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「腎臓がん・ステージ4」の症状・生存率・治療法はご存知ですか?【医師監修】

 更新日:2024/03/07
「腎臓がん・ステージ4」の症状・生存率・治療法はご存知ですか?【医師監修】

腎臓がんは、がん化した腎臓の細胞が増殖することで発生する悪性腫瘍の一種です。発見時期・進行度によってステージに分類され、ステージごとに治療法・予後が異なります。

腎臓がんステージ4は、腎臓がんの中でも進行度が高い状態です。腎臓の外側へ広がっていたり、ほかの臓器へ転移していたりします。

今回の記事では腎臓がんステージ4の詳細・治療法・生存率について詳しく解説します。ご自身・ご家族などの周りの方で腎臓がんステージ4の疑いがある場合は、ぜひ参考にしてください。

澤田 樹佳

監修医師
澤田 樹佳(富山県のさわだクリニック)

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経歴
20022金沢大学卒 / 2014年金沢大学大学院卒 / 現在は、富山県のさわだクリニック院長 / 専門は泌尿器科、在宅、緩和医療、東洋医学
保有免許・資格
泌尿器科専門医、指導医
医師へのコミュニケーションスキルトレーナー

腎臓がんとは

腎臓がんとは、腎臓の細胞ががん化し、それが増殖することで悪性腫瘍となる病気です。また、腎実質の細胞でできるがんを腎細胞がん、腎盂の細胞でできるがんを腎盂がんといいます。
腎臓がんは腎細胞がんであることが多いため、一般的に腎細胞がんを指しています。ここからは、腎臓がんの症状・罹患率・危険因子について詳しく見ていきましょう。

症状

腎臓がんの初期で現れる症状は、ほとんどありません。腫瘍が大きくなると、血尿(尿に血が混じる)・腰痛・腹部のしこりなどの症状が現れます。さらに、発熱・食欲低下・体重減少といった全身症状もみられることがあります。

罹患率

腎臓がんの罹患率は、2019年の日本における人口10万人あたりの男性では33.7人、女性では15.1人と男女ともに上昇傾向にあります。特に男性に発生しやすく、好発年齢は50〜70歳とされています。

危険因子

腎臓がんが発生する危険因子ははっきりわかっていませんが、肥満・喫煙・高血圧などが挙げられます。また、長期の透析治療を行っている場合も腎臓がんの危険因子として考えられています。
なお、透析治療とは腎臓の機能が低下している方に対して、腎臓の代わりに血液中の余分な水分・老廃物を取り除いて血液をきれいにする治療法です。

腎臓がんステージ4について

腎臓がんは進行具合でステージ1〜4に分けられています。このステージは、がんの広がり具合・別の臓器への転移の有無などによって決められます。
数字が大きくなるほど進行していることを示すため、ステージ4はほかのステージよりも進行度が高いのです。ステージ4は、がんが腎臓の外側まで広がっているもしくは別の臓器に転移していることを示します。
ここからは、ステージ4の症状・転移しやすい部位について解説します。

身体に現れる症状

腎臓がんステージ4では血尿・腰痛などの症状が現れるほか、体重減少・食欲不振などの全身症状も現れます。また、別の臓器に転移している場合は、転移している臓器に痛みが出るなどさまざまな症状が現れます。

転移しやすい場所

腎臓には血管が豊富にあるため、血管を通ってさまざまな臓器に転移しやすいといわれています。その中でも腎臓がんで転移しやすい場所は、です。また、骨・脳・肝臓・副腎などにも転移することがあります。

腎臓がんステージ4の治療法

腎臓がんステージ4では、どのような治療法が行われるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。基本的に手術が可能であれば腎臓・転移した部位の摘出するための外科手術を行います。
また、薬物療法・免疫療法・放射線治療なども適切に組み合わせて行います。ここからは、腎臓がんステージ4の治療法について詳しく解説しましょう。

外科手術

まず、全身状態が良好で手術が可能である場合は、がんが発生している側の腎臓を全て取り除く腎摘除術を行います。さらに別の臓器に転移している場合は、転移した部分を摘出する手術も行います。
ただし、全身状態が良くない・転移している臓器が多いといったように完全切除が難しい場合は手術を行いません。また、転移している臓器が肝臓・脳・骨である場合は、完全切除が難しい可能性があるため注意が必要です。

