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「緊張型頭痛」になりやすい人の特徴はご存知ですか?すぐに治す方法も医師が解説!

 公開日:2024/12/05
「緊張型頭痛」になりやすい人の特徴はご存知ですか?すぐに治す方法も医師が解説!

緊張型頭痛とは?Medical DOC監修医が緊張型頭痛の症状や特徴・原因・なりやすい人の特徴・治し方・予防法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「緊張型頭痛」とは?

緊張型頭痛は、慢性頭痛の種類の中で最も一般的な頭痛の一つで、多くの人が一度は経験するといわれています。この頭痛は、筋肉の緊張や精神的な疲労によって引き起こされることが多く、重症度や頻度は人によって異なりますが、日常生活に影響を及ぼすことがあります。今回の記事では、緊張型頭痛について詳しく解説していきます。

緊張型頭痛の代表的な症状や特徴

緊張型頭痛は頭痛の頻度によって、時々起こる「反復性緊張型頭痛」とほぼ毎日起こる「慢性緊張型頭痛」の2つのタイプに分かれます。

頭全体が締め付けられるような鈍い痛みや圧迫感

緊張型頭痛では、多くの場合、両側性の痛みが見られ、頭全体や首周辺まで広がることがあります。
痛みの強さは 軽度から中等度で、仕事や家事、勉強などを行うことは可能ですが集中しにくくなることがあります。激しいズキズキ感(拍動性)はなく、一定の痛みが続きます。
また、痛み以外にも頭頂部から側頭部にかけて「ヘルメットをかぶっている」ような圧迫感のような感覚があります。

頭痛以外の症状の特徴

頭痛以外の症状として、首や肩の筋肉が固くなり、「こり」や「張り」を感じることが多くみられます。これは頭痛を引き起こす原因になることもあります。
また、緊張型頭痛では、片頭痛と異なり、通常は吐き気や嘔吐がなく、光や音への過敏さが少ないということも特徴です。

持続時間はさまざま

緊張型頭痛の痛みは、数時間で治まることもあれば、1日中続くこともあります。
反復性(時々発生するタイプ)の場合、数日おきに頭痛が現れることがありますが、慢性(慢性的に続くタイプ)の場合、痛みがほぼ毎日続くこともあります。
個人差もあることから、痛みは数時間から1週間くらい続くと表現されていることも多いかと思います。

緊張型頭痛の主な原因

緊張型頭痛の正確な原因は解明されていませんが、多くの原因によって発症すると考えられています。

筋肉の緊張

首や肩の筋緊張が原因の一つとして重要です。長時間のデスクワークやスマートフォン使用で首や肩の筋肉が過度に緊張してしまい、頭痛を引き起こすと言われています。

ストレス・睡眠不足

精神的なプレッシャーや疲労による自律神経の乱れも原因の一つとされています。
ストレスは自律神経のバランスを乱し、血流の低下や筋肉の過緊張を引き起こします。慢性的な精神的負荷は、頭痛を悪化させる大きな要因となってしまいます。
睡眠不足や不規則な生活も疲労やストレスを増やす要因となります。
ほぼ毎日頭痛がある「慢性緊張型頭痛」では、上記の筋緊張に加えて精神的なストレスなどが関与し、痛み刺激に対して脳が過敏になっていることも考えられています。

緊張型頭痛になりやすい人の特徴

肩こりや首こりがある人

長時間の作業で、首や肩の筋肉が凝り固まり、頭部への血流が悪くなると、頭の締め付け感や痛みを感じやすくなります。
姿勢が悪い(猫背、うつむきがち)場合、さらに筋肉に負担がかかってしまいます。また、運動不足も筋肉が硬直しやすいため悪化要因となります。

ストレスが多い人

心配事が多かったり、プレッシャーを感じやすいと痛みを感じやすくなる可能性があります。
ストレスを受けると、肩や首の筋肉が緊張しやすくなり、頭痛を引き起こします。精神的な緊張が続くと、自律神経のバランスが崩れ、頭痛が慢性化することも言われています。

