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「乳がんの初期症状にかゆみ」はあるの?具体的な症状も解説!【医師監修】

 公開日:2024/03/19
「乳がんの初期症状にかゆみ」はあるの?具体的な症状も解説!【医師監修】

女性にはさまざまな女性特有の病気や悩みが存在します。特に多くの女性が心配になる病気が乳がんです。

乳がんは女性が患うがんのなかで発症リスクの高いがんで、女性の内9人に1人の割合で乳がんを発症するといわれています。しかし、初期段階では約90%の確率で治癒を見込める病気でもあります。

では、初期段階で乳がんを発見し早期治療に努めるために気を付けることはあるのでしょうか。本記事では、乳がんの初期症状にかゆみはあるのか・目安の症状・早期発見のためにできることについて詳しく解説していきます。

思い当たる症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

乳がんとは?

まずは乳がんがどのような病気なのかを解説していきましょう。乳がんは乳房に関連する部位に発症する悪性腫瘍を指しています。乳房に関連する部位は以下のとおりです。

  • 乳腺
  • 乳腺葉(にゅうせんよう)
  • 脂肪組織
  • 乳管
  • 小葉(しょうよう)
  • 腺房(せんぼう)

上記の部位はそれぞれがつながった形状をしています。乳房は出産時に母乳を分泌する器官で「乳腺組織」「脂肪組織」「線維性組織」で構成されたものです。
母乳を作り出す小さい組織である腺房がいくつも集まっている部位が小葉です。小葉は母乳を運ぶ乳管とつながっており、小葉と乳管が1組になって乳腺葉に分類されます。
さらに、乳腺葉は乳頭から放射状に広がり15〜20個程に分かれていて、この構造を乳腺と呼びます。そして乳がんは乳管から発症する可能性が高い病気です。
しかし、小葉や乳腺以外の乳房の組織から発生することもあるため、検査を受けて正確な診断が必要となります。

乳がんの初期症状にかゆみはある?

乳がんが発生しやすい乳房の構造をお伝えしました。次に、乳がんの初期症状として、下記の2つを紹介します。

  • かゆみが起こるのはまれでほとんどない
  • 自覚症状自体現れにくい

それぞれ詳しくみていきましょう。

かゆみが起こるのはまれでほとんどない

乳房にかゆみが起こると乳がんを発症したのではないか、と不安を感じる方もいるでしょう。ですが、乳がんで乳房にかゆみが起こることはまれです。
かゆみやただれはデリケートゾーンの問題として、よくみられる症状ではあります。その理由はさまざまであるため、頻繫にかゆみが発生しているのであれば、病院への受診をおすすめします。
また、乳がんでかゆみが症状として起こることはまれですが、可能性がゼロではありません。なぜなら「パジェット病」の可能性を否定できないためです。パジェット病は乳がんの一種で、乳頭部に難治性の湿疹やかゆみが発生します。
皮膚科で治療を受けても、かゆみやただれなどの症状が改善しない場合は、乳がんの可能性があるかもしれません。パジェット病でかゆみをともなうことはありますが、無症状である場合も多いため、注意が必要です。

自覚症状自体現れにくい

病気を発症しても自覚症状自体現れにくいため、発見が遅れる傾向にある病気が乳がんです。自覚症状は現れにくいですが、必ず検査を受けないと早期発見が難しいわけではありません。
なぜなら、乳がんの目安となる症状が存在するためです。では乳がんの目安となる症状は一体どのようなものなのでしょうか。

乳がんの目安となる症状

それでは、前述した乳がんの目安となる症状を解説していきましょう。主な症状は以下のとおりです。

乳房のしこり

乳がんの主な症状として「しこり」があります。ですが、乳房のしこりはほかの病気でもみられる傾向にあります。ほかの病気は以下のとおりです。

  • 乳腺症皮
  • 乳腺の良性腫瘍
  • 下脂肪の塊
  • 皮膚の腫瘤

上記のように、しこりは乳がん以外の原因によって発生する可能性があります。乳房のしこりは、ご自身で触ることで気付くこともあるでしょう。乳がんの発生部位によっては、しこりが気づきにくい場所に発生する場合もあるため、注意が必要です。
また、しこりが良性なのか悪性なのかは触っただけでは判別できないことに留意してください。乳房のしこりが気になる場合には、早めに乳腺科などを受診しましょう。

乳頭分泌物がある

乳頭分泌物とは、乳頭から液状のものが出てくる症状を指します。乳頭部から、水のような漿液性や乳汁様の分泌物が多孔性に見られる場合があります。
ほかにも、乳頭部の1つの穴から分泌が起こる単孔性や血液と混ざっている血性乳頭分泌がみられた場合には、乳腺良性疾患の一種である乳管過形成や乳頭腫である確率が高いです。しかし、乳がんである可能性も否定はできないため、詳細な検査が必要になります。

乳房の形が対称にならない

乳房の形が対称にならないことも症状の1つです。ただし、乳房の形が対称ではない状態が、すべて乳がん疑いというわけではありません。片方の乳房が大きくなる現象は、スポーツ選手でもよくみられます。
そのため、ご自身の乳房の形を普段からこまめにチェックすることが大切です。

