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「大人の骨髄腫の症状」はご存知ですか?骨髄腫ができやすい部位も解説!【医師監修】

 更新日:2024/02/29
「大人の骨髄腫の症状」はご存知ですか?骨髄腫ができやすい部位も解説!【医師監修】

骨肉腫とは?大人の骨肉腫で見られる症状は何でしょうか?本記事では大人の骨肉腫の症状について以下の点を中心にご紹介します。

  • ・骨肉腫とは
  • ・骨肉腫の症状
  • ・骨肉腫の治療方法

大人の骨肉腫の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

骨肉腫とは?

骨肉腫は骨に生じる希少ながんの一種で、日本では年間約200から300人が診断されています。主に10代の若者に多く見られ、この年代が全体の約60%を占める一方で、高齢者の中にも症例が見られます。近年、成人における骨肉腫の症例が増加していることが確認されています。骨肉腫は、悪性腫瘍の一種であり、骨や筋肉、脂肪、神経、血管などに発生することがあります。

大人の骨肉腫で現れる症状

骨肉腫を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか。以下、大人に見られやすい骨肉腫の症状についても解説します。

初期は症状が出ないこともある

骨肉腫の初期段階では、症状が現れないことがあります。また、骨肉腫の進行に伴い、一部の患者では肺への転移が見られることがあります。肺への転移がある場合でも、初期には明確な症状が現れないことが多いですが、病状が進行すると呼吸に関する障害が生じるリスクがあり、注意が必要です。

痛み・腫れ・熱っぽい

骨肉腫の典型的な症状には、痛み、腫れ、及び局所的な発熱感が含まれます。初期段階では症状が全く感じられないこともありますが、病気が進行するにつれて、症状が徐々に明らかになります。最初に現れる症状は運動時の痛みで、時間が経過すると安静時にも痛みを感じるようになります。痛みは数ヶ月から半年ほど続くことがあり、状況によっては歩行に影響を及ぼすこともあります。症状が長期間にわたって続く場合、整形外科や骨腫瘍専門の医師への受診を検討することが重要です。

骨折

骨肉腫が進行すると、骨が弱まり、比較的軽微な外傷でも骨折が起こりやすくなることがあります。実際、骨折をきっかけにして初めて骨肉腫の診断がなされるケースも少なくありません。骨肉腫が疑われる場合、診断が確定するまでの間には、大腿骨や脛骨などの重要な骨に無理な負担をかけないための注意が必要です。日常生活においては、松葉杖の使用など、体重をかけないための工夫が求められることがあります。このような対策は、症状の悪化を防ぐために重要です。

症状が出やすい部位

骨肉腫は大腿骨や脛骨などの長管骨に発生しやすく、特に膝関節に近い部位に生じることが多いです。これらの部位での骨肉腫は、全体の約60~70%を占めます。また、上腕骨の肩に近い部分も発症しやすい部位として知られています。
一方で、大人の骨肉腫は、骨盤や脊椎などの体幹部に発生することも多く見られます。これらの部位に発生する骨肉腫は、症状が特定しにくいことがあるため、注意が必要です。ただし、膝や股関節の痛みがある場合でも、これらは多くの場合、年齢に伴う通常の関節痛であることが多く、骨肉腫を疑う必要は必ずしもありません。しかし、痛みや腫れが持続する場合や、特に運動時に痛みが増す場合は、専門の医師の診察を受けることが推奨されます。

大人が骨肉腫になる原因

ここからは、大人が骨肉腫になる原因について解説していきます。

遺伝子変異

大人における骨肉腫の発症原因は完全には明らかになっていませんが、遺伝子変異が重要なリスク因子であると考えられています。具体的には、リーフラウメニ症候群のような遺伝性疾患が関与している可能性があります。リーフラウメニ症候群は、腫瘍抑制機能を持つp53遺伝子の変異により発生し、骨肉腫を含む様々ながんの発生リスクを高めます。

放射線治療・化学療法

大人での骨肉腫発症には、放射線治療や化学療法がリスク要因となることがあります。特に、放射線療法による電離放射線の被曝は、骨肉腫のリスクを高めることが知られています。例えば、子宮がんなどの治療で放射線治療を受けた後、数年経過してから骨盤などに骨肉腫が発生するケースが報告されています。放射線治療の線量が高いほど、骨肉腫のリスクも増加する傾向にありますが、年齢が上がるにつれてそのリスクは低下するとされています。
また、アルキル化剤などの抗がん剤を用いた化学療法も、骨肉腫のリスクを高める要因として認識されています。これらの治療を受けた結果、骨肉腫を含む二次がんを発症するリスクが高まる可能性があるとされています。放射線治療の頻度と骨肉腫の発生との間に相関関係があると考えられているため、がん治療の歴史を持つ患者は特に注意が必要です。これらの治療による骨肉腫のリスクは稀でありますが、治療歴を持つ患者は、定期的な健康チェックと早期発見が重要となります。

骨パジェット病

骨パジェット病は、特に50歳以上の中高齢者に見られる疾患で、遺伝的要因が関与することがあるとされています。骨の新しい細胞の異常な増殖によって引き起こされ、骨の弱化と変形が特徴です。その結果、骨が脆くなり、壊れやすくなる傾向にあります。通常、骨肉腫は若年層での発症が多いですが、骨パジェット病が関連している骨肉腫のケースでは、50代以降の発症が多く見られます。日本では骨パジェット病の患者数は米国に比べて少ないとされていますが、骨パジェット病の患者の中で約1%の割合で骨肉腫が発生すると報告されています。

