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「口唇がんの検査法」はご存知ですか?セルフチェック法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/11/14
「口唇がんの検査法」はご存知ですか?セルフチェック法も解説!【医師監修】

口唇(こうしん)がんは、唇に発生する悪性腫瘍です。口腔がんの中では稀なタイプですが、男性に多く見られる傾向があります。
早期発見により治療の成功率は高いものの、進行すると顔が変形したり、食事・会話に支障が出るなど生活の質に大きな影響があるがんです。
本記事では、口唇がん検査の流れをご紹介します。また、検査の実施項目・セルフチェック法などについても詳しく解説します。

坪光 玄義

監修歯科医師
坪光 玄義(歯科医師)

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鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

口唇がん検査とは?

口唇がん検査は、口唇がんの有無・進行度を調べるために行う検査です。口唇がん検査の内容としては、問診・視診・触診などの基本的な診査をはじめ、CT・MRIなどの画像検査などさまざまな種類があります。口唇がん検査は自覚症状がある場合や、定期的な検診の一環として受けられるでしょう。

口唇がん検査の流れと実施項目

口唇がん検査では、最初に問診・視診・触診など口腔内外の診察が行われます。その後、細胞・組織学的検査・CT・MRIなどの画像検査が行われる流れです。
また、必要に応じて内視鏡検査や血液検査が行われることもあります。ここでは、口唇がん検査の流れと実施項目を詳しく見ていきましょう。

問診・視診・触診など口腔内外の診察

口唇がん検査では、最初に問診・視診・触診など口腔内外の診察があります。問診では、自覚症状・発症時期・喫煙や飲酒の習慣の有無・家族歴などが聞かれるでしょう。視診では、医師が口唇やその周囲の皮膚・粘膜を目で見て確認します。
また、触診は医師が口唇や周囲のリンパ節を手で触って、硬さや動きをチェックする検査です。これらの診察により口唇がんの疑いや可能性がある場合は、次の検査に進みます。

細胞・組織学的検査

細胞・組織学的検査は、口唇から採取した細胞・組織を顕微鏡で調べて、口唇がんかどうかを判断する検査です。細胞学的検査には、針で刺して細胞を採取する細胞吸引法や、ブラシでこすって細胞を採取するブラッシング法などがあります。また、組織学的検査では局所麻酔をして異常が見られる部分を小さく切除する生検法が用いられるでしょう。
いずれの検査も口唇がんの診断には欠かせません。

CT・MRIなどの画像検査

CT・MRIなどの画像検査は、CTやMRIなどの機器を使って口唇がんの大きさ・広がり・リンパ節や他の臓器への転移などを調べるための検査です。
CTを使えばコンピューターで連続した断層画像を映し出し、がんの形や位置を詳しく見るのに役立ちます。
また、磁気を利用して断層を映し出すMRIでは、口唇がんの周囲の組織や血管の状態が詳しく見られます。画像検査は口唇がんの進行度を確認したり、今後の治療方針を決めたりするために重要な検査です。

必要に応じて内視鏡検査や血液検査が行われることも

上記の検査に加えて、必要に応じて内視鏡検査や血液検査が行われることもあります。内視鏡検査はカメラが先端に付いたスコープを口や鼻から挿入して口腔内の咽頭や喉頭の粘膜を直接観察する検査です。
血液検査は、採血して血液中の成分や値などを調べる検査です。血液検査では、口唇がんによって数値に影響がある白血球数や赤血球数、また肝臓・腎臓・甲状腺の機能などを確認できます。

口唇がんの検査は何科を受診すればいい?

口唇がんの検査は、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などで受診が可能です。ただし、医療機関によっては口唇がんの治療に対応できない場合もあります。
そうした場合には、専門的な治療に対応している大学病院やがんセンターなどを紹介されるケースもあるでしょう。自分で探したい方は、日本口腔外科学会などのホームページを見れば、口唇がんの治療に対応している医療機関を探せます。

口唇がんのセルフチェック方法

口唇がんかどうかは医療機関での検査が最も信頼できますが、できるだけ早く発見するためにはセルフチェックも有効です。ここでは、口唇がんのセルフチェック方法をご紹介します。

口唇がんの見た目は口内炎に似ている?

