「メタボリックシンドロームを予防」すれば”何の病気”が防げる?医師が解説!

メタボリックシンドロームを予防するには?メディカルドック監修医が主な原因や放置した際に起こるリスク・対処法などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームとは、腹囲が大きいだけではなく、各種の代謝異常を伴っている状態です。
放っておくと、動脈硬化の進行や心血管疾患・脳血管疾患の発症のリスクが高まります。
メタボリックシンドロームの定義と腹囲などの診断基準について
メタボリックシンドロームの定義は内臓脂肪の蓄積があり、高血糖・高血圧・脂質代謝異常などの生活習慣病のリスクが重複している状態です。
メタボリックシンドロームの診断基準は内臓脂肪蓄積(ウエスト周囲径)が必須項目です。それに加えて、高血糖・血圧高値・脂質異常の3項目のうち2項目以上が異常値に該当した場合にメタボリックシンドロームと診断されます。
内臓脂肪蓄積は健康診断などでは一般的に、ウエスト周囲径(腹囲)を測定して判定します。基準値は男女で異なります。
男性は85cm以上、女性は90cm以上です。男性は85cm以上、女性は90cm以上の基準値は内臓脂肪の面積が100cm²に相当し、内臓脂肪の過剰蓄積と判定されます。
女性のウエスト周囲径の基準値が男性より大きい理由は、一般的に女性は皮下脂肪が男性に比べて多いためです。
糖代謝・血圧・脂質代謝の基準値を以下に示します。
1)脂質代謝
中性脂肪(TG)値 ≧150mg/dL かつ/またはHDLコレステロール <40mg/dL
2)血圧
収縮期血圧 ≧130mmHg かつ/または拡張期血圧 ≧85mmHg
3)糖代謝
空腹時血糖値 ≧110mg/dL
健診で指摘されたメタボを放置するとどんな健康リスクが発生する?
メタボリックシンドロームを放置すると、さまざまな代謝異常を引き起こしやすくなります。
高血糖・血圧高値・脂質異常症など、それぞれが軽度の高値であっても、複数あることは動脈硬化が進行するリスク因子です。さらに、動脈硬化が進行することは心血管疾患・脳血管疾患などの発症のリスクが高まるといわれています。
メタボリックシンドロームの主な原因
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積・食生活や運動習慣・ストレスなどの生活習慣が主な原因です。
内臓脂肪の蓄積
メタボリックシンドロームの主な原因は内臓脂肪の蓄積です。内臓脂肪は、体内でエネルギーが不足した時に供給するため、エネルギーを備蓄する働きがあります。内臓脂肪の過剰な蓄積は、脂肪分解が増えるため、脂質異常症や高血糖が起こりやすい状態となります。また、脂肪組織はアディポサイトカインと呼ばれる物質を産生・分泌する臓器であるといわれています。内臓脂肪が過剰に蓄積されると、アディポネクチンの産生や分泌に異常を起こし、代謝異常を引き起こしやすいです。
食生活の乱れ・運動不足・ストレス
メタボリックシンドロームの主な原因である、内臓脂肪の蓄積は、食生活の乱れ・運動不足・ストレスなどが関係します。
・食生活の乱れ
栄養素のバランスでは、糖質が多いこと・たんぱく質が少ない食事は肥満と関連しているといわれています。また、過食や遅い時間の夕食などは過剰なエネルギー摂取になりやすいです。エネルギー摂取量が過剰な状態が続くと内臓脂肪の蓄積につながりやすいです。
・運動不足
運動不足や、日常の身体活動が少ないことは、消費エネルギーを摂取エネルギーが上回る可能性があり、内臓脂肪が蓄積されやすくなります。
・ストレス
ストレスは、ホルモンバランスや生活習慣に影響して、内臓脂肪の蓄積や肥満を招きやすくなるといわれています。
食事でメタボを予防・改善する方法
食事でメタボリックシンドロームの予防・改善する方法は、過剰なエネルギー摂取にならないようにすることです。また、バランスの良い食事や食べ方を工夫して内臓脂肪を減少しましょう。
バランスの良い食事の基本
バランスの良い食事の基本は、糖質・たんぱく質・脂質のバランスが偏らないように摂取することです。
