫の感染や、一部の薬物の長期使用、膀胱に近い臓器への放射線治療も、膀胱がんの発症リスクを高めるとされています。
したがって、生活習慣の改善と職業的な対策が、膀胱がんのリスク低減には重要です。
膀胱がんの診断・検査
膀胱がんの診断をするためには、複数の検査が必要です。ここからは膀胱がんの検査方法について解説します。
尿検査
膀胱がんの尿検査では、尿中にがん細胞が含まれているかを調べます。この検査は、膀胱がんやそのほかの尿路系の疾患を示す可能性がある異常を発見するために使用されます。
具体的な検査方法には、尿細胞診や尿中の特定の腫瘍マーカーを測定する検査が含まれることがあります。
超音波検査
超音波検査は、超音波プローブ(探触子)を体の表面に当て、臓器から反射する超音波を用いて内部構造を画像化します。超音波検査は、膀胱の状態や腫瘍、さらには周辺臓器を把握するのに適しています。特に、腎臓の水腎症のような合併症の診断にも役立ちます。
ただし、膀胱の表面に広がる上皮内がんの検出や、膀胱内結石、血塊との区別は困難な場合があり、追加的な検査が必要になることがあります。
膀胱鏡検査(内視鏡検査)
膀胱鏡検査は、尿道を通じて膀胱内に内視鏡を挿入し、膀胱の内壁を直接観察して、がんの位置、大きさ、数、形状などを確認します。
検査後には、一時的に血尿や排尿痛、稀に発熱などの副反応が見られることがありますが、自然に解消します。膀胱がんの初期診断や治療方針の決定に必要不可欠であり、がんの特性を理解するのに重要な手段となります。
MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィ
膀胱がんの診断におけるMRI検査、CT検査、骨シンチグラフィは、がんの広がりや進行度を明らかにするために用いられます。
MRIは軟組織の詳細な画像を提供し、CT検査は膀胱と周辺組織の断層画像を通じてがんの存在を把握するのに役立ちます。
骨シンチグラフィは、がんが骨に転移していないかを調べるのに使用されます。これらの検査は、膀胱がんの正確なステージング(ステージはIからIV)と適切な治療計画の策定に不可欠です。
TURBT
TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)は、膀胱がんの診断と治療に広く用いられる方法です。TURBTでは、全身麻酔または下半身麻酔の下、内視鏡を尿道を通して膀胱に挿入し、高周波電流を使用してがん組織を切除します。
切除された組織は顕微鏡下で検査され、がんの深達度や細胞の性質を確認することで、より精確な病理診断が行われます。
膀胱がんの治療方法
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は、膀胱がんの治療および診断に利用される内視鏡的手術方法です。この手術では、5-アミノレブリン酸(5-ALA)を事前に服用させることにより、膀胱内のがん組織を赤色に蛍光発光させる光線力学診断(PDD)を活用します。
5-ALAはがん細胞に蓄積し、特定の光を当てることでがん組織を明瞭に可視化し、より精密ながんの切除を可能にします。
手術は全身麻酔または腰椎麻酔下で行われ、尿道から内視鏡を挿入し、電気メスを使用してがん組織を切除します。この方法により、お腹を開くことなく、がんの除去と正確な病理診断を目指します。
さらに、精度の高い病理診断を得るために、TURBO(経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術)を行う場合もあります。TURBOでは、腫瘍を一塊で切除することで、腫瘍の深達度や断端の状態をより詳細に確認でき、治療計画の精密化に寄与します。
膀胱がんについてよくある質問
ここまで膀胱がんなどを紹介しました。ここでは膀胱がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
膀胱がんにステージはありますか?
村上 知彦(医師)
膀胱がんのステージは、がんの進行度を表す指標で、ステージ0からステージIVまでの5段階に分けられます。
・ステージ0:この初期段階では、がん細胞は膀胱の内側の表面的な層、粘膜に限定されています。
・ステージI:がんが粘膜を越え、膀胱の内壁へとわずかに浸透していますが、筋肉層には達していません。
・ステージII:この段階のがんは、膀胱の筋肉層にまで侵入しており、がんの進行が顕著になり始めています。
・ステージIII:がんが膀胱の筋肉層を超えて外側に広がり、近接する組織や器官にも侵入しています。
・ステージIV:進行した段階で、がんは膀胱を越えて体のほかの部位に転移しています。
各ステージはがんの広がり具合を示しており、治療戦略や予後の判断に重要な役割を果たします。
膀胱がんは転移や再発がありますか?
村上 知彦(医師)
膀胱がんのその後の経過は、がんの進行度に大きく左右されます。早期の膀胱がんは再発する傾向があるため、定期的な検査が非常に重要です。
手術前には、再発防止のため抗がん剤治療が施されますが、新たながんが腎盂や尿管などに発生するリスクは残ります。
したがって、膀胱がんの治療後は、再発や転移のリスクに対する警戒と共に、定期的な健康チェックが不可欠です。
膀胱がんの予防法はありますか?
村上 知彦(医師)
膀胱がん予防には、日常生活の中で実践できる対策があります。その対策は、以下の通りです。
・禁煙:禁煙は膀胱がんをはじめとする多くのがんのリスクを減らします。
・化学物質への曝露回避:特に化学工業に従事している場合、職場での対策を徹底し、発がん性のある化学物質への曝露を避けることが重要です。
・適切な水分摂取:十分な量の水を飲むことで、膀胱がんのリスクを下げることが期待できます。
・健康的な食生活:過度な加工肉の摂取を避け、果物、野菜、全粒穀物など栄養バランスの取れた食事を心がけることも膀胱がん予防に貢献します。
これらの対策を日々の生活に取り入れることで、膀胱がんのリスクを低減できます。
まとめ
ここまで膀胱がんは予防できるのかについてお伝えしてきました。
膀胱がんは予防できるのかの要点をまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・膀胱がんには、「血尿」「頻尿や排尿痛」などの症状が現れるが、無症状のこともあるため注意が必要
- ・膀胱がんの主な原因には喫煙、化学物質への職業的暴露、過度な飲酒があり、これらが血液を通じ尿中に排出され膀胱を傷つけるとされている
- ・膀胱がん予防には、「禁煙」「化学物質への曝露避ける」、「十分な水分摂取」、「健康的な食生活」が大切
膀胱がんと関連する病気
膀胱がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。
膀胱がんと関連する症状
膀胱がんと関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。