目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「食道がんの初期症状」をチェックする方法とは?食道がんになりやすい方も解説!

「食道がんの初期症状」をチェックする方法とは?食道がんになりやすい方も解説!

 公開日:2024/12/27
「食道がんの初期症状」をチェックする方法とは?食道がんになりやすい方も解説!

食道がんは、早期発見が治療の鍵となる病気です。
本記事では食道がんの初期症状をチェックする方法について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・食道がんの症状
  • ・食道がんの初期症状をチェックする方法
  • ・食道がんの治療

食道がんの初期症状をチェックする方法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

食道がんとは

食道がんは、食道の粘膜に発生するがんの一種です。食道は、食べ物を喉から胃へと送り込むための管であり、内部には粘膜が覆っています。食道がんは、この粘膜の表面に発生し、複数のがんが同時にできることもあります。
日本人の食道がんは、約半数が食道の中央周辺にできることが多く、次いで胃に近い下部にできることが多いとされています。

食道がんの原因

食道がんの中でも、日本人に多い扁平上皮がんの発生には、喫煙と飲酒が大きく関わっています。飲酒した際に体内で生じる発がん物質であるアセトアルデヒドを分解する酵素の活性が生まれつき低い場合、食道がんの発生リスクが高くなることがわかっています。
さらに、逆流性食道炎などで長期間食道の炎症が続くと、道粘膜が胃粘膜のようになる食道バレット上皮になることがあります。食道バレット上皮は、食道がんリスクが高い状態です。

食道がんの症状

食道がんの症状はどのように進行するのでしょうか?以下では、食道がんの症状について詳しく解説します。

初期症状

食道がんの初期症状は、ほとんど自覚症状がないとされます。しかし、熱いものやすっぱいものを飲んだり食べたりした際にしみる感じがあったり、飲み込む際に違和感があるなどの症状が出ることがあります。がんが進行するにつれて食べものが飲み込みにくくなるなど自覚症状が現れてきます。
自覚症状が出た場合には、消化器内科等を受診し詳しい検査を受ける必要があります。また、耳鼻科を受診しても問題がないことから食道がんだと気付かず、がんの発見が遅れてしまいがちです。

進行した場合の症状

食道がんが進行すると、飲食時の胸の違和感や飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれなどの症状が現れます。胸の違和感は食道がんの早期発見のために注意が必要な症状です。飲食物を飲み込んだときに胸が痛む、熱いものを飲んだときにしみる感覚があるといった症状があります。
症状は一時的に消えることもあります。

チェック方法

食道がんの症状をチェックする際には、以下の項目について自身の状態を振り返ることが大切です。

  • ・食事や飲み物が飲み込みにくい
  • ・ものがつかえる感じがある
  • ・のどに異物感がある
  • ・酸っぱいものや辛いものを食べると、のどがしみる
  • ・固形物が飲み込めない
  • ・胸や背中に痛みがある
  • ・吐き気がする、または吐いたことがある
  • ・以前と比べて声がかれたような気がする
  • ・くびのつけ根にしこりを触れる
  • ・最近体重が減少している

症状が一つでも当てはまる場合は、40歳以上であれば、医師の診察を受けましょう。特に、飲酒や喫煙をよくする方、または熱い茶粥を毎日食べる地域に住んでいる方は、注意が必要です。

食道がんになりやすい方

喫煙習慣のある方や、お酒を飲むと顔が赤くなりやすい方は、食道がんの発症リスクが高くなります。
また、50歳以上の男性や、以前に頭頚部のがんを発症したことがある方も、食道がんのリスクが高いとされています。加えて、バレット食道や腐食性食道炎、食道アカラシアの診断を受けた方も、食道がんを発症しやすい傾向にあります。

食道がんの診断・検査

食道がんの診断・検査は、食道の状態を直接観察する食道内視鏡検査や、食道の形や大きさを画像で確認するX線検査などがあります。

食道内視鏡検査

食道がんの診断には、食道内視鏡検査が行われます。胃カメラを用いて食道の粘膜の状態を観察し、疑わしい部位があれば組織採取を行い、顕微鏡で詳しく調べます。また、特殊な色素やライトを用いて病変部を際立たせ、その発見や範囲の判定に役立てることもできます。

X線検査

X線検査では、バリウムを飲んでレントゲン検査を行い、食道の内部の状態を詳細に観察します。がんのある部位や大きさなどを把握できます。食道内視鏡検査とは異なり、組織採取は行われませんが、がんの有無や進行度を把握するのに役立ちます。

