「コーヒーを飲むと尿酸値」はどうなるかご存知ですか?飲む際の注意点も解説!

コーヒーを飲むと尿酸値は下がる?上がる?メディカルドック監修医が尿酸値が高い人におすすめの食事や痛風予防の生活習慣について解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
尿酸値とは
尿酸値とは尿酸という物質の血液中の濃度の値です。尿酸とはプリン体というエネルギーの原料となる物質が体内で分解された後に残るものです。体内では尿酸の産生・尿酸の排泄力が一定になるように保たれています。このバランスが崩れると尿酸値が高くなります。尿酸の産生と排泄のバランスが崩れる原因は、食べすぎ・過剰飲酒・水分不足・運動習慣や肥満症や高血圧などの生活習慣病です。 高尿酸血症の診断基準は男女共に7.0mg/dL以上です。 尿酸値が高い状態が続くと、痛風・尿路結石・腎臓病などを引き起こす危険があります。肥満症・高血圧などの生活習慣病を合併していると、動脈硬化が進行しやすくなり、心筋梗塞などの心疾患や脳血管障害などを招くリスクが高まります。コーヒーを飲むと尿酸値は高くなるのか下がるのか?
コーヒーの摂取と尿酸値の関係は、まだ不明瞭なことが多いです。コーヒーを飲んでも尿酸値には影響がないといわれていますが、コーヒーを飲むと尿酸値が下がるという報告もあります。また、痛風の発症予防にはコーヒーの摂取が有効であるといわれています。コーヒーの効果
コーヒーを飲むことによる尿酸値への影響はまだはっきり解明されていません。今のところコーヒーを飲んでも尿酸値へ大きく影響することはないと報告されています。しかし、コーヒーを飲むことで尿酸値を下げる、痛風発作のリスクを下げるという報告もあり、今後の更なる研究が期待されます。コーヒーは1日何杯飲むと尿酸値に効果が出るのか
コーヒーを1日に何杯飲むと、尿酸値に効果が出るのかは不明瞭です。しかし、日本人の中年男性を対象に行った調査では、コーヒーを飲まない人と比べて、1日5杯以上摂取する人の方が尿酸値が低いと報告があります。コーヒーを飲む際に気をつけた方が良いことは?
コーヒーはカフェインを多く含みます。コーヒーの飲みすぎは、カフェインの過剰摂取につながりかねないため注意が必要です。また、砂糖やクリーム入りのコーヒーはカロリーの過剰摂取や糖尿病などの生活習慣病を招く可能性があります。カフェインの過剰摂取に注意
コーヒーはカフェインを多く含む飲み物です。コーヒーの飲みすぎはカフェインの過剰摂取につながる可能性があります。カフェインの過剰摂取によって現れる症状は、めまい・動悸・興奮・不眠・吐き気などです。カフェインの作用には個人差があるため、日本ではカフェインの1日の摂取許容量は設定されていません。 米国食品医薬品局(FDA)によると、健康な成人ではカフェインの摂取が1日に400mgまでであれば健康に悪影響を及ぼさないとしています。 コーヒー100ml中のカフェインの量は、浸出液(コーヒー粉末10g/熱湯150ml)では60mg、インスタント(粉末2g/熱湯140ml)では57mgです。コーヒーだけであれば、1日マグカップ3杯程度が適量です。 カフェインはコーヒー以外にも、紅茶・煎茶・ウーロン茶・エナジードリンクなどにも含まれています。1日の中で、コーヒーだけでなく、紅茶・煎茶・ウーロン茶・エナジードリンクなども摂取する場合は、カフェインの過剰摂取にならないように注意しましょう。砂糖やクリームは控えめに
糖質の過剰摂取は尿酸値を上昇させるといわれています。砂糖の構成成分である果糖は体内で代謝される際、プリン体の分解を亢進させるため尿酸値が上がりやすくなります。コーヒーに入れるクリームは液状タイプや粉末タイプがあり、原材料の主な成分は植物油脂や乳製品です。主原料が植物油脂の場合、他に乳製品や砂糖・カゼインなどを加えて作られています。1個(1回量)当たり15kcal・脂質は1g前後の商品が多く、1回量としてはカロリーも脂質も多くありません。しかし、1日にクリーム入りのコーヒーを数杯飲む・1回に複数個入れたものを飲んでいるとカロリーや脂質の摂取量が多くなり、尿酸値が上がる可能性があります。 砂糖やクリームが大量に入ったコーヒーはエネルギーや糖質・脂質の過剰摂取につながりやすくなります。ブラックコーヒーや砂糖やクリームを控えめにしたコーヒーの摂取がおすすめです。コーヒーや牛乳は尿酸排出を助ける?
