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「盲腸癌の原因」はご存知ですか?症状や検査法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/25
「盲腸癌の原因」はご存知ですか?症状や検査法も解説!【医師監修】

盲腸癌とは大腸癌の一種で、盲腸(虫垂)に発生する悪性腫瘍のことです。盲腸癌は症状が出にくく、発見が遅れることが多いといわれています。
盲腸癌の原因は、一体何なのでしょうか?

本記事では盲腸癌の原因について、以下の点を中心にご紹介します。

  • ・盲腸癌の原因
  • ・盲腸癌の検査方法
  • ・盲腸癌の治療法

盲腸癌の原因について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

そもそも盲腸癌とは?

盲腸癌とは、盲腸(虫垂)に発生する悪性腫瘍のことです。盲腸癌は、大腸癌の一種として分類されます。
盲腸は、大腸の右下腹部から始まる部位です。小腸の末端と上行結腸の間にある部分で、虫垂という突起があります。
盲腸癌は、盲腸や虫垂に発生する癌で、大腸癌の中でも発生頻度が低いとされています。
また、盲腸癌は、まれに虫垂炎を合併することがあります。
虫垂炎とは、虫垂(盲腸の下から出ている管状の突起)が炎症を起こした状態です。虫垂炎は、盲腸癌の原因ではありませんが、盲腸癌が虫垂を圧迫したり、癌細胞が虫垂に広がったりすることで引き起こされることがあります。虫垂炎の症状は、みぞおちからお腹の右下に移動する腹痛や発熱、食欲不振などです。
虫垂炎は、手術で虫垂を切除することで治療しますが、その際に盲腸癌が発見されることがあります。
盲腸癌の原因は、遺伝的な要因や炎症、食生活などが関係していると考えられていますが、詳しいことはまだ明らかになっていません。盲腸癌は、早期発見が重要です。お腹のしこりや貧血などの異常に気づいたら、早めに医師に相談しましょう。

盲腸癌は症状が出にくい

盲腸癌の症状は出にくく、自覚しづらいといわれています。
盲腸は、大腸の一部で、右下腹部から始まる部位です。盲腸に癌ができても、通過する内容物がまだ液状であるため障害が起こりにくく、出血や便秘、便の変化などの典型的な大腸癌の症状が現れません。
盲腸癌が発見される時は、癌が大きくなってお腹にしこりができたり、貧血が起こったりという状態が多いようです。
また、盲腸癌の症状は、他の病気と間違えやすいこともあります。
例えば、盲腸癌のしこりは、卵巣嚢腫や子宮筋腫などの婦人科系の病気と混同されることがあります。また、盲腸癌の貧血は、鉄欠乏性貧血や慢性腎臓病などの内科系の病気と誤診されることがあります。
盲腸癌の症状は特徴的ではないため、自己判断せず、医師に相談することが大切です。

盲腸癌が進行中の症状

盲腸癌の症状としては、腹部痛、腹部膨満感、排便障害、血便、体重減少、貧血などが挙げられますが、これらは他の病気にも起こりうるため、診断には病院での検査が必要です。

腹部痛

盲腸癌が大きくなると、腹部に圧迫感や痛みを感じることがあります。特に、お腹の右下の部分に痛みが集中することが多いようです。この痛みは、盲腸癌が周囲の組織や臓器に浸潤したり、腹膜炎を起こしたりすることによって引き起こされます。
腹部痛は、食事や排便と関係なく、持続的にあるいは発作的に起こることがあります。

腹部膨満感

盲腸癌が進行すると、腸の通過障害や腹水の貯留によって、腹部が膨らんだり、張ったりする感じがすることがあります。
腹部膨満感は、食欲不振や体重減少などの全身症状とともに現れることが多いようです。
また、腹部膨満感は、盲腸癌が転移したり、合併症を起こしたりすることによって悪化することがあります。

排便障害

盲腸癌が進行すると、腸の狭窄や閉塞によって、便の通過が妨げられることがあります。その結果、便秘や下痢、便の形や量の変化などの排便障害が起こることがあります。
排便障害は、腹痛や腹部膨満感とともに現れることが多く、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

血便

盲腸癌が進行すると、腫瘍からの出血によって、便に血が混じることがあります。
血便は、鮮血便や黒色便の形で現れることがあります。
鮮血便は、便の表面に赤い血液が付着するか、便と一緒に赤い血液が出ることを指します。
黒色便は、消化管内で酸化された血液が便に混じって黒くなることを指します。
血便は、貧血やショックの原因となることがあります。

盲腸癌の原因

盲腸癌の原因は明確には分かっていませんが、腸内細菌叢の異常、炎症性腸疾患、食生活、喫煙やアルコール摂取、遺伝的要因などが関係していると考えられています。
以下では、それぞれの要因について詳しく説明します。

