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「フレイルを予防」する”10品目の食事術”はご存じですか?チェック法も医師が解説!

 公開日:2026/04/08
「フレイルを予防」する”10品目の食事術”はご存じですか?チェック法も医師が解説!

フレイル予防には食事が欠かせません。高齢者が元気に過ごすための栄養や、10品目を揃えるコツをメディカルドック監修医が解説します。

菊地 修司

監修医師
菊地 修司(医師)

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<略歴>
山梨大学(旧・山梨医科大学)医学部医学科卒業後、茨城保健生活協同組合城南病院に研修医として入職。東葛病院外科、北海道勤医協中央病院麻酔科で研修後、城南病院に戻り、医局長、副院長を経て、2021年より同院院長。2024年より茨城保健生活協同組合理事長を兼任。専門は総合診療・訪問診療。2009年に消化器外科から総合診療科に転科し現在に至る。日本医師会認定産業医。

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健康寿命に影響するフレイルの定義とメカニズム

フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にある段階を指す概念です。日本老年医学会が提唱した「frailty(虚弱)」の日本語訳で、加齢に伴って体の予備力が低下し、ちょっとしたストレスにも弱くなった状態を意味します。
フレイルは大きく3つの種類に分かれます。一つ目が「身体的フレイル」で、筋肉の衰え(サルコペニア)や運動器の障害による移動機能の低下(ロコモティブシンドローム)が代表的な例です。二つ目が「精神・心理的フレイル」で、うつ状態や軽度認知症を指します。三つ目が「社会的フレイル」で、社会とのつながりが希薄化することによる独居や孤立の状態です。
重要なのは、フレイルには「可逆性」があるという点です。早期に気づいて適切な予防・介入を行えば、健康な状態に戻すことができます。これら3つのフレイルが連鎖することで老いの進行は加速するため、できるだけ早い段階からの対策が健康寿命の延伸につながります。なお、2025年4月から適用が開始された「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、フレイル予防と骨粗鬆症予防の観点が新たに追加され、栄養面からのフレイル対策がますます重要視されています。

フレイル予防の3本柱とは?

フレイル予防では、ひとつの対策だけに頼るのではなく、いくつかのアプローチを組み合わせることがポイントです。東京都介護予防・フレイル予防ポータルでは、「栄養」「体力」「社会参加」の3本柱に「口腔」を加えた「3プラス1」を推奨しています。この4つの要素を合わせて「フレイル予防の4本柱」と呼ぶこともあります。

食事・運動・社会参加の重要性

フレイル予防の3本柱は、「食事(栄養)」「運動(身体活動)」「社会参加」です。食事では、たんぱく質を意識しながらバランスよく食べ、水分もしっかり摂ることが基本になります。運動では、ウォーキングや筋力トレーニングを無理のない範囲で続けましょう。社会参加では、就労やボランティア、地域の集まりなどを通じて人とのつながりを保つことが、精神面・社会面のフレイル予防につながります。

なぜフレイル予防に複数のアプローチが必要なのか

フレイルの入り口は人によって異なります。身体の衰えから始まる方もいれば、社会的孤立や精神的な落ち込みから始まる方もいます。一つの要因が他の要因を引き起こす「ドミノ倒し」が起きやすいため、栄養・運動・社会参加のいずれかが欠けると、フレイルの進行が加速しやすくなります。複数のアプローチを同時に実践することで、どこかで連鎖を断ち切ることができます。

その他のフレイル予防・プレフレイル防止で重要なポイントは?

フレイルの一歩手前の状態を「プレフレイル」といいます。この段階で気づいて手を打てば、要介護状態への移行を防ぐことができます。体重が半年で2kg以上減った(意図的なダイエットではなく)、握力が弱くなった、歩くスピードが落ちた、疲れやすくなった、体を動かす機会が減った、といったサインに心当たりはありませんか。また、フレイル予防の5大原則として「しっかり食べる」「口腔ケアを行う」「適度に運動する」「社会参加を続ける」「定期的にフレイルチェックを受ける」を日常的に意識してみてください。

フレイル予防に効果的な食事と栄養

フレイル予防の土台となるのが、毎日の食事です。年を重ねるにつれて食欲が落ち、食べる量が減ることで低栄養に陥りやすくなります。低栄養になると筋肉が減り、フレイルが一気に進みます。日々の食事で何を意識すればよいのか、具体的にお話ししていきます。

筋肉の材料となるタンパク質摂取のポイント

筋肉の材料となるたんぱく質は、フレイル予防でとりわけ意識していただきたい栄養素です。2025年4月から適用が始まった「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、フレイル予防の観点からたんぱく質の目標量が設定されています。65〜74歳の推奨量は男性60g、女性50gです。東京都介護予防・フレイル予防ポータルでは、目安として「1.0〜1.2g×体重(kg)」が推奨されています。
たんぱく質を含む食材(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)を毎食「片手のひらに乗る量」くらい食べるのが目安です。特に朝食でたんぱく質が抜けがちなので、朝から意識して取り入れてみてください。魚の缶詰や豆腐は手軽にたんぱく質を補えるので便利です。
なお、ご飯(主食)を減らしすぎるとエネルギー不足になり、たんぱく質が筋肉の材料ではなくエネルギーとして消費されてしまいます。主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事を3食しっかり食べることが基本です。

