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「大腸内視鏡検査の所要時間」はどのくらい?結果の見方も医師が解説!

 公開日:2025/09/22
「大腸内視鏡検査の所要時間」はどのくらい?結果の見方も医師が解説!

大腸内視鏡検査の所要時間は?メディカルドック監修医が検査前から検査後までの所要時間、見つかる病気などについてご紹介します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

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大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)とは?

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸の内部を直接観察し、病変の有無を調べるために行われる検査です。検査そのものは短時間で終わることもありますが、準備や検査後の休憩を含めると、全体では数時間かかるのが一般的です。ここでは、検査前から検査後までの流れとどれくらいの時間がかかるのか、さらに検査で見つかる病気について詳しく解説します。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)とは?

大腸内視鏡検査は、先端にカメラがついた柔らかいスコープを肛門から挿入し、大腸の奥まで観察する検査です。大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患など、肉眼では確認できない病変を発見できます。一般的には消化器内科や内視鏡専門外来で実施されます。

大腸内視鏡検査では腸内の何を見る?

スコープは直腸から盲腸まで、大腸全域を観察します。腸粘膜の状態、炎症や出血、腫瘍の有無を確認し、必要に応じて組織を採取(生検)します。

大腸内視鏡検査を受けた方が良い人はどんな人?

大腸内視鏡検査は、健康診断での便潜血検査で陽性となった方の精密検査として行われます。また、原因不明の下痢や便秘、腹痛がある場合にも検査が検討されます。さらに、大腸がんの危険因子である年齢(50歳以上)、大腸がんの既往歴、高カロリーのものを好む、または肥満、多量の飲酒や喫煙がある方にも、大腸内視鏡検査が勧められます。

大腸内視鏡検査にかかる時間は?

大腸内視鏡検査の全体所要時間は、下剤内服などの前処置から始めると3時間から5、6時間ほどになります。ただし、事前準備に要する時間やポリープ切除の有無によって前後します。

大腸内視鏡検査前・前日・当日の準備と必要時間

前日は、低残渣食(消化の良い食事)を摂取し、夜は早めに就寝するようにします。当日、午前に検査がある場合には、2リットル前後の腸管洗浄剤(下剤)を服用し、排便が透明になるまで繰り返します。腸管洗浄剤の内服は自宅か病院で行います。なお、服用開始から便がきれいになるまで2〜3時間かかることが多いです。便がほぼ無色透明になったとき、検査可能な状態となります。

大腸内視鏡検査中の所要時間

検査時間は15〜30分程度です。ポリープ切除や粘膜観察を丁寧に行う場合は、40分以上かかることもあります。

大腸内視鏡検査後の所要時間

鎮静剤を使用した場合は1時間程度の安静が必要です。鎮静剤なしの場合はもう少し早く帰宅できますが、腹部膨満感や軽いだるさがあることがあります。

大腸内視鏡検査で鎮静剤を使用する場合、眠るまでの時間は?

内視鏡検査の際には、痛みや不安を軽くするために鎮静剤を用いることがあります。多くは、「ぼんやりとする」くらいに意識のレベルを下げる程度です。完全に眠ってしまうわけではありません。これは「意識下鎮静」と呼ばれるものです。日本では、ジアゼパムやミダゾラム、フルニトレラゼパムといったベンゾジアゼピン系鎮静剤が多く使用されています。しかし、保険適用ではない点には注意が必要です。静脈注射をしてから作用が現われるまでの時間は以下のようになります。
・ミダゾラム:1-2.5分
・フルニトレラゼパム:1-3分
・ジアゼパム:5-10分

大腸内視鏡検査の結果と主な所見

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

大腸内視鏡検査の結果の見方

大腸内視鏡検査の結果は以下のようになります。
正常:異常なしの状態です。
炎症:潰瘍性大腸炎やクローン病の可能性が考えられます。
腫瘍性病変:大腸ポリープ、大腸がんなどがあります。
その他、憩室、虚血性変化、メラノーシスなども大腸内視鏡検査で発見される所見です。

大腸内視鏡検査の再検査基準と内容

大腸内視鏡検査でポリープなどが見つかった場合、可能であれば検査の際に内視鏡的な治療を行います。つまり、ポリープの切除をします。病理検査の結果、がんであることが明らかになり、手術の必要があるかもしれない場合には精密検査が必要となる場合があります。良性ポリープだった場合も、個数に応じて再検査を受けることが推奨されています。

健康診断・消化器内科の「大腸内視鏡検査」で発見できる病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「大腸内視鏡検査」で発見できる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