麺類やパンなど主食のみの食事は、糖質や脂質が多くなります。逆にたんぱく質やビタミンやミネラルは不足しやすい傾向です。糖質や脂質が多い食事は高エネルギーのものが多く、エネルギーの過剰摂取につながり内臓脂肪が増加しやすくなります。
食物繊維の十分な摂取は体重や腹囲を減少する効果があると報告されています。食物繊維は野菜や全粒粉の穀物などに多く含まれる栄養素です。また、ビタミンやミネラルといった栄養素は、体内の代謝に関わる役割があります。
定食のように、主食・主菜・副菜がそろった食事は、栄養素がバランス良く摂取できる傾向にあるためおすすめです。
控えるべき食品
控えるべき食品は、過剰なエネルギー摂取につながりやすい食品です。ジュースやコーヒーなどの糖入り飲料や菓子類などの嗜好品の習慣的な摂取は、摂取エネルギーが過剰になりやすいです。摂らないようにするか、摂取量や回数を減らすことをおすすめします。
メタボにならない食べ方の工夫
メタボリックシンドロームにならない食べ方の工夫は、早食いせずよく噛んでゆっくり食べましょう。早食いは食べ過ぎの原因になります。その結果、エネルギー過剰摂取になり、体重増加や内臓脂肪の蓄積につながりやすいです。よく噛んで食べることは、食事量の減少や、脂肪分解も期待できます。また、夜は内臓脂肪が蓄積されやすい時間帯です。夕食を食べ過ぎないようにして、夜食は控えることをおすすめします。
運動でメタボを予防・改善する方法
運動でメタボを予防・改善する方法は、定期的に、継続して行いましょう。
運動だけではなく、日常の生活活動でもエネルギーは消費します。座っている時間を少なくし、消費エネルギーを増やしましょう。
おすすめの運動は?
メタボリックシンドロームに効果的な運動は、消費エネルギーを増やすことが重要です。ウォーキングなどの有酸素運動を中心に行いましょう。サルコペニア肥満の予防や改善には、筋力トレーニングをあわせて行うことが効果的です。
運動の頻度と時間の目安は?
運動する頻度と時間の目安は、1日合計30分以上・週5日以上または週150分程度が推奨されています。慣れてきたら、1日60分以上または週300分以上としてもよいとされています。
日常生活でできる運動習慣は?
日常生活でできる運動習慣は、座っている時間を減らしましょう。また、今より10分多く歩く・エスカレーターやエレベーターを使わないなど、日常の動作の中で消費エネルギーを増やすことがおすすめです。
メタボリックシンドロームの人が気をつけたい生活習慣の見直しポイント
メタボリックシンドロームの人が気をつけたい生活習慣の見直しポイントは、睡眠不足の解消、ストレス管理、禁煙や飲酒量のコントロールなどです。
睡眠不足の解消
睡眠不足は、食欲に関係するホルモンのバランスが乱れやすくなるという報告があります。睡眠不足の状態では、空腹感が増して、摂取エネルギーが増え、体重増加につながると考えられているためです。
肥満を予防する睡眠時間の設定は難しいとされていますが、5〜8時間の睡眠をとることを推奨されています。
ストレス管理
慢性的なストレスと腹部肥満には関連があるといわれています。慢性的なストレスがあると、体内で炎症を促進し、メタボリックシンドロームの悪化につながると報告されています。ストレスは早めに対処することが大切です。気分転換や休養をして、ストレスを管理しましょう。
禁煙・飲酒のコントロール
・禁煙
喫煙者は内臓脂肪の蓄積が多いという報告があります。喫煙の習慣は、糖や脂質の代謝異常を起こし、メタボリックシンドロームの発症リスクを高めるといわれています。さらに、喫煙は動脈硬化を進行させるリスク因子です。喫煙の習慣があれば、禁煙しましょう。
・飲酒のコントロール
アルコールは高エネルギーの飲料です。ビール350mLで約150kcal、日本酒1合で約200kcalあります。また、アルコールの食欲増進作用や、脂質の多いつまみなどの摂取によってエネルギー摂取過剰になりやすいです。飲酒の習慣がある場合は、節酒や休肝日を作り、飲酒量を減らすことがおすすめです。
「メタボリックシンドローム」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「メタボリックシンドローム」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肥満症
