「サイバーナイフ」ってどんな治療法?費用や治せる病気も医師が徹底解説!

サイバーナイフとは?Medical DOC監修医がサイバーナイフの費用や治せる病気・メリット・デメリット・治療の流れなどを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
「サイバーナイフ」とは?
サイバーナイフとは、ロボットアームを用いてがんや一部の良性病変に高精度の放射線を照射する治療法です。一般的な外科手術とは異なり、身体を切らずに治療できる、定位放射線治療(SRS/SBRT)のひとつに分類されます。腫瘍の位置をリアルタイムで把握しながら精密に照射できることから、脳・肺・肝臓・脊椎など、重要な臓器に近い病変にも適応されることが特徴です。
サイバーナイフの費用
サイバーナイフは、定位放射線治療の一種です。以下では、サイバーナイフによる治療に要する費用について概説します。
保険適用の場合
保険適用の場合には、3割負担の方だと約20万がかかります。入院が必要な場合は、治療費に加えて入院費用などがかかります。また、高額療養費制度を用いることで、自己負担額の一部が戻る可能性もあります。
自費診療の場合
基本的には、サイバーナイフは保険診療の範囲で行われる治療法です。保険診療適用外の疾患に対して行われる場合は、全額自己負担で、約60万円が目安となります。
サイバーナイフで治せる病気
サイバーナイフが適用となる病気などについて以下でまとめます。
頭頸部の腫瘍
髄膜腫や下垂体腺腫、聴神経鞘腫などの良性の腫瘍から、転移性脳腫瘍や悪性神経膠腫などの悪性腫瘍まで、さまざまな病気が治療対象になります。
頭頸部領域は神経や血管が集中しており、手術が難しいケースも多い部位です。サイバーナイフは病変を pinpoint で照射できるため、正常組織を温存しながらがん細胞にダメージを与えられます。治療は主に放射線治療科や頭頸部外科、脳神経外科のある施設で行われます。
脳動静脈奇形
脳内の動脈と静脈が異常に交通する疾患で、破裂すると脳出血を起こす可能性があります。サイバーナイフ照射により血管にダメージを与え、徐々に閉塞させる治療が行われます。脳神経内科、外科や放射線治療科が担当します。
薬物療法での痛みのコントロールが難しい三叉神経痛
三叉神経痛は強い電撃痛が特徴となる病気です。薬で改善しない患者さんにサイバーナイフが適応されることがあります。神経の一部へ高精度で放射線を当てることで、痛みの伝達を抑制します。
肺がん
直径5cm以下で、転移病変がない原発性肺がん、あるいは3個以内で他の臓器などに転移がない転移性の肺がんが対象となります。
特に、手術が難しい高齢者や、肺機能が低い方の早期肺がんに有効な治療法になります。また、サイバーナイフは呼吸に伴う腫瘍の動きを追尾できるため、高い精度で照射できます。
肝がん
直径5cm以下で、転移病変がない原発性肝がん、あるいは3個以内で他の臓器などに転移がない転移性の肝がんが対象となります。肝臓は放射線に弱い臓器ですが、サイバーナイフなら周囲の正常肝を守りながら病変部へ集中的に照射できます。外科手術やラジオ波焼灼が困難な症例で選択されることが多いと考えられます。
サイバーナイフのメリット
サイバーナイフによる治療のメリットを以下で解説します。
身体への負担が少ない
切開を伴わない治療のため、手術に比べて身体への負担が非常に少なく、通院で治療が完結するケースもあります。入院期間が短く、生活への影響を抑えられる点が大きなメリットです。
治療中の痛みがほぼない
照射中の痛みは基本的にありません。麻酔も不要で、治療中は横になっているだけで完了します。
高い精度で正常組織を守りながら治療できる
サイバーナイフはロボットアームと画像誘導技術により、腫瘍の形状に合わせて多方向から集中的に放射線を照射できます。周囲の大切な臓器へのダメージを抑えながら治療できる点は大きな強みです。
サイバーナイフのデメリット
一方、サイバーナイフにもデメリットとなる点はあります。
放射線治療に伴う副作用
頭痛・倦怠感・皮膚炎など、一時的な副作用が出る場合があります。照射部位によっては浮腫(むくみ)や炎症が数週間〜数か月後に生じることもあります。
実施施設が限られる
高度な設備と専門スタッフを要するため、サイバーナイフを導入している施設は多くありません。治療には、対応可能な病院への受診が必要になります。
数回にわたって治療をする必要がある場合がある
基本的には1〜5回程度で治療が完了します。しかし、三叉神経痛の痛みの緩和効果が不十分だった場合などには、再度の治療が検討されることもあります。
サイバーナイフを使用する場合の流れ
サイバーナイフによる治療は、いくつかのステップを踏んで慎重に進められます。ここでは、初診から治療後のフォローまでの流れを具体的に紹介します。
診察・検査
