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「白血病の原因」はご存知ですか?白血病の種類やなりやすい人の特徴も医師が解説!

 公開日:2023/11/15
「白血病の原因」はご存知ですか?白血病の種類やなりやすい人の特徴も医師が解説!

白血病の原因とは?Medical DOC監修医が白血病の原因・種類・なりやすい人の特徴や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

影山 広行

監修医師
影山 広行(医師)

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CT,MRI,PETなどの画像診断が専門、PET-CTを含めた健診、生活習慣治療、アンチエイジング、スポーツ医学などの実績も豊富
保有資格
放射線診断専門医
核医学専門医
PET核医学認定医
日本医師会認定産業医
日本医師会認定健康スポーツ医
抗加齢医学専門医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター

「白血病」とは?

血液の中の細胞には、酸素を運ぶ赤血球、体内に侵入した細菌やウイルスなどを排除する白血球、出血を止める血小板があります。このうち、骨髄で血液細胞をつくる過程で異常が起こり、白血球が無制限に増殖するがん化した細胞(白血病細胞)となったものを白血病と言います。

白血病の種類

白血病の種類は大きく、急性・慢性にわかれ、さらに骨髄球性・リンパ球性などに分類されます。

  • ①急性白血病
    急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫、急性前骨髄球性白血病
    などがあります。
  • ②慢性白血病
    慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病
    などがあります。

急性骨髄性白血病(AML)

骨髄系の血液細胞(リンパ球以外の白血球・赤血球・血小板)を作る過程で異常がおき、骨髄内で未熟な細胞である「芽球」が無限に増殖することで起きる病気です。
骨髄内で「芽球」が増殖して、正常な血液細胞が作られなくなり、赤血球、血小板、白血球が減少します。これら三種類の血球が減少することでさまざまな症状が出現します。
赤血球が減少することで出現する貧血症状では、息切れ、倦怠感、動悸がみられます。また白血球が減少することで、感染、発熱、下痢が起きやすくなります。血小板が減少することで、アザができやすくなったり、鼻血や歯ぐきからの出血が起きやすくなったりします。

治療は、化学療法(抗がん剤治療)は一般的です。検査をしても白血病細胞が見つからない状態(寛解)を目標にします。寛解してからも地固め化学療法という方法が行われます。検出できない白血病細胞もやっつけて、再発を防ぐための治療です。
加えて、必要性と適応があれば造血幹細胞移植も行われます。寛解後に再発した場合も追加の化学療法が行われます。
近年は急性骨髄性白血病の発症、進展に関与する分子をターゲットとする分子標的療法や細胞表面の分子をターゲットとする抗体医薬品による治療が行われることもあります。
急性前骨髄球性白血病は、ビタミンAの誘導体による分化誘導療法が行われることがあります。

急性リンパ性白血病(ALL)

リンパ球が作られる過程で異常がおき、未熟な細胞である「芽球」が増殖して、正常な血液細胞が作られなくなる病気です。さらにB細胞系とT細胞系に分類されます。
基本的には急性骨髄性白血病と同様で、赤血球の現象による貧血、白血球の減少、血小板の減少による症状がおきます。

治療は、急性骨髄性白血病と同様に化学療法、造血幹細胞移植、分子標的療法、抗体医薬などとなります。また、放射線治療が追加されることもあります。

慢性骨髄性白血病(CML)

血液細胞(白血球・赤血球・血小板)のもとになる造血幹細胞の遺伝子に異常がおこり、成熟した血液細胞(主に白血球)が必要以上に作られます。ゆっくりと進行するためこの段階(慢性期、約3-5年)では症状がないこともありますが、移行期(約3-9ヶ月)、急性転化期(約3ー6ヶ月)となると未熟な細胞である芽球が増加して、正常な血液細胞は減少します。
慢性期では症状がはっきりしません。ただし移行期から急性転化期では、急性白血病と同様の貧血、白血球の減少、血小板の減少による症状がおきます。
治療はチロシンキナーゼ阻害薬を用いた分子標的療法が第一選択となります。治療効果が不十分な場合には化学療法、造血幹細胞移植が行われることもあります。

慢性リンパ性白血病(CLL)

リンパ球のうち異常なリンパ球が骨髄やリンパ節中で増殖して血液中で増えていきます。
病気の進行はとてもゆるやかで、初期段階ではほとんど症状はありません。進行すると全身倦怠感、微熱、食欲不振、発熱、感染症、脾臓や肝臓の腫れなどの症状がでてきます。また、赤血球や血小板を破壊する抗体が出現し、貧血、血小板の減少の症状が出ることもあります。

初期段階では治療は必要ありませんが、症状が強いとき、病気が急速に進行したとき、貧血や血小板の減少の症状があるなどが治療開始時期となります。治療法は化学療法、分子標的療法、抗体医薬などとなります。

