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超音波検査って必要ですか? ほかの検査ではわからない病気もわかるの?

 更新日:2023/03/27
超音波検査って必要ですか?ほかの検査ではわからない病気もわかるの?

健康診断で、超音波検査を毎年受けているという人も多いのではないでしょうか。腹部に機械をあて、一体なにを調べていて、どんな病気が分かるのか。また、どれくらいの頻度で受けた方がいいのでしょうか。超音波検査に関する疑問を、「臨床検査技師」の川田直樹さんに投げかけてみました。

川田直樹さん

監修臨床検査技師
川田 直樹(一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院 中央検査部生理検査科科長 臨床検査技師)

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昭和医療技術専門学校卒業後、千葉県の亀田総合病院で循環器を中心とした検査に携わる。その後、福島県の寿泉堂綜合病院に17年間勤務。2016年から呼吸器とがん専門の坪井病院に転職し、中央検査部の生理検査科で超音波検査や呼吸器検査を中心とした業務に携わる。同病院に、IP(間質性肺炎)センターが立ち上がり、県内外からの紹介などで急増傾向にある間質性肺炎の患者さんに対応できる知識と技術の向上を図るべく日々精進中。日本超音波医学会認定超音波検査士(循環器領域)、緊急臨床検査士、二級臨床検査士(呼吸生理学・循環生理学)、日本糖尿病療養指導士。

超音波検査はがんの発見にも効果的

超音波検査はがんの発見にも効果的

編集部編集部

超音波検査とは、どのような検査ですか?

川田直樹さん川田さん

検査する部分に皮膚との密着度を上げるためのゼリーを塗り、プローブという機器を当て臓器などを調べる検査です。高い周波数の超音波を当てることで、体の組織からの反射波を画像化することができます。腹部や心臓、頸動脈、甲状腺、足の動脈や静脈、乳腺などを痛みなく簡単に調べることができます。

編集部編集部

超音波検査から、どのような病気がわかるのですか?

川田直樹さん川田さん

わかる病気は調べる場所によって異なります。例えば腹部の場合、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、腎臓、子宮、膀胱、前立腺などを観察しています。そこから数mm単位の腫瘍やポリープ、嚢胞(のうほう)などを見つけることができます。中でも腎臓がんは初期症状の自覚がないため、超音波検査で偶然発見されることも多いですね。

編集部編集部

腹部以外で、ほかにわかる病気はありますか?

川田直樹さん川田さん

心臓の構造に異常がないか調べることで、心筋梗塞や心不全、心筋症などもわかります。ほかには、頸動脈を検査することで、動脈硬化の進行度が判明します。甲状腺では、びまん性病変や結節性病変の大きさや種類などから甲状腺疾患を鑑別していきます。また、全身麻酔による手術前スクリーニング検査や血液凝固検査で異常が認められたときは、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症の有無を確認します。

痛みがなく手軽にできる検査

痛みがなく手軽にできる検査

編集部編集部

ほかの検査ではわかりづらく、超音波検査でわかる病気はありますか?

川田直樹さん川田さん

2〜3mm単位の胆のうポリープや肝臓の嚢胞は、小さすぎてCTでは見つかりにくいです。超音波検査は細かく見ることができるので、小さいうちから発見することができます。精度的には、「造影CT・MRI>腹部超音波検査>単純CT」ではないでしょうか。また、乳がんも超音波検査で発見することが可能です。

編集部編集部

超音波検査のメリットはなんですか?

川田直樹さん川田さん

超音波検査は、人体に無害でほとんど痛みを伴うことはありません。また、CT検査やMRI検査と比較して、特別な場所や準備を必要としません。加えて、リアルタイムに観察できるだけでなく、様々な方向からも観察することができます。これらが超音波検査のメリットとして挙げることができます。

編集部編集部

逆にデメリットはありますか?

川田直樹さん川田さん

この超音波検査は、検査技師なら誰でもすぐに検査できるわけではありません。所見の見逃しを防止するために、認定資格の取得、知識や技術、経験などが必要とされます。

40代以上はぜひ毎年受けてほしい

40代以上はぜひ毎年受けてほしい

編集部編集部

超音波検査はどのような人が受けるべきでしょうか?

川田直樹さん川田さん

超音波検査は、健康診断でやる場合とそうでない場合がありますが、40代以上の人はぜひ毎年受けてほしいです。特に20~30代の頃に不摂生な生活を送った結果、肥満体型になったり、お酒を毎日飲んでいたりする人、血液検査で異常値が出た人などにおすすめしたいです。例えば、血液検査で肝機能に異常が見つかった場合、超音波検査で肝臓を調べます。超音波検査でも脂肪肝を指摘されたとき、軽度であれば生活習慣の改善で数値を基準値に戻すことができます。早い段階で見つけることが、早期治療や完治にもつながります。

編集部編集部

超音波検査を受ける際の注意点はありますか?

川田直樹さん川田さん

腹部を検査する場合は、食事制限が必要となります。胃に食べ物があると、ほかの臓器をうまく見ることができません。また、食後は胆汁が出るため、胆のうが萎縮してしまい、中を見ることができなくなってしまいます。検査を受ける前は医療機関から指示された、食事の制限を守るようにしてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

川田直樹さん川田さん

健康診断以外でも体に異常を感じる場合は、無理をせずに病院に相談してください。もし異常がなければ安心して生活することができます。異常があっても早期に見つかれば、早い段階のうちに治療をおこなうことができます。心配であれば、早い段階で医師に相談することをおすすめします。

編集部まとめ

超音波検査に痛みはなく、手軽に受けることができます。ポリープや腫瘍、嚢胞の発見に効果的で、がんを発見するのにも優れた検査だということがわかりました。40代になったら1年に一度は受けることを習慣にすると、病気の早期発見や治療につながるようです。

この記事の監修臨床検査技師