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いびきの治療法はご存じですか? 「CPAP療法」「レーザー」それぞれのメリット・デメリットも医師が解説!

 更新日:2024/03/11

いびきに悩んでいる人の中には、治療を受けようか考えている人もいると思います。いびき治療には色々な種類がありますが、中でも効果が高いと知られているのが「CPAP療法」や「レーザー治療」です。それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかについて、「東京イビキクリニック新宿院」の篠原先生に教えていただきました。

篠原 浩樹

監修医師
篠原 浩樹(東京イビキクリニック新宿院)

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聖マリアンナ医科大学医学部卒業 。その後、内科医として大学病院に勤務し経験を積む。2023年、東京都新宿区に「東京イビキクリニック新宿院」を開院。

いびきは治せる?

いびきは治せる?

編集部編集部

そもそも、いびきはなぜ起きるのですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

いびきは気道の狭窄で起こり、主に下記のような原因があります。

  • 鼻の狭窄
  • 喉の狭窄
  • 骨格(顎の大きさ)
  • 肥満
  • お酒やタバコなどの生活習慣
  • 睡眠障害
  • ストレス

編集部編集部

様々な原因が考えられるのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

はい、そのため治療法も様々です。鼻の狭窄に対しては、鼻通りを改善させるために内服やレーザーによる治療をおこないます。また、喉の狭窄に関しては組織を一部切除したり、切らないレーザー治療をおこなったりすることもあります。加えて、鼻や喉、肥満などの原因に関わらず使えるCPAP療法もあります。そのほかにも、ダイエットや生活習慣の改善などで治療できることもあります。

編集部編集部

いびきの原因は様々で、それによって治療法も異なるのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

そのとおりです。そのため大事なのは、自分のいびきの原因は何かということについて、診察を受けてしっかり調べることです。また、原因が1つとは限らず、複数の項目に当てはまる患者さんも非常に多くいらっしゃいます。いびきといっても耳鼻科や内科などの専門分野にこだわらず、総合的にアプローチしていくことが重要です。

編集部編集部

複数の原因が重なっていることも多いのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

当院のデータでは、受診した半分近い患者さんが2つ以上の原因を抱えていることが多く、3つ以上の患者さんも3割以上いることが分かっています。

編集部編集部

しっかり診断し、原因を明らかにすることで適切な治療をおこなうことが可能なのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

はい。そのため、いびき治療に携わる医師はいびきの原因が耳鼻科や内科だけでなく、不眠症などの精神科の領域にまたがることもあるなど、多くの可能性を考える必要があります。1つの原因に対してのみ治療しても、ほかの原因が残っていると結果的にいびきが改善したと感じられない場合も多いのです。

編集部編集部

医療機関での治療に加えて、場合によってはダイエットなど生活習慣も改善しなければならないのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

実際、当院では「他院で咽頭を拡げる手術はしたけど、肥満と生活習慣に関しては特に何も治療されなかった」という患者さんが、減量することでいびきが改善した場合もあります。診察する医師が患者さんの現状を理解し、様々な角度からアプローチしていく努力が大事だと思います。最近の研究結果で、いびきが最も改善したケースは医療機関を受診した患者さんに多いということも判明しているので、しっかり医師と相談することも必要です。

レーザー治療とCPAP療法の特徴

レーザー治療とCPAP療法の特徴

編集部編集部

いびきには色々な種類がありますが、どのようないびきが治療の対象となるのですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

そもそも、いびきは「単純性いびき症」「上気道抵抗症候群」「睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)」の3つに分けられます。単純性いびき症は、お酒を飲んだときや疲れが溜まっているとき、鼻が詰まっているときなどにかくいびきのことです。一過性のものであれば特に心配はいりません。

編集部編集部

ほかの2つはどういうものですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

上気道抵抗症候群は睡眠中、何らかの原因で上気道が狭くなり、強く呼吸をすることでいびきが生じます。習慣的にいびきが発生し、そのたびに睡眠が中断されるため日中に強い眠気や疲労感を覚えることがあります。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中、無呼吸や低呼吸の状態になるため体が低酸素状態となる疾患です。放置すると生活習慣病を合併したり、認知症や脳卒中、心筋梗塞のリスクが高くなったりします。

編集部編集部

そうなると、いびき治療が必要なのは上気道抵抗症候群と睡眠時無呼吸症候群ということになりますか?

