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健康診断で「メタボリックシンドローム予備軍」と診断されたら?対処法も医師が解説!

 公開日:2025/10/15

メタボリックシンドローム予備軍と診断されたら?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

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メタボリックシンドローム(メタボ・内臓脂肪症候群)とは?

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加えて「高血圧」「脂質異常症」「高血糖」のうち2つ以上が重なった状態を指します。放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる疾患のリスクが高まります。現代の生活習慣病の代表格であり、早期の生活習慣改善が強く推奨されています。

メタボリックシンドローム予備軍とは?

メタボリックシンドロームの一歩手前の状態を「予備群」と呼びます。具体的には、内臓脂肪が多く(男性85cm以上、女性90cm以上の腹囲)、かつ血圧・血糖・脂質のいずれか1項目で基準を超えている人が該当します。まだ「メタボ」と診断されていなくても、将来の生活習慣病や心血管疾患のリスクが高まるため注意が必要です。

メタボリックシンドローム予備軍は健康診断で分かる?

特定健診(いわゆる「メタボ健診」)では、腹囲測定・血液検査・血圧測定によってメタボ予備群かどうかを判定します。40歳以上、75歳未満の医療保険加入者が対象となります。毎年の健康診断で早期に把握できるため、生活習慣の改善を始める良いきっかけになります。

メタボリックシンドロームと予備軍の診断基準は?

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満があるかどうかが重要となります。他にも、いくつかの診断基準があります。

腹囲

男性は85cm以上、女性:90cm以上で内臓脂肪型肥満と推察されます。内臓脂肪面積が測定できる際には、男女ともに内臓脂肪面積100cm2以上かどうかで判定されます。

血圧

収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg以上、かつ、または拡張期血圧(下の血圧)が85mmHg以上の場合は診断基準を満たします。

血糖

空腹時血糖は110mg/dL以上のときに診断基準を満たしています。

脂質

中性脂肪が150mg/dL以上、かつ、あるいはHDLコレステロールが40mg/dL未満の場合に診断基準を満たしたと判定されます。

BMI

BMIは肥満度を示す指標で、25以上は肥満とされます。ただし、診断基準そのものには含まれず、参考値として利用されます。

メタボリックシンドローム・予備軍の主な原因とは?

お腹についた脂肪の細胞は、遊離脂肪酸と呼ばれる化学物質の体内での濃度を高めると示唆されています。遊離脂肪酸は、インスリン抵抗性を高め、血糖値を下げる働きを妨げる場合があります。これをインスリン抵抗性とよびます。遊離脂肪酸とインスリン抵抗性が揃うと、悪玉(LDL)コレステロールを増加させ、逆に善玉(HDL)コレステロールを減少させる可能性があります。また、インスリン抵抗性は血圧や血中の中性脂肪の濃度を上昇させることもあります。つまり、メタボリックシンドロームは腹部の脂肪が悪さをすることで引き起こされるのではないかと考えられているのです。 以下のような要因は、メタボリックシンドロームのリスクを高めると考えられています。

生活習慣の乱れ

良質な睡眠が取れていないことや運動不足はメタボリックシンドロームのリスクを高める可能性があります。 また、喫煙や大量の飲酒もリスクを高めます。

食生活の偏り

高脂肪食、高カロリー食、野菜不足などの不健康な食生活を送ったり、カロリー摂取量が過多になったりすることも、メタボリックシンドロームのリスク要因となります。

加齢

年齢を重ねるにつれ、メタボリック症候群のリスクが高まります。

メタボリックシンドローム予備軍の男女比の割合は?

令和5年度、市町村国保特定健康診査・特定保健指導実施調査報告書で、40〜74歳までの男女のデータが報告されています。調査によると、メタボリックシンドロームならびに予備群の割合は、全体、男女で以下のようになっています。
メタボリックシンドローム メタボリックシンドローム予備群
全体のうちの割合 20.5% 31.5%
男性の中での割合 32.8% 50.5%
女性の中での割合 11.2% 17.2%
このように、メタボリックシンドロームと予備群両者で、男性の方が女性よりも割合が高いことがわかります。 なお、男女比を計算してみると以下のようになります。 男性全体のメタボリックシンドローム予備群の人数=464,727人
女性全体のメタボリックシンドローム予備群の人数=207,549人
このデータからみると、男性:女性=約2:1ということになります。 なお、男女ともに、加齢とともにメタボリックシンドローム・予備群の割合は増加します。

「メタボリックシンドローム予備軍」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「メタボリックシンドローム予備軍」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

心筋梗塞

動脈硬化などが原因となり心臓の血管が詰まる病気です。胸の強い痛みや呼吸困難を引き起こします。循環器内科の受診が適切です。早期治療が必要です。 メタボリックシンドロームを有する場合、心筋梗塞を含む冠動脈疾患のリスクが上昇することが報告されています。

