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「子宮頸がん検診でひっかかる確率」はどれくらいかご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2024/05/13
「子宮頸がん検診でひっかかる確率」はどれくらいかご存知ですか?医師が監修!

子宮頸がんは、がんのなかでも若い世代から罹患者数が増えはじめるがんです。しかし、検診によって予防・早期発見できる可能性が高いがんでもあります。

今回の記事では、子宮頸がんの概要のほか、子宮頸がん検診で陽性になる確率・検診で陽性になった場合に行う検査・検診結果の見方などを詳しく解説します。

記事の後半では、子宮頸がん検診・陽性になる確率についてよくある質問にも答えるため、併せて参考にしてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

子宮頸がんとは?

子宮にできるがんは、子宮体がん・子宮頸がんに分かれます。子宮体がんとは、子宮の袋状になっている部分(子宮体部)にできるがんをいいます。
一方、子宮体部と膣の境界にある部分(子宮頚部)にできるのが子宮頸がんです。子宮頸がんの罹患者数は20代後半から増加し、40代以降はほぼ一定数のまま推移します。
子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です。
HPVの主な感染経路は性交渉であり、このことが子宮頸がんの好発年齢にも関わっていると考えられます。
ただし、HPVに感染により子宮頸がんを発症するわけではありません。多くの場合は、人体の免疫機能によりウイルスが排除されて、2~3年で感染が治癒します。
一方、何らかの原因でウイルスが十分に排除されず感染が継続すると、子宮頚部の細胞が変化して前がん状態となります。
子宮頸がん検診で指摘される子宮頚部異形成とは、この前がん状態のことです。
軽度の前がん状態から子宮頸がんになる確率は20%程といわれ、残りの80%は前がん状態のまま経過したり、一部は自然に消失したりします。
このように、がんになる前から検診でスクリーニングができるため、子宮頸がんは早期発見しやすいがんといわれています。

子宮頸がん検診でひっかかる確率はどのくらい?

子宮頸がん検診は、浸潤がん罹患率減少効果が認められるエビデンスがあり、受診が推奨される検診です。
では、実際に子宮頸がん検診では何割くらいの方が異常を指摘されているのでしょうか。
陽性と指摘されて精密検査を受けた場合に、がんが発見される確率も併せて解説していきます。

検診でひっかかる確率

平成20年に厚生労働省が出した報告書「今後の我が国におけるがん検診事業評価のあり方について」によれば、子宮頸がん検診の要精検率は1.4%以下となっています。
要精検率とは、検診を受けた結果、子宮頸がんの可能性があるためさらに詳しい検査を勧められることであり、検診にひっかかった状態です。
ただし、東京都による統計では子宮頸がん検診を受けた方のうち全体の2%、20~30代女性の4%が要精密検査になったとしています。
このことから、受診率・受診する世代などにより、要精密検査となる方の割合は多少変化すると考えられます。

精密検査でがんが発見される確率

検診の結果により精密検査を受けた場合、子宮頸がんを指摘される確率は0.8~1%程です。
なお、精密検査の結果で異常なしと診断される方は17%、前がん状態として定期的な受診・検査が必要となる方が35%程になります。
残りの5%は、子宮頸がんと診断はされませんが前がん状態の程度が高く、がんかどうかを調べる検査のための手術を行う可能性が高いでしょう。

子宮頸がんの検査内容

子宮頸がんの検診・精密検査では、どのような内容の検査を行うのでしょうか。検査の種類と、調べる内容をまとめました。

細胞診

子宮頸がん検診で行われる検査は、細胞診と呼ばれます。子宮頚部の細胞を小さなブラシでこすり取ったものを検体とします。
採取された検体を染色して顕微鏡で観察することで、異常な細胞の有無を確認する検査です。
この検査で子宮頸がん・前がん状態が疑われる細胞があった場合には、精密検査が推奨されます。

コルポスコピー・組織診

コルポスコピーでは、まずコルポスコープによる拡大鏡を使用して、子宮頚部を観察します。
さらに観察により異常が起こっている部位を認めたら、組織を採取して生検を行います。
外来で行える検査ですが、細胞診よりも大きく子宮頚部の一部を採取するため、軽い痛みと出血を伴うことが多いでしょう。

内診・直腸診

医師が膣・直腸に指を入れて子宮・卵巣・直腸などの硬さなどから異常の有無を確認する検査です。内診・直腸診では、主にがんの浸潤(広がり)を確認します。

超音波検査

超音波の出る器具(プローブ)を腹部に当てて、反射した超音波により臓器・腹腔内の様子を画像として観察する検査です。
子宮頸がんの検査として行う場合には、子宮・卵巣などの様子や、周囲の臓器への転移の有無などを確認するために行います。
痛み・被爆などの心配がなく、妊娠の可能性がある方でも受けられる検査です。

