”妊娠の可能性”があっても「婦人科がん検診」は受けられる? 医師が注意点も解説!

妊娠の可能性があるとき、婦人科で子宮がん検診や乳がん検診は受けられる?メディカルドック監修医が受けられる検査・避けたほうが良い検査などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
婦人科受診で確認が必要な妊娠の可能性とは?
妊娠の可能性があるとき、「子宮がん検診や乳がん検診は受けても大丈夫なの?」「赤ちゃんに影響はない?」と不安になる方は少なくないでしょう。
婦人科検診には妊娠中でも実施できる検査と、注意や延期が必要な検査があります。この記事では、妊娠の可能性がある場合に受けられる検査・注意が必要な検査を中心に、受診前に知っておきたいポイントを解説します。
妊娠の可能性がある状況は?
医療現場では、以下のような場合を「妊娠の可能性がある」と判断します。
- 性交渉があり、次の月経がまだ来ていない
- 月経予定日を過ぎている、または周期が乱れている
- 避妊に失敗した、避妊できたか不確かな性交渉があった
- 妊娠検査薬をまだ使用していない、または使用時期が早い
妊娠初期は自覚症状が乏しいことも多く、本人が気付かないまま検診を受けるケースも珍しくありません。そのため、婦人科や健診の受付では、妊娠の可能性について必ず確認されます。
妊娠初期の症状
妊娠初期には、ホルモンバランスの急激な変化により、心身にさまざまな変化が現れることがあります。ただし、症状の現れ方や強さには個人差があり、ほとんど自覚症状がないまま妊娠が進行するケースも少なくありません。
代表的な症状として多いのが、月経の遅れです。妊娠が成立すると排卵や月経が止まるため、月経周期が比較的安定している方では、妊娠に気付くるきっかけになります。一方で、もともと月経不順がある場合は判断が難しいこともあります。
また、乳房の張りや痛み、乳頭の違和感も妊娠初期にみられやすい症状です。女性ホルモンの影響により、胸が張ったり、下着がきつく感じたりすることがあります。
悪心・嘔吐(いわゆるつわり)も代表的な症状の一つです。妊娠5〜6週頃から現れることが多く、においに敏感になる、食欲が変化するなどの症状を伴う場合もあります。ただし、つわりの有無や程度にも個人差があります。
そのほか、強い眠気やだるさ、疲れやすさを感じる方もいます。妊娠初期は体が妊娠状態に適応しようとする時期であり、十分な休息が必要です。
さらに、下腹部の違和感や軽い痛み、頻尿、便秘などがみられることもあります。
これらの症状は、妊娠以外の体調変化や月経前症状と区別がつきにくいことも多いため、妊娠の可能性が少しでもある場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。
妊娠の可能性がある場合でも、受けられる検査は?
妊娠の可能性があっても、母体や胎児への影響がほとんどない検査は実施できます。
問診・視診
問診や外陰部・腹部の視診は、妊娠の有無にかかわらず実施可能です。
月経歴、性交渉の有無、体調変化などを正確に伝えることで、適切な検査選択につながります。
子宮頸がん検診
妊娠中、または妊娠の可能性がある場合でも、子宮頸がん検診(細胞診)は原則として受けることが可能です。ただし、これは健康診断の一環として婦人科検診を受けようとする場合、医療機関によっては不可とされることもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
子宮頸がん検診は、子宮の入り口にあたる子宮頸部の細胞を専用の器具で軽くこすり取り、がんや前がん病変の有無を調べる検査で、胎児が存在する子宮内腔には直接触れません。
このため、妊娠そのものが検査の妨げになることは少ないと考えられます。実際に、妊婦健診の一環として、妊娠初期には子宮頸がん検診(細胞診)が1回必要に応じて行われます。
また、子宮頸がんは初期には自覚症状がほとんどないことが多く、検診による早期発見が非常に重要な病気です。妊娠をきっかけに医療機関を受診する機会が増えるため、「しばらく検診を受けていない」という方は、妊娠中であっても検査を勧められる場合があります。
一方で、妊娠中の子宮頸部は血流が豊富で、刺激により少量の出血が起こりやすい状態です。そのため、妊娠している、または妊娠の可能性がある場合には、必ず事前に医師や受付に伝えることが重要です。医師は、器具の種類や検査時の操作をより慎重に行い、必要に応じて検査時期を調整します。
超音波検査
婦人科検診での超音波検査は、腟からプローブを挿入する経腟エコーが多いと考えられます。超音波検査(経腹・経腟)は放射線を使用しないため、妊娠中でも安全性が高い検査です。そのため、妊娠の可能性がある場合でも、超音波検査を受けることは可能です。ただし、子宮頸がん検診の一環として受ける場合、医療機関によっては事前に医師と相談することが求められる場合があります。もし妊娠の可能性があるのであれば、きちんと申告することが大切です。
一方で、妊婦健診の場合には、胎児の状態をチェックするなどの目的で、妊娠期間中に何回か超音波検査が行われることがあります。
なお、乳腺エコー検査は妊娠の可能性があっても受けられるケースが多いでしょう。
妊娠の可能性がある時に注意が必要な検査は?