篠原 浩樹先生篠原先生

一般的にはそのように言われています。いびきに対する治療としては、レーザー治療とCPAP療法が代表的です。レーザー治療の中には、伸びてしまった軟口蓋や口蓋垂などの一部を切除する従来のレーザー治療と「切らないレーザー治療」があります。

編集部編集部

切らないレーザー治療について詳しく教えてください。

篠原 浩樹先生篠原先生

当院でおこなっている切らないレーザー治療は、主に口蓋垂とその周りの軟口蓋粘膜にレーザーを照射して、呼吸の通り道である気道を広げます。従来はレーザーを照射して口蓋垂などの部位を切除し、気道を広げていましたが、最新の治療法ではレーザーを照射していびきの原因となっている部位を引き締め、呼吸を楽にします。

編集部編集部

一方、CPAP療法とはどのようなものですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

CPAP療法は、「持続陽圧呼吸療法」とも言います。装置から鼻に装着したホースやマスクを通して空気を気道へ送り込み、常に圧力をかけた状態にして気道が塞がらないようにする治療法です。

編集部編集部

CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群だけでなく、無呼吸を伴わないいびきにも効果があるのですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

たしかに、CPAP療法は睡眠中に安定して酸素を送り込むことにより、いびきの改善にも効果があるとされています。

レーザー治療とCPAP療法のメリット・デメリット

レーザー治療とCPAP療法のメリット・デメリット

編集部編集部

切らないレーザー治療のメリットはなんですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

まず、いびきの原因を解決できる「根本治療」である点がメリットです。また、痛みやダウンタイムがほとんどない点や、体に負担が少なく、仕事を継続しながら治療ができる点もメリットと言えるでしょう。

編集部編集部

体への負担が少ないというのは安心ですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

それから、従来の切除と比較して誤嚥のリスクが少ない点や、CPAP療法のように毎日顔に装置をつけて寝る苦痛がない点もメリットです。海外では、喉の一部を切除する治療と切らないいびきレーザー治療を比較する論文が多数出ており、切らないいびきレーザー治療の成績が切除する治療に劣らないことや、副作用が圧倒的に少ないことが主な見解となっています。

編集部編集部

一方、CPAP療法のメリットはなんですか?

篠原 浩樹先生篠原先生

いびき改善の効果は非常に高く、また、無呼吸を伴う人にとっては睡眠時無呼吸症候群の治療や予防につながります。加えて、肥満の人や鼻に問題がある人でもいびき症状を改善できるというメリットがあります。

編集部編集部

反対に、それぞれのデメリットは?

篠原 浩樹先生篠原先生

切らないレーザー治療には、重度の場合は対応できないことがあるというデメリットがあります。また、切除するタイプのレーザー治療は、口蓋や舌が肥大した人には効果が乏しかったり、CPAP療法は機器の持ち運びが難しかったり、マスクを強く締めつけなければならなかったりすることが挙げられます。CPAP療法は根本治療ではなく対症療法なので、一生継続しなければならないというのもデメリットです。

編集部編集部

それぞれのメリット・デメリットを考慮して治療法を選択する必要があるのですね。

篠原 浩樹先生篠原先生

はい。そのほかにも「肥満を予防する」「枕の高さを調節する」「口呼吸を予防する」「横向きで寝る」などの対策も、いびきを改善するのに有効です。そうしたことをおこなってもいびきが改善できなかったり、家族に指摘されたりする場合にはぜひ医療機関にご相談ください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

篠原 浩樹先生篠原先生

切らないレーザー治療は患者さんへのご負担も少なく、安心して受けていただける治療です。まだこの治療を提供している医療機関は少ないのですが、興味があればカウンセリングなどを利用して、相談をご検討ください。もちろん、治療を受けるのに性別や年齢は関係ありません。良質な睡眠は、健康維持にとって欠かすことのできない条件です。いびきに悩んでいる人がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。

編集部まとめ

いびきに対して、切らないレーザー治療をおこなっている医療機関はまだ多くありませんが、非常に満足度が高いとして、近年注目を集める治療法です。多くの人でいびきの症状が軽減され、睡眠時無呼吸症候群の症状にも改善効果がみられることが報告されているため、興味があればぜひ一度相談してみましょう。

医院情報

東京イビキクリニック新宿院

東京イビキクリニック新宿院
所在地 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-22-11 R・Sビル10F
アクセス JR「新宿駅」 徒歩2分
診療科目 内科、皮膚科

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