今のところコーヒーと尿酸値の関係ははっきりわかっていません。コーヒーを飲んでも尿酸値に大きな影響は与えないといわれていますが、コーヒーを飲むことで腎臓からの尿酸排出が促進されるという報告もあります。牛乳と尿酸値の関係については、牛乳に含まれるカゼインとラクトアルブミンというたんぱく質が尿酸の排出を助ける作用があるといわれています。おすすめの牛乳は低脂肪牛乳です。普通の牛乳よりも脂質やカロリーが少ないためです。 低脂肪牛乳は普通の牛乳より脂質・カロリーが少ないからといって、大量に摂取すると、過剰なカロリー摂取につながります。1日に1杯程度の摂取が適量としましょう。「尿酸値」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「尿酸値」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。痛風
痛風発作は高尿酸血症の期間が長く、数値が高いほど生じやすいといわれています。尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節にたまり、突然足の親指などに激痛、発赤、腫脹などを伴う急性関節炎が痛風発作が現れる場合があります。痛風の発症は遺伝要因や環境要因が主な原因です。 発症の原因としては、遺伝要因より、環境要因の方が大きいといわれています。過食やアルコールの過剰摂取・脱水・肥満などが主な環境要因です。 治療法は、肥満の解消・適正カロリーの摂取・適正量の飲酒・十分な水分補給・運動不足の解消などの生活改善を行います。痛風発作時は、消炎鎮痛薬を用いるなど薬物治療を行います。足の親指などに痛みがでて痛風発作の疑いがある場合は整形外科や一般内科を受診しましょう。尿路結石
尿路結石とは、尿路(腎臓・尿管・尿道・膀胱)に結石ができる病気です。尿路を結石が通過する際に、激痛や血尿を生じたり、尿路に結石が詰まることで感染を起こし、発熱することもあります。尿路結石発症は、食生活などの生活習慣、内分泌疾患、尿路感染症、遺伝などが原因で起こります。尿路結石が小さい場合は自然に排出されることが多いです。結石が自然に排出されない場合は、薬物による溶解や手術での摘出を検討します。 尿路結石の再発予防法は、1日2000mL以上の飲水・バランスの良い食事・肥満の解消・適度な運動など、食事や生活習慣の改善です。基礎疾患などがあり、再発のリスクが高い場合は生活習慣の改善と併せて、薬物療法を行う場合があります。血尿や背中などに痛みが現れた場合はすみやかに泌尿器科を受診しましょう。心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の細胞が壊死を起こした状態です。心臓の血管内に血栓が詰まり、心臓に血液が十分に届かなくなることで起こります。心筋梗塞は高血圧・肥満などの生活習慣病や喫煙などによる動脈硬化が主な原因です。 心筋梗塞を発症すると、突然の胸の激痛・胸の圧迫感などが主な症状で、安静にしても症状がおさまらず、30分以上症状が続きます。 予防は食習慣の改善、高血圧など生活習慣病の治療をすること、禁煙や運動不足の解消など生活習慣の改善です。突然現れた激しい胸痛や、胸の圧迫感などの症状が現れ、症状が持続する場合には、早急に救急要請をしましょう。高血圧
高血圧とは血圧が慢性的に高い状態です。診察室での血圧が、収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上で高血圧と診断されます。高血圧の主な原因は食塩の過剰摂取やアルコールの多飲、肥満、喫煙、運動不足などの生活習慣・加齢・ストレスなどです。また、尿酸値が高い肥満者・女性・若年者は高血圧を発症しやすいといわれています。 高血圧の状態が続くと、血管が厚く・硬くなり動脈硬化を起こす原因になります。動脈硬化は脳卒中・心筋梗塞・腎臓病・眼底出血などを引き起こすリスク因子です。高血圧の治療は減塩や節酒、肥満の解消といった食事療法と、禁煙・運動不足の解消・ストレスをためないなど生活習慣の改善を行います。食事や生活習慣の改善をしても血圧が高い場合には、薬物療法を併用する場合があります。家庭での血圧が繰り返し高い状態が続く場合や、健康診断で高血圧を指摘された場合は、早めに内科を受診しましょう。尿酸値を下げるための対処法・改善法は?
尿酸値が高くなる原因は、尿酸産生過剰、飲水不足などで尿酸の排泄力が弱い、もしくはその混合型です。食事・飲酒・飲水量・運動習慣などの生活習慣や肥満や高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病が尿酸の産生や排泄に影響します。尿酸値を下げる食べ物の摂取や尿酸値を上げやすい食べ物の制限など、生活習慣を改善して合併症のリスクを低減させましょう。コーヒー以外におすすめの飲み物は?
