「皮膚がんの原因」はご存知ですか?症状やかかりやすい人の特徴も解説!【医師監修】
皮膚がんの原因をご存知でしょうか。DNA損傷が続くと細胞の修復能力が追いつかず、がんが発生します。
本記事では皮膚がんの原因について以下の点を中心にご紹介します。
- ・皮膚がんとは
- ・皮膚がんの原因
- ・皮膚がんの治療方法
皮膚がんの原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
監修医師:
高藤 円香(医師)
目次 -INDEX-
皮膚がんとは?
皮膚がんは、皮膚を形成する細胞がDNA損傷を修復できずに増殖する病気です。DNAの損傷は、紫外線の影響、ウイルス感染、外傷(やけどや怪我)、放射線治療などの慢性的な刺激によって引き起こされます。これらの刺激が続くと、細胞の修復能力が追いつかず、がんが発生します。
皮膚がんは、このような細胞の異常な成長を引き起こす病気であり、早期発見と適切な治療が重要です。皮膚がんについての理解を深め、予防策を考えることが大切です。
皮膚がんの原因
皮膚がんの主な原因は、紫外線を浴びすぎることや、ウイルス感染などです。以下で解説していきます。
紫外線の影響
紫外線は、皮膚がんの一因となる可能性があります。紫外線は皮膚のDNAを損傷し、その結果、細胞の成長が制御不能となり、皮膚がんの発生につながる可能性があります。また、紫外線は皮膚の老化を早めることがありますので、日焼けや日光浴等で過度に紫外線を浴びることは避けたいものです。
したがって、日焼け止めを使用することや、直射日光を避けることは皮膚がん予防に役立ちます。
紫外線の影響を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。
放射線による皮膚障害
放射線は、皮膚がんの一因となる可能性があります。
放射線は皮膚のDNAを損傷させるため、細胞の成長が制御不能になり、皮膚がんの発生につながる可能性があります。
放射線も、皮膚の細胞の遺伝子に傷をつけることで、がん化を引き起こす可能性があります。放射線は自然界に存在するものですが、医療や産業などで人工的に使用される場合もあります。放射線治療を受けた場合、治療部位の皮膚に赤みやかさぶた等が現れることがあります。
やけどや外傷の瘢痕
やけどや外傷などで皮膚に傷跡(瘢痕)が残った場合、その部分の皮膚組織が変化することで、がんにつながる可能性があります。特に、大きくて深いやけどや長期間治らない潰瘍等は注意が必要です。このような傷跡は、「有棘細胞がん(扁平上皮癌)」の発生母地となることがあります。
傷跡から発生するがんは進行が早くて予後が悪いことが多いといわれています。傷跡に変化や出血などの異常があれば早めに受診することが重要です。
やけどや外傷の影響を理解し、適切な予防策を講じることで、皮膚の健康を守っていきましょう。
皮膚がんの症状
皮膚がんの症状は、その種類や進行度によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。
怪我をした部分に湿疹のようなものができて治らない
皮膚がんの症状の一つに、怪我をした箇所に湿疹ができ、治らないというものがあります。これは、皮膚がんの細胞が制御不能に成長し、皮膚の表面に異常を引き起こすためです。
このような症状が見られた場合、早急に医師の診察を受けることが重要です。傷跡から発生する皮膚がんは進行が早く、予後が悪い傾向にあります。傷跡に変化や出血などの異常があれば早めに受診することが重要です。
あざが治らない
皮膚がんの症状の一つに、あざが治らないというものがあります。これは、皮膚がんの細胞が制御不能に成長し、皮膚の表面に異常を引き起こすためです。
あざとは、血管が破れて血液が皮下組織に流れ出すことで起こる皮膚の変色です。あざは数日から数週間で自然に消えるとされていますが、治らない場合は注意が必要です。
あざが治らない原因としては、血液の凝固異常や血小板減少症などの血液疾患、抗凝固剤やステロイド剤などの薬剤の影響などが考えられます。
しかし、あざが治らない場合は、「血管肉腫」の可能性もあります。悪性黒色腫は、メラニン色素の形成に関わるメラノサイト(色素細胞)が悪性化することで起こる皮膚がんで、黒色や茶色の色素斑として現れます。しかし、稀に色素を作らないメラノサイトから発生する無色素性の「悪性黒色腫」もあります。この場合は、赤みや青みを帯びたあざや、しこりとして見えることがあります。
ほくろが大きくなった
皮膚がんの細胞が制御不能に成長し、皮膚の表面に異常を引き起こすと、ほくろが大きくなることがあります。ほくろはメラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)の集まりです。ほくろ自体は良性ですが、ほくろの大きさや形や色に変化があった場合は悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性を疑う必要があります。悪性黒色腫はほくろと見間違えやすいですが、悪性黒色腫にはABCDEルールにあるような特徴があります。
ABCDEルールとは、以下のようなものです。
Asymmetry(非対称性):ほくろの形が左右で非対称である
Borders(境界):ほくろの境界が不明瞭である
Color(色):ほくろの色にむらがある
Diameter(直径):ほくろの直径が6mm以上ある
Evolving(変化):ほくろの大きさや形や色が変化する