まず医師による診察を行い、現在の症状やこれまでの治療歴を確認します。そのうえで、CT・MRI・PET など複数の画像検査を組み合わせ、腫瘍の大きさ・形・周囲臓器との位置関係を詳細に把握します。
サイバーナイフは高精度な治療である一方、病変の位置や大きさによっては適応できない場合もあるため、これらの検査結果をもとに治療の安全性・有効性を判断し、他治療との比較検討を行います。
場合によっては、歯科検査や血液検査など、治療中・治療後の安全性確認のための追加検査を行うこともあります。
治療計画
治療適応と判断された場合、次に治療計画を作成します。
治療計画では、取得した画像データを専用のコンピュータに取り込み、腫瘍と正常組織をミリ単位で輪郭づけしていきます。この作業は非常に重要で、放射線治療専門医と医学物理士・放射線技師がチームとなって正確な線量分布を設計します。
サイバーナイフは多方向から微細なビームを照射して治療します。そのため、どの角度からどの量の放射線を、何回に分けて照射するかといった詳細な設定を行います。
腫瘍は呼吸や体動でわずかに動くこともあるため、動きを予測して追尾する設定を組み込むなど、正常組織を守るための工夫も加えられます。
治療
治療当日は特別な準備はほとんど必要ありません。金属類を外し、リラックスして治療ベッドに横になります。
サイバーナイフは治療中に患者さんの姿勢や腫瘍の位置をリアルタイムで確認しながら照射を行うため、固定具で頭部や体幹を安定させた状態で治療を進めます。
治療中の痛みはなく、基本的には麻酔も不要です。ロボットアームがゆっくりと動きながら、事前に計画された角度から自動的に照射を行います。
1回あたりの治療時間は 30〜60分程度です。照射中は会話ができませんが、スタッフが別室で常に状態を監視しているため安心して治療を受けられます。
照射回数は病気によって異なり、1回で完了することもあれば、数回に分けて行うケースもあります。
治療後
サイバーナイフ治療は体への負担が少ないため、入院が必要ないケースも多いです。治療当日から通常どおりの生活ができます。
ただし、照射部位に応じて疲労感や軽いむくみ、皮膚の赤みなどの副作用が数日〜数週間かけて現れることがあります。
治療後は、必要に応じて定期的にCTやMRIを撮影し、腫瘍の縮小や治療効果の有無を確認します。症状や副作用が出た場合は、担当医が薬の処方や経過観察を行い、適切な対処をします。
「サイバーナイフ」についてよくある質問
ここまでサイバーナイフを紹介しました。ここでは「サイバーナイフ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
サイバーナイフの完治率はどれくらいなのでしょうか?
木村 香菜(医師)
治療効果は病気の種類・腫瘍の大きさ・位置などによって異なります。早期肺がんや小型の脳腫瘍では高い制御率が期待できます。また、三叉神経痛に対するサイバーナイフを用いた定位放射線治療では、初回治療を行なってから痛みが緩和された効果は50〜100%(平均値79.3%、中央値79%)というデータもあります。
サイバーナイフによる治療は、通常の放射線治療に比べるとまだ開始されてからの日が浅いものです。そのため、いろいろな病気に対する治療効果については今後のさらなる知見が待たれるところといえるでしょう。
まとめ
サイバーナイフは、切らずにがんや良性病変を治療できる高精度放射線治療です。身体への負担が少なく、通院で治療が完結する症例も多いことから、手術が難しい患者さんにとって重要な選択肢となっています。
一方で、副作用や治療施設の限界などのデメリットもあるため、主治医と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。
「サイバーナイフ」と関連する病気
「サイバーナイフ」と関連する病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経内科の病気
- 脳腫瘍(良性腫瘍・悪性腫瘍)
- 脳動静脈奇形(AVM)
- 聴神経腫瘍
- 三叉神経痛
- 転移性脳腫瘍
呼吸器内科の病気
- 早期肺がん
- 転移性肺腫瘍
消化器内科の病気
- 肝臓がん
- 膵臓がん
整形外科の病気
- 脊椎腫瘍
- 脊髄動静脈奇形
- 脊椎への転移性腫瘍
泌尿器科の病気
サイバーナイフは、特に「手術が難しい位置にある病変」や「局所に限局したがん」に対して有効な治療法として選ばれることが多い点が特徴です。
「サイバーナイフ」と関連する症状
「サイバーナイフ」と関連している、似ている症状は12個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状に対して、必ずしもサイバーナイフが必要という意味ではありません。しかし、精密検査をきっかけに腫瘍などの異常が見つかり、治療選択肢の一つとしてサイバーナイフが検討されることがあります。
参考文献




