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「逆流性食道炎と食道がんの違い」はご存知ですか?見分け方や症状も解説!

 公開日:2024/05/01
「逆流性食道炎と食道がんの違い」はご存知ですか?見分け方や症状も解説!

食道で発症する主な病気として、逆流性食道炎と食道がんが挙げられます。

炎症とがんは明らかに違う病気であると理解はしていても、実際に逆流性食道炎と食道がんにどのような違いがあるのか疑問を持たれる方もいるでしょう。

そこで本記事では、逆流性食道炎と食道がんの違いを詳しく説明します。また、それぞれの病気の検査も紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎は、胃の中にある食べ物や胃酸が食道へ逆流し、その影響で食道粘膜に炎症が生じる病気です。胃の内容物が逆流すると炎症が生じる理由は胃酸です。食道の粘膜は胃酸に弱く、逆流が頻繁に起きると炎症が生じます。
胃に送り込まれた内容物が逆流する原因は、下部食道括約筋の緩みです。下部食道括約筋は食道と胃の間にあり、通常は胃の内容物が逆流しないよう胃の入口を締め、食べ物が通過するときには開く働きをする筋肉です。
高脂肪な食生活に偏っていたり、加齢の影響で下部食道括約筋が緩んでしまったりすると、逆流性食道炎が発症しやすくなります。

食道がんとは?

食道がんは食道の粘膜にがん細胞が発生し罹患する病気です。食道の粘膜は扁平上皮でおおわれており、一部食道・胃接合部近傍の腺上皮という種類が存在します。
日本での食道がんは、扁平上皮に発生したがんが大半を占めます。食道がんは中高年男性の発症率が高いです。食道がんは患者さんの病期や症状によって異なりますが、一般的にがんが進行すると治療が難しくなり生存率も低くなりやすいです。治療では、早期発見が重要視されています。

逆流性食道炎の症状

逆流性食道炎には、どのような症状があるのでしょうか。症状がわかれば罹患にも気がつきやすく、病院への早期受診につながります。ここからは逆流性食道炎と食道がんの主な症状を紹介します。

逆流性食道炎:胸やけ

胸やけは逆流性食道炎の症状としてよく挙げられます。胃酸が食道に逆流すると、粘膜が刺激を受け、食道の辺りがチリチリとした刺激やを帯びたような熱さを感じる症状が出ます。

逆流性食道炎:酸っぱいものが上がってくる

胃酸の逆流が食道だけにとどまらず、酸っぱいものがのどまで上がってくることもあります。逆流性食道炎は下部食道括約筋の緩みが原因とされていますが、それだけでなく食生活の欧米化や肥満なども原因とされています。食道へ逆流する胃の内容物の大半は胃酸です。特に最近では食生活が欧米化し高脂肪の食事を頻繁に取る機会が増えています。このような食生活は胃酸の量が増加しやすくなります。

逆流性食道炎:食後のみぞおちの痛み

食後にみぞおちが痛む症状は逆流性食道炎が疑われます。健康な人でも胃酸の逆流がみられるケースがありますが、短時間のため逆流性食道炎のような症状は現れにくいです。しかし、逆流性食道炎の場合は胃酸の量が多かったり、逆流の時間が長引いたりします。症状は胸やけや酸っぱいものが込み上げるほかに、みぞおち辺りの痛みとして現れます。

逆流性食道炎:のどの違和感

のどの違和感は、逆流した胃酸が食道をとおりこして、のど元まで込み上げてくる際に受ける刺激によるものです。食道と同様にのども胃酸の刺激に弱いです。そのため、胃の内容物が頻繁にのどまで逆流すると、その刺激で違和感が残ります。

逆流性食道炎:声のかすれ・咳

胃の内容物がのどまで逆流すると、胃酸の影響で喉は刺激を受けます。のどに炎症が起きると声のかすれを引き起こしやすいです。また、のど元までの逆流は咳も引き起こします。風邪を引いていなかったり、肺や心臓などの異常に心あたりがなかったりするにも関わらず、咳が続く場合は逆流性食道炎の可能性が高いでしょう。

食道がんの症状

がんに罹患しているのであれば、すぐに治療を開始したいと考える方がほとんどでしょう。食道がんは罹患に気がつきにくい病気です。症状がわかれば、病院へ受診するタイミングも逃しにくいです。ここからは食道がんの主な症状を紹介します。

食道がん:初期は症状がほとんどみられない

食道がんの初期には症状がほとんどみられません。ただし、飲食物を飲み込む際にしみたり微かな痛みを覚えたりする場合は、食道がんの初期段階を疑ってもよいでしょう。
食道がんは、喫煙・飲酒・辛い味や熱い食べ物をよく食べる方が罹患する割合が高いとされています。また、中高年に発症しやすく、これらの条件に心あたりがある方は定期的に検査を受けることをおすすめします。

食道がん:胸の違和感・飲食物がつかえる

がんが進行するにつれて、胸の違和感を覚えたり、飲食物がつかえたりする症状が現れ始めます。飲食物のつかえが増えてきた場合は、すぐに検査を受けてください。また、できれば胸の違和感を覚えた段階で症状を放置せずに、医師に診てもらうとよいでしょう。

