「パーキンソン病になりやすい人」の特徴はご存知ですか?症状や原因も医師が解説!
公開日:2023/12/20


監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
目次 -INDEX-
「パーキンソン病」とは?
パーキンソン病とは、振戦(身体の震え)、動作緩慢、筋固縮(筋肉が固まって身体が動かしにくくなる)、姿勢保持障害(転びやすくなる)などの症状が特徴的な病気で、難病に指定されています。人口10万人に対して100−180人程度の患者さんがいると言われています。50歳以上での発症が多く、40歳以下で見られる場合は若年性パーキンソン病と呼ばれます。パーキンソン病になりやすい人の特徴
高齢者
パーキンソン病は脳内にあるドーパミンを分泌させる細胞が減少することで起こると言われています。健康な人でもドーパミンは20歳をピークに減少に転じるため、高齢になるとパーキンソン病と同じような症状が出てきます。 日常的に運動をしている人の方がパーキンソン病になりにくいと言われており、予防や進行を抑えるためには体調や状況が許す範囲で運動やリハビリを生活に取り入れることが重要です。日本では女性に多い
パーキンソン病は世界的には男性に発症者が多い傾向にありますが、日本ではやや女性の方に発症例が多いと言われています。 一方で、年齢が高くなると男性の方の発症率が高くなるとの報告もあり、海外と日本での男女の有病率の違いなど、今後も研究結果の報告が待たれるところです。パーキンソン病の代表的な症状
震え、体の動かしづらさなど
パーキンソン病の代表的な症状に運動機能の障害があります。代表的な4つの症状に、振戦、動作緩慢、筋固縮、姿勢保持障害があります。それぞれ、手足をはじめとした体全体の震え、体の動きが遅くなり小さな動きになってしまう、筋肉が固まって動かしづらくなる、体のバランスが取りづらく転びやすくなる、という状態を指す言葉です。 この運動症状はパーキンソン病に特徴的な症状で、診断にあたっては必ず確かめられる項目です。補足として、姿勢保持障害は発症後数年経ってから起こることが多く、発症してから早期に現れる場合は他の疾患も考える必要があります。 現在のところ完治する病気ではなく、リハビリや薬物、手術といった対症療法が主な対処法です。徐々に体の動きがおかしくなっていると気になる場合には、早めに脳神経内科を受診してください。さまざまな身体的・精神的な症状
パーキンソン病では前述の代表的な運動症状以外に、便秘や頻尿、立ちくらみ、失神、発汗、冷えなどの自律神経症状、認知症のような状態になる記憶障害、うつ症状や無気力といった精神症状、その他、疲労、疼痛、体重の減少、嗅覚障害、睡眠障害など多岐にわたる症状が見られます。 これらは運動症状の前に起こることもあり、このような状態が続くようであれば一度パーキンソン病を疑ってみても良いかも知れません。各症状に対応する科で治療を受けても改善が見られない場合は、脳神経内科で相談してみてください。パーキンソン病の主な原因
ドーパミンの減少
パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる部位にあるドーパミン神経細胞が減少することによって起こります。ドーパミン神経細胞が減ると大脳からの指令が伝わりにくくなり、前述の運動症状や非運動症状を引き起こします。このドーパミン神経細胞が減少する理由は定かではありませんが、ドーパミン神経細胞内にαシヌクレインと呼ばれるタンパク質の蓄積が関わっていると考えられています。 パーキンソン病が疑われる場合は脳神経内科で相談してください。遺伝
ほとんどのパーキンソン病に遺伝性はありませんが、若年性パーキンソン病を発症する方の中には家族の中に同じくパーキンソン病の方がいる場合があり、病気の原因となる遺伝子が確認されることがあります。家族内での発症が起こる割合は5~10%とされています。消化管の慢性炎症
パーキンソン病の患者の多くに便秘症状が見られることから、消化管からの刺激がパーキンソン病に関連しているとの仮説が立てられています。パーキンソン病患者の腸内環境を調べた結果、特有の腸内細菌叢が見られました。αシヌクレインの増加との関係が指摘され、原因の一つとして有力視されています。受診・予防の目安となる「パーキンソン病」のセルフチェック法
- ・手足のふるえ症状がある場合
- ・体の動きが鈍くなってきた場合
- ・転びやすい、転びそうになる症状がある場合
パーキンソン病の治療法
パーキンソン病の診断や治療は基本的には脳神経内科で行われます。外科的治療については脳神経外科が担当し、リハビリテーションについてはリハビリテーション科や脳神経内科が担当します。薬物療法
パーキンソン病の症状により、生活に支障が出ている場合は速やかに薬物による治療を行います。使用する薬は主にL-ドパやドパミンアゴニストといったドパミン補充薬と、モノアミン酸化酵素阻害薬などの非ドパミン系治療薬です。 副作用として薬が切れた際の手足の震えや不随意運動(ジスキネジア)を伴うことがあり、他にも眠気や食欲不振といった副作用が出る場合があります。また、薬の効く時間がだんだん短くなり、次の薬を飲む前に効果が切れる「ウェアリングオフ」と呼ばれる現象が存在します。パーキンソン病の薬物治療は定期的に医師と相談しながら薬の量を調整していく必要があります。外科治療
パーキンソン病の薬物療法を長く続けてウェアリングオフやジスキネジアが見られるようになった患者に対しては、症状改善・緩和目的に手術を行うことがあります。パーキンソン病そのものを治すためのものではなく、ドーパミン補充薬が効く患者が対象です。 手術内容としては脳深部刺激療法(DBS)という方法が主流です。これは脳に電極を埋め込み、電気による刺激で神経回路のバランスを取り戻す目的で行われます。運動療法
運動量が減ることでドーパミンの分泌が減り、パーキンソン病の進行が加速することが考えられるため、適度な運動が必要となります。リハビリテーションを行うことで筋力の低下を防ぎ、生活の質を保つ目的もあります。 パーキンソン病で行われるリハビリには、体力維持のための有酸素運動、筋肉や関節の柔軟性を維持するための運動、筋力を維持するための運動、姿勢、歩行の改善と動作の練習、呼吸の訓練などがあります。「パーキンソン病になりやすい人」についてよくある質問
ここまでパーキンソン病になりやすい人などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病になりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
パーキンソン病を発症しやすい性格はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
いいえ。これまでさまざまな検討がされていますが、パーキンソン病の発症と性格との因果関係は明確に証明されていません。