超音波内視鏡検査

超音波内視鏡検査は、超音波(エコー)検査と内視鏡検査を組み合わせた検査で、内視鏡の先端にある超音波装置によって食道粘膜の層構造や食道の外の構造を調べます。食道がんの深さや浸潤・転移の有無などが分かります。

病理検査

病理検査は、内視鏡検査などで採取した組織を顕微鏡を用いて調べ、がん細胞の有無や種類を特定する検査です。がん細胞の特性を詳細に調べることで、食道がんの種類や進行度を正確に把握し、適切な治療法を選択できます。

CT・MRI検査

CT・MRI検査は、がんの浸潤や転移の有無を調べるために行われます。CTはX線を用いて詳細な断層画像を得られ、がんの大きさや周囲組織との関係を明確にします。一方、MRIは磁場と無線波を使い、より詳細な内部組織の画像を得られます。

超音波検査

超音波検査は、CTやMRIとは異なり、体表から超音波を当てて内部の組織を調べる検査です。頚部・腹部のリンパ節や肝臓などへの転移の有無を調べられます。また、気管や甲状腺、頚動脈などの詳細な状態も把握できます。

PET検査

PET検査は、がん細胞の特性を利用した検査方法です。PET検査では、放射性のブドウ糖を体内に注射し、がん細胞がブドウ糖を多く取り込むことを利用して、がん組織を検出します。PET検査では、がんが見つかった部位や範囲、転移の有無などを調べられます。また、がん治療の効果を評価するためにも使用されます。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、がんのリスクを調べるための血液検査です。食道がんのほとんどを占める扁平上皮がんでは、腫瘍マーカーとしてSCC(扁平上皮がん関連抗原)、CEA(がん胎児性抗原)、CYFRA(サイトケラチン19フラグメント)が該当します。

食道がんの治療

食道がんの各治療法はどのようなものなのでしょうか?以下では、食道がんの治療について詳しく解説します。

表在食道がんの場合

表在食道がんの治療は、リンパ節転移のリスクに基づいて選択されます。リスクが低い場合は内視鏡的粘膜下剥離術(ESD)が行われます。ESDは全身麻酔を必要とせず、術後の痛みも軽減されます。病理検査結果によってリスクが判明した場合は、追加治療が必要です。内視鏡治療が困難な場合や追加治療が必要な場合は、外科手術または化学放射線療法が選択されます。

進行食道がんの場合

進行食道がんの治療は、遠隔転移の有無に応じて選択されます。遠隔転移のない場合は、外科手術による切除が選択されます。がんの広がりに応じて、術前や術後の化学療法が併用されることもあります。遠隔転移がある場合は、化学療法が行われます。早期発見であれば、内視鏡治療により改善が期待されます。

食道がんについてよくある質問

ここまで食道がんの診断・検査や治療法などを紹介しました。ここでは「食道がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

食道がんのステージを教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

食道がんのステージとは、がんの進行度や広がりを表す指標です。ステージは以下の4つの要素で決められます。
・T(腫瘍):食道の壁のどの層までがんが浸潤しているか
・N(リンパ節):周囲のリンパ節にがんが転移しているか
・M(遠隔転移):食道以外の臓器にがんが転移しているか

食道がんの予防法はありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

食道がんの予防には、禁煙や飲酒の節制が重要です。大量飲酒をしている人は、禁酒もしくは節酒することで食道がんの発生予防が期待できます。
また、野菜や果物を積極的に摂取することも有効とされ、食品に含まれる栄養素ががん細胞の発生を抑制する可能性があります。

まとめ

ここまで食道がんの初期症状をチェックする方法についてお伝えしてきました。食道がんの初期症状をチェックする方法の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・食道がんの症状は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、食べ物や飲み物が飲み込みにくい、ものがつかえる感じがあるなどのサインが出る
  • ・食道がんの初期症状をチェックするには、飲食時の違和感や胸の痛み、体重減少などを注意する
  • ・食道がんの治療は、リスクに応じて内視鏡治療や外科手術、化学療法が選択され、早期発見での治療が重要

食道がんと関連する病気

食道がんと関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

食道がんと関連する症状

食道がんと関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 食道潰瘍
  • 食道アカラシア
  • 逆流性食道炎
  • マロリー・ワイス症候群
  • 食道静脈瘤

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師