「内視鏡検査」で痛くなりやすい人の特徴は?”痛みがひどくなる食事”も医師が解説!

内視鏡検査はなぜ痛い?メディカルドック監修医が胃カメラ・大腸カメラなどが痛む主な原因や発見できる病気・楽に受けられるコツなどを解説します。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
目次 -INDEX-
内視鏡検査は本当に痛い?
内視鏡検査と聞くと「痛い」「苦しい」というイメージを抱く方は少なくありません。しかし、近年の医療機器の進歩や鎮静剤の適切な使用により、検査時の苦痛は以前に比べて大幅に軽減されています。検査は病気の早期発見に不可欠ですので、過度に恐れず正しい知識を持つことが大切です。
胃カメラ・大腸カメラ・子宮鏡検査など部位によっても痛みは違う
一口に内視鏡といっても、検査する部位によって痛みの種類や原因は異なります。胃カメラ(上部消化管内視鏡)の場合は、喉を通過する際の「オエッ」となる嘔吐反射や、胃に空気を入れた際の膨満感が主な苦痛です。大腸カメラ(大腸内視鏡)では、腸が引き伸ばされるような下腹部の張りや痛みを感じることがあります。また、婦人科で行う子宮鏡検査では、子宮の入り口を器具が通過する際や、子宮内を液体で満たす際に生理痛のような重い痛みを感じる場合があり、それぞれ痛みの質が異なるのが特徴です。
内視鏡検査で痛みの感じ方に個人差がある理由
同じ検査を受けても、全く痛くないと言う人と、二度と受けたくないと言う人がいます。この差には、喉や腸の形状といった解剖学的な個人差が大きく関係しています。例えば喉の反射が強い体質の方や、大腸が長く、伸びやすい方は痛みを感じやすいです。また、過去にお腹の手術を受けて癒着がある場合も大腸カメラの挿入が難しくなりがちです。さらに「痛いかもしれない」という強い不安や緊張も、体の筋肉を硬直させ、痛みを増幅させる大きな要因となります。
胃カメラ(胃内視鏡検査)の痛みと特徴
胃カメラは食道、胃、十二指腸を観察するために行われますが、口から入れるか鼻から入れるかによって、苦痛の種類が異なります。
口からの胃カメラ(経口内視鏡)を受けると嗚咽しやすいのはなぜ
口から内視鏡を入れる場合、カメラが舌の根元(舌根)や口蓋に触れることで、身体の防御反応である咽頭反射が引き起こされます。これは異物を飲み込まないようにするための正常な反応ですが、検査中はこの反射が繰り返されるため、「オエッ」という強い吐き気や窒息感を感じやすくなります。特に若い方や日常的に歯磨きで吐き気を感じやすい方は、この反射が強く出やすいです。
鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)は痛くない?
鼻から入れる内視鏡は、舌根や口蓋に触れずに食道へ入ることができるため、口からの検査に比べて吐き気(咽頭反射)が非常に少ないのが特徴です。そのため、検査中に医師と会話ができるほど楽に受けられる方もいます。ただし、鼻の穴が狭い方の場合、カメラが通過する際に鼻の奥に痛みを感じたり、検査後に鼻血が出たりすることがあります。また、鼻の粘膜が刺激されることで、痛みではなく涙が止まらなくなることもあります。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の痛みと特徴
大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入し、曲がりくねった腸の奥へと進めていくため、技術と患者さんの腸の状態が痛みに大きく影響します。
大腸カメラの検査時に痛みを感じやすいポイントは?
大腸検査で最も痛みを感じやすいのは、腸が大きく曲がっている部分(S状結腸や横行結腸などの屈曲部)をカメラが通過する瞬間です。腸管が過度に引き伸ばされたり、ねじれたりすることで、強い圧迫感や差し込むような痛みが生じます。また、観察のために腸内に空気を送り込んで膨らませる際にも、お腹が張って苦しいと感じることがあります。
大腸カメラで痛みを強く感じる人の特徴は?
