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「生理中でも尿検査」を受けられる?なった時の対処法も医師が解説!

 公開日:2025/09/26
「生理中でも尿検査」を受けられる?なった時の対処法も医師が解説!

尿検査当日に生理が来たら?メディカルドック監修医が尿検査当日の生理中でも尿検査はできるのか、なった時の対処法を解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

「尿検査」とは?

職場や地域で受診できる、健康診断や特定健診は、病気の予防や早期発見につながります。健康診断や特定健診では、尿検査が必須の項目となっています。一般的な尿検査は痛みを伴わず、採取するのみです。簡単な検査ですが、病気の判定や病状を知ることができる重要な検査です。

尿検査とは?

尿検査とは、健康状態を知る基本的な検査です。尿の中の成分を調べることで病気の有無や病気の状態を知ることができます。尿検査では主に、尿潜血・尿たんぱく・尿糖といった項目を検査します。
尿検査で異常がある場合に考えられる原因は
尿潜血では腎臓や泌尿器系の病気や生理(月経)の影響など
尿たんぱくでは腎臓病や膀胱炎など
尿糖では糖尿病や甲状腺機能亢進症など
身体の機能が正常でも、食事や生活習慣が影響して尿検査に異常が現れる場合があります。尿検査の前日や当日の飲酒・激しい運動・生理中や生理の前後などが考えられる原因です。病気の正しいスクリーニングのためにも、尿検査に影響を与えにくい状態で検査をすることをおすすめします。

尿検査は何科で検査できる?

尿検査でわかる病気はさまざまあります。主に、一般内科・泌尿器科・腎臓内科・婦人科などで受けられます。尿検査にかかる費用は、検査の内容やそれぞれの医療機関・ご自身の保険の負担割合などで異なります。検査の費用の目安ですが、院内で検査を行う「尿中一般物質半定量検査」の場合、検査のみの金額は3割負担で約80円です。検査の費用に加えて初診・再診料、外来迅速検査加算などがかかる場合が多いです。健康診断などで異常がみつかって、再検査を行う場合では一般的な尿検査以外に追加項目を行うことがあり、この場合には費用は異なります。詳しい検査が必要になり、検査の内容によって金額が異なります。

尿検査当日に生理が来てしまったら

尿検査の当日に生理が来てしまった場合、医療機関や検診機関に生理中であることを伝えましょう。尿検査はできないわけではありませんが、再検査になる可能性が高くなります。それぞれの機関の規定にそって検査を受けましょう。

生理になったら尿検査できない?

生理中であっても尿検査が受けられないわけではありません。しかし、尿に月経血が混じりやすいため、尿潜血が陽性となる可能性があります。
日本人間ドック学会では生理中の尿検査を避けるべきとの規定はありません。しかし、検査する医療機関や検診機関では生理中の尿検査を行わない場合があります。
血尿診断ガイドライン2013では尿の採取時に月経中や直後の場合には伝えることを推奨しています。

生理中でも血が入らなければ尿検査は引っかからない?

生理中でも尿検査に引っかからない方法として、尿の取り方を工夫して見た目に血が入らなければ検査に引っかからないと思われるかもしれません。
血尿は見た目で血が混じっていることが判断できる「肉眼的血尿」と見た目ではわからなくても、尿検査をすると血が混じっていることがわかる「顕微鏡的血尿」があります。
生理中は尿に月経血が混入しやすく、見た目ではわからなくても、尿潜血が陽性になる可能性が高いです。

生理直前や生理終わりかけでも尿検査に影響出る?

個人差があるとされていますが、一般的に生理前の3〜4日間と生理後の5〜6日間は尿検査での尿潜血の結果が正しく測定されないことが多いといわれています。
生理中の期間だけでなく、生理直前と生理終わりかけの時期でも尿検査に影響がでる可能性が高いと考えられます。生理中や生理の終わりかけだけではなく、生理前や生理後の尿検査も避けたほうがよいでしょう。

「尿検査で生理」になった時の対処法

健康診断などの予約をしていて、生理になった時や生理になりそうな時の対処法は、日程の調整が可能であれば予約を変更することがおすすめです。生理中でも受けられる検査はあるため、日程の調整が難しい場合は予約通りに受診して、生理中であることを伝えましょう。尿検査の実施については医療機関や検診機関によって対応が異なるため、その機関で決められている規定に従うようにしましょう。

日程調整が可能な場合

健康診断など、尿検査の予定がある数日前に生理が来てしまった場合、予約をしている医療機関や検診機関に連絡をしましょう。可能であれば生理後の5〜6日以降で検査の予約を変更することをおすすめします。

尿検査日に生理が来そうな場合

一般的に生理の3〜4日前から尿潜血が陽性になりやすいなど、尿検査に影響がでる可能性が高いといわれています。その期間に尿検査の予約がある場合は、可能であれば予約を変更することがおすすめです。
ピルを服用中の尿検査については、ピルの副作用として飲み始めの初期に不正出血が現れる場合があります。ピルを飲んで生理を止めていても、ピルの副作用が現れた場合には、尿検査に影響がでる可能性があると考えられます。