栄養バランスを整える「10品目」の考え方

食事の多様性を高めることも、フレイル予防に有効です。東京都健康長寿医療センター研究所は、食事の多様性を測る「食品摂取多様性スコア」を開発しました。これに基づき、「さあにぎやか(に)いただく」という合言葉で10の食品群を毎日摂取することが推奨されています。

合言葉 食品群
牛乳・乳製品
野菜
海藻・きのこ類
いも類
大豆・大豆製品
果物

この10食品群のうち、最低でも4点以上、できれば毎日7点以上を目指すことが目標とされています。高齢者が特に摂取不足になりやすい食品のトップ3は「いも類」「海藻類」「肉類」とされており、これらを意識的に食事に取り入れる工夫が必要です。

手軽に栄養価を上げる「ちょい足し」術

食欲が低下している高齢者や少食な方でも、日々の食事に少しだけ食材を加える「ちょい足し」の工夫によって、栄養価を効率よく高めることができます。

  • みそ汁に:乾燥わかめや豆腐を加えると海藻類と大豆製品を同時に補えます。
  • ご飯に:卵や納豆をのせれば、たんぱく質を朝食で手軽に摂取できます。
  • おやつに:ヨーグルトや牛乳を取り入れることで、たんぱく質やカルシウムを補えます。
  • 料理の仕上げに:魚の缶詰をサラダや炒め物に加えたり、ごまやナッツを散らしたりするだけで、良質な脂質やミネラルを補うことができます。

誰かと一緒に食事をする「共食(きょうしょく)」も、食欲を引き出し、食事の品数を増やすきっかけになります。地域の食事会や料理教室に参加すれば、食事と社会参加を同時に実践できて一石二鳥です。

オーラルフレイルにも注意!オーラルケアと栄養摂取の密接な関係とは?

フレイル予防を考えるうえで、つい見落としがちなのが口腔(お口)の健康です。口の機能が衰えることを「オーラルフレイル」と呼び、身体的フレイルへの入り口になることがわかっています。

噛む力や飲み込む力の低下(オーラルフレイル)が招くリスクとは?

オーラルフレイルとは、口の機能が健常な状態と「口腔機能低下症」との間にある段階です。2024年に発表された3学会の合同ステートメントでは、「噛みにくい」「食べこぼす」「むせやすい」「滑舌が悪くなった」といった些細な口の衰えがオーラルフレイルのサインとして挙げられています。
噛む力が低下すると、硬い食材(肉・野菜など)を避けるようになり、食事の多様性が低下します。その結果、低栄養状態から身体的フレイルへと進行するリスクが高まります。また、飲み込む力(嚥下機能)の低下は誤嚥性肺炎のリスクを高めるため、全身の健康にも大きく影響します。

歯の健康維持はフレイル予防になる?

歯の本数と全身の健康には深い関係があります。歯が少なくなると噛む力が低下し、食事の質が下がることでフレイルが進行しやすくなります。厚生労働省が推進する「8020運動」(80歳で20本以上の歯を保つ目標)は、こうした観点からも重要な取り組みです。歯周病や虫歯を予防し、できるだけ多くの歯を健康に保つことが、食事の多様性を維持し、フレイル予防につながります。

毎日の歯磨きや定期的な歯科検診の重要性

オーラルフレイルを防ぐには、毎日の丁寧な歯磨きに加えて、定期的な歯科検診を受けましょう。歯科検診では歯の状態だけでなく、噛む力や飲み込む力も評価してもらえます。口の機能低下は自分では気づきにくいので、プロの目でチェックしてもらうことが早期発見につながります。パタカラ体操など、口周りの筋肉を鍛える体操を日課にするのもよい方法です。

「フレイルチェック」と改善が必要な数値

フレイルを早めに見つけるには、ご自身の状態を定期的にチェックすることが欠かせません。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「フレイルチェック」の主な項目とチェック結果

フレイルの評価には、日本向けに改訂された「改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)」が使用されます。

評価項目 評価基準
体重減少 6か月で2kg以上の意図しない体重減少
筋力低下 握力:男性28kg未満、女性18kg未満
疲労感 ここ2週間、わけもなく疲れたような感じがする
歩行速度 通常歩行速度が1.0m/秒未満
身体活動の低下 軽い運動・体操も定期的な運動・スポーツも週1回もしていない

上記5項目のうち、3項目以上に該当する場合はフレイル、1〜2項目に該当する場合はプレフレイルと判定されます。
また、11の質問で構成される「イレブンチェック」や、ふくらはぎを両手の指で囲む「指輪っかテスト」も簡易チェックとして有用です。

「フレイルチェック」に該当した場合の介護支援

フレイルチェックでフレイルまたはプレフレイルに当てはまった場合は、まずかかりつけ医(内科・総合診療科)に相談してみてください。筋力低下が目立つ場合は整形外科、認知面が気になる場合は神経内科や老年内科を受診するのもよいでしょう。
フレイルと診断された場合、地域包括支援センターに相談することで、介護保険制度における「介護予防サービス」を活用できる場合があります。運動教室や栄養指導などの支援を受けることが可能です。

