「肺がんの疑う咳はどんな咳」かご存知ですか?症状・原因も解説!【医師監修】
長引く咳にお困りの方の中には、もしかしたら肺がんなのではないかと不安に思われている方もいるでしょう。
肺がんの咳は風邪症状の咳とは違った特徴があり、咳以外の症状が現れることもあります。
それらの特徴を知っておくことで、異変に気付きやすくなり、早めに対処できるでしょう。今回は肺がんの咳が持つ特徴・咳以外の症状・原因・検査方法について解説します。
監修医師:
関口 亮(医師)
目次 -INDEX-
肺がんとは
肺がんは遺伝子の変異により肺の細胞が異常に増殖して、それが腫瘍となった状態です。肺がんは自覚症状が現れにくいため、発病しても気づきにくいという特徴があります。進行しても咳・痰・発熱など、風邪症状と見分けがつかないことも多いのです。
日本人の死因として最も多いのががんですが、中でも肺がんは最も死亡比率が高いがんだといわれています。これは肺に血管やリンパ管が多く集まっており、早い段階で骨や他臓器への転移が認められるためです。
肺がんの咳はどんな咳?
咳は風邪症状としても一般的なため、重大な病気が隠れていても気づきにくいです。ただし、肺がんの咳と風邪症状の咳ではその特徴に大きな違いがあります。その特徴を知っておくだけでも、自分の体の状態を確かめるためのヒントになるのではないでしょうか。
ここからは肺がんの咳はどんな咳なのか4つの特徴をお伝えします。
2週間以上続く咳
肺がんの自覚症状として最も多いのが咳・痰です。ただし、他の呼吸器疾患でもよく起こる症状であるため、必ずしも肺がんであるとは限りません。風邪でもないのに咳・痰が2週間以上続く場合は、一度医療機関に相談してみましょう。
徐々に悪化する咳
慢性の気管支炎・習慣的な喫煙・COPD・肺炎などで、すでに2週間以上咳が続いている方も、がんが発生することによって咳がますます悪化する場合があります。いつもの咳だと軽く考えず、悪化している自覚があればかかりつけ医に相談してください。
血痰が出る
痰の中に血が混じっているものを血痰といいます。血痰は咳とともに排出されるもので、嘔吐とともに排出される吐血とは異なるものです。血痰の原因はさまざまで、口やのどが切れただけでも血痰が出る場合があります。ただし多くの場合は傷の修復とともにすぐ治まる場合がほとんどです。
しかし血痰が続く・血液の量が増えてきたなどの異常を感じた場合は肺がんの可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
咳以外の肺がんの症状
肺がんといえば咳のイメージがありますが、咳以外の症状で肺がんが見つかるケースもあります。肺がんは、自覚症状が現れた時にはすでにかなり進行しているケースも珍しくありません。そのため、浸潤・転移などにより呼吸器以外の症状が現れる場合もあります。咳とともに気になる症状があれば、医師に相談してみましょう。
ここからは咳以外の肺がんの症状について解説します。
呼吸しづらい
肺癌が進行すると正常な呼吸ができなくなり、息苦しさを感じるようになります。これは、肺がんが進行して腫瘍が大きくなると、肺の機能に影響を及ぼすためです。時には肺の中に水が溜まることもあり、それにより肺が圧迫されていると呼吸が苦しく感じます。
体重が減る
肺がんに限らずがん患者さんは体重が減る方が多いです。これはがん細胞が速いスピードで増殖し、エネルギーを多く使うためだと考えられます。
医学的に体重減少とは半年から1年で体重が5%以上減少した状態です。体重を測る習慣のない方は、今まで着ていた服が大きく感じる・ウエストが緩くなったと感じたら体重が落ちている可能性があるでしょう。ダイエットをしているわけでもないのに自然と体重が大きく減った場合は、医師に相談してください。
背中・肩付近が痛む
肺がんが肺を覆う胸膜や骨に転移すると、背中・肩に痛みを感じることがあります。肺がんと肩・背中の痛みは結びつくイメージがないですが、咳とともにこれらの症状が気になる場合は注意が必要です。
肺がんの原因
肺がんの最大のリスク因子は喫煙です。たばこの煙には多くの有害物質や発がん性物質が含まれています。それを吸うことで気管や肺などの細胞がダメージを受け、遺伝子変異が起こるとがんに発展するのです。