薬物療法

薬物療法は、手術で腫瘍を摘出できない場合に行います。腎臓がんの薬物療法では、分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬が使用されます。分子標的薬はがんの増殖を引き起こす細胞内の分子に直接作用するもので、腫瘍を小さくしたり増殖を抑えたりする効果が期待できる薬です。
チロシンキナーゼ阻害薬・mTOR阻害薬の2種類があります。一方で、免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞を攻撃する細胞を活性化させることで、がんの進行を抑える薬です。
進行したがんでも効果があったり、治療効果が長く続いたりすることが期待できます。ただし、どちらも副作用があるため、医師・薬剤師からの説明をよく聞き理解したうえで治療を行うことが大切です。

免疫療法

免疫療法とは、免疫力を活性化させがんを攻撃する治療法です。免疫療法として使用される薬剤はインターフェロンα・インターロイキン2です。

放射線治療

放射線治療とは、体にX線などの放射線を当てることで、がん細胞を死滅させる治療法です。この治療法は骨・脳に転移した場合に使用されることが多く、症状を緩和したりがんの進行をコントロールしたりする目的で行われます。
ただし、腎臓がんの治療としての効果は期待できません。

緩和ケア・支持療法

腎臓がんの治療では緩和ケア・支持療法を行うことが大切です。緩和ケアはがんに伴って現れる体・心の負担を緩和するために行われるものです。
緩和ケアでは医師・看護師だけではなく、必要に応じてケアマネージャー・心理士などさまざまな職種の人がサポートします。また、支持療法は、腎臓がんの症状・治療に伴って現れる副作用などを緩和するための治療のことです。
副作用が現れたら医師に相談して、少しでも症状を和らげることが望ましいでしょう。

腎臓がんステージ4の生存率

生存率はがんと診断されてから、一定期間経過した時点で生存している割合のことです。一般的に診断から5年後の数値として「5年生存率」が使用されることが多いとされます。
腎臓がんステージ4の5年生存率は約20%とされており、ほかのステージと比べると低い水準です。なお、ステージ1の5年生存率は95%以上といわれています。腫瘍が大きい・転移している臓器がある場合は完治が難しく、生存率が低くなります。
また、完治しても再発・転移するリスクがあり、手術後10年過ぎてから再発したというケースがあるため注意が必要です。

腎臓がんステージ4についてよくある質問

ここまで腎臓がんステージ4の症状・治療法などについて紹介しました。ここでは「腎臓がんステージ4」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

腎臓がんのステージはどのように診断されますか?

澤田 樹佳澤田 樹佳 医師

腎臓がんは超音波検査・CT検査などの結果に基づいてがんの進行度に応じて、ステージ1〜4に分類されます。ステージごとの進行具合は以下のとおりです。
・ステージ1:がんは腎臓にとどまっており、直径は7cm以下である
・ステージ2:がんは腎臓にとどまっており、直径は7cmを超えている
・ステージ3:がんは腎臓内にとどまらず、腎臓脈・周囲の脂肪組織・下大静脈などに及んでいるもしくは腎臓付近のリンパ節に転移がある
・ステージ4:がんは外側の膜を超えてほかの臓器に広がっている、リンパ節に転移があるもしくは離れた臓器に転移がある
なお、超音波検査ではがんの位置・大きさ、CT検査ではがんの有無・別の臓器への転移などを調べます。超音波検査・CT検査で診断できなかった場合は、MRI検査などを行うことがあります。

腎臓がんに初期症状はありますか?

澤田 樹佳澤田 樹佳 医師

腎臓がんには初期症状がほとんどありません。そのため、症状から発症に気づくのは難しいと考えられます。なお、進行して腫瘍が大きくなると、血尿・腹痛・腰痛・食欲不振などの症状が現れます。

編集部まとめ

腎臓がんステージ4は、がんが大きくなり症状が強く出るステージです。がんが腎臓の外側まで広がっており、別の臓器に転移している可能性があります。

腎臓がんステージ4では血尿・腹部のしこりなどの症状が出るほか、食欲不振・発熱など全身症状も現れます。5年生存率が約20%とほかのステージよりも低く、完治が難しいのがステージ4の特徴です。

治療では切除が可能であれば外科手術を行い、それに加えて薬物療法・免疫療法・放射線療法を組み合わせて行います。また、精神的な負担もあるため、緩和ケアを行うことも重要です。

今回の記事を参考に周りの方のサポートを得ながら、治療に役立てていただけると幸いです。

腎臓がんと関連する病気

「腎臓がん」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

腎盂尿管がん・副腎腫瘍などは、腎臓がんと同様に初期ではほとんど症状がない場合があります。膀胱がん・尿路結石などは、腎臓がんと同様に血尿の症状が現れることがあります。

腎臓がんと関連する症状

「腎臓がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は初期の段階でほとんどみられず、腫瘍が大きくなってくると現れる可能性があります。いずれも腎臓がん特有の症状ではないため、定期的に検査を受けることが重要です。

この記事の監修医師