大腸がん

大腸がんは大腸の粘膜にできる悪性腫瘍で、食生活や遺伝、加齢が発症に関わります。初期は無症状のことも多いですが、進行すると血便や便通異常、体重減少がみられます。治療は内視鏡での切除や手術、抗がん剤などが行われます。血便や便潜血陽性があれば早めに消化器内科を受診しましょう。

大腸ポリープ

大腸ポリープは大腸粘膜にできる良性の隆起性病変で、放置すると一部はがん化する可能性があります。多くは無症状ですが、大きくなると出血や便通異常を起こすこともあります。内視鏡で切除するのが標準治療であり、切除後も再発予防のため定期検査が必要です。便潜血陽性の際は消化器内科で相談しましょう。

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍が広がる病気で、自己免疫異常や環境要因が関与すると考えられています。下痢や血便、腹痛が長く続くのが特徴です。 治療は薬物療法が中心で、重症例では外科手術が必要になることもあります。長期間続く下痢や血便がある場合は消化器内科を受診しましょう。

クローン病

クローン病は口から肛門までの消化管に炎症が起こる慢性疾患で、特に小腸や大腸に多く発症します。原因は明確ではありませんが、免疫異常や遺伝が関与します。 症状は腹痛、下痢、体重減少などで、再発を繰り返すのが特徴です。内服薬や生物学的製剤で炎症を抑える治療が行われます。症状が続く場合は消化器内科を受診してください。

大腸憩室症

大腸憩室症は大腸の壁が外側に袋状に膨らんだ状態で、加齢や食物繊維不足が原因とされます。多くは無症状ですが、炎症を起こすと腹痛や発熱、下血を伴うことがあります。 軽症例では食事療法や抗菌薬で対応し、重症の場合は入院治療が必要です。繰り返す腹痛や血便があるときは消化器内科での精査が勧められます。

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎は、大腸の血流が一時的に不足して炎症や潰瘍が起こる病気です。高齢者や動脈硬化のある方に多く、突然の腹痛と血便が特徴です。 多くは安静と点滴で改善しますが、重症例では手術が必要になることもあります。急な腹痛や血便を認めた場合は、速やかに消化器内科を受診してください。

大腸メラノーシス

大腸メラノーシスは、腸粘膜に黒色の色素沈着がみられる状態で、主にセンナなどの下剤を長期使用した場合に起こります。 良性で症状はありませんが、便秘薬の乱用が背景にあることもあるため注意が必要です。治療は下剤の中止で、多くは自然に改善します。便秘が続く場合は自己判断せず、消化器内科で適切な治療を受けましょう。

「大腸内視鏡検査にかかる時間」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「大腸内視鏡検査にかかる時間」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

大腸内視鏡検査は前日と当日でどのくらい時間の確保が必要ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

前日は食事制限と早寝、当日は下剤服用から検査終了まで半日程度は見込みましょう。

大腸カメラの検査前は下剤を飲んでどのくらいでトイレに行きたくなりますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

30分〜1時間程度で便意が現れるのが一般的です。

大腸内視鏡検査後、だるさがあった場合回復するのにどのくらいかかりますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

検査後、特に鎮静剤を使ったあとは1時間ほど休憩すると意識がはっきりしてくると考えられます。しかし、当日の車の運転は禁止です。

大腸内視鏡検査当日は何時から2リットルの下剤を飲み始めますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

検査開始時刻に合わせて、通常は検査の約4〜5時間前から下剤を飲み始めるよう指示されることが多いです。例えば午前中に検査を受ける場合は、早朝5〜6時頃に服用開始し、約2時間かけて飲み切ります。便が透明になってはじめて検査が可能になります。病院によって細かな指示が異なるため、必ず前日までに案内文を確認し、主治医や看護師の指導に従ってください。

まとめ 大腸内視鏡検査は時間に余裕を持って受けましょう

大腸内視鏡検査は大腸病変の早期発見に有効で、特に40歳以上や便潜血陽性の方に推奨されています。しかし、大腸内視鏡検査は、検査の準備や休憩を含めると2〜3時間必要となることもあります。また、鎮静剤使用時は当日の運転不可です。いずれにしても、大腸内視鏡検査を受ける際には、余裕を持って予定を立てておくことが大切です。

「大腸内視鏡検査」の異常で考えられる病気

「大腸内視鏡検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 大腸内視鏡検査では、さまざまな病気を見つけることができます。気になる症状がある際には、消化器内科を受診しましょう。

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