また、たばこを吸っていない方でも、受動喫煙によって肺がんのリスクは高まります。喫煙と並んで主な原因となっているのが大気汚染です。空気中には細かい粒子上の有害物質が浮遊しており、それを吸い込むことで肺の中まで入り込んでいきます。
ただし、喫煙や大気汚染などといったリスクがなくても、肺がんにかかる可能性はゼロではありません。体質や遺伝によっても肺がんになるリスクはありますので、自分は大丈夫だと思い込まないようにしましょう。
肺がんの検査方法
肺がんは、一般的な健康診断でも見つけられる可能性があるがんです。気になる咳症状がある場合は、医療機関での検査をおすすめします。肺がんの検査方法としては胸部X線検査・胸部CT検査・MRI検査が行なわれるのが一般的です。
ここからは肺がんの検査方法について解説していきます。
胸部X線検査
いわゆるレントゲン検査です。心臓や肺などを平面的に映し出す検査で、肺などの臓器は黒く、骨は白く映ります。
しかし、肺に白く映るものが認められる場合には、肺炎や肺がんなどの病変を疑います。短時間でできる簡便な検査であることから、健康診断でも用いられることの多い検査です。
胸部CT検査
胸部CT検査は体を輪切りにしたような画像を映し出すことができる検査です。胸部X線検査が平面的であるのに対し、胸部CT検査は体を立体的にとらえることができます。
そのため、胸部X線検査では重なっていて気づかなかった病変も、見つけ出せる可能性があるのです。胸部CT検査では肺がんを早期発見できるため、不安な方は定期的に検査を受けるとよいでしょう。
MRI検査
MRI検査は磁力を使って体の内部を画像化する技術を用いた検査です。検査に金属類の持ち込みは禁止されているため、心臓にペースメーカーが入っている方などは事前に医師への確認が必要となります。
MRI検査は肺がんを見つけるには不向きな検査です。しかし肺がんが脳・骨に転移している可能性がある場合、それらの病変の発見には適した検査です。
「肺がんの咳」についてよくある質問
ここまで肺がんの原因・予防法などを紹介しました。ここでは「肺がんの咳」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
肺がんを疑う症状があっても肺がんではない場合はある?
肺がんの主な症状は咳・痰・息苦しさなど、他の呼吸器疾患でも起こりうる症状ばかりです。症状だけで肺がんと特定するのは極めて困難で、さまざまな検査をしてから診断されます。そのため、肺がんを疑う症状があっても別の病気である可能性は十分に考えられるでしょう。
咳が出ていないのに肺がんを患っている可能性はある?
肺がんであっても病変のある場所・大きさによってはほとんど咳が出ないことも珍しくありません。肺がんは早期発見が難しく、気づいたら悪化していてすでに他の場所に転移していたということもあります。
編集部まとめ
今回は肺がんの咳について解説しました。肺がんの主な症状は咳・痰ですが、風邪症状と見分けがつきにくいために放置している方も多いです。
肺がんの咳には2週間以上長引く・だんだん悪化していくなどの特徴がみられますので、そのような自覚がある場合には医療機関への受診をおすすめします。
ただし、咳が出なくても肺がんを患っている可能性があります。
リスク因子であるたばこを吸っている方・家族に肺がんを患った方がいる場合は、定期的に検査を受けるとよいでしょう。
「肺がん」と関連する病気
「肺がん」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- 肺結核
- 間質性肺炎
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
いずれも長引く咳が特徴の疾患です。咳は軽く見られる症状ですが、放置すると悪化する可能性があります。また、肺がんをはじめとした重大な病気が潜んでいる可能性もあるため、気になる場合は医療機関に相談しましょう。
「肺がんの咳」と関連する症状
「肺がんの咳」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 血痰
- 胸痛
- 息苦しさ
- 動機
- 発熱
これらの呼吸器症状は、肺炎や気管支炎といった呼吸器疾患に共通する症状です。症状だけでは見分けがつかないため、医療機関による詳しい検査が必要となります。