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「白血病の余命」はご存知ですか?再発後の余命も医師が解説!

 公開日:2025/11/21
「白血病の余命」はご存知ですか?再発後の余命も医師が解説!
白血病の余命とは?Medical DOC監修医が白血病の種類・再発後の余命・再発後の治療法などを解説します。
今村 英利

監修医師
今村 英利(タイムルクリニック)

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2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許を取得。2019年に日本医師免許を取得。神戸大学大学院(腫瘍・血液内科学講座)にて血液悪性腫瘍の研究に従事。2019年に日本医師免許と医学博士号を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院、新宿アイランド内科クリニック院長、在宅医療(訪問診療)などを歴任後、2024年9月タイムルクリニックに院長として着任。現在は、内科・皮膚科全般の疾患を幅広く診療している。

「白血病」とは?

白血病は血液のがんです。赤血球・白血球・血小板などの血液細胞のもとになる造血幹細胞が分化する途中でがん化して白血病細胞となる事により白血病が発症します。 白血病はゆっくり増殖する慢性白血病と急激に増殖する急性白血病に分けられます。また、がん化した細胞の種類によって骨髄性白血病、リンパ性白血病に分類されます。骨髄性白血病は、赤血球や顆粒球、血小板を産生する巨核球に分化する細胞ががん化したものです。一方、リンパ性白血病はリンパ球になる細胞ががん化したものです。

白血病の種類

白血病はがんの増殖するスピードとがん化した細胞の種類により①急性骨髄性白血病(AML)②急性リンパ性白血病(ALL)③慢性骨髄性白血病(CML)④慢性リンパ性白血病(CLL)に分類されます。

急性骨髄性白血病(AML)

急性骨髄性白血病(AML)は、顆粒球になる前の骨芽球ががん化し、主に骨髄で無制限に増殖する病気です。がん細胞が骨髄で増えることで正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、血小板、白血球が減少します。これにより、貧血や出血傾向、感染しやすくなることで発熱などの症状がみられるようになります。AMLは幅広い年齢層にみられ、進行が早いのが特徴です。 中高年に多く発症します。 治療は、細胞障害性抗がん剤や分子標的薬を用いた化学療法が中心です。造血幹細胞移植が行われる場合もあります。

急性リンパ性白血病(ALL)

急性リンパ性白血病(ALL)は、リンパ球になる前の細胞ががん化して増殖したものです。同じ様にリンパ球ががん化したリンパ芽球性リンパ腫という病気もあります。これはALLと同じ種類のがんと考えられています。 急性リンパ性白血病の細胞は、脳や脊髄などの中枢神経系への浸潤がみられやすいため、頭痛や吐き気、リンパ節の腫れがみられることが特徴です。このほかの症状としては、貧血や出血傾向、感染しやすさなどがAMLと同様にみられます。進行が早く、急に症状があらわれます。 ALLの発症は小児に多いです。リンパ芽球性リンパ腫はどの年代にも幅広くみられますが、青年期の男性に多い傾向です。 治療は化学療法を行います。また、造血幹細胞移植が行われることもあります。

慢性骨髄性白血病(CML)

慢性骨髄性白血病(CML)は、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞のもとになる造血幹細胞に異常が起こることで発症します。この異常により白血球や赤血球、血小板が無制限に増え、白血球数が通常より多くなったり、フィラデルフィア染色体がみられることが特徴です。 CMLでは病期はゆっくりと進行し、増えた白血球もほぼ正常に働くため、慢性期や初期には症状はみられません。しかし、病気が進行し急性転化すると正常な血液細胞がつくられなくなり貧血、出血傾向や感染などの症状がみられるようになります。また、脾臓が大きくなることでおなかの張りを感じることも少なくありません。中高年に発症することが多いです。 慢性期の治療は、分子標的薬を内服する治療を行います。進行期には、細胞障害性抗がん薬を併用したり、造血幹細胞移植が行われます。

慢性リンパ性白血病(CLL)

慢性リンパ性白血病(CLL)は、リンパ球が病的に増殖する病気です。白血病の中でも症状の進行が最も穏やかで、初期には症状がみられないことが多いです。進行すると、痛みを伴わないリンパ節の腫れが多くみられます。そのほか、貧血、出血傾向、感染、だるさ、寝汗、おなかの張りがみられやすいです。CLLは日本での発症は少なく、高齢での発症が多いのが特徴です。 初期は注意をしながら経過観察のみ行うこともあります。高齢者が多く、治療によるリスクも高いため、治療を行うかは慎重に判断する必要があります。治療は抗がん剤などを組み合わせて行うことが多いです。造血幹細胞移植が行われることもあります。

白血病の余命

急性骨髄性白血病(AML)の余命

急性骨髄性白血病(AML)の5年生存率は31.1%と報告されています。諸外国では、AMLの5年生存率は12~24%とばらつきがあります。 AMLの平均年齢は64.1歳、ピークは70歳と高齢者での発症が多いです。報告により多少生存率は異なりますが、年齢が上昇するほど、全身状態により積極的な治療が受けられず生命予後が不良となっていることが原因と考えられます。

急性リンパ性白血病(ALL)の余命

成人の化学療法による急性リンパ性白血病(ALL)の5年生存率の報告をまとめると、32~60%程度となっています。AMLより予後が比較的良いと言えます。

慢性骨髄性白血病(CML)の余命

慢性骨髄性白血病(CML)は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)での治療が加わり10年生存率が20%未満から約83%へと大幅に改善しました。TKIによる治療で90%近くの長期生存が期待できるようになりました。