腸内細菌叢

腸内細菌叢とは、腸内に住む細菌の集まりのことで、消化や免疫などに重要な役割を果たしています。しかし、腸内細菌叢が異常に増殖したり、バランスが崩れたりすると、癌の原因物質を生成したり、腸の粘膜を傷つけたりすることがあります。盲腸には、腸内細菌叢が多く存在し、これが癌の発症に影響する可能性があります。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは、腸の粘膜が慢性的に炎症を起こす病気の総称で、クローン病や潰瘍性大腸炎などがあります。炎症性腸疾患を患っている方は、盲腸癌の発症リスクが高くなります。炎症によって、腸の粘膜が傷つきやすくなり、癌細胞が増殖しやすくなるからです。

食生活

食生活も盲腸癌の発症に関係するといわれています。野菜や果物が少なく、肉や加工肉を多く摂取する食生活は、盲腸癌の発症リスクを高めるといわれています。
野菜や果物には、食物繊維や抗酸化物質などが含まれており、腸内細菌叢のバランスを整えたり、癌の原因物質を排出したりする働きがあります。
しかし肉や加工肉には、発癌性のある物質が含まれている場合があり、腸内で発酵すると癌の原因物質を生成する可能性があります。

喫煙やアルコール

喫煙やアルコール摂取も、多くの癌の発症リスクを高めるといわれています。
喫煙は、タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質が、腸の粘膜を刺激したり、癌の原因物質に変化したりすることがあります。
アルコールは、肝臓で分解される際、発癌性のあるアセトアルデヒドとなり、腸の粘膜にダメージを与えたり、癌細胞の増殖を促進したりすることがあります。

遺伝

遺伝的要因も盲腸癌の発症に関係するといわれています。
家族に癌の罹患歴がある場合や、遺伝性の大腸癌の病気を持っている場合は、盲腸癌の発症リスクが高い傾向にあります。
遺伝性の大腸癌の病気には、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などがあります。生まれつき癌の抑制遺伝子や修復遺伝子などが変異しており、癌細胞が発生しやすくなっています。

盲腸癌の検査方法

盲腸癌は、大腸癌の中でも発生頻度が低く、症状が出にくいため、発見が遅れやすいという特徴があります。
盲腸癌の検査方法としては、以下のようなものが挙げられます。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査とは、カメラ付きの細い管を肛門から腸内に挿入し、腸の内部を直接観察する検査です。
盲腸癌の場合、盲腸や虫垂に腫瘍が見られることがあります。大腸内視鏡検査では、腫瘍の大きさや形、位置、浸潤度などを確認します。また、腫瘍の一部を切り取って細胞診を行うこともあります。細胞診では、腫瘍が良性か悪性か、またどのようなタイプの癌かを判定します。

CT検査

CT検査とは、X線を使用して、体の断面を撮影する検査です。盲腸癌の場合、CT検査では、腫瘍の有無や大きさや位置、転移の有無などを調べます。
CT検査では、腹部だけでなく、胸部や骨盤なども撮影することがあります。これは、盲腸癌が肝臓や肺、骨などに転移する可能性があるためです。

MRI検査

MRI検査とは、磁気を使用して、体の断面を撮影する検査です。CT検査と同様に、盲腸癌の場合、MRI検査では、腫瘍の有無や大きさ、位置、転移の有無などを調べます。
MRI検査では、腹部だけでなく、骨盤や肛門周囲なども撮影することがあります。これは、盲腸癌が骨盤内や肛門周囲の組織に浸潤する可能性があるためです。

PET検査

PET検査とは、放射性物質を体内に注入し、癌細胞の代謝活動を測定する検査です。盲腸癌の場合、PET検査では、腫瘍や転移の有無や位置を調べます。
PET検査では、癌細胞は放射性物質を多く取り込むため、画像上で明るく表示されます。PET検査は、CT検査やMRI検査と併用されることが多く、より正確な診断に役立ちます。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは、血液や尿などの体液から、癌の存在を示す物質を測定する検査です。盲腸癌の場合、腫瘍マーカー検査では、CEAやCA19-9などの物質の値を調べます。
腫瘍マーカー検査は、癌の診断や進行度の判定、治療成果の判断、再発の予測などに役立ちます。しかし、腫瘍マーカー検査は、癌以外の原因でも値が上昇することがあるため、他の検査と併用する必要があります。

盲腸癌の治療法

盲腸癌の治療は、患者の状態や症状にもよりますが、主に手術が選択されます。
盲腸癌の治療方法には、以下のようなものがあります。

内視鏡治療

内視鏡治療とは、カメラ付きの細い管を肛門から腸内に挿入し、腫瘍を切除する治療法です。盲腸癌の場合、腫瘍が小さくて浅い場合に適用されます。
内視鏡治療のメリットは、傷が小さく、入院期間や回復期間が短いことです。
一方内視鏡治療のリスクは、腫瘍の完全切除ができない場合や、腸の穿孔や出血などの合併症が起こる場合があることです。

外科手術

外科手術では、腹部を切開して腫瘍を切除します。盲腸癌の場合、腫瘍が大きくて深い場合や、リンパ節や他の臓器に転移している場合に適用されます。
外科手術のメリットは、腫瘍の根治的切除ができることです。
外科手術のリスクは、傷が大きく、入院期間や回復期間が長いことや、感染や出血などの合併症が起こる場合があることです。