妊娠の可能性がある場合、婦人科検診のすべてを避ける必要はありませんが、胎児への影響が懸念される検査については慎重な判断が必要です。特に放射線を使用する検査や、子宮内に直接刺激を与える検査は、妊娠の有無を確認したうえで実施可否を決めます。
レントゲン検査
レントゲン検査は放射線を用いるため、妊娠中、とくに妊娠初期には原則として慎重に扱われます。婦人科領域では、乳がん検診のマンモグラフィや、他科で行われる胸部・腹部レントゲン検査などが該当します。
放射線量は検査ごとに管理されています。しかし、妊娠初期は胎児の重要な器官が形成される時期であるため、不要な被ばくは避けることが基本です。そのため、妊娠の可能性がある場合は、受付や医師に必ず申告し、検査を延期または代替検査(超音波など)に切り替える判断が行われます。
子宮体がんの一部検査
子宮体がん(子宮内膜がん)の検査では、子宮内膜を採取する「内膜細胞診」や「組織診」が行われることがあります。これらの検査は、子宮内に器具を挿入し内膜を直接採取するため、妊娠中は原則として実施しません。
妊娠の可能性がある状態で行うと、子宮収縮や流産のリスクが高まるおそれがあるためです。
そのため、不正出血などの症状がある場合でも、まず妊娠の有無を確認したうえで検査方針を決定することが重要です。
妊娠に気付かないまま検診を受けることは多い?
妊娠初期は自覚症状が乏しいことも多く、妊娠に気付かないまま婦人科検診を受けるケースは決して珍しくありません。とくに月経不順がある方や、つわりなどの症状が軽い方では、妊娠の発覚が遅れることがあります。
レントゲン検査や子宮体がんの一部検査など、注意が必要な検査もあるため、可能性が少しでもある段階で伝えることが重要です。
「婦人科検診」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「婦人科検診」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
子宮体がん(子宮内膜がん)
子宮体がん(子宮内膜がん)は、子宮の内側にある内膜から発生するがんで、閉経前後の女性に多いのが特徴です。主な原因として、エストロゲンの影響を長期間受けることが挙げられます。
不正出血が最も多い症状で、月経以外の出血や閉経後出血が続く場合は注意が必要です。治療は手術が中心で、進行度により放射線治療や薬物療法が併用されます。不正出血がみられた場合は、産婦人科の受診が推奨されます。
子宮頸がん
子宮頸がんは、子宮の出口にあたる頸部に発生するがんで、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が主な原因です。初期にはほとんど症状がなく、進行すると不正出血や性交時出血がみられることがあります。
検診による早期発見が可能ながんであり、治療は進行度に応じて手術、放射線治療、薬物療法が行われます。定期的な検診が重要で、受診先は産婦人科です。
卵巣がん
卵巣がんは卵巣や卵管から発生するがんで、初期症状が乏しいことが特徴です。腹部膨満感、下腹部の違和感、食欲低下など、はっきりしない症状で進行することがあります。
治療は手術と薬物療法が中心となります。症状が続く場合や超音波検査で異常を指摘された場合は、産婦人科での精密検査が必要です。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、30〜40代の女性に多くみられます。原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンの影響が関与すると考えられています。
過多月経、月経痛、貧血、不妊の原因になることもあります。症状や筋腫の大きさによって経過観察、薬物療法、手術などが選択されます。産婦人科の受診が基本です。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮内にある内膜組織が子宮以外の場所に発生する病気です。強い月経痛や慢性的な骨盤痛、不妊の原因となることがあります。
治療は薬物療法や手術療法があり、症状や妊娠希望の有無によって方針が決まります。月経痛が年々強くなる場合は、早めに産婦人科を受診することが大切です。
乳がん
乳がんは乳腺に発生するがんで、女性に最も多いがんの一つです。しこり、乳房の皮膚変化、乳頭分泌などが症状として現れることがあります。
治療は手術、放射線治療、薬物療法などを組み合わせて行われます。検診や自己触診で異常に気付いた場合は、乳腺外科または外科を受診しましょう。
婦人科検診前に妊娠していると感じたら…
ここでは、婦人科検診を受ける前に、妊娠の可能性に気づいた際に大切な事項について解説します。
妊娠検査薬に反応があったときの婦人科受診で受付時に伝えるべきことは?