「フレイル」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「フレイル」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害によって、移動機能が低下した状態を指します。進行すると要介護・要支援状態になるリスクが高まります。主な原因は加齢による筋力低下や骨粗鬆症などです。対処法としては、片脚立ちやスクワットなどの「ロコモーショントレーニング(ロコトレ)」が有効です。整形外科等で相談しましょう。

サルコペニア

サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量が低下し、筋力や身体機能が低下する状態です。転倒・骨折・要介護状態のリスクを高めます。基本は、たんぱく質を中心とした栄養摂取と筋力トレーニングの組み合わせです。歩行速度の低下や握力の低下が続く場合は、老年内科やリハビリテーション科への受診を検討してください。

認知症

認知症は、脳の神経細胞が障害を受けることで記憶や判断力などが低下する状態です。フレイルと認知症は互いに関連しており、フレイルが進むと認知症のリスクも高まります。人と会う機会を増やすこと、しっかり食べてよく眠ることが予防に役立ちます。物忘れが増えたと感じたら、神経内科や精神科へ早めにご相談ください。

骨粗鬆症

骨密度が下がって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。大腿骨頸部骨折などは寝たきりの主な原因になります。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも予防の観点が加わりました。カルシウム・ビタミンD・ビタミンKを含む食品を積極的に摂り、荷重運動を続けることが重要です。整形外科にて定期的な骨密度測定を受けましょう。

「フレイル予防の食事」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「フレイル予防の食事」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

フレイル予防のために、毎日意識して食べた方がいい食品はありますか?

菊地 修司医師菊地 修司(医師)

特に意識してほしいのは、たんぱく質を含む食品(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)です。毎食「片手のひらに乗る量」を目安に摂取しましょう。また、「さあにぎやか(に)いただく」の合言葉で10食品群を意識することで、栄養バランスの偏りを防ぐことができます。高齢者が不足しがちないも類・海藻類・肉類は特に意識して取り入れてください。

フレイル予防の3本柱の中で食事の役割は何でしょうか?

菊地 修司医師菊地 修司(医師)

食事は、筋肉・骨・免疫機能など身体のあらゆる機能を支える「土台」です。どれだけ運動を頑張っても、食事が整っていなければ筋肉の材料が不足し、効果が半減してしまいます。特にたんぱく質はサルコペニアの予防に不可欠であり、カルシウム・ビタミンDは骨粗鬆症の予防に重要です。食事は最初に整えるべき基盤といえます。

少食な高齢者でも、無理なく栄養バランスを整えるにはどうしたら良いでしょうか ?

菊地 修司医師菊地 修司(医師)

1回に食べられる量が少ない方は、間食を上手に使いましょう。牛乳・ヨーグルト・チーズ・果物・ナッツなどは手軽です。「ちょい足し」の工夫(みそ汁に豆腐や卵を入れる、ご飯に納豆をのせるなど)で、食事の量を増やさなくても栄養を底上げできます。食欲がないときは、まず食べやすいものから少しずつで構いません。

フレイル予防の10食品「さあにぎやか(に)いただく」は毎日全て食べるべきなのでしょうか?

菊地 修司医師菊地 修司(医師)

毎日すべてを食べるのが理想ではありますが、「全部食べなきゃ」と思い詰める必要はありません。まずは1日7品目以上を目標にしてみてください。1〜2週間のスパンで「偏っていないかな」と振り返るくらいで十分です。「今日は何品目食べたかな」と数えるだけで、自然と食事の中身がよくなっていきますよ。

まとめ「フレイル予防の食事」はたんぱく質摂取と10品目の多様性が鍵!

フレイルは、年を重ねれば誰にでも起こりうる状態です。しかし、適切な食事・運動・社会参加によって予防も改善もできます。食事で押さえたいポイントは、たんぱく質を毎食しっかり摂ること、「さあにぎやか(に)いただく」の10食品群を意識すること、そしてお口の健康を保つことです。フレイルチェックで気になる項目があれば、一人で悩まず、かかりつけ医に相談してみてください。毎日の食卓での小さな工夫の積み重ねが、健康に過ごせる時間を延ばしてくれます。

「フレイル」に関連する病気

「フレイル」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

運動器の病気

精神・神経系の病気

口腔の病気

代謝・循環器の病気

フレイルは単独の病気ではなく、さまざまな疾患が複合的に絡み合って進行します。特に筋力低下(サルコペニア)・骨粗鬆症・認知症は互いに関連が深く、一つが進むと連鎖的に悪化しやすい点に注意が必要です。

「フレイル」の関連症状

「フレイル」と関連する症状は10個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

フレイルのサイン

フレイルのサインは、日常のちょっとした変化に現れます。「最近ペットボトルが開けにくい」「横断歩道を渡りきれない」といった小さな気づきが、早期発見のきっかけになります。

この記事の監修医師