白血病の主な原因

急性・慢性、そして骨髄性・リンパ性問わず、白血病の詳細な原因は遺伝子変異の蓄積が原因であろうということは判明していますが、なぜそのような遺伝子変異が起こるのかについては、よくわかっていません。
その中で一つ原因が判明している成人T細胞性白血病については、後述します。
ただし、原因がはっきり判明していなくても、早期発見、早期治療といった対策をすることはできます。
まず健康診断や医療機関受診時の採血で白血病を疑う異常が指摘されたら、血液内科の受診をお勧めします。血液内科では骨髄検査が行われます。骨盤の骨に局所麻酔をして、骨髄液を吸引したり、骨髄組織を取ってきたりする検査です。その後、顕微鏡で観察して、数や形態の異常を見つけたりします。さらに遺伝子・染色体検査や細胞表面マーカー(細胞表面にある分子)を調べることもあります。
骨髄検査により白血病の細かな種類がわかり、適切な治療法選択や治療効果の予測、判定が可能となります。

白血病になりやすい人の特徴

放射線被曝のある人

他のがんの治療を目的とした放射線治療や抗がん剤は正常細胞を傷付けることがあり、白血病のリスクが少し高くなります。また、原子爆弾や原発事故による被曝でも白血病になるリスクが高くなります。

喫煙

白血病のリスクは特別に上昇するというわけではありませんが、喫煙は他のがんと同様に悪性腫瘍の罹患リスクを高めます。白血病も例外ではなく、喫煙で白血病のリスクが高まります。

HTLV-1感染

成人T細胞性白血病ではHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に感染することが原因と判明しています。HTLV-1は脊髄で慢性炎症を引き起し、脊髄が傷害され、両下肢のつっぱり感、歩行困難、しびれ感、排尿困難や便秘などの症状を引き起こすこともあります
HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に感染すると成人T細胞性白血病を発症することがあります。HTLV-1感染は白血病になりやすい、と言えるでしょう。

「白血病の原因」についてよくある質問

ここまで白血病の原因を紹介しました。ここでは「白血病の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病はストレスや過労が原因で発症するのでしょうか?

影山 広行影山 広行 医師

多くの悪性腫瘍と同様に白血病の原因もよくわかっていませんが、ストレスや過労と白血病の発症にあまり関連はありません。

子供で白血病を発症する原因について教えてください。

影山 広行影山 広行 医師

白血病の家族内発症リスクがわずかに高いこと、兄弟や一卵性双生児では発症リスクが高いことから遺伝や環境因子が存在する可能性はありえますが、一般論としては原因についてははっきりしておらず、何が原因というわけではなく、ご両親からの遺伝や食べ物などの生育環境が問題とも考えられてはいません。

編集部まとめ

急性白血病では、貧血症状、出血症状、発熱や感染症などの症状が急激に出現し、医療機関を受診して見つかることが多いです。慢性白血病は健康診断の採血などをきっかけに無症状で発見されることが多い傾向にあります。
小児白血病は以前では80%が死亡していましたが、現在は80%が治る時代となっています。急性白血病は若年者でも発症しますが、高齢者での発症率がより高くなります。成人急性白血病では過去20年ほど治療成績が変わっておらず、8割以上が寛解するが3-6割程度再発するとされており、5年生存率も40%以下です。一方、慢性白血病の慢性骨髄性白血病では5年生存率は9割以上、慢性リンパ性白血病での生存期間中央値は10年とかなり幅があります。
白血病の治療自体は確実に進歩しています。以前はがん細胞だけでなく正常な細胞もやっつけてしまう、有害事象の多い(副作用の強い)抗がん剤のみの治療でしたが、近年の分子病態の理解や解明が進み、がん細胞の増殖、進展に関連する分子だけを攻撃する分子標的薬や抗体医薬が多数開発され、有害事象も少なくなる傾向にあります。これらの治療には遺伝子・染色体や細胞表面マーカーの情報が必ず必要になります。
余談にはなりますが、白血病は相対的には従来の抗癌剤治療が効きやすい病気で、固形がんにはあまり効きませんでした。現在は固形がんの分子病態の解明が進み、効果的な分子標的薬や抗体医薬が増えてきており、治療が著しく進歩しています。適切な治療法を選択するには白血病と同様にがん細胞の遺伝子・染色体や細胞表面マーカーの情報が必ず必要となります。
その他にも、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患、骨粗鬆症などでも分子標的薬や抗体医薬による新しい治療が進んできています。
白血病などの血液の悪性腫瘍で最初に新しい分子標的薬や抗体医薬が導入され、効果が確認されると他の病気に応用されるという形で治療法が進歩している傾向にあります。そういう意味では今後もまだまだ新しい治療法が開発され、治療成績のさらなる改善に期待が持てる病気でもあります。
いずれにしても、白血病は種類もさまざまで、発症からの経過、治療法、治療経過や予後もさまざまです。白血病が疑われたら、直ちに専門医を受診して、適切な診断、治療を受けることをお勧めします。

「白血病の原因」と関連する病気

「白血病の原因」と関連する病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

感染症の病気

  • HTLV−1感染症

白血病の原因は多くの場合、不明のままですが、HTLV−1感染症のみ成人T細胞性白血病の原因になると判明しています。感染を指摘されたら、必ず専門の血液内科を受診するようにしてください。

「白血病の原因」と関連する症状

「白血病の原因」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 貧血
  • 血が止まりにくい
  • 感染症にかかりやすい

白血病に関連する症状は上記が挙げられます。複数自覚する場合は早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師