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「白血病治療で食べてはいけないもの」はご存知ですか?食べてよいものも解説!

 公開日:2024/05/19
「白血病治療で食べてはいけないもの」はご存知ですか?食べてよいものも解説!

白血病は骨髄にある造血幹細胞ががん化し、正常な血液が作られなくなる病気です。治療には強力な化学療法が行われ、免疫力が落ちるため感染予防が重要となります。

食事からの感染予防もその一つです。調理者の手指を清潔に保つことや調理器具の衛生管理をすることはもちろん、安全性が高い食品を選ばなければいけません。

今回は白血病の治療中に食べられない食品と食べられる食品、副作用で食事が摂れない時の食事のポイントを解説します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

白血病とは

白血病は血液のがんです。血液は骨の中心にある骨髄で作られます。
骨髄にはこれから赤血球・白血球・血小板へと成長していく造血幹細胞があります。
白血病に罹患すると、造血幹細胞や未熟な白血球ががん化し、正常な血液が作られません。がん細胞である白血病細胞ばかりになってしまいます。
白血病はがん化した細胞の種類によって骨髄性とリンパ性、進行する速さによって急性と慢性に分けられます。

白血球が異常に増殖する血液のがん

白血球の役割は細菌などの異物から体を守ることです。白血病に罹患すると骨髄中の白血病細胞が急速に増加し、がん化した白血球が増加します。
正常な白血球は作られないため、免疫力は低下します。

治療法

抗がん剤を使った化学療法が必要です。
化学療法で骨髄内の白血病細胞がいない状態である完全寛解を目指します。強力な化学治療による免疫力の低下がみられるため、感染には特に注意が必要です。
治療は清潔に管理されたクリーンルームで行われます。その後さらに化学療法を続け再発を予防する地固め療法、ドナーからの骨髄液を移植する骨髄移植をして白血病細胞を減らしていきます。

白血病の治療中に食べてはいけないもの

化学療法や移植の治療中は、特に免疫力が低下しているため感染対策が重要です。
感染は食事からも起こるため、衛生管理された病院食を食べることが基本となります。
化学療法や移植の治療後は徐々に緩和されていきますが、免疫抑制剤やステロイドを服用される方は退院後も注意しなくてはいけません。化学療法・移植の治療中と治療後では、食事制限に違いはありますがポイントは同じです。
ここでは食べてはいけない食品を紹介します。

生もの

生ものは細菌がついている可能性があり不衛生です。
生ハムなどの生肉・刺身や寿司などの加熱していない魚介類・生野菜のサラダ・生卵や半熟卵などは避けましょう。

ドライフルーツ

ドライフルーツは水分を含んでいるため、雑菌が繁殖しやすく感染を起こす可能性があります。

自家製の発酵食品

安全性が確認されない自家製の発酵食品は感染を起こす可能性があるため避けましょう。

白血病の治療中でも食べてよいもの

注意が必要な食べ物が少なくないように感じますが、しっかりと加熱できていれば食べられるものも多くあります。
皮の厚い果物や個包装された食品も食べてもよい食品です。ただし、注意点があるので確認しましょう。

皮の厚い果物

皮が厚い果物であるバナナ・みかん・メロン・すいかは食べてもよい食品になります。
表面に傷がなく、新鮮なものを選びましょう。反対に皮の薄い果物であるいちご・ぶどう・キウイ・ももなどは、表面や内部に菌がある可能性があるため不衛生となり注意が必要です。

個包装された食品

雑菌が入らない個包装された食品も食べてもよい食品になります。
レトルト・チルド食品や調味料でも1回で使いきるタイプのもの、食べきれる量の個包装されたお菓子などを選ぶとよいでしょう。ただし、開封したまま時間が経過してしまったものは破棄してください。

白血病の食事療法を楽しむポイント

化学療法や移植の治療を受けられている方の多くは、副作用で嘔気・嘔吐・口内炎などがあり食欲不振がみられます。
治療を続けるためには体力が必要です。できるだけ摂取カロリーを維持しなくてはいけません。
どうしても食べられない場合は点滴や経管栄養が必要になりますが、できるだけ口から食べて腸を動かすようにしましょう。
ここでは治療中でも食事を楽しむポイントを紹介します。

バランスの取れた食事でしっかり栄養を摂る

体力を維持していくためには、主食に加えタンパク質・ビタミン・ミネラルをできるだけバランスよく摂ることが大切です。
栄養不足は免疫力・生活の質の低下を招き、予後の悪さにも関係してきます。食べられる時間と食事量を考え、食欲の出るような食事内容を工夫しましょう。

食べられるものを食べられる時に食べる

決められた食事の時間に食べなくてはと思い、つらくなってしまう方もいます。
嘔気・嘔吐がある場合は症状が落ち着くのを待ちましょう。体調をみて少量ずつ数回に分けて食べるようにします。食べられそうなものを選び本人の負担にならないようにします。

食事の盛り付け・味付けを工夫する

食事の色合いや歯ごたえを変えて、食欲が出るような工夫をしましょう。
食事の種類を増やすと食べられるものを選ぶことができます。副作用がある時は、メニューに工夫が必要です。以下は嘔気・嘔吐時と口内炎がある時の食事のポイントになります。

  • においによって嘔気・嘔吐がある場合は、冷たいメニューにしてにおいを軽減させる
  • 口内炎がある場合は、刺激になるような塩分の強いもの・酢の物・柑橘系のもの・口腔内を傷つけるようなパサパサしたものは避ける
  • ゼリー・麺類・よく煮たものなど、のどごしがよい食事にする

白血病で食べてはいけないものについてよくある質問

ここまで白血病の治療中に食べてはいけない食品・食べてもよい食品と食事摂取時のポイントを紹介しました。ここでは、白血病の食事についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病で食事制限が必要なのはなぜですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

白血病の治療には強力な化学療法や移植が必要です。治療中は副作用により免疫力が低下し、感染しやすい状態になります。食事からの感染もあるため、菌が繁殖する可能性がある食品は避けなければいけません。加熱していない肉・魚・卵、表面や内部に菌の入りやすい皮の薄いフルーツ、安全性が確認されない自家製の発酵食品などは避けましょう。

食事の内容が白血病を悪化させるケースがありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

化学療法で免疫力が低下しているため、体が菌やウイルスなどに対抗できず重症化する恐れがあります。治療中は食べてもよいものと食べてはいけないものを把握し、安全性の高い治療が行えるようにしましょう。

編集部まとめ

今回は白血病の治療時に注意するべき食事を解説しました。食事制限はありますが、いくつかの注意点を守れば食べられるものも多くあります。

なぜ食べてよいもの・食べてはいけないものがあるのかを理解し、治療がスムーズに継続できるようにしましょう。

副作用があり食事摂取が辛い時期があると思います。しかし食べられなかったことを責めないようにしてください。食べたいものを食べたい時に摂るようにして、食事の時間が辛い時間にならないことを願います。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は7個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

正常な血液が作られないため貧血となったり、感冒などに感染しやすくなったりします。白血病には骨髄性とリンパ性、進行の速さによっては急性と慢性に分けられます。どのタイプの白血病か鑑別することが大切です。骨髄異形成症候群の一部は、急性骨髄性白血病へ移行することがあります。

白血病と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 息切れ・動悸・倦怠感
  • 鼻血・歯茎からの出血
  • 左上腹部膨満感(巨大脾腫)
  • リンパ節腫脹
  • 骨の痛み

気が付きにくい症状もありますが、上記のような状態が続くようであれば医療機関を受診してください。早期発見することで重症化を防げます。

この記事の監修医師