薬物療法

薬物療法とは、抗癌剤や分子標的薬などの薬を使用して、癌細胞を殺したり、増殖を抑えたりする治療法です。盲腸癌の場合、手術ができない場合や、手術の前後に補助的に行われます。
薬物療法のメリットは、癌の進行を遅らせることや、症状の緩和につながることです。
薬物療法のリスクは、副作用として吐き気や脱毛などが起こる場合があることや、影響力が限られる場合があることです。

盲腸癌の予後

盲腸癌の予後は、癌の進行度や治療法によって異なります。
盲腸癌の予後を左右する要因としては、以下のようなものがあります。

癌の深さ:癌が腸壁のどの層まで浸潤しているかによって、予後が変わります。浅いほど予後が良く、深いほど予後が悪くなります。


リンパ節への転移:癌が近くのリンパ節に転移しているかどうかによって、予後が変わります。転移がなければ予後が良く、転移があれば予後が悪くなります。


遠隔転移:癌が離れた臓器に転移しているかどうかによって、予後が変わります。転移がなければ予後が良く、転移があれば予後が悪くなります。


治療法:癌の治療法には、手術、化学療法、放射線療法などがあります。手術は癌の根治的切除ができる場合に行われますが、癌が大きくて切除できない場合や、転移がある場合は、化学療法や放射線療法を併用することがあります。治療法の選択や影響力によって、予後が変わります。


盲腸癌の予後は個人差がありますので、医師による診断や治療計画に従って治療を受けることが大切です。
また、治療後も定期的な検査や経過観察を受け、再発や合併症の予防に努めましょう。

「盲腸癌の原因」についてよくある質問

ここまで盲腸癌の原因を紹介しました。ここでは「盲腸癌の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

盲腸癌でお腹は痛くなりますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

盲腸癌は、早期には自覚症状が殆どないといわれていますが、癌が進行すると、以下のような症状が出ることがあります。


腹部痛:盲腸癌は、腹部に痛みを引き起こします。特に、お腹の右下の空腸や上行結腸に近い部位に痛みを感じることが多いといわれています。痛みは、鈍痛や痙攣痛、突発的な激痛などさまざまな形で現れます。痛みの原因は、癌が腸壁に浸潤して腸を圧迫したり、腸の動きを妨げたりすることによります。


腹部膨満感:盲腸癌は、腹部が膨れ上がる感覚を与えます。これは、癌が腸内の内容物の通過を阻害したり、腹水や腹膜播種などの合併症を引き起こしたりすることによります。


排便障害:盲腸癌は、排便に関するさまざまな異常を引き起こします。便が硬くなる、便秘や下痢が続く、便の形や色が変わる、血便や粘液便が出る等の症状が挙げられます。これらの症状は、癌が腸の通過や機能に影響を与えることによって起こります。


以上の症状は、盲腸癌の可能性を示すものですが、他の病気でも起こりうるものです。したがって、これらの症状が出た場合は、必ず医師に相談し、適切な検査を受けるようにしましょう。
盲腸癌は早期発見が重要なため、50歳以上になったら定期的に大腸検診を受けることをおすすめします。

盲腸癌の生存率はどのくらいですか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

盲腸癌は、大腸癌の一種です。
国立がん研究センターの統計によると、大腸癌の「5年相対生存率」は、以下のようになっています。


5年相対生存率(2009~2011年):71.4 %(男性72.4 %、女性70.1 %)


「5年相対生存率」とは、癌患者と同じ年齢・性別の方と比較して、癌の診断から5年後までに癌患者が生存している割合のことです。従って、相対生存率が高いということは、癌による死亡リスクが低いということを意味します。
盲腸癌の生存率は良い部類に入りますが、それでも癌の進行によっては予後が悪くなる可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。
また、治療後も定期的に検査を受けて、再発や転移を防ぐようにしましょう。

編集部まとめ

ここまで盲腸癌の原因についてお伝えしてきました。
盲腸癌の原因について、要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・盲腸癌の原因は明確には分かっていないが、腸内細菌叢の異常、炎症性腸疾患、食生活、喫煙やアルコール摂取、遺伝的要因などが関係していると考えられている。
  • ・盲腸癌の診断方法には、大腸内視鏡検査、CT検査、MRI検査、PET検査、腫瘍マーカー検査などがある。これらの検査では、腫瘍の有無や大きさ、位置、転移の有無、細胞の性質などを調べる。
  • ・盲腸癌の治療法には、内視鏡治療、外科手術、薬物療法などがある。治療法は、腫瘍の進行度や患者の状態によって異なる。

「盲腸癌」と関連する病気

「盲腸癌」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

  • 回盲部癌
  • 閉塞性腸閉塞
  • 大腿ヘルニア
  • マンソン住血吸虫症

盲腸癌と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

「盲腸癌」と関連する症状

「盲腸癌」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が当てはまる場合には、盲腸癌などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師