目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「胃がんの進行速度」はご存知ですか?症状やステージについても解説!医師が監修!

「胃がんの進行速度」はご存知ですか?症状やステージについても解説!医師が監修!

 公開日:2024/05/09
「胃がんの進行速度」はご存知ですか?症状やステージについても解説!医師が監修!

胃がんの進行速度は個々のケースによって異なりますが、ゆっくり進行する傾向にあります。また、進行速度が速いとされるスキルス胃がんは、ほかの胃がんより治療が難しいことで知られています。
本記事では胃がんの進行速度について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・胃がんとは?
  • ・胃がんの進行速度
  • ・進行速度が速いといわれるスキルス胃がんについて

胃がんの進行速度について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胃がんとは?

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん細胞へ変異し、制御不能に増殖することで発症します。初期には粘膜内のみですが、進行すると粘膜下層、筋層、さらには漿膜へと転移していきます。漿膜を越えると、腹膜播種やリンパ液、血液を介した遠隔転移が起こり得ます。
日本では胃がんが少なくないため、定期的な検診が推奨されていますが、治療技術の進歩により、早期の胃がんは治療ができ、多くの患者さんが社会復帰しています。また、遺伝も影響することがあるため、家族歴がある場合は注意が必要です。したがって、適切な治療法の選択と主治医との相談が重要です。

胃がんの症状

胃がんは、初期段階では症状がほとんどないか、軽いことが少なくないとされています。しかし、がんが進行するにつれて、さまざまな症状が現れ始めます。主な症状には、不快な腹部の膨満感、特に食事後の早期満腹感、持続的な腹痛、原因不明の体重減少、食欲不振、嘔吐や吐血、貧血による疲労感などがあります。これらの症状は胃がん以外の病気で見られることもあるため、もし症状が現れたら、早急に医師の診断を受けることが重要です。医師による適切な診断と治療を通じて、がんの進行を抑え、生存率を高められます。

胃がんの進行速度

側の粘膜層や粘膜下層に限定されている状態を指し、この段階ではリンパ節転移が少ないことが特徴です。進行胃がんでは、がん細胞が固有筋層を超えて胃の外側にまで広がり、リンパ節やほかの臓器への転移の可能性が高まります。治療方針や予後は、がんの病期によって大きく異なるため、早期発見と診断が重要です。詳細な情報や個別のケースについては、医師の診断を受けることを推奨しています。

胃がんの組織学的分類

ここからは、胃がんの組織学的分類について解説します。

分化型

胃がんは、その組織学的分類において主に腺がんとして分類され、90%以上が粘膜の上皮細胞から発生します。胃がんは、その組織学的分類において主に腺がんとして分類され、90%以上が粘膜の上皮細胞から発生します。

未分化型

未分化型胃がんはがん細胞が不規則に広がりやすく、分化型より高い悪性度を表します。この種類のがんは進行が早く、転移しやすい傾向があります。未分化型胃がんの診断は、患者さんの治療計画や予後判断において非常に重要です。

進行速度が速いといわれるスキルス胃がんについて

進行速度が速いといわれるスキルス胃がんにはどのような特徴があるのでしょうか?以下で解説します。

スキルス胃がんとは

スキルス胃がんは、胃壁を硬く厚くして広がるタイプの胃がんで、「硬い腫瘍」を意味するギリシャ語から名付けられました。主に「未分化型」に分類され、進行が速く、内視鏡検査で見つかりにくい特徴があります。発見したときには転移があることも多く、治療が難しい場合があります。胃がん全体の5〜10%を占め、特に女性に多く見られ、若年での発症が特徴です。

スキルス胃がんの診断

スキルス胃がんの診断には複数の検査が鍵を握ります。内視鏡検査では、スキルス胃がん特有の所見を確認できます。さらに、病変が見つかった場合には、組織採取による生検を行い、病理診断へと進みます。X線バリウム検査では、胃の形状や収縮状態を詳細に調べられ、胃がんの診断に役立ちます。
スキルス胃がんは、胃粘膜の下層で進行するため、初期の段階での発見が難しいことがあります。しかし、上述の検査を組み合わせることで、より正確な診断ができ、適切な治療へとつなげられます。早期発見と確定診断のためにも、検査を受けることが推奨されます。

スキルス胃がんの治療

スキルス胃がんの治療は、がんの進行度や患者さんの状態に応じて、手術、化学療法、放射線療法、あるいは組み合わせて治療されます。早期発見された場合、根治的手術を受けられる場合もあります。しかし、多くの場合は進行がんであり、化学療法が中心となることが少なくないとされています。したがって、スキルス胃がんはほかのタイプの胃がんより治療が困難なので、個別の治療計画が必要になります。

胃がんの進行を示すステージ(病期)

胃がんの進行は、TNM分類に基づくステージによって示されます。まずTNM分類は、がんの進行度を表す国際的な基準です。「T」は腫瘍の大きさや深さ、「N」は近隣リンパ節への転移の有無と数、「M」は遠隔転移の有無を指します。この分類により、がんの進行ステージが決定され、治療方針の決定や予後に役立てられます。
ステージIはがんが胃の内側の層に限定されている状態、ステージIIでは近くのリンパ節にがんが広がり始める段階、ステージIIIではさらに多くのリンパ節に広がり、ステージIVはがんがほかの臓器に転移している進行した状態を示します。詳しい情報や個別の症例に関しては、医療機関での相談をおすすめします。

胃がんについてよくある質問

ここまで胃がんの進行速度やスキルス胃がんなどを紹介しました。ここでは「胃がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がんの原因はなんですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胃がんの主な原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染、不健康な食生活、喫煙、アルコール消費、遺伝的要素などがあります。特に、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、長期にわたる感染は胃がんのリスクを高めることが知られています。また、塩分の高い食事や保存食、野菜や果物の摂取不足もリスクを上げる要因とされています。

胃がんの治療法を教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

胃がんの治療法には、手術、化学療法、放射線療法、標的治療などがあります。治療はがんのステージや患者さんの健康状態に応じて選択されます。早期胃がんでは内視鏡的切除できる場合もあり、進行がんでは化学療法や放射線療法が組み合わされることもあります。また、遺伝子変異を持つがんには標的治療薬が適用されることもあります。

まとめ

ここまで胃がんの進行速度についてお伝えしてきました。胃がんの進行速度についての要点をまとめると以下のとおりです。

⚫︎まとめ

  • ・胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん細胞へ変異し、制御不能に増殖することで発症する
  • ・胃がんの進行は個々によって異なり、早期の場合は転移しにくく、進行した胃がんでは、転移が起こりやすいとされている。がんの病期に応じて治療法や予後が大きく変わるため、早期の発見と診断が極めて重要
  • ・スキルス胃がんは、女性や若年者がなりやすいうえに進行速度が速く、内視鏡での発見が難しいとされている。スキルス胃がんの治療には、進行度に応じ手術や化学療法を組み合わせて行われる

胃がんと関連する病気

胃がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

胃がんと関連する症状

胃がんと関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 持続的な胃の不快感
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 食後の過剰な満腹感

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師