慢性リンパ性白血病(CLL)の余命

慢性リンパ性白血病(CLL)では、遺伝子変異や血液検査所見、リンパ節腫脹などの臨床所見などより低リスク、中間リスク、高リスクに分類されます。5年生存率は低リスクで93.2%、中間リスクで79.3%、高リスクで63.3%、超高リスクで23.3%でした。分子標的薬により治療成績が向上しています。

白血病再発後の余命

急性骨髄性白血病(AML)の再発後の余命

再発・難治性のAMLでは、化学療法で寛解に導入し、造血幹細胞移植を施行することが最善と考えられています。救護化学療法としてのレジメンが今まで検討されてきましたが、標準治療は未だ確率されていません。このため、再発後の生存率について検討されたものは、それぞれの治療法毎に報告されています。 日本においての報告では、FLAGM療法(シタラビン、フルダラビン、G-CSF、ミトキサントロン)による2年生存率は39.4%でした。強力化学療法が適応とならない症例では、非強力化学療法、緩和的支持療法が選択され、1年生存率は53%との報告があります。再発例では、未だ生存率が低いと言えます。

急性リンパ性白血病(ALL)の再発後の余命

成人ALLの再発例の予後は一般的に不良と言われています。再寛解に導入し、同種造血幹細胞移植を行うことで長期生存が得られる可能性があり、これを再発時の目標とします。しかし、第二寛解率は44%程度、寛解持続期間は短く、第二寛解期に同種移植を行えた割合はわずか14%程度と報告されています。

慢性骨髄性白血病(CML)の再発後の余命

成人CMLが急性転化した場合の予後は不良です。急性転化したCMLでは2年推定生存率が22%と報告されています。また、生存期間の中央値は6.9か月という報告もあります。造血幹細胞移植まで至らない場合には長期生存は困難です。慢性骨髄性白血病の骨髄移植後の生存率は5年後、10年後ともに50%を超えています。

慢性リンパ性白血病(CLL)の再発後の余命

再発・難治性CLLにおいて、26か月の観察期間で生存率が83%と報告されています。また、同様に再発・難治性のCLLで生存期間の中央値は25.5か月と報告されているものもあります。2〜5年生存が期待できるといわれています。

白血病が再発した後の治療法

化学療法

白血病が再発した場合、再寛解導入療法を行います。白血病のタイプにもよりますが、再発時には前治療からの時期や効果と治療に関連した副作用などを考慮して抗がん剤治療の種類や組み合わせの選択を検討します。それぞれの白血病のタイプにより再発時、何のレジメンを選択するか標準的なプロトコルから選択されます。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は治癒が困難な再発症例でも治癒が期待できる治療法です。 造血幹細胞移植とは、大量の抗がん剤の投与や、全身放射線照射を行う前処置を行います。その後に、患者本人またはドナーから事前に採取した造血幹細胞を輸注します。移植する造血幹細胞の種類により、自家造血幹細胞移植と同種造血幹細胞移植があります。どちらの移植をするか、また移植の適応があるかは患者さんの全身状態や白血病のタイプなどにより異なります。主治医に確認をしましょう。

「白血病の余命」についてよくある質問

ここまで白血病の余命について紹介しました。ここでは「白血病の余命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病の末期症状について教えてください。

今村 英利今村 英利 医師

白血病が進行すると、病型によっても異なりますが、正常な血液細胞がつくられなくなることで、さまざまな症状が出現します。貧血が進行すると、疲労感やめまい、動悸など起こり、重症化すると心不全を起こすこともあり、注意が必要です。また、血小板が低下すると出血傾向がみられるようになります。全身にあざができやすくなったり、鼻出血など体のいろいろな場所から出血しやすくなったりする事も少なくありません。白血球が減少すると感染症にかかりやすくなり、重症の肺炎や敗血症となり命に関わることもあるため注意が必要です。

白血病はどれくらいで完治するのでしょうか?

今村 英利今村 英利 医師

白血病がどのぐらいで完治するか、完治が期待できるかは白血病の種類により異なります。白血病の種類により治療方針が異なりますので、担当医へ聞いてみることが確実です。

編集部まとめ 白血病と診断されたら、血液内科担当医に相談しましょう

白血病と一言で言っても、その種類により症状、病気の進行の仕方、治療法など全く異なります。まずは、血液検査で異常がみられた場合、血液内科を受診して詳しく検査をする必要があります。もし、白血病と診断された場合には、どの種類の白血病であるか担当医に確認をしましょう。また、自分だけで悩まず今後のことや治療法などについて、担当医に確認することが大切です。

「白血病」と関連する病気

「白血病」と関連する病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液の病気

血液のがんにはさまざまあり、白血病と似た症状がみられることも多いです。この中に白血病があります。白血病の中にも種類があり、治療方針も異なります。担当医に確認し、自分の病気について理解をしましょう。

「白血病」と関連する症状

「白血病」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • だるい
  • 息切れ
  • 鼻出血
  • 全身のあざ
  • 歯ぐきからの出血
  • 頭痛
  • おなかの張り
白血病は、正常な血球が少なくなることでさまざまな症状がみられます。これらは、赤血球、血小板、白血球のそれぞれが少なくなることでみられる症状です。このような症状がみられた場合には、まず内科を受診しましょう。

この記事の監修医師