血液検査で「血小板の働き」を見るには?異常値・発見できる病気も医師が解説!

血小板の働きを知りたい場合、血液検査のどの項目を見ればよいのでしょうか?メディカルドック監修医が血小板の働きや検査における基準値・異常値、検査で発見できる病気についてご紹介します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
血小板とは?
血小板は、血液中に存在する直径2〜3マイクロメートルほどの小さな細胞片です。赤血球や白血球と異なり、核を持たず骨髄の巨核球から作られます。主な役割は、血管が傷ついたときに素早く集まり、傷口を塞いで出血を止めることです。血液中の血小板の働き
血液中の血小板の働きについて解説していきます。・一次止血:血管が破れると、血小板は粘着・凝集して血栓を形成します。
・血液凝固の補助:凝固因子と協力し、フィブリン網を作って止血を安定化させます。
その他、血管の修復作用や血管新生などにも関与していることが明らかになっています。
血小板と赤血球・白血球との違いは?
血液中には、血小板の他にも赤血球や白血球などがあります。赤血球は、酸素や二酸化炭素を運ぶ役割を果たしています。白血球は細菌やウイルスなど異物を排除する免疫担当です。 一方、血小板は出血時に止血する役割が中心となります。脾臓と血小板の関係性は?
脾臓は血小板の約3分の1を貯蔵しています。また、古くなった血小板や損傷した血小板をろ過する役割も担っています。血小板の働きを血液検査・健康診断で知るには?
健康診断などの結果で、血小板の項目が含まれていることもあるでしょう。以下のような項目についてチェックしていくようにしましょう。血小板の健康度や異常を知るには血液検査のどの項目を確認する?
血液検査の項目では、「血小板」をチェックしましょう。検査項目名が「Plt」となっていることもあるでしょう。血液1マイクロリットルあたり、約14〜36万個が基準となります。費用は自費の場合には2,000円程度が相場と考えられます。もともと健康診断の項目に含まれていることも多いです。血小板数(Plt)とあわせて確認したい血液検査の項目
通常の健康診断では、血液検査の項目として白血球や血色素量(ヘモグロビン)なども測定されています。血液は骨髄で作られるため、これらの量にも異常が見られる場合には、骨髄の異常などが示唆されます。血小板の数に異常が認められた際には、血液凝固検査も行われます。血液検査の血小板の基準値と再検査が必要な数値
血小板の結果を見る際には、以下のようなポイントがあります。血液検査における血小板の基準値と結果の見方
血小板の基準値は14.5-32.9×104/μLです。 12.3-14.4、33.0-39.9×104/μLでは軽度異常、10.0-12.2×104/μLは経過観察、9.9以下, 40.0以上は精密検査の対象となります。血液検査における血小板の異常値・再検査基準と内容
血小板が少なすぎると出血リスクが増加、多すぎると血栓症リスクが増加します。異常が見られた場合は血液内科を受診しましょう。1〜2週間以内に再検査を受けることが望ましいです。精密検査や再検査の際には、骨髄検査や遺伝子検査などで原因を探ります。 脾臓の機能が亢進しているために血小板が減少していることもあるため、お腹の超音波検査などを行うこともあります。検査で血小板の数値が正常でも気を付けなければいけないこと
血小板の機能に異常があるときには、止血がうまくいかず出血傾向がみられる場合があります。精密検査には血小板凝集能検査などがあり、血液内科や総合病院で実施されます。血液検査における「血小板の働き」の異常で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「血小板の働き」で発見できる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。血小板減少症
血小板が通常より少なくなる状態です。出血しやすさや皮下出血、鼻血などが起こります。原因は免疫異常、薬の副作用、肝疾患、脾腫などさまざまです。治療は原因疾患の改善、ステロイドや免疫抑制薬の投与などが中心です。あざが増える、血がなかなかとまらないなどの症状があれば、早めに血液内科を受診してください。血小板増多症
血小板増多症は、血小板が増えすぎることで血栓症のリスクが高まる状態です。骨髄増殖性疾患や慢性炎症、手術後などが原因でみられます。症状として頭痛やめまい、血栓による脳梗塞や心筋梗塞などが起こる可能性があります。治療は抗血小板薬や抗がん薬などが用いられます。血小板数が高値と指摘された場合は、血液内科での精査が必要です。血小板機能異常症