特に痛みを感じやすいのは、お腹の手術歴(婦人科手術や虫垂の手術など)があり腸に癒着がある方や、痩せ型で骨盤が狭い女性などです。また、腸が長く伸びやすい人も、カメラの挿入が難航して痛みが出やすい傾向にあります。これらに該当する方は、事前に医師に相談し、鎮静剤の使用などを検討することをお勧めします。
大腸カメラの前処置の下剤で腹痛が起こる理由は?
検査前には大量の下剤を飲んで腸を空にする必要がありますが、この際に腹痛が起きることがあります。これは、下剤によって腸の蠕動運動が急激に活発になるためです。特に、日頃から便秘がちの方や腸の一部が狭くなっている方の場合、便を押し出そうとする圧力が強まり、キリキリとした痛みを感じることがあります。
すい臓がん検査などの超音波内視鏡(EUS/ERCP)の痛みと特徴
通常の胃カメラや大腸カメラとは異なり、さらに精密な検査や治療を行うために用いられる特殊な内視鏡検査があります。
超音波内視鏡(EUS/ERCP)の検査は痛い?
超音波内視鏡(EUS)は、胃カメラの先端に超音波装置がついた太い内視鏡を使用するため、通常の胃カメラよりも喉の違和感が強くなることがあります。また、胆管や膵管を造影するERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は検査時間が長く、特定の体勢を維持する必要があるため、苦痛を伴いやすい検査です。そのため、これらの検査は基本的に鎮静剤を使用し、眠っているような状態で痛みを感じないように行われるのが一般的です。
超音波内視鏡検査前後の注意点は?
検査前の絶食はもちろんですが、特にERCPの場合は検査後に「膵炎」という合併症を起こすリスクがあるため、検査後もしばらく入院や安静が必要になることがあります。EUSの場合も、組織を採取した後は出血のリスクがあるため、当日の激しい運動や飲酒は控える必要があります。
婦人科疾患があると内視鏡検査は痛くなる?
婦人科系の疾患、特に子宮内膜症や過去に開腹手術の経験がある女性は、大腸内視鏡検査の際に痛みを強く感じることがあります。これは、子宮や卵巣が大腸のうち、特にS状結腸と癒着してくっついてしまい、腸の動きが制限されるためです。カメラを挿入する際に腸がスムーズに伸びず、癒着部分が引っ張られることで強い痛みが生じます。検査を受ける際は、問診時に帝王切開や婦人科疾患の既往を医師に伝えておくと、痛みに配慮した挿入法や鎮静剤の調整が可能になります。
鎮静剤を使うと内視鏡検査の痛みはどう変わる?
鎮静剤(全身麻酔)を使用すると、痛みや恐怖感が大幅に和らぎます。内視鏡では呼びかけに反応できる程度の「うとうと」するくらいの麻酔で行うことが多いです。メリットは、不安や苦痛を感じずに、時には「気づいたら終わっていた」という感覚で検査を受けられる点です。一方デメリットとしては、検査後もしばらく薬の効果が残るため、当日は車や自転車の運転ができないことや、院内での休息時間が長く必要になることが挙げられます。また、麻酔が強くかかりすぎて、稀に呼吸が弱くなる、血圧が下がるなどの副作用のリスクもあります。麻酔の間に唾液を誤嚥して肺炎を起こすなどの可能性もあります。
内視鏡検査の痛みを減らすためにできることは?
内視鏡検査前日・当日の食事
胃カメラ・大腸カメラの場合、前日の食事は消化の良いものを選び、繊維質の多い野菜やきのこ類、海藻、種のある果物は避けてください。胃内に食べ物や腸内に便が残っていると、検査時間が長引いたり、観察のために多くの空気を入れる必要が出てきたりして、結果的にお腹の張りや痛みが増してしまいます。最悪の場合、再検査を余儀なくされることもあります。きれいに胃や腸を空っぽにすることが、スムーズで痛みの少ない検査への近道です。
内視鏡検査を楽にする姿勢・呼吸法
検査中は、体の力を抜くことが痛みを減らす最大のポイントです。緊張して肩や点滴をしている腕に力が入ると、喉や肛門の筋肉も締まってしまい、カメラの動きを妨げてしまいます。鼻から深く息を吸い、口からゆっくりと長く息を吐く「深呼吸」を意識すると、副交感神経が優位になりリラックスしやすくなります。お腹の力を抜き、ダラーっとベッドに身を委ねるような姿勢を心がけましょう。
内視鏡検査を楽に受けられる医療機関を選ぶポイントはある?