肥満症とは、肥満が原因の合併症があるか、合併するおそれがあり、医学的に減量が必要な状態です。
肥満症は、BMIが25以上あり、高血圧や脂質異常症、耐糖能障害など11種類の健康障害のうち、1つ以上あてはまると肥満症と診断されます。また、内臓脂肪型肥満がある場合も、肥満症と診断されます。内臓脂肪型肥満は、健康障害を合併するリスクが高いためです。
肥満症を発症する原因は、食べ過ぎや運動不足だけではなく、ストレスや遺伝要因などさまざあるといわれています。
肥満症の基本的な治療法は、食事や運動習慣を改善し、減量することです。現体重から3%の減量をすることで合併症の改善効果があるといわれています。
メタボリックシンドロームや、肥満があり高血圧、脂質異常症、高血糖なども指摘された場合、肥満症の可能性があります。生活習慣の改善に取り組み、はやめに一般内科を受診しましょう。
脂質代謝異常・高脂血症
脂質異常症はLDLコレステロールや中性脂肪が基準値より高い・HDLコレステロールが基準値より低い状態です。
脂質異常症の診断基準は、LDLコレステロールは140mg/dL以上、中性脂肪は空腹時150mg/dL以上、HDLコレステロールは40mg/dL未満です。脂質異常症は、肥満、飽和脂肪酸やエネルギーの摂取過剰・過剰飲酒などが主な原因になります。飽和脂肪酸の摂取を減らし、エネルギーは適正量の摂取にして、活動量を増やしましょう。現体重から3%体重減少することで、脂質代謝異常の改善効果が期待できるといわれています。
食事・運動療法で十分な効果が現れない場合、薬物療法を併せて行うこともあります。
脂質異常症やメタボリックシンドロームを指摘されたら、はやめに一般内科を受診しましょう。
糖尿病
糖尿病とは、血糖値を下げる作用のあるインスリンというホルモンの作用が不十分のため、血糖値が高くなっている状態です。
糖尿病は、遺伝や肥満・運動不足などの環境因子が主な発症の原因となります。
糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。適正なエネルギー摂取・バランスの良い食事にします。体重を減らして内臓脂肪を減少させることで、糖代謝異常の改善効果が期待できるといわれています。まずは現体重から3%の体重減少を目指しましょう。運動療法は散歩などの有酸素運動が推奨されています。座っている時間が長くならないよう、日常生活の中で活動量を増やすこともおすすめです。
食事・運動療法で十分な効果が現れない場合は、薬物療法を併せて行います。
高血糖やメタボリックシンドロームを指摘された場合や、体重減少・のどが渇く・多尿・倦怠感など糖尿病の症状がある場合は、すみやかに一般内科を受診しましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、心臓の血管が詰まり、心臓への血液の供給が不足することによって起こる病気です。心臓の血管が詰まると、心臓に血液が供給されなくなるため、酸素や栄養が途絶え心筋が壊死してしまいます。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や喫煙などは動脈硬化を進行させ、心筋梗塞発症のリスクを高めます。
心筋梗塞の主な治療法は、カテーテル治療、バイパス手術、薬物治療です。
心筋梗塞を予防には、食事や運動、禁煙など生活習慣改善が効果的です。また、メタボリックシンドロームの解消も心筋梗塞の予防効果があるという報告があります。
激しい胸痛や冷や汗、吐き気など、心筋梗塞を疑う症状があればすぐに救急要請をしましょう。
脳梗塞
脳梗塞とは脳の血管が詰まることで、脳に血液が循環しなくなり、脳に障害が起こる病気です。高血圧・メタボリックシンドローム・脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病や不整脈、喫煙により動脈硬化が進行することが発症の危険因子です。
脳梗塞の治療は、薬物療法やステントやカテーテルを用いて血管内治療を行います。
脳卒中の予防は高血圧や糖尿病などの生活習慣病の改善・メタボリックシンドロームの解消や禁煙などです。ろれつが回らない・顔の半分や身体の半身が動かないなどの症状が現れた場合はすぐに救急要請をしましょう。