血小板数は正常でも、機能に異常があると出血傾向が見られるのが血小板機能異常症です。先天性や薬剤(アスピリン、抗血小板薬)による後天性のものがあります。症状は鼻血や歯茎からの出血、月経過多などがあります。治療は原因薬の中止や輸血、必要に応じ遺伝性疾患への対応が行われます。出血傾向が続く場合は血液内科の受診が推奨されます。白血病
白血病は、骨髄で白血球が異常に増殖し、正常な造血ができなくなる病気です。その結果、赤血球や血小板が減少し、貧血や感染症、出血傾向をきたします。 症状は発熱、倦怠感、皮下出血など多彩です。治療としては化学療法や造血幹細胞移植が行われます。健診で血球数の異常が見つかった場合は、速やかに血液内科で精査が必要です。特発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病は、自己免疫によって血小板が破壊され減少する病気です。皮膚や粘膜に点状出血や紫斑(皮膚の下で出血が起こり、赤紫色~暗褐色の斑点として現れる状態)が現れ、重症化すると消化管や脳出血の危険もあります。治療はステロイド薬や免疫抑制薬、必要に応じて脾臓摘出が行われます。紫斑が増える、出血が止まりにくいなどの症状があるときは、早めに血液内科で相談しましょう。再生不良性貧血
再生不良性貧血は、骨髄の造血機能が低下し、赤血球・白血球・血小板すべてが減少する病気です。貧血による息切れや動悸、感染症の頻発、出血傾向がみられます。原因は自己免疫や薬剤、放射線治療による骨髄抑制などが考えられます。治療は免疫抑制療法や骨髄移植です。健診で全ての血液成分が減少している状態を指摘された場合は、速やかに血液内科を受診してください。「血小板の働き」を良くするための正しい対処法・改善法は?
血小板の機能の異常の原因としては、血小板機能を低下させる薬剤の使用が多いとされています。 ここでは、血小板の数値が高い、あるいは低い場合の対処法について解説します。「血小板」の数値が高いときの正しい対処法・改善法
血小板は運動や妊娠に伴って一時的に増加することがあります。また、鉄欠乏性貧血などの頻度も高いとされています。もし何らかの病気に伴い血小板が高値になっている場合には、それらの誘因を取り除くことで血小板は正常化します。「血小板」の数値が低いときの正しい対処法・改善法
血小板が5万/μl未満に減少した場合には、出血傾向が明らかになってきます。最初は歯茎からの血が出やすくなる、鼻血が出やすくなる、または皮下出血が頻繁に見られるようになるなどの症状が現れます。さらに血小板の数が減ると、消化管からの出血や頭蓋内の出血の危険性も高まります。もともと血小板が低いことが明らかになっている場合には、怪我をしないように注意し、出血がみられた際には早めに受診するようにしましょう。「血小板の働き」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血小板の働き」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
体内の血小板の働きをわかりやすく教えてください。
木村 香菜 医師
血管が傷ついた際、血小板が集まり血栓を作って止血します。そのほかにも、血管の修復などにも関わっています。
血液検査で血小板が少ないと言われた場合、血小板を増やす食べ物や注意すべき食べ物はありますか?
木村 香菜 医師
低栄養状態によっても血小板が減少することがあります。炭水化物やタンパク質などを、バランスよく食べることが大切と考えられます。
血小板が多すぎたり、少なすぎると血が止まりにくいのはなぜですか?
木村 香菜 医師
血小板が多すぎると、むしろ出血が起こりやすくなることがあります。血管内で血栓が作られてしまい、体の中の血小板を使い果たしてしまうからです。また、血小板が正常に機能しなくなってしまうこともあります。血小板が少なすぎると、血栓形成が不十分になり、血が止まりにくくなります。
最近、貧血気味なのですが血小板の働きが悪いのでしょうか?
木村 香菜 医師
血小板の働きが悪くなることで、貧血が引き起こされるといった直接的な関係はないかと考えられます。しかし、腎不全によって尿毒症が起こると、貧血と血小板機能異常症が同時に起こることもあります。
健診で血小板の数値が悪いのは肝臓の健康状態が良くないのでしょうか?
木村 香菜 医師
肝硬変などで脾腫が起こると血小板減少を招くことがあります。
まとめ 血小板の働きを知って健康を守ろう
血小板は出血を防ぐだけでなく、血管の健康や免疫にも関与する重要な細胞です。数や機能の異常は健康に大きな影響を及ぼすため、定期的な血液検査でのチェックが欠かせません。異常値が出た際は、自己判断せず早めに専門医を受診しましょう。「血小板の働き」の異常で考えられる病気
循環器系の病気
脳神経内科系の病気
血液内科系の病気
婦人科系の病気
- 月経過多
参考文献