食道がん:体重減少

体重減少は食道がんが進行した際に出やすい症状の1つです。これは食道が狭くなることで食べ物が飲み込みにくくなり、食事量の減少が原因とされています。体重減少や先述した飲食物のつかえは、食道がんの罹患でよくみられる原因であるとともに、がんの進行も示しているサインです。

食道がん:声のかすれ・咳

がんがかなり進行すると、声のかすれが出ます。食道のすぐ側にある声を調整する神経へ、がんが達すると現れる症状です。また、がんが気管や肺にまで広がると、咳が生じやすくなります。咳だけでなく血痰が出るケースもあります。

食道がん:胸・背中の痛み

胸や背中の痛みも食道がんの症状です。これはがんが食道を越えて、肺・背骨などに達すると、胸や背中に痛みが生じます。この場合、症状はかなり進行しています。ただ、胸や背中の痛みの場合、肺や心臓の病気にとらえるかもしれません。そのため、食道の検査も定期的に受け、違和感を覚えたらすぐに医師の診察を受けましょう。

逆流性食道炎と食道がんの違いや見分け方は?

先述したように、逆流性食道炎と食道がんの症状には似ているものがいくつかあります。逆流性食道炎は初期段階で胸やけや胃の内容物が込み上げてくるなど、わかりやすいサインが出てきます。
一方、食道がんは初期症状が出にくい病気です。しかし、のどがしみたり飲食物がつかえたりする症状は食道がん発生の疑いが持たれます。また、喫煙・飲酒量が多いと食道がん罹患の確率が高くなりやすいとされています。自身の喫煙・飲酒の有無や摂取量に心あたりがあるときは、食道がんの初期症状を疑ってもよいでしょう。
どちらの病気にも共通する声のかすれや咳は、いずれも病状が進行してから現れやすいです。ただ、症状だけで見分けるのは難しいため、病院で内視鏡検査や上部消化管造営検査などを受け正確に診断してもらうことをおすすめします。

逆流性食道炎・食道がんの検査

逆流性食道炎は胃カメラでの検査が一般的ですが、造影剤を服用してX線で検査を行う病院もあります。また、病院によっては胃液の逆流状態を確認する検査方法もあるようです。次に食道がんです。検査は主に次の機器を使用して行われます。

  • 胃カメラ
  • 食道造影検査
  • CT・MRI
  • FDG-PET

胃カメラや食道造影検査では、がんの場所やがんの深さを特定できます。胃カメラでは異常が見つかった場合の生検が可能です。CTやMRIではがんの進行度合いや転移の有無が確認できます。CTやMRIでの判断が難しい場合にはFDG-PETでの検査が行われます。

逆流性食道炎と食道がんの違いについてよくある質問

ここまで逆流性食道炎と食道がんの違い・症状・見分け方・検査などを紹介しました。ここでは「逆流性食道炎と食道がんの違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

逆流性食道炎と食道がんの見分けられない場合は何科を受診すればよいですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

逆流性食道炎や食道がんは一般的に消化器科で診察が行われます。病院によっては、名称が消化器内科や消化管内科の場合があります。いずれにしても食道の病気なので、消化管領域を扱い、かつ食道が含まれている科や病院を受診してください。

逆流性食道炎と食道がんの治療の違いを教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

逆流性食道炎の一般的な治療は次のとおりです。

  • 薬物療法
  • 生活習慣の改善
  • 手術・内視鏡治療

逆流性食道炎で行われるのが胃酸を減らす治療です。また、生活習慣の見直しも治療に組み込まれます。これらの治療で改善がみられない場合は、手術での治療が検討されます。食道がんは次のとおりです。

  • 内視鏡治療
  • 手術
  • 放射線治療
  • 化学療法

初期段階や病期が進んでいない場合は、内視鏡手術もしくは手術が選択されることが多いようです。また、患者さんの状態にあわせて、放射線治療や抗がん剤を用いる化学療法が取り入れられるケースがあります。体力的な問題や病期が進んでしまうと手術では対処できなくなり、放射線治療や化学療法で治療を行うケースがほとんどです。

編集部まとめ

逆流性食道炎や食道がんには似ている症状もあるため、どちらの病気かわからず治療を受けずに放置するかもしれません。

疑わしい症状が出た場合は、本記事を参考に症状・体調・生活習慣を観察してみてください。

ただし、食道がんは初期症状が出にくく逆流性食道炎だと思い込み治療を後回しにすると、がんが進行してしまうケースもあるでしょう。

病気の判断がつかなかったりする場合は、すぐ病院を受診してください。

逆流性食道炎と関連する病気

「逆流性食道炎」と関連する病気は2個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

バレット食道は、胃酸の刺激を受け、食道の粘膜が胃の粘膜のような組織に変化したものです。バレット食道からも、食道がんの発症が高いとされています。睡眠障害は胃酸の逆流による症状から発症しやすいです。睡眠不足は胃腸の調子が乱れやすくなるため、軽視せずに医師に相談してください。

逆流性食道炎と関連する症状

「逆流性食道炎」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は逆流性食道炎だけでなく、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃腸炎・胃がんなどにも現れます。逆流性食道炎だけでなく、ほかの病気の可能性があることも覚えておくとよいでしょう。

この記事の監修医師