骨肉腫の治療

それでは、以下より骨肉腫の治療について解説します。

手術

骨肉腫の治療において、手術の主な目的は、腫瘍細胞を全て除去することです。これを達成するためには、腫瘍周囲の正常な骨や筋肉を含めた「広範切除」が必要となることがあります。腫瘍を取り囲む健康な組織とともに切除することで、腫瘍細胞の残留を極力避けます。
骨肉腫が発生した部位によっては、患肢(手足)の温存が可能な場合もあります。現在の手術技術と画像診断の進歩により、重要な血管や神経を保持しつつ、腫瘍を含む骨や筋肉を切除できるようになっています。患肢の温存が可能な症例では、機能的な回復を目指し、人工関節の挿入や移植骨による再建が行われることが多いです。
しかし、腫瘍が重要な神経や血管を含んでいる場合、または骨や関節の切除範囲が大きすぎる場合には、患肢の切断を選択することもあります。時には義肢の使用を含む切断が、患者の生活の質(QOL)や活動度を高める選択となることもあります。
手術におけるこれらの選択肢に関しては、患者やその家族に対して十分な説明と理解を促し、慎重に決定されるべきです。患者の意向を尊重しつつ治療方針を選択することが重要です。また、手術以外にも、抗がん剤治療や放射線治療が併用されることがあります。特に骨肉腫の場合には、手術前後の化学療法の併用が一般的で、治療期間は半年から1年程度を要することが多いです。

抗がん剤治療

骨肉腫の治療における抗がん剤治療は、手術と併用されることで病気の根治を目指します。治療の一環として、メトトレキサート、塩酸ドキソルビシン、シスプラチンを組み合わせたMAP療法が広く採用されており、これらの薬剤は手術前後に約8~10ヶ月間にわたって投与されます。
抗がん剤治療を手術前に行うことのメリットは複数あります。まず、腫瘍のサイズを縮小し辺縁を固めることで、患肢の温存が可能となる確率が高まります。また、術前の抗がん剤治療により、どの薬剤が患者にとって効果があるかを判断し、術後の治療方針を決定するための重要な情報が得られます。さらに、骨肉腫は早期に肺転移を起こすことが多いため、抗がん剤治療は遠隔転移のリスクを抑える可能性を高めます。
抗がん剤治療には副作用も伴います。副作用には貧血や白血球減少がありますが、腎障害や肝機能障害、心臓障害などの慢性的な副作用も起こり得ます。特に、シスプラチンとイホスファミドは妊孕性に影響を与える可能性があるため、思春期以降の患者には治療開始前に精子凍結保存についての説明が行われます。
このように、骨肉腫の抗がん剤治療は、患者の治療計画において非常に重要な役割を果たしています。ただし、副作用のリスクに注意を払いながら、専門的な施設での適切な管理と治療が必要です。

放射線治療

骨肉腫において、放射線治療は主要な治療手段とはされていません。これは骨肉腫が放射線治療に対して反応しづらい腫瘍の一種であるためです。しかし、特定の状況下では放射線治療が治療の一環として用いられることがあります。例えば、脊椎や骨盤などの部位に発生した骨肉腫で、広範切除が難しい場合には、粒子線治療が検討されることもありますが、基本的には、抗がん剤治療と外科手術が主要な治療法です。

骨肉腫についてよくある質問

ここまで骨肉腫を紹介しました。ここでは骨肉腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨肉腫ができやすい部位はどこですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫は、特に若年層において足の膝周辺に発生することが多い疾患です。この病態において、膝の周囲に腫瘍が形成されることが70~80%の頻度で報告されています。また、肩の上腕骨付近にも腫瘍が形成されることがあります。初期段階では特有の症状が見られないことが多く、肉腫が成長して周囲の筋肉や骨に影響を与え始めると、骨折や膝周囲の腫れ、発熱感などが現れます。

骨肉腫の予後を教えてください

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫の治療成果は、近年進展した治療法により大きく改善しています。かつて、補助的な化学療法が行われる前の段階では、5年生存率は約30%から40%と低かったのですが、現在では化学療法の導入により、約50%以上に上昇しています。また、初診時に転移が確認されていない患者の場合、生存率は約70%に達するとされています。
しかしながら、予後に影響を及ぼす要因は複数存在します。これには、がんの発生部位(特に体幹部で発生した場合は予後が悪い)、腫瘍の大きさ、化学療法に対する反応の度合い、そして何よりも転移の有無が含まれます。転移がある場合、特に肺転移が切除可能であれば、生存率は30%から50%程度となりますが、切除不可能な肺転移、化学療法に抵抗性の病変、または複数の骨に影響を及ぼす病変がある場合は、残念ながら予後は不良です。

編集部まとめ

ここまで大人の骨肉腫の症状についてお伝えしてきました。大人の骨肉腫の症状についての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・骨肉腫とは、骨に生じる希少ながんの一種で、主に10代の若者が全体の約60%を占めているが、近年、成人における骨肉腫の症例が増加している
  • ・骨肉腫の初期段階では症状が現れないことがあるが、典型的な症状には、痛み、腫れ、及び局所的な発熱感で、骨肉腫が進行すると骨が弱まり骨折が起こりやすくなったり、一部の患者では肺へ転移したりする
  • ・骨肉腫の治療は、手術前後の化学療法と外科手術による患部の切除の併用が一般的で、化学療法の導入により予後が大きく改善した

骨肉腫と関連する病気

骨肉腫と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

  • 変形性関節症
  • スポーツによる障害
  • 関節炎

骨肉腫と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

骨肉腫と関連する症状

骨肉腫と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 継続する痛みや腫れ

これらの症状が当てはまる場合には、骨肉腫などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師