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「乳がんの主な5つの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が解説!

 公開日:2023/11/22
「乳がんの主な5つの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が解説!

乳がんの症状とは?Medical DOC監修医が乳がんの症状・初期症状・末期症状や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

プロフィールをもっと見る
群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「乳がん」とは?

乳がんとは、乳腺の組織にできるがんのことです。乳がんは女性だけの病気ではありません。患者のほとんどは女性ですが、1%ほどは男性だと言われています。乳がんは、女性の場合は8人に1人、男性は1,000人に1人が生涯を通して罹患すると言われている病気です。男性と女性で乳がんの治療方法に大きな違いはありません。予後に関してもほとんど同じです。乳がんの多くは乳腺から発生しますが、ほかの組織から発生することもあります。リンパ節や骨、肝臓や肺、脳などに転移しやすいため注意が必要です。

乳がんの代表的な症状

乳がんの代表的な症状を紹介します。次のような症状が見られるときは、早めに乳腺外科を受診しましょう。

乳房のしこり

代表的な症状として知られているのが、乳房のしこりです。乳がんのしこりは、ある程度の硬さがあり、触ってもあまり動きません。一方で良性のしこりの場合は弾力があることが多く、触ると動く傾向にあります。しこりがあるからと言って必ずしも乳がんと断定することはできません。しかし、乳がんの可能性がゼロとは言い切れないため、しこりに気づいた場合は早めに乳腺外科を受診しましょう。しこりの約80%は良性と言われているので、緊急性が高いとは言えませんが、手遅れになる前に早めの受診をおすすめします。

乳頭から分泌物が出る

乳がんの症状はしこりだけではありません。乳頭から分泌物が出る場合もあります。乳がんの場合は、血液が混じっている分泌物が出やすいことが特徴です。分泌物が出る頻度はそこまで高くありません。自分でできる処置などはとくにないため、分泌物が出るときは早めに乳腺外科や外科を受診しましょう。なお、乳頭からの分泌物は、良性のしこりができている場合にも出ることがあります。分泌物が出ている=乳がんではありません。

乳房にくぼみができる

乳がんが乳房の近くまで発達すると、乳房にくぼみができることがあります。えくぼのようなくぼみに見えることもあるでしょう。皮膚が赤く腫れたり痛みを伴ったりすることもあるため、早めの受診が大切です。乳腺外科や外科を受診してください。ただし、くぼみがある場合も必ず乳がんというわけではありません。自分でできる対処法はないため、受診して検査してもらいましょう。

脇のリンパ節が腫れる

乳がんになると、脇の下にあるリンパ節が腫れることがあります。乳がんはリンパ節に転移しやすいため、腫れることがあるのです。転移するとリンパ節が腫れ、リンパ液の流れが滞って腕がしびれたりむくんだりすることもあります。自分で症状を落ち着かせることは難しいため、気になる場合は早めに乳腺外科や外科を受診しましょう。

乳頭や乳輪がただれる

乳頭や乳輪がただれたりかゆみが出たりする場合も、乳がんの症状が出ている可能性があります。皮膚症状が出ているため皮膚科を受診される方が多いのですが、乳腺外科や外科のほうが適切です。ただし、症状が軽いようでしたら皮膚科の治療で改善されることもあります。ステロイド剤を自分で塗る方がいるかもしれませんが、いち早い治療が必要になるため、自分で処置は行わず早めに受診しましょう。

乳がんの初期症状

乳がんの進行度は0期からⅣ期と、数字で分類できます。数字が進むほどがんが進行していることを示します。0期(ステージ0)やⅠ期(ステージ1)はがんの大きさがまだ小さく、リンパ節転移は見られません。Ⅱ期(ステージ2)やⅢ期(ステージ3)になるとリンパ節転移が見られることもあり、がんの大きさが5cmを超えることがあります。Ⅳ期(ステージ4)はリンパ節転移だけでなく遠隔転移も見られる状態です。初期の段階では、主に次のような症状が見られます。

乳房のしこり

ごく初期の段階では、乳がんになってもほとんど自覚症状がありません。しかし、腫瘍が少し大きくなると乳房にしこりができます。しこりは、乳がんの代表的な症状です。乳がんを発見するきっかけの多くが、しこりだと言われています。ほかの病気でもしこりができることがありますが、乳がんの場合は硬くて乳房内で動かないことが特徴です。初期の段階で痛みが出ることはほとんどありません。しこりは良性のこともありますが、自分で判断することはできないため、早めに乳腺外科や外科を受診しましょう。

乳頭や乳輪のただれ

乳がんの初期症状として、乳頭や乳輪のただれが見られることがあります。なかなか改善しない湿疹ができた場合は、パジェット病と呼ばれる乳がんかもしれません。パジェット病とは、乳管にできたがんが乳頭の皮膚まで侵食したものです。外科的切除を行うことが基本の治療法となります。すぐにできる処置はとくにないため、症状が気になるときは早めに乳腺外科や外科を受診してください。