痛みの少ない検査を受けるためには、医療機関選びも重要です。日本消化器内視鏡学会の専門医が在籍しているかどうかが一つの目安になります。また、鎮静剤の使用に積極的か、鼻からの胃カメラに対応しているかなどをホームページで確認すると良いでしょう。実際に受診した人の口コミや評判も参考になります。
「内視鏡検査」の痛みについてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「内視鏡検査」の痛みについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
内視鏡検査はなぜ痛くなるのでしょうか
齋藤 雄佑(医師)
内視鏡検査の痛みは、主に「伸展刺激(伸ばされる痛み)」と「圧迫刺激(押される痛み)」によるものです。胃カメラでは喉の反射、大腸カメラでは腸が引き伸ばされたり、空気でパンパンに張ったりすることが痛みの原因となります。また、不安による筋肉の過度な緊張も痛みを強く感じる要因の一つです。
大腸内視鏡検査で痛みが強く感じる人の特徴はなんでしょうか
齋藤 雄佑(医師)
腹部の手術歴があり腸に癒着がある方、極度に痩せている方、女性で骨盤が狭い方、重度の便秘症の方は、腸管の形や動きの制限によりカメラの挿入が難しく、痛みを感じやすい傾向にあります。また、過敏性腸症候群などで腸が知覚過敏になっている方も痛みを強く感じることがあります。
内視鏡検査で痛みを抑える方法はありますか
齋藤 雄佑(医師)
最も確実な方法は、鎮静剤(静脈麻酔)を使用して眠っているような状態で検査を受けることです。また、胃カメラであれば鼻からの経鼻内視鏡を選ぶこと、大腸カメラであれば技術力の高い専門医を選ぶことも重要です。検査中は、ゆっくりと息を吐く深呼吸を意識して、お腹の力を抜きことが痛みの軽減につながります。
胃の内視鏡検査は鎮静剤を希望したほうが苦痛が少なく済みますか?
齋藤 雄佑(医師)
はい、鎮静剤を使用することで、「オエッ」となる嘔吐反射や不安感を大幅に抑えることができ、苦痛は格段に少なくなります。特に過去の検査で辛い思いをした方や、不安が強い方には強く推奨します。ただし、検査後は車の運転ができないことや全身麻酔のリスクなども無視できません。ご自身の持病や年齢、スケジュールと合わせて検討してください。
まとめ 内視鏡検査は痛いときは自分にあった方法を選ぶ!
内視鏡検査の痛みは、適切な処置や工夫によってコントロールできるものです。「痛いから受けない」と検査を避けてしまうと、がんなどの重大な病気を見逃してしまうリスクがあります。
もし痛みに不安がある場合は、事前に医師に「痛みに弱いので鎮静剤を使いたい」「鼻からのカメラがいい」など、率直に相談してください。あなたに合った方法を選ぶことで、検査は驚くほど楽なものになります。自分の体を守るために、一歩踏み出して検査を受けましょう。
「内視鏡検査」で考えられる病気と特徴
「内視鏡検査」で医師が見つける病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内視鏡は、粘膜のわずかな色の変化や凹凸を見逃さず、早期がんの発見に最も有効な手段です。
「内視鏡検査」の関連症状
「内視鏡検査」の受診が望ましい症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 胃が痛い
- キリキリする
- 胸焼けがする
- 酸っぱいものが上がる
- 便に血が混じる
- 便が黒い
- 便秘と下痢を繰り返す
- 急に体重が減った
これらの症状が続く場合は、自己判断せず早めに消化器内科を受診し、内視鏡検査の必要性を相談してください。