ABCDEルールに当てはまるほくろは悪性黒色腫の可能性がありますが、自己判断せず、早めに皮膚科医に相談することが大切です。
皮膚がんの治療
皮膚がんの治療は、早期発見と適切な治療が重要です。治療法について以下で解説していきます。
外科手術
皮膚がんの治療には、主に外科手術が行われます。
外科手術とは、皮膚を切開してがんを取り除く治療です。手術では、がん化しているところと正常なところを含めてとり、安全に切除を行います。切除した部分は単純に縫い合わせることもありますが、切除した範囲が広い場合は他の部分の皮膚を移植することもあります。
外科手術の目的は、根治的にがんを取り除くことです。外科手術の副作用としては、出血や感染などがあります。
放射線治療
メラノーマが脳や骨に転移した場合、放射線治療が選択されることがあります。放射線治療とは、高エネルギーの放射線をがんに当てて細胞を傷つける治療です。放射線治療は、以下のような場合に行われます。
・手術でがんを十分に切除できない場合やリンパ節に転移がある場合
・年齢や合併症のため手術が困難な場合
・手術後に再発を予防するため
・脳や骨などに転移したがんの症状を改善するため
放射線治療は、メラノーマ以外の皮膚がんに対しても効果的とされており、有棘細胞がんや血管肉腫等にも適応されます。放射線治療は、外から当てる「外部照射」と、体内に放射性物質を入れる「内部照射」の2種類がありますが、皮膚がんでは主に外部照射が行われます。放射線治療の期間には個人差があり、1回で済む場合や、数週間〜数ヶ月にわたって行われる場合もあります。
放射線治療は、副作用として、以下のようなものがあります。
・皮膚の赤みやかさぶた、脱毛、粘膜炎などの局所的な反応
・倦怠感や食欲不振などの全身的な反応
・長期的には皮膚の色素沈着や硬化、白内障などの慢性的な障害
放射線治療を受ける場合は、医師や看護師とよく相談し、副作用への対処法や予防法を学ぶことが大切です。また、放射線治療中や治療後は、皮膚を清潔に保ち、保湿ケアや日焼け止めなどを行うことも必要です。
化学療法
皮膚がん、特にメラノーマの治療には化学療法が用いられます。化学療法とは、「抗がん剤」と呼ばれる薬剤を用いた治療です。抗がん剤は血液やリンパ液によって全身に運ばれるため、遠くに転移したがんにも効果が期待できます。抗がん剤は点滴や経口で投与されます。
化学療法の目的は、手術や放射線治療の効果を高めることや、転移したがんを抑えることです。化学療法は数週間~数ヶ月にわたって行われます。
化学療法の副作用としては、吐き気や嘔吐、白血球の減少、貧血、脱毛などがあります。
皮膚がんについてよくある質問
ここまで皮膚がんの症状を紹介しました。ここでは「皮膚がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
皮膚がんにかかりやすい人の特徴はありますか?
高藤 円香 医師
皮膚がんは、どなたでも罹患する可能性がありますが、以下のリスク要因を持つ方は特に注意が必要です。
・過度に紫外線を浴びている
・日焼けがある
・光線過敏症、色白の方
・高齢の方
・皮膚がんの家族歴がある
・免疫抑制状態(ステロイドやその他の免疫抑制剤を使用中の方、透析患者等)
など
これらの要因は、皮膚細胞のDNAに損傷を引き起こし、正常な細胞成長と分裂を妨げる可能性があります。これらのリスク要因を理解し、適切な予防策を講じることで、皮膚がんのリスクを減らすことにつながります。
皮膚がんとほくろの違いはありますか?
高藤 円香 医師
ほくろは、母斑細胞母斑という良性の色素性病変です。何十年も前からあるほくろでも、数ヶ月で急に大きくなった場合は、皮膚がんの可能性があります。しかし、これはほくろががん化したわけではなく、発生当初からメラノーマだった可能性があります。「これは前からあったほくろだから」と自己判断せず、急に大きくなった場合は皮膚科で診てもらうことが重要です。
編集部まとめ
ここまで皮膚がんの原因についてお伝えしてきました。
皮膚がんの原因の要点をまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
- ・皮膚がんとは、皮膚の細胞が異常に増殖してできる悪性腫瘍の総称。皮膚がんには、基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫など、さまざまな種類がある
- ・皮膚がんの原因は、紫外線や放射線などの物理的刺激や、やけどや外傷などの皮膚障害などが関係していると考えられている。これらの要因は、皮膚の細胞の遺伝子に傷をつけることで、がん化を促進する可能性がある
- ・皮膚がんの治療方法は、がんの種類や進行度によって異なるが、主に外科手術、放射線治療、化学療法などがある
「皮膚がん」と関連する病気
「皮膚がん」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚がんと同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。
「皮膚がん」と関連する症状
「皮膚がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 皮膚の色が変わる
- ほくろが大きくなった
- あざが治らない
- 湿疹のようなものができて治らない
- 皮膚に痛みを感じる
- 皮膚からの出血
- かゆみやかさぶた
これらの症状が当てはまる場合には、皮膚がんなどの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献