乳房の形状変化

乳房の形が左右非対称になったり、乳房や乳頭にへこみが見られたりします。鏡を見てみて、形に違和感がある場合は乳がんの初期症状かもしれないので要注意です。皮膚の下や乳腺内にがんができ、その影響で皮膚がへこんだり形が変わったりしている可能性があります。自分でできる対処法はとくにありません。乳房の形について気になることがあれば、なるべく早めに乳腺外科や外科を受診しましょう。

乳がんの末期症状

がんが乳房以外の部位まで転移している場合は、末期の状態だと言えます。乳がんは転移しやすいがんのため、気がついたときには末期症状が出ていたというケースも意外と少なくありません。Ⅳ期の方の5年生存率は30~40%です。ほかのがんと比べると、数字が高い傾向にあります。そのため、乳がんの余命は長いほうであると言えるでしょう。

脇が痛む

乳がんは転移しやすいがんのため、リンパ節に転移して脇が痛むことがあります。また、副乳が乳がんになっている可能性もゼロではありません。ときどき、乳房の数が生まれつき多い方がいます。副乳は脇の下にできることもあるため、乳がんになると脇が痛むことがあるのです。また、チクチクとした痛みを乳房のあたりに感じることもあります。自分で症状を落ち着かせることはできません。肺や骨などに転移する可能性もあるため、なるべく早めに乳腺外科や外科を受診してください。

お腹に水が溜まる

乳がんだけに限った話ではありませんが、がんがある程度進行すると、腹水といってお腹に水が溜まることがあります。肝臓の働きが弱まることでアルブミンの分泌量が少なくなり、お腹に水が溜まってしまうのです。水を抜いてもらうことで腹水を緩和できます。腹水が進むと内臓が圧迫されて呼吸困難や食欲不振などの症状が出るため、早めに乳腺外科や外科を受診してください。

疲労感や倦怠感

末期になると、痛みが出るだけでなく強い疲労感や倦怠感が出ることがあります。疲れやすい日々が続きベッドから起き上がれない、何もする気がおきないなどの症状が見られ、生活に支障が出てしまうことも少なくありません。とくに抗がん剤の治療を行っている場合は、これらの症状が顕著に見られることがあります。治療法は確立されていませんが、原因となる症状を改善したり運動療法を行ったりすることで疲労感や倦怠感が軽減する場合があります。

すぐに病院へ行くべき「乳がんの症状」

ここまでは乳がんの症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

乳房にしこりがある場合は、乳腺外科、外科へ

乳がんの多くは、乳房にできるしこりがきっかけで発見されます。すべてのしこりが悪性というわけではありませんが、乳がんの可能性もあるため、しこりを見つけたらすぐに乳腺外科や外科を受診して検査してもらいましょう。乳がんが原因でできているしこりは、通常は硬く押しても動きません。しこりを触っただけで良性か悪性化を自己判断できるものではないため、早めに受診することが大切です。

受診・予防の目安となる「乳がん」のセルフチェック法

  • ・乳房にしこりがある場合
  • ・乳房にくぼみがある場合
  • ・乳房がチクチクと痛む症状がある場合

「乳がんの症状」についてよくある質問

ここまで乳がんの症状などを紹介しました。ここでは「乳がんの症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんの手遅れとなる症状を教えて下さい。

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

耐えられないほどの痛みがあったりほかの臓器に転移して痛みが出ていたりする場合は、手遅れとなる可能性があります。

乳がんを疑う症状に疲れやすさはありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

乳がんが原因で疲れやすくなることがあります。何もしていないのに疲れやすい、寝ていないときついというような症状が出ている場合は早めに乳腺外科や外科を受診しましょう。

脇や胸がチクチク痛むのは乳がんの症状でしょうか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

乳がんになると、脇や胸がチクチク痛むことがあります。痛みだけで乳がんと確定することはできませんので、早めに乳腺外科や外科で検査をしてもらいましょう。

編集部まとめ

乳がんの初期症状としては、乳房のしこり、乳頭や乳輪のただれ、乳房の形状変化などが挙げられます。とくにしこりは自分で気づきやすい症状ですので、異常を感じたらすぐに乳腺外科や外科を受診しましょう。末期症状としては、脇の痛みや腹水、疲労感や倦怠感などが見られます。乳がんは早期に治療することが大切です。少しでも気になる症状があれば、早めに相談するようにしてください。

「乳がんの症状」と関連する病気

「乳がんの症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

婦人科の病気

乳がんと同じような症状が見られる病気には、乳腺症や線維腺腫などがあります。乳がんではなくても治療が必要なことがあるため、しこりが気になる場合は早めに受診しましょう。

「乳がんの症状」と関連する症状

「乳がんの症状」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 乳房にしこりがある
  • 乳房が痛い
  • 脇が痛い

しこりがあったり乳房や脇に痛みがあったりする場合は、乳がんやほかの病気が隠れている可能性があります。放っておいて良くなることはありませんので、早めに乳腺外科を受診することが大切です。

この記事の監修医師