不規則な生活をしている、十分な睡眠が取れていない人

睡眠不足は、体の疲れが取れにくくなり、筋肉の緊張やストレス耐性の低下につながります。過労や食生活の乱れも頭痛の引き金となります。

緊張型頭痛の治し方

緊張型頭痛の治療には、発作時の痛みを和らげる治療(対症療法)と再発や慢性化を防ぐ治療(予防療法)の大きく2つに分けられます。

発作時の痛みを和らげる治療(対症療法)

緊張型頭痛が起きた際に痛みを和らげるための治療法です。薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行うことになります。
薬物療法では、一般的な鎮痛薬として、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニンなどのNSAIDs)が使われます。これらは痛みを軽減する効果が期待できますが、頻繁な使用は避けるべきです。過剰な使用は、薬剤過多による頭痛(薬物乱用頭痛)を引き起こす可能性があるからです。
また、筋肉の緊張を緩和する薬(筋弛緩薬)も併用することで効果的な場合があります。
非薬物療法では、首や肩を温めることで筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減する温熱療法が効果的です。温湿布や温かいタオルを使うのがおすすめです。
また、肩や首、頭部のマッサージを行うことで血流を改善し、筋肉の緊張を緩和することも良いでしょう。深呼吸や瞑想、ヨガなど、ストレスを和らげる方法を取り入れることでも痛みが軽減する可能性もあります。

再発や慢性化を防ぐ治療(予防療法)

緊張型頭痛が頻繁に起きており、慢性化している場合には、日頃から予防的な治療が重要になります。薬物療法よりは非薬物療法がメインとなります。
薬物療法では、頸部・肩の筋緊張の緩和を目的とした筋弛緩薬や、精神的なストレス軽減を目的とした抗うつ薬を使用されることがあります。
非薬物療法では、肩こりなど頸部・肩の筋緊張を予防する運動やストレスへの対処法、十分な睡眠をとること、などの生活習慣の改善が重要といわれています。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用で悪い姿勢が続くことも頭痛を誘発する要因となるので、椅子や机の高さを調整し、定期的にストレッチを行う習慣をつけるようにしましょう。
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)は、ストレス軽減と血流改善に役立つことが知られており、定期的な運動習慣は、慢性頭痛の発症リスクを減らすことができます。
また、睡眠不足にならないように気をつけて、心身のストレスをうまく解消することを心がけることも大事です。

緊張型頭痛をすぐに治す方法はある?

緊張型頭痛をすぐに解消するための方法として、以下の対策を提示します。ただしこれらの方法は応急的なものであり、改善されなかったり慢性的な痛みである場合には脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来を受診し相談することをお勧めします。

痛み止めを飲む

痛み止めを飲むのがすぐに改善させる方法の一つです。一般的な鎮痛薬として、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬が使われ、市販薬でこの成分が入っているものも効果的です。

ストレッチを行う・温める

肩甲骨を中心に回したり、首を軽く動かすストレッチを行うことで筋肉の緊張を解消するのも良いでしょう。
また、ホットタオルや温湿布で首や肩を温めるのも痛みを軽減できる可能性があります。

緊張型頭痛の予防法

緊張型頭痛は、日常生活でのストレスや姿勢の悪さ、筋肉の緊張が主な原因となることが多いため、予防のポイントは生活習慣の改善とリラクゼーションにあります。以下の方法を取り入れて、頭痛の頻度を減らし、予防を心がけましょう。

首や肩の筋肉をほぐす、運動する

緊張型頭痛の大きな原因の一つは、首や肩の筋肉の緊張です。
首や肩を回す、軽く伸ばすストレッチを朝晩や作業の合間に取り入れること、温めたタオルや蒸しタオルで首や肩を温めること、マッサージを受けることなどで、筋肉をほぐすようにするのが良いでしょう。
また、普段から適度な運動をするのも重要です。運動はストレスを軽減し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。軽い有酸素運動として、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどを週2〜3回取り入れる。また、筋肉を柔らかくする運動として、ヨガやピラティスなど、筋肉の柔軟性を高める運動もおすすめです。