乳房にくぼみがある

乳房にくぼみがある場合には、病変を引き起こしている可能性があります。過去に受けた外傷や手術以外で、乳房にくぼみが現れた場合には注意が必要です。
くぼみは普通に立っている状態では見つけられない場合もあるため、日頃のチェックを習慣にしましょう。

乳頭にただれがある

乳頭にただれがある症状がみられた場合には、パジェット病の乳がんを発症している可能性あるかもしれません。ケアや皮膚の治療をがんばってもなかなか改善しない場合には、乳腺専門の医療機関で検査されることをおすすめします。

乳がんを早期発見するためにできること

乳がんは初期症状がほとんどみられないため、早期発見と早期治療に努めることが重要です。以下で乳がんを早期発見するためにできることを解説していくので、ぜひ取り入れられることから始めてみてください。

乳がん検診を行う

乳がん検診を行うことが大切です。特に乳がんになる人は、約30〜40歳の働き盛りで発症する傾向にあります。また乳がんは、この年代の女性のがん死亡原因のトップともいわれています。
しかし、早期発見・早期治療による10年後の相対生存率は90%以上と治癒率が高いことも事実です。そのため、乳がん検診は2年に1回の受診が推奨されています。

ブレスト・アウェアネスを実践する

家でも簡単に行えるおすすめの方法がブレスト・アウェアネスです。ブレスト・アウェアネスは、日頃から乳房の状態を意識する生活習慣を指します。乳がんのチェックは見ることと触ることです。まず見るときのポイントは以下になります。

  • 鏡に向かって両腕を高く上げる
  • 鏡に向かって両腕をまっすぐに下ろす
  • 鏡に向かって両腕を腰に当てる

上記の姿勢を取ったときに、乳房にひきつれ・くぼみ・ただれがないかチェックしましょう。次に触るときのポイントは以下のとおりです。

  • 3~4本の指をそろえ10円玉大の「の」の字を書くように乳房全体を触る
  • 脇の下をチェックする
  • 乳首を軽くつまんで血液などの異常な分泌物がないかチェックする

触ってチェックするときは、特に乳房の外側上部は念入りにチェックしましょう。仰向けの状態や、お風呂で石けんをつけた状態の手で触ると症状がわかりやすくなります。
触りながら乳房のしこり・脇の下のしこり・乳頭からの分泌物がないかチェックしてください。ブレスト・アウェアネスの実践は月に1度と推奨されています。
また、乳房のハリは月経の前後によっても変化します。個人差があるため、ご自身の月経周期と月経前後の乳房の様子を把握しておくことが大切です。

家族が乳がんを罹患した場合は遺伝子検査を行う

家族が乳がんを罹患した場合は遺伝子検査を行うことが3つ目の方法です。ただし、検査を受けて乳がんの発症率が低かったからといって必ず発症しないわけではありません。
あくまでも可能性を調べて、予防に努めるための参考程度の認識を持つことが大切です。

乳がんの初期症状のかゆみついてよくある質問

ここまで乳がんの初期症状・目安の症状・早期発見のためにできることなどを紹介しました。ここでは「乳がんの初期症状のかゆみ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳房のかゆみは別の病気の可能性もありますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

先述しているとおり、パジェット病の可能性があります。かゆみの原因はさまざまであるとされているため、不安を感じる場合には皮膚科へ受診しましょう。皮膚科での治療を受けても症状が改善しない場合には、乳腺専門の医療機関での検査をおすすめします。

授乳中に検診を受けてもよいでしょうか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

授乳中は乳腺が発達した状態になっています。そのため、乳房専用のX線撮影(マンモグラフィ)では全体が白く写り、正確な診断が困難です。自治体によっては検査を受け付けていないところもありますが、必ずしも検診を受けられないわけではありません。授乳期に関しては、断乳後6ヵ月が受診の目安になります。授乳期にどうしても検査を受けたい場合には、乳腺組織が密な方の検査に向いている超音波検査の方が、診断に役立つ場合があります。しこりや乳頭分泌などの自覚症状がある場合は、授乳中でも乳腺専門外来を受診してください。

編集部まとめ

乳がんの初期症状にかゆみはあるのか・目安の症状・早期発見のためにできることについて解説しました。女性にはさまざまな女性特有の病気や悩みが存在します。

特に乳がんは発症率が高い傾向にあるため、日頃から乳房の状態を意識する生活習慣を取り入れていきましょう。

乳がんと関連する病気

「乳がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

乳がんに関連する疾患として上記が挙げられます。ほかにも、乳房に近い腋窩リンパ節に転移する恐れがあります。発症リスクだけではなく、転移する恐れがあることを念頭に置いておきましょう。

乳がんと関連する症状

「乳がん」と関連している、似ている症状は2個程あります。
各症状・原因・治療法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 脇の下のリンパ節の腫れ
  • 乳房の痛み

乳がんの主な症状はしこりですが、発生した部位によっては見つけにくいこともあります。上記のような異変を感じる場合には、早めの受診を心がけてください。

この記事の監修医師