「脳出血で突然死」する前兆症状はご存知ですか?突然死する原因も医師が解説!
公開日:2025/10/06


監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
目次 -INDEX-
「脳出血」とは?
脳出血は、脳卒中(のうそっちゅう)の一種で、脳の中にある血管が何らかの原因で破れ、脳の組織の中に出血が起こる病気です。 出血した血液は、大脳や小脳、脳幹などの脳の組織の中で「血腫(けっしゅ)」と呼ばれる血の塊を作ります。この血の塊が、周りの神経細胞を圧迫したり壊したりすることで、さまざまな体の症状を引き起こします。どのような症状が出るかは、出血が起きた場所や出血した量によって大きく異なります。 日本では、昔から脳卒中が主要な死因の一つでしたが、1960年代をピークにその死亡率は減ってきています。この最も大きな理由は、脳出血による死亡率が大きく低下したことです。これは、日本人の食生活が変わって塩分を摂る量が減ったこと、そして何よりも高血圧をきちんと管理できるようになったことが挙げられます。このことから、脳出血は予防できる病気であるという希望が見えてきます。 厚生労働省の統計によると、2022年には、脳の血管の病気で亡くなった方が年間10万人を超え、そのうち脳出血は3万3,483人と、脳梗塞に次いで2番目に多い死因となっています。また、2023年の調査では、脳出血で治療を受けている患者さんが20万人を超えており、今も多くの人々にとって身近な病気であることがわかります脳出血で突然死する前兆症状
「脳出血で突然死する前兆症状」という言葉は、多くの場合、脳出血が起きた瞬間の、突然で劇的な初期症状を指します。 脳出血は、一過性脳虚血発作(TIA)のような、本格的な発作の前に起こる「本当の前兆」はめったにありません。症状が現れたその時こそ、まさに脳出血が進行している時だと理解することが非常に重要です。そのため、これらの症状に気づいた瞬間に、一刻も早く行動を開始することが、その後の回復を左右する最も重要なポイントとなります。 脳出血の初期症状は、出血した場所や出血量によってさまざまですが、一般的に突然現れるのが特徴です。激しい頭痛
脳出血の代表的な症状の一つです。これまでに経験したことのない、突然の激しい頭痛として現れることが多く、場合によっては「警告頭痛」とも呼ばれます。しかし、出血量や場所によっては、それほど強くない頭痛であることもあります。片側の手足の麻痺や痺れ
多くのケースで、体の片側の手足や顔にしびれや麻痺(まひ)が生じます。麻痺とは、手足が動かしにくくなったり、力が入らなくなる状態のことです。右脳に出血が起きれば左半身に、左脳に出血が起きれば右半身に症状が現れます。麻痺は、腕に強く出ることが多い傾向にあります。言語障害
呂律(ろれつ)が回りにくくなったり、言いたい言葉がうまく出てこない、あるいは他人の言うことが理解できなくなるなどの言語障害も多く見られます 。脳出血で突然死する原因
脳出血による突然死は、主にその原因、出血量、そして出血部位によって決まります。これらの要素が組み合わさることで、生命を維持するのに欠かせない脳の機能を破壊し、命にかかわる状態に至ります。高血圧
高血圧が続くと、脳の内部にある穿通枝動脈(せんつうしどうみゃく)という非常に細い血管の壁が少しずつ傷つき、もろくなります。血管が弱くなった状態で血圧が急激に上がると、その部分が破裂して出血を引き起こします。血液疾患
重い貧血や、白血病、血小板減少症など、血液が固まる機能に異常がある場合に血が止まりにくい状態になるため、脳出血のリスクが高まります。脳血管異常
高血圧以外の原因には、脳出血を起こす可能性のある脳血管の異常が見つかる場合があります。脳動脈瘤(脳の血管にできたこぶ)や、脳動静脈奇形(脳の血管が異常に絡み合っている状態)といった血管が破裂することによって出血が起こることがあります。これらの異常が見つかった場合には、再発予防を目的として手術による治療が検討されます。また、脳ドックなどで見つかった場合には、脳出血を発症しそうな状態と判断されれば、予防的に手術による治療を行うこともあります。脳出血を発症しやすい人の特徴
生活習慣病のある方
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことです。 塩分の多い食べ物を摂りすぎたり、運動不足であったり、大量の飲酒を継続したり、慢性のストレスが続くことは、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病などの原因になります。 また、喫煙は血管を収縮させて、動脈硬化を促進してしまいますが、これは副流煙でもリスクが高まる可能性があります。 生活習慣病の状態が続いていると、動脈硬化を進行させ、脳出血のリスクが高まります。高齢
加齢とともに血管がもろくなるため、一般的に高齢になるほど発症リスクが高くなります。脳出血を予防する方法
脳出血を予防するには、生活習慣の改善が重要です。 すでに高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にかかっている方は、その病状を悪化させないことが大事ですし、病気にかかっていない方でも、生活習慣病にならないような生活を送るように心がけるのが発症予防につながります。血圧管理
脳卒中予防の最も効果的な方法は、血圧を下げることです 。過去の研究では、拡張期血圧をわずか5-6 mmHg下げるだけで、脳卒中の発症率が約42%も減少することが明らかになっています 。禁煙と節酒
喫煙や過度な飲酒は、直接的に血圧を上昇させ、血管を傷つけるため、これらの習慣を改めることが予防に直結します。食事と運動
適切な食生活と定期的な運動は、血圧や血糖値、コレステロール値を総合的に改善し、血管の健康を保つ効果があります。「脳出血で突然死」についてよくある質問
ここまで脳出血での突然死などを紹介しました。ここでは「脳出血で突然死」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脳出血で突然死するまでの時間について教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
脳出血による突然死までの時間は、出血量と出血部位によって大きく異なります。最も重要なことは、出血自体は発症後1時間から6時間以内に止まることが多いということです。しかし、この間に流れ出た血液が脳の中に血腫として塊を作り、その塊が膨らむことで、周囲の脳の組織を圧迫します。この圧迫による脳の腫れ(脳浮腫)が、時間とともに神経の働きを徐々に、あるいは急速に悪化させるのです。 特に、呼吸や意識など生命維持を司る脳幹で出血が起こった場合、たとえ少量であっても命にかかわる可能性が高く、数分から数時間で意識がなくなったり、呼吸が止まったりすることがあります。