脳卒中

脳の血管が詰まる・破れることで、手足の麻痺や言語障害が出現します。救急対応が必須で、神経内科や脳神経外科で治療を行います。 多くの観察研究でメタボリックシンドロームは脳卒中の危険因子であると示されています。特に、メタボリックシンドロームによる脳卒中発症のリスクは、女性の方が男性よりも高いと報告されています。

糖尿病

高血糖が持続する病気で、合併症として神経障害や腎障害、網膜症などがあります。内科または糖尿病専門外来での管理が必要です。メタボリックシンドロームの方は、2型糖尿病になるリスクが約3倍になるといわれています。

肥満症

肥満症は、メタボリックシンドロームと似ていますが少し違う部分もあります。 BMIが25以上で、肥満による健康障害が生じている状態を肥満症と呼びます。例えば、耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症状・痛風などがあります。 減量が治療の基本となりますが、高度肥満の場合には超低エネルギー食療法、手術で胃を狭くする、食欲抑制剤などによる抗肥満薬療法が行われるケースもあります。

脂質異常症

血液の中の悪玉(LDL)コレステロール、善玉(HDL)コレステロール、あるいは中性脂肪の濃度が異常を示す状態を脂質異常症と呼びます。いずれの状態も、動脈硬化が促進されることが知られています。飽和脂肪酸や糖質の摂りすぎを避ける、運動、減量などが大切です。内科や内分泌内科、循環器内科などで治療されます。

メタボリックシンドローム予備軍と診断されたら?

健康診断で「予備群」と指摘された場合、まずは内科を受診し、必要に応じて再検査や生活習慣改善指導を受けましょう。メタボリックシンドロームの専門外来を有している病院もあります。 追加検査は、内臓脂肪面積を調べる腹部CTやブドウ糖負荷試験、動脈硬化の有無を調べる検査など、それぞれの状態に合わせて選択されます。検査費用は数千円程度が目安と考えられます。

「メタボリックシンドローム予備軍」の正しい対処法・改善法は?

メタボリックシンドローム予備群と判定されたら、以下のようなことに気をつけましょう。

食事の改善

バランスの取れた食事を心がけます。食べすぎ・間食を控えるようにしましょう。 野菜や果物、全粒穀物を意識的に摂取しましょう。また、タンパク質を摂ることも、加齢に伴う筋肉量の減少を予防したり、基礎代謝を維持したりするために重要となります。

適度な運動の習慣化

ウォーキングやサイクリングなど、軽い有酸素運動をしましょう。毎日20〜30分程度行うと、内臓脂肪を減らすことに役立ちます。また、特に高齢の方のメタボ対策としては、筋力トレーニングも大切です。

生活習慣の改善

禁煙・節酒といった生活習慣改善も大切です。また、良質な睡眠やストレス管理も重要です。ホルモンバランスを整えることで、食欲のコントロール、脂肪蓄積の予防効果が期待できます。

「メタボリックシンドローム予備軍」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「メタボリックシンドローム予備軍」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

メタボリックシンドロームと予備軍の違いはなんでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

内臓脂肪に加えて2項目以上異常があれば「メタボ」、1項目のみなら「予備群」です。

メタボ予備軍と診断されたら、特定保健指導は受けられますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

腹囲や血液検査の結果に応じて、保健指導対象となります。

肥満体型でメタボ予備軍の場合、食事制限が必要でしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

栄養バランスを意識し、無理のないカロリー制限と運動を組み合わせることが重要です。

健診でメタボ予備軍と指摘されたら放置しても大丈夫でしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

放置すると生活習慣病リスクが高まります。指示されたように、生活習慣を見直す、保健指導を受ける、あるいは治療を受けるなどの改善策が必要です。

まとめ 健康診断で「メタボリックシンドローム予備軍」と言われたら生活習慣を見直そう!

メタボリックシンドローム予備群の段階では、まだ重度の病気の可能性は低いです。しかし、将来の心筋梗塞・脳卒中・糖尿病を防ぐための重要なサインとして捉えることが大切です。早めに気づき、食事・運動・生活習慣を見直すことが予防策となります。健康診断の結果を前向きに受け止め、今日から生活改善を始めましょう。

「メタボリックシンドローム予備軍」で考えられる病気

「メタボリックシンドローム予備軍」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

脳神経内科系の病気

内分泌内科系の病気

消化器内科系の病気

腎臓内科系の病気

メタボリックシンドロームになると、様々な病気が発症するリスクが高まります。

「メタボリックシンドローム」と関連する症状・関連する症状

「メタボリックシンドローム」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • お腹周りのサイズがアップする
  • 喉が渇く
  • 尿の量が増える
  • 疲れやすい
  • 視界がぼやける
  • 胸が痛い
  • ろれつが回らない
  • 激しい頭痛
  • 手足の麻痺
メタボリックシンドロームでも、無症状の場合も多くみられます。しかし高血糖の人は糖尿病の症状に気付くこともあります。また、脳卒中や心筋梗塞などが引き起こされることで、これらのような症状が現れる可能性があります。

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