高血圧
高血圧は血圧の高値が持続している状態です。診察室での測定で、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上が高血圧と診断されます。
高血圧の主な原因は、食塩の過剰摂取・メタボリックシンドローム・飲酒・運動不足や喫煙などです。高血圧の治療の基本は、食事療法と運動療法です。減塩・節酒・禁煙や軽度の運動を行います。重症な高血圧や合併症によっては運動を制限する必要があるため、運動の強度については医師に相談しましょう。
現体重から3%体重減少することで、高血圧の改善効果が期待できるといわれています。食事・運動療法で十分な効果が現れない場合は、薬物療法を行います。
測定血圧が基準値を繰り返し越える場合は、はやめに循環器科を受診しましょう。
「メタボリックシンドロームの予防」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「メタボリックシンドロームの予防」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
メタボリックシンドロームを予防するにはどうすれば良いでしょうか
伊藤 陽子(医師)
内臓脂肪が過剰に蓄積されないようにしましょう。内臓脂肪の過剰な蓄積を避けるには、食事と運動習慣を見直し生活習慣を改善すると良いでしょう。
メタボリックシンドロームにおすすめの食事法はありますか
伊藤 陽子(医師)
メタボリックシンドロームにおすすめの食事法は、過食にならないようにしましょう。色々な食材をバランスよく摂取することもおすすめです。
メタボリックシンドロームに効果的な運動はありますか
伊藤 陽子(医師)
メタボリックシンドロームに効果的な運動は、ウォーキングなどの有酸素運動です。消費エネルギー量を増やすことが重要で、座っている時間を減らすことも運動療法のひとつになるといわれています。
メタボ予防は診断基準に満たない予備軍でもしておくべきでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
メタボリックシンドロームの診断基準に満たない予備軍でも、代謝異常が複数あると動脈硬化の進行しやすくなるといわれています。メタボリックシンドロームの予備軍でも、食事や生活習慣を改善し腹囲を減少させることをおすすめします。
まとめ メタボリックシンドロームを予防するには生活習慣の管理がポイントです!
メタボリックシンドロームを予防するには、内臓脂肪が蓄積されにくい食生活や運動習慣など、生活習慣がポイントです。過剰なエネルギー摂取にならないようにして、バランスの良い食事と嗜好品は適量の摂取にすることをおすすめします。日常の活動量が少ないことやストレス、睡眠不足、喫煙などの生活習慣もメタボリックシンドロームに関連するといわれています。食生活と合わせて見直しましょう。
「メタボリックシンドローム」で考えられる病気と特徴
「メタボリックシンドローム」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
脳神経系
腎臓系
- 腎臓病
内臓脂肪が過剰に蓄積されると、体内で代謝異常が起こりやすくなります。複数の代謝異常は動脈硬化が進行しやすく、合併症を招くリスクが高まります。メタボリックシンドロームと診断されたら、すみやかに改善しましょう。
「メタボリックシンドローム」に関連する症状
「メタボリックシンドローム」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 血圧が高い
- 血糖値が高い
- 中性脂肪が高い
- HDLコレステロールが低い
メタボリックシンドロームに該当しても、症状は現れないことが多いです。
内臓脂肪の過剰な蓄積は、代謝異常を起こしやすい状態です。生活習慣病の発症や動脈硬化の進行のリスクになります。また、動脈硬化が進行することで、心血管疾患や脳血管疾患を発症するリスクも高まります。メタボリックシンドロームと診断されたり、予備軍と指摘されたら、食事や生活習慣を改善しましょう。
参考文献

