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「軟骨肉腫の症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2024/01/09
「軟骨肉腫の症状」はご存知ですか?検査法・治療法も解説!【医師監修】

軟骨肉腫という病は、あまり聞いたことがないという方も多いのではないでしょうか。

骨に発生するがんの1つで、年間の発症件数は500~800人と推定されるなど、症例の少ない稀ながんです。

本記事では軟骨肉腫の症状を詳しく解説し、検査方法・治療方法も取り上げていきます。

軟骨肉腫について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(TOTO関西支社健康管理室産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

軟骨肉腫とは?

軟骨肉腫とは、30~50代の中高年者に多くみられる骨のがんです。骨のがんには他臓器から転移してきたものと、骨自体ががんになるものがありますが、軟骨肉腫は骨自体ががんになるタイプの病です。大腿骨・上腕骨・骨盤などでよくみられますが、全身で発症する可能性があります。
骨・筋肉・神経などに発生した骨悪性腫瘍を「肉腫」と呼び、このうち腫瘍性の軟骨形成を伴うものが軟骨肉腫と呼ばれます。大きな差はないものの、女性より男性にやや多くみられる病です。

軟骨肉腫の症状

骨のがんである軟骨肉腫では、一体どのような症状がみられるのでしょうか。軟骨肉腫の症状として以下の5つが挙げられます。

  • 腫瘍のある部位の腫れ
  • 関節の運動制限
  • 硬い腫瘤
  • 骨の損傷
  • 病的骨折

上記5つの症状について以下で詳しく解説します。

腫瘍のある部位の腫れ

軟骨肉腫では腫瘍のある部位に腫れがみられる場合があります。痛みは伴わないことが多く、発生部位によっては腫れが大きくなるまで痛みを感じないケースもあります。腫れが大きくなってきてようやく気付く方も少なくなく、初期症状を見逃しやすい病であるといえるでしょう。
仮に痛みを初期から感じていた場合でも、進行が遅いため痛みに慣れてしまい、結果として初期に受診できないこともあります。筋肉痛・四十肩などの痛みが長く続く場合は、一度医師に相談するようにしましょう。

関節の運動制限

軟骨肉腫を発症すると膝の動かしにくさなど、関節の運動制限を自覚される患者さんが多く、そこから病気の発見にいたるケースがあります。軟骨肉腫は大腿骨・上腕骨などの四肢でよくみられる病です。筋肉が石灰化したように硬くなる症状を呈するため、肩・膝など関節周りの筋肉可動域に制限がかかります。
ただ中には膝の動かしづらさ・痛みを成長痛や筋肉痛と誤って判断してしまうケースもあり、発見の遅れにつながることがあります。

硬い腫瘤

皮膚の表面に近い場所に発症した場合は、硬い腫瘤として自覚できる場合があります。自覚できるほど腫瘤が大きくなっている場合は痛みを伴うことも多く、麻痺症状がみられることもあるでしょう。
ただ発生部位が骨盤の内側など触診が難しい部位では腫瘤を確認できず、軟骨肉腫の発見が遅れてしまうケースもあります。

骨の損傷

軟骨肉腫を発症するとスポーツ・転倒などの軽い外傷で骨に損傷を負うリスクが高まります。これは病巣部からの信号により骨の組織が破壊され、骨が弱くなるためです。
少しの刺激で骨にひびが入るなど骨が弱くなっていると感じたら、骨に関係する病を疑いましょう。

病的骨折

軟骨肉腫の進行がさらに進むと、転倒などのきっかけがなくとも病気の症状だけで骨折する病的骨折を引き起こすようになります。骨折が起こると手術の難易度が上がってしまうため、治療が困難になるケースもあります。
軟骨肉腫の診断を受けたら日常生活で負荷のかかる動きは避け、手術まで安静にするのが望ましいでしょう。

軟骨肉腫の検査

進行が遅いために早期発見が難しい軟骨肉腫ですが、病気が疑われたとき、検査はどのようにして行われるのでしょうか。軟骨肉腫の検査では触診・血液検査・病理組織検査のほか、画像による検査が非常に重要となります。画像検査で主に採用されているのは以下の3つです。

  • X線検査
  • CT検査
  • MRI検査

治療の成功は病変部の状態をどれだけ正確に把握できるかにかかっています。ここからはそれぞれの検査で何に着目しているのか詳しく解説します。

X線検査

X線検査では全身を撮影し、骨破壊像・骨侵食像の有無で低悪性度の腫瘍か、高悪性度の腫瘍かを判断します。悪性腫瘍である軟骨肉腫では腫瘤・石灰化などの症状もみられるため、それらの有無も重要な診断材料となります。
ただX線検査だけでは骨肉腫の一種である軟骨形成型との鑑別は困難であるため、病理組織検査・血液検査などを含めた総合的な診断が求められるでしょう。

CT検査

CT検査もX線検査と同様に骨破壊像がみられるかどうか・石灰化の有無などを検査します。X線検査ではみられなかった境界線がみえることもあり、X線検査・CT検査を組み合わせてより詳細な病変部の把握が可能となります。
ただ腫瘤の解像度はMRI検査より劣るところがあり、石灰化した病変部のより詳細な情報検出はMRIに利があるといえるでしょう。