CT・MRI検査

子宮頸がんの浸潤・転移などを詳しく調べるために、CT・MRI検査を行う場合があります。
両者とも身体の断面を連続して撮影するような画像が得られる検査です。
CTではX線、MRIでは磁力を利用して撮影するため、得られる画像やわかる情報はやや異なります。

PET検査

上記の検査で診断が確定しなかった場合、PET検査を行うことがあります。
PET検査はがん細胞がブドウ糖を盛んに取り込むことを利用した検査で、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射して撮影を行うことで、がんの分布がわかります。

膀胱鏡検査・直腸鏡検査

子宮は膀胱・直腸と近い位置にあるため、子宮の外にがんが広がると膀胱・直腸への浸潤にも注意が必要です。
こうした状況が疑われた場合、尿道から膀胱鏡を入れて膀胱内部を観察したり、肛門から直腸鏡を入れて直腸内を観察したりする場合があります。

腫瘍マーカー検査

がんにはいくつかの種類があり、種類ごとに異なるたんぱく質を作り出しています。
この性質を利用して、体内のがん細胞の有無・種類を調べる検査が腫瘍マーカー検査です。
子宮頸がんではSCC・CA125・CEAなどのマーカーに特に注目し、診断の補助や治療の効果測定として行います。

子宮頸がんの検査結果の見方は?

従来、子宮頸がん検診の結果は陰性・陽性のみ、もしくは1~5のクラス分類で受診者に伝えられていました。
しかし、現在ではベセスダシステムによる判定方法が用いられ、結果は医療的な略語で表記されている場合が多いでしょう。
もちろん、結果とは別に精密検査が必要かどうかは通知されますが「この結果はどういう意味なのか」と疑問に思う方も多いかもしれません。
ベセスダシステムでの結果と意味は、下記のとおりです。

  • NILM:陰性
  • ASC-US:意義不明な異型扁平上皮細胞
  • ASC-H:HSILを除外できない異型扁平上皮細胞
  • LSIL:軽度扁平上皮内病変
  • HSIL:高度扁平上皮内病変
  • SCC:扁平上皮がん
  • AGC:異形腺細胞
  • AIS:上皮内腺がん
  • Adenocarcinoma:腺がん
  • other malig.:そのほかの悪性腫瘍

このうち、NILM以外は要精密検査となり、ASC-USでは感染しているHPVの種類を調べるためのハイリスクHPVと、半年ごとの細胞診を行います。
また、ASC-H以上はただちにコルポスコピー検査の施行が推奨されます。

子宮頸がん検診にひっかかる確率についてよくある質問

ここまで子宮頸がんの概要・検診・検査などを解説しました。ここでは「子宮頸がん検診にひっかかる確率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

子宮頸がん検診は定期的に受ける必要がありますか?

馬場 敦志医師

子宮頸がんは、性交渉の経験がない方の発症はかなり稀といわれています。しかし、HPVによらない子宮頸がんもあるため、100%発症しないとはいえません。また、前回の子宮頸がん検診を受けてから長期間性交渉がない方でも、子宮頸がんを発症する可能性があるため注意が必要です。このような理由から、子宮頸がん検診で異常がなくても、その後も定期的に検診を受けることをおすすめします。なお、子宮頸がんは進行が穏やかで、前がん状態から数年をかけてがんになるといわれています。そのため、検診は毎年でなく2年に1度でも浸潤がん予防効果に大きな差はないでしょう。

予防ワクチンを接種すれば検診にひっかかる確率を下げられますか?

馬場 敦志医師

HPVワクチンの接種により、将来的にHPVに感染するリスクは下がるため、検診でひっかかる確率も低下すると考えられます。ただし、ほかの多くのワクチンと同様に、HPVワクチンは感染予防を目的としたものであり、感染や子宮頚部異形成・子宮頸がんを治癒させるものではありません。そのため、性交渉を経験する前に接種を完了することが大切です。

編集部まとめ

子宮頸がんは検診により早期発見しやすいがんです。しかし、進行すればほかのがんと同じように、周囲の組織に浸潤したり、リンパ節・離れた臓器に転移したりするため注意が必要です。

なお、検診でひっかかったなかで子宮頸がんと診断される方は1%程度ですが、子宮頸がんの前段階で子宮頚部異形成を指摘される方は40%程になります。

忙しい・検査に羞恥心があるなどの理由で経過観察を中断してしまう方もいますが、がんを早期発見するチャンスを逃さないよう積極的に検診・精密検査を受診しましょう。

子宮頸がんと関連する病気

「子宮頸がん」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

上記は、いずれも子宮頸がんと同じくHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因で発症するとされる病気です。

子宮頸がんと関連する症状

「子宮頸がん」と関連している、似ている症状は6個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

子宮頸がんの進行により、月経期間中以外の出血・性交時の出血がみられることがあります。また、おりものの量が増えたり、臭いが強くなったりなどの変化にも注意が必要です。子宮頸がんが骨盤内・膀胱・直腸などに広がった場合の症状として、痛みや血尿・血便などが挙げられます。

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