口唇がんの初期症状は口内炎に似ている場合が多いです。具体的な初期症状としては、口内炎や火傷のような小さな傷や白い斑点が見られる場合が多いでしょう。口内炎や火傷との違いは、傷や斑点が治りにくく長期間見られることです。
また、口唇がんの場合は下唇に発生するケースが多いことも特徴といえます。下唇に傷や白い斑点が見られる時は注意した方がよいでしょう。

セルフチェックの項目

口唇がんのセルフチェックを行う際は、唇に次のような症状が見られないか注意しましょう。

  • 傷や白い斑点
  • しこりや硬い部分
  • 出血やびらん(表面が剥けて赤くなっている)
  • 唇の形や色の変化
  • 痛みやしびれ

上記の項目を確認しながら唇の状態をチェックしましょう。

セルフチェックの方法

セルフチェックは毎日歯磨きをするときに行うと習慣にしやすいでしょう。鏡を見ながら上下の唇の内側と外側をよくチェックします。また、指でも唇を触ってみて、しこりや硬い部分がないかを確認しましょう。セルフチェックの項目に当てはまる点があれば、できるだけ早めに医療機関を受診して相談することをおすすめします。

口唇がんの治療法

口唇がんの治療方法は手術がメインですが、ほかにも放射線療法や化学療法が用いられるケースもあります。ここでは、口唇がんの治療法をご紹介しましょう。

手術

口唇がんの治療で主な治療法となるのは手術です。手術では、がん全体と周囲の正常組織の一部を切除する方法が一般的です。がんが骨まで広がっている場合は、骨組織の切除も行われることがあります。
また、大きな腫瘍を切除した場合は、皮膚移植や再建手術で修復します。手術後に残っているがん細胞を死滅させるため、化学療法や放射線療法が行われることもあるでしょう。

放射線療法

放射線療法はX線や放射線を利用して、がん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療法です。手術と併用する場合や、手術が困難なときに行われる治療です。放射線療法には体外に設置された装置を用いて放射線を照射する方法と、放射線物質を針・ワイヤー・カテーテルの中に封入し、がん組織の内部や周辺に留置する方法があります。
副作用としては、口の中が乾燥したり、味覚障害などが発生する場合があります。

化学療法

化学療法は、抗がん剤を使用して、がんの増殖を抑える治療です。経口投与や静脈・筋肉への注射で行う場合は、薬が血液中を流れて全身のがん細胞に届きます。化学療法には脳脊髄液・臓器などに薬剤を直接注入する方法もあり、この場合は注入した箇所にあるがん細胞を集中的に攻撃する形になるでしょう。
化学療法には吐き気や脱毛などの副作用を引き起こす可能性があります。

編集部まとめ

口唇がんは自覚症状がないことが多いため、見逃されやすい病気です。定期的な検診を受けるとともに、気になる症状がある時は早めに医療機関で検査を受ける必要があります。

医療機関では、問診・視診・触診など口腔内外の診察をはじめ、細胞・組織学的検査や画像検査などを受けることになるでしょう。

また、歯磨きをする際にセルフチェックをすることもおすすめです。鏡を見たり、唇をめくって観察したりして、しこりや硬い部分がないかを確認しましょう。

口唇がんと関連する病気

口唇がんと関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

口腔外科の病気

婦人科の病気

口唇がんと関連する病気には白板症や紅板症があります。いずれもがんが発生しやすい状態にある「前がん病変」です。他の病気も、がんになる危険性が増大している「前がん状態」で注意が必要です。

口唇がんの症状と関連する症状

口唇がんと関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 口唇上のただれ
  • 口唇のしこりや腫れ
  • 口唇にできた白色や赤色の斑点
  • 口唇からの出血・痛み・しびれ

口唇がんは自覚症状に乏しい病気です。上記のような症状が長引いたり、気になったりする場合、早めに耳鼻咽喉科や歯科口腔外科へ行き相談しましょう。初期症状のうちに発見すれば治療は成功しやすく、後遺症もほとんど残りません。

この記事の監修歯科医師