MRI検査

MRI検査の結果はコントラストが強く描出されるため、腫瘤や血管などの画像判定がしやすいメリットがあります。腫瘤と血管が密接している場合、手術前に詳細な場所を特定しておく必要があり、事前検査ではなくてはならないものです。
しかし手術を行う際は局所的ではなく全身状態を正しく把握しておく必要があるため、X線検査・CT検査と併用して行うことが望ましいといえるでしょう。

軟骨肉腫の治療

検査で得られた情報を元に医師が治療計画を立てます。軟骨肉腫の治療で主に行われるのは以下の3つです。

  • 手術療法
  • 薬物治療
  • 放射線治療

ここからはそれぞれの治療内容について詳しく解説します。

手術療法

軟骨肉腫の治療は手術療法が基本です。外科手術により病変部を周囲の組織ごと切除する広範囲切除が一般的な治療法になります。手術では異変のない正常な組織まで切除する必要があるため、必要に応じて人工膜・人工関節・自身の骨を用いた再建術などが検討されるでしょう。
また病変部の位置によっては手術が行えないこともあります。可能な限り四肢を温存する方針がとられますが、なかには切断を余儀なくされるケースもあることを念頭にいれておく必要があるでしょう。
ただこれらはあくまで切除可能な位置に病変部が存在していたケースです。神経と腫瘍が密着しているなどの理由で切除が困難と診断された際には、放射線治療など他の治療方針が検討されます。

薬物治療

軟骨肉腫の治療において、薬物治療はあまり有効ではないとされています。ただ転移がみられる場合などは抗がん剤による薬物治療も併用するのが一般的です。
患者さんの状態にあわせて外科手術・薬物治療・放射線治療を組み合わせた集学的な治療を行うことが、根治を目指すうえで必要不可欠となるでしょう。

放射線治療

従来、軟骨肉腫の治療において放射線治療は十分な効果が得られないとされていました。しかし近年の研究により、本来放射線治療による効果の薄い軟骨肉腫に対して、重粒子線治療であれば高い効果が得られることが判明しています。このため切除が行えない部位に腫瘍がある場合や、切除後に腫瘍細胞の存在が認められた場合への活用が期待されています。
ただし副作用の懸念を除外はできません。病変部と正常な組織の境界が曖昧な場合には正常な臓器にまで照射し、ダメージを与えてしまうリスクがあります。
どの治療方針をとるのか、検査で正確に状態を把握することが求められるでしょう。

軟骨肉腫の病期について

軟骨肉腫の病期についてはTNM分類が用いられており、低悪性度のものはステージ1、高悪性度のものはステージ2以上に区分されます。さらにそこから腫瘍の大きさによってT1~T3まで区分され、進行度によってもT・M・Nに分類されます。

  • T:腫瘍の大きさ
  • N:所属リンパ節転移
  • M:遠隔転移

ステージ1はゆっくりと症状が進行している段階で自覚症状が乏しい時期です。この時点における治療は手術療法を単独で行うことが基本となり、補助的な薬物治療などは行いません。
ステージ2異常になると骨への侵食や腫瘍の拡大など自覚症状が現れてきます。手術前・手術後の化学治療が併用され、予後の経過観察にも細心の注意が払われるようになるでしょう。

軟骨肉腫についてよくある質問

ここまで軟骨肉腫の症状・検査方法・治療方法などを紹介しました。ここでは「軟骨肉腫」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

その他の骨肉腫について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

軟骨肉腫以外の骨肉腫として代表的なものは以下の3つです。

  • 骨肉腫
  • ユーイング肉腫
  • 骨巨細胞腫

国立がん研究センターの2006年から2011年にかけて収集した257件の症例のうち、割合が多い順に骨肉腫・軟骨肉腫・ユーイング肉腫と続きます。これらは若年層に多い病であり、骨肉腫の発生が高齢者より若年層に多いことを示しています。

軟骨肉腫の予後について教えてください。

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

軟骨肉腫の予後はあまりよくないとされています。ただし集学的治療により予後の5年生存率は70~80%という結果を残しています。これらを考慮すると、生存率が上昇傾向にある長期サバイバーへのケアが今後の課題といえるでしょう。

編集部まとめ

本記事では軟骨肉腫の症状・検査方法・治療方法などについて解説してきました。

軟骨肉腫は初期における自覚症状に乏しいために、早期発見に繋がりにくい病です。

しかし発見が遅れ症状が進行した場合や、発生した部位によっては四肢の切断を迫られる可能性もある軽視できない病です。

日頃の健康診断はもちろんのこと、いつもと違う痛み・腫れが続く際は早急に病院を受診しましょう。

軟骨肉腫と関連する病気

「軟骨肉腫」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

軟骨肉腫は高齢者にもみられますが、割合としては中高年者にも多くみられる病です。慢性的な筋肉痛・関節の動かしづらさがある場合は、裏で何らかの病が進行しているかもしれません。一度病院で診察を受けることをおすすめします。

軟骨肉腫と関連する症状

「軟骨肉腫」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 痛み
  • 腫れ
  • 腹部のしこり
  • 硬い腫瘤
  • 関節の運動制限
  • 骨の損傷

軟骨肉腫は初期の段階では自覚症状に乏しいため、腫れや痛みに気付いてから受診される方が少なくありません。骨のがんは診断も慎重に行う必要があるため、異変に気付いたら早急に病院を受診してください。

この記事の監修医師