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「肝臓がんの検査方法」はご存知ですか?費用や入院期間も解説!【医師監修】

 公開日:2024/03/08
「肝臓がんの検査方法」はご存知ですか?費用や入院期間も解説!【医師監修】

肝臓がんは初期症状がほとんどないため、普段の生活ではなかなか気づくことができません。

この記事では肝臓がんの種類、検査内容、診断方法について詳しく解説します。検査の費用や入院期間なども併せて紹介するので参考にしてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肝臓がんとは?

沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓のがんとはどのような病気なのか知り、早期発見に役立てましょう。まずは肝臓がんの種類と転移について解説します。

肝臓にできるがんの総称

肝臓がんは肝臓にできるがんの総称です。がんの発生部位により肝細胞がんと肝内胆管がんの2種類に分かれます。日本では90%以上が肝細胞がんであるため、肝臓がんとは一般的に肝細胞がんを意味します。肝細胞がんは肝臓内で再発のリスクが高く、治療が終わった後も定期的な検査が必要です。

肝細胞がん・肝内胆管がん(胆管細胞がん)がある

肝臓がんはがんの発生部位により名称が異なります。肝細胞ががん化した場合は肝細胞がん、肝臓の中を通る胆管ががん化したものは肝内胆管がんと呼ばれ、同じ肝臓のがんですが治療法が異なります。

肺・リンパ節・副腎・脳・骨などに転移することがある

肝臓がんは進行が進むと転移することがあり、主に骨や肺に転移する傾向にあります。

肝臓がんの検査

肝臓がんに対して行われる検査は主に5つあります。それぞれの検査の特徴を解説いたします。

超音波(エコー)検査

超音波を発生させる器具を使った検査です。身体の表面に器具をあてた状態で超音波を流し、臓器に反射した超音波の流れを画像化することで、がんの数・大きさ・位置・範囲・腹水の有無などを調べます。

造影剤超音波検査

超音波検査と造影剤を併用する検査方法です。肝細胞がんは正常な肝細胞よりも血流が多く、血管から造影剤を注入することで病変部の特定がスムーズになります。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとはがん特有のタンパク質・酵素のことを指し、血液や尿に流れています。肝臓がんではAFP・PIVKA-IIなどの腫瘍マーカーが出現するため、これらの濃度を検査することでがん診断の補助や診断後の予後を確認できます。がんの有無を判断するために利用する検査です。

CT検査・MRI検査

CT検査はX線、MRI検査は強い磁力・電波を使った検査で、身体の内部の断面を画像化します。がんの性質の特定・発生部位を広範囲で調べられる検査です。

生検

肝臓の病変の一部を採取して顕微鏡で検査することを肝生検といいます。CT検査やMRI検査で良性か悪性か判断できない場合の確定診断に実施されることがあります。また、慢性肝炎や肝硬変など別の病気であるかどうかの確定診断としても利用される検査です。

肝臓がんの診断について

肝がんが疑われる場合は上記の画像検査や血液検査を組み合わせて行います。腫瘍が見つかった場合は、良性か悪性か、その他のがんとの識別、慢性肝炎や肝硬変など別の病気であるかどうかを調べるために生検などの検査を行うこともあります。
肝臓がんはいろいろな検査を組み合わせて、総合的に判断して診断されます。

肝臓がんを早期発見するには?

肝臓がんは症状が進行して初めて自覚症状が出てきます。ここでは肝臓がんを早期発見するためのポイントを紹介いたします。

定期的に健康診断を受ける

肝臓がんは肝硬変や慢性肝炎など肝機能が低下している人に多く発症する傾向があるため、慢性肝疾患の人に対しては特に定期的な検査が推奨されています。特に冒頭でも説明した肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変の診断を受けている場合は、肝臓がんのリスクが高いため3〜6か月毎の定期的な検査を受けることが推奨されています。
肝臓に疾患がなく、肝機能が少し落ちているという程度では定期的な検査は自己判断に委ねられることが多く、症状が出づらい特徴から初期段階で発見することは容易ではありません。肝臓がんの早期発見には自発的に検査を受ける気持ちが大切です。血液検査の結果が気になったり、少しでも気になる症状があれば、医療機関へ相談するとよいでしょう。

疲労感や倦怠感が続くときには注意が必要

肝臓は栄養の貯蔵、解毒、胆汁の合成などの役割があり、慢性的に肝機能が下がった状態が続くことで身体に十分な栄養を確保できなくなります。その結果、疲労感や倦怠感などの症状に加えて黄疸、むくみ、かゆみなどの症状が出やすくなります。
肝機能低下は肝臓がんに限らず様々な疾患が影響して起こりうるので、原因を判別するためにも医療機関で検査を受けましょう。

「肝臓がん」の検査についてよくある質問

 

ここまで肝臓がんの種類、検査方法、診断、早期発見などを紹介しました。ここからは「肝臓がんの検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

検査によって分かる肝臓がんのステージについて教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

肝臓がんのステージは I〜IV期で表します。がんの個数、大きさ、肝臓内にがんがとどまっているか、リンパ節や他の臓器までがんが広がっているかの要素でステージを判断します。なお、ステージ分類は国内基準と国際基準でやや内容が異なるため注意が必要です。
IV期は共通して進行度が高度なものとみなされ、リンパ節転移があるものはIVA期、他の臓器にがんが広がる遠隔転移があるものはIVB期に分かれます。

肝臓がんの検査費用はどのくらいですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

検査費用は検査項目により異なります。

  • 腫瘍マーカー:おおよそ5,500〜7,700円(税込)
  • 超音波検査:おおよそ6,000円(税込)
  • 胸部CT検査:おおよそ11,000円(税込)

肝臓がんの進行具合で検査項目は異なります。また、検査費用は医療機関によっても異なるため、確認してから検査を受けるとよいでしょう。

肝臓がんの検査入院期間はどれくらいですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

検査入院期間は一般的に2週間程度です。肝臓がんは再発率が高いがんの1つであるため、検査は入念に行われます。がんの進行度だけに限らず医療機関によって入院期間が異なるため、事前に入院期間を確認しておくとよいでしょう。

編集部まとめ

今回は肝臓がんの検査方法や診断、早期発見について解説しました。肝臓がんは進行するとむくみや倦怠感、かゆみなど様々な症状が出てきますが、初期は自覚症状が出づらいため定期的な検査を受けることが早期発見につながります。

肝臓がんと関連する病気

「肝臓がん」と関連する病気には、下記の5つがあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

肝臓がんの要因に慢性的な肝臓疾患が関わっています。特に肝硬変や慢性肝炎(B型・C型)に罹患している方は肝臓がんを発症するリスクが高い傾向にあるため、定期的に肝機能の検査を受けることが大切です。

肝臓がんと関連する症状

「肝臓がん」と関連する症状は6つほどあります。
各症状の原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 黄疸
  • むくみ
  • かゆみ
  • 腹水
  • 腹部のしこり

肝臓がんにより、肝機能が低下した状態が続いてしまうと上記の症状がでてきます。ただし、他の疾患にも共通してみられる症状でもあるため見落としがちです。肝臓に異常があるかどうか定期的な検査を受けることで、肝臓がんの早期発見と治療につながるでしょう。

この記事の監修医師