正しい姿勢の維持

長時間の悪い姿勢は首や肩の筋肉に負担をかけ、頭痛の原因になります。
デスクワーク中の注意点としては、モニターの高さを目の高さに合わせ、背筋を伸ばして座ることや、腕や肘をリラックスした角度に保つことです。
また、長時間座り続ける場合は、タイミングを見てストレッチや休憩を入れるようにしましょう。スマートフォンやパソコンを使う際、背中を丸めたり首を前に出したりしないように注意することも重要です。

ストレス管理・十分な睡眠

緊張型頭痛はストレスによる影響を大きく受けます。日々のストレスを軽減する工夫をしましょう。
自分なりのリフレッシュ方法を見つけることは重要です。例えば、散歩、趣味、好きな音楽を聴くなど、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。
また、ストレス管理の習慣をつけることも良いでしょう。毎日のやることをリスト化して優先順位を決め、過剰に詰め込まず余裕を持つことも効果的です。
十分に睡眠時間を確保することもストレス軽減に重要です。

「緊張型頭痛」についてよくある質問

ここまで緊張型頭痛について紹介しました。ここでは「緊張型頭痛」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

緊張型頭痛のセルフチェック法を教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

以下の特徴が当てはまる場合には、緊張型頭痛の可能性が高まります。
①頭痛の部位
 ・頭の両側(側頭部や後頭部)を締め付けられるような痛みがある
 ・頭のてっぺんや額が重く感じることがある
②痛みの強さ
 ・痛みはそれなりにあるが、仕事や家事、勉強はできる
③痛みの性質
・鈍い痛みや締め付けられるような感覚がある
・頭全体や前頭部、後頭部に広がる痛みである
④痛みのきっかけになる状況の有無
・長時間同じ姿勢を取った後や、ストレスを感じた後に痛みが出ることが多い
⑤随伴症状を確認
・吐き気や嘔吐、視覚障害はない

緊張型頭痛を発症すると何日間痛みは続きますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

緊張型頭痛は頭痛の頻度によって、時々起こる「反復性緊張型頭痛」とほぼ毎日起こる「慢性緊張型頭痛」の2つのタイプに分かれます。緊張型頭痛の痛みの持続期間は、個人差がありますが、大まかに次のように分類できます。

反復性緊張型頭痛
最も一般的なタイプで、痛みは30分〜数時間程度続くことが多いです。
時には1日を通して断続的に痛みが続くこともありますが、数日以上持続することはほとんどありません。

慢性緊張型頭痛
痛みが月に15日以上、時にはほぼ毎日続く状態です。
痛み自体は軽度〜中程度ですが、慢性的に続くため、生活の質に大きな影響を及ぼします。

編集部まとめ

緊張型頭痛は、多くの人に見られる一般的な頭痛ですが、適切な対策を講じることで予防・改善が可能です。筋肉の緊張やストレスが原因であるため、日常生活の中で姿勢やストレス管理を心がけることが重要です。長期間放置することで慢性化し日常生活に影響を及ぼす可能性があります。症状が改善せずに日常生活に支障をきたす場合には、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来などの専門診療科での診断や治療を受けることをお勧めします。

「緊張型頭痛」と関連する病気

「緊張型頭痛」と関連する病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

内科の病気

歯科・耳鼻科の病気

頭痛の原因は多数考えられますが、緊張型頭痛が最も多い原因の一つです。
生活習慣の見直しやセルフケアによって改善することが期待できる頭痛でもあるため、まずは対策を実践していきましょう。改善しない場合には、慢性化する前に医療機関で相談してみることをお勧めします。

「緊張型頭痛」と関連する症状

「緊張型頭痛」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 頭の鈍い痛み
  • 頭が重い感じ
  • 首や肩のこり
  • 頭がズキズキする

上記のような症状が継続し改善しない場合には、早めに医療機関への受診をお勧めします。

この記事の監修医師

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