尿酸値を下げるには、尿量が1日2000ml以上になるように、水・お茶などカロリーのない飲み物を十分に摂りましょう。心臓病や腎臓病があり医師から水分制限がある場合は主治医の指示に従ってください。牛乳は尿酸の排出を助ける働きがあると前述しましたが、牛乳にはカロリーがあり乳脂肪を含みます。水分補給として牛乳を大量に摂取すると、脂質やカロリーの摂りすぎにつながります。牛乳は1日コップ1杯程度が適量です。プリン体を多く含む食品を控える
プリン体を過剰に摂取すると、体内での尿酸の産生が過剰になるため、血液中の尿酸が増え尿酸値が上がります。プリン体を多く含む食品は、肉類や魚類・レバーなどの内臓や白子などです。プリン体の含有量が多くない食品でも、一度に大量に摂取するとプリン体の摂取量も過剰になります。プリン体の摂取は1日400mg未満になるようにしましょう。 プリン体含有量一覧(100gあたり)| 極めて多い(300mg~) | 鶏レバー、干物(マイワシ)、白子(イサキ、ふぐ、たら)、あんこう(肝酒蒸し)、太刀魚、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)など |
| 多い(200~300mg) | 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)など |
| 中程度(100~200mg) | 肉(豚、牛、鶏)類の多くの部位や魚類など、納豆、ほうれんそう、ブロッコリースプラウトなど |
| 少ない(50~100mg) | 肉類の一部(豚、牛、羊)、魚類の一部、加工肉類など、ほうれんそう(葉)、カリフラワー |
| 極めて少ない(~50mg) | 野菜類全般、米などの穀類、卵(鶏、うずら)、乳製品、豆類、きのこ類、豆腐、加工食品など |
適度な運動
尿酸値を下げるには、歩行や軽いランニングなどの有酸素運動がおすすめです。10分以上の運動を1日30分から60分程度行うことが推奨されています。筋トレなど短時間での激しい運動は尿酸が高くなりやすいため、おすすめしません。 脱水予防のため、運動中や運動前後に十分な水分補給をしましょう。「尿酸値とコーヒー」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尿酸値とコーヒー」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
痛風で尿酸値が高い人はコーヒーを控えるべきですか?
伊藤 陽子(医師)
コーヒーを飲むことで、尿酸値が下がるかについては、まだはっきりとわかっていません。しかし痛風に関しては、コーヒーの摂取は痛風の発症予防の効果があるといわれています。カフェインの過剰摂取にならないよう、適量の摂取がおすすめです。
カフェラテ・コーヒー牛乳を飲むと尿酸値は下がりますか?
伊藤 陽子(医師)
カフェラテ・コーヒー牛乳には、牛乳など乳製品が多く入っています。前述したように、乳製品の摂取は尿酸値を下げる効果が期待できます。牛乳や乳製品が入る分、ブラックコーヒーと比べて高カロリーです。また、市販のカフェラテ・コーヒー牛乳は砂糖が添加されているものが多いです。カロリーや砂糖の摂り過ぎは尿酸値を上げるため、カフェラテ・コーヒー牛乳は無糖のものを選ぶようにして、飲みすぎないようにしましょう。
納豆を食べると尿酸値は下がる可能性がありますか?
伊藤 陽子(医師)
納豆はプリン体を含む食品です。1個(40g)当たりプリン体は45.6mgと多くはありません。しかし、1日に数個摂取するとプリン体の過剰摂取につながる可能性があります。1日に1個程度の納豆の摂取であれば、尿酸値には影響しないという報告があります。
食事に注意しても尿酸値が高い人は何科で治療を受けられますか?
伊藤 陽子(医師)
食事の改善や十分な水分補給・運動不足の解消など生活の改善を行っても尿酸値が高い場合は、まずは一般内科を受診することをおすすめします。
まとめ 「コーヒーを飲むと尿酸値」は下がる可能性があります!
痛風の発症予防にコーヒーは効果があるといわれていますが、コーヒーが尿酸値に与える影響についてはさまざまな報告があり、まだ不明瞭なことが多いです。しかし、コーヒーを飲むと尿酸値排出を助ける効果があるという報告があり、コーヒーを飲むことで尿酸値を下げる可能性はあると考えられます。 コーヒーはカフェインを多く含む飲み物です。コーヒーの過剰摂取によって、健康被害が現れる可能性もあります。尿酸値を下げるには、まず食事や運動習慣の改善・肥満の解消が重要です。生活習慣の改善と合わせてコーヒーは適量の摂取にするようにしましょう。「尿酸値」の異常で考えられる病気
「尿酸値」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。整形外科の病気
泌尿器科の病気
腎臓内科の病気
- 腎臓病
内分泌内科の病気
「尿酸値」と関連する症状
「尿酸値」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する病気
- 足の親指の付け根が痛い
- たんぱく尿
- 血尿
- 背中が痛い