妊娠検査薬で陽性が出た、または妊娠の可能性がある場合は、受付で必ずその旨を伝えましょう。検査内容を安全なものに調整できます。
必要に応じて妊娠判定を受けましょう
ご自身での妊娠検査薬などによるチェックでは妊娠の有無が不明確な場合、産婦人科を受診し、妊娠判定を受けましょう。不要な検査を避けることにつながります。
ただし、妊娠早期の段階では医療機関でも妊娠判定がつかないこともあります。
妊娠中の体調不良時は妊婦検診をずらしましょう
体調がすぐれない場合は、無理に検診を受けず、主治医と相談することが大切です。
「妊娠の可能性がある場合の婦人科検診」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「妊娠の可能性がある場合の婦人科検診」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
妊娠している可能性がある場合でも婦人科検診は受けられますか?
木村 香菜 医師
内容によりますが、受けられる検査もあります。事前申告が重要です。
妊娠を疑った方が良い症状はありますか?
木村 香菜 医師
月経の遅れ、胸の張り、悪心などが代表的です。
妊娠している可能性がある場合、受付で何を伝えればよいですか?
木村 香菜 医師
最終月経日、妊娠検査薬の結果、性交渉の有無を伝えましょう。
妊娠中は妊婦健診があるので子宮がん検診や乳がん検診は不要ですか?
木村 香菜 医師
子宮頸がん検診は妊婦健診の一環で行われることもあります。乳がん検診は妊娠中でも必要に応じて行われる場合がありますが、マンモグラフィは放射線被ばくの観点から原則として実施されません。妊娠中は超音波検査などが選択されることがあります。
まとめ 妊娠の可能性がある場合の婦人科検診は「事前申告」が重要!
妊娠の可能性がある場合でも、すべての婦人科検診が受けられないわけではありません。
大切なのは、妊娠の可能性を正確に伝え、安全な検査を選択することです。不安な点があれば、遠慮せず医師に相談しましょう。
「婦人科検診結果と妊娠の可能性」から考えられる疾患・健康状態
「婦人科検診結果と妊娠の可能性」から医師が考えられる疾患・健康状態は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
妊娠・妊娠関連の状態
- 正常妊娠(妊娠初期)
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)
- 妊娠初期に伴うホルモン変化による体調変化
妊娠の可能性がある場合、検診結果の受け取り方や追加検査の判断が変わることがあります。自己判断せず、結果に不安があるときは医師に相談しましょう。
「婦人科検診結果と妊娠に関連する症状」に関連する症状
「婦人科検診結果と妊娠の可能性」から医師が考えられる症状は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 下腹部が痛い
- 不正出血がある
- 生理が遅れる
- 胸が張る、痛みがある
- 吐き気・嘔吐がある
- お腹が張る、膨満感がある
- 立ちくらみ・めまいがする
- 強い眠気やだるさを感じる
これらの症状は妊娠初期の変化だけでなく、婦人科疾患が原因となっている場合もあります。症状が続く、強くなる場合は早めに医師へ相談しましょう。
参考文献