尿検査当日に生理が来た場合、再検査が必要か

尿検査の当日に生理が来た場合は生理中であることを伝えましょう。生理中でも申告して尿検査を実施する・生理後に尿検査を行う・尿検査を中止するなど、それぞれの医療機関や検診機関によって対応は異なります。
生理中に尿検査を行った場合、尿潜血が陽性になる可能性があります。その場合は生理の影響なのか、病気があるのかの判断が難しいです。生理の影響を受けにくい期間に再検査をすることをおすすめします。

他にも生理中だと受けられない検査はあるのか

尿検査以外で生理中に受けられない検査は、便潜血検査や子宮がん検診です。生理中に便を採取する際、月経血が便に付着する可能性があります。生理中に検便を行い便潜血が陽性になった場合、大腸からの出血か便に月経血が付着していたためかの判別がつかない可能性があります。生理中の便潜血検査は避けることが望ましいです。子宮がん検診は生理中でも検査は行えますが、生理中や生理前後で出血がある場合、細胞が十分にとれないことがあり、正しい検査結果ではなくなる可能性が高いです。便潜血検査や子宮がん検診は生理中には受診できない自治体や医療機関もあります。生理期間と重ならない時期に受けるようにしましょう。

健康診断の「尿検査」で見つかる病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「尿検査」で見つかる病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

膀胱炎

膀胱炎は膀胱に炎症が起きて、血尿・排尿時の痛み・頻尿・尿の混濁などの症状が現れます。膀胱炎の主な原因は細菌感染です。尿意を我慢する・月経・免疫力の低下などが細菌感染する原因です。膀胱炎にはいくつか種類があり、発症原因によって急性単純性膀胱炎・複雑性膀胱炎・間質性膀胱炎に分けられます。
急性単純性膀胱炎は女性に多く、細菌が尿道から膀胱へ侵入し感染して炎症を起こし発症します。発症の原因は免疫力の低下やトイレを我慢することなどがきっかけになります。
複雑性膀胱炎は泌尿器などの病気が原因で発症します。前立腺肥大症・尿路結石・糖尿病などが発症の危険因子です。
間質性膀胱炎は稀な病気で原因が解明されていませんが、免疫系の異常が原因と考えられています。治療法は食事指導や生活の改善です。刺激物やストレスで症状が悪化する場合があるため、刺激物の摂取を控え、ストレスを解消して悪化を予防しましょう。症状に応じて鎮痛剤や抗うつ薬などの内服治療や内視鏡の手術を行う場合もあります。

急性単純性膀胱炎の治療は抗菌剤での薬物療法です。複雑性膀胱炎は原因となっている病気の治療をします。再発を予防するためには、トイレを我慢しない・十分な水分をとる・生理用品をこまめにとりかえるなど生活習慣を改善することをおすすめします。膀胱炎の特徴的な症状である血尿・排尿時の痛み・頻尿・尿の混濁などが現れたら、早めに泌尿器科を受診しましょう。

尿路結石

尿路結石とは、尿路(腎臓・尿管・尿道・膀胱)に結石ができた状態です。結石とは尿に含まれるカルシウムやシュウ酸といった物質が腎臓の中で結晶化し、固形化したものです。尿路に結石が生じて、尿路をふさぐと血尿や激しい痛みが脇腹から背中や腰、腹部に起こるなどの症状が現れます。血尿は目で見てわかるものから、肉眼的には判断できないものまで程度はさまざまです。結石が尿管に詰まって尿が出なくなった場合には、緊急で処置が必要です。尿路結石の発症原因はさまざまあります。遺伝・高尿酸血症・肥満や食習慣などが発症の危険因子です。尿路結石は、尿検査・CT検査・超音波検査・X線検査などの検査を行い診断します。尿路結石の再発予防として、低リスクの場合は食事や生活の改善を行います。1日2000mL以上の飲水・肉や魚などの動物性たんぱく質や脂質、シュウ酸などの制限・減塩・肥満の解消・適度な運動などです。シュウ酸はほうれん草・たけのこなどの野菜・チョコレート・コーヒー・紅茶などに多く含まれています。シュウ酸は水溶性のため、野菜類は茹でこぼす・煮汁を残すことがおすすめです。若年発症や基礎疾患があるなど、高リスクでは食事や生活の改善と薬物療法を合わせて行う場合があります。尿路結石は自然に結石が排出されることがしばしばありますが、排出されない場合には外科的治療を行う場合があります。血尿と脇腹から背中や腰、腹部に激しい痛みなどの症状が現れた場合はすみやかに泌尿器科を受診しましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、通常では子宮の内側を覆う子宮内膜組織が、子宮の以外の場所に発生してしまう病気です。20代から30代の女性に多く見られます。多く見られる発生部位は卵巣や子宮・卵管など骨盤内です。子宮内膜症ではさまざまな症状が現れます。主な症状に月経痛・慢性的な骨盤痛などがあり、膀胱や腸に子宮内膜症が広がると、血尿や便通の異常・下血などの症状が現れる場合があります。子宮内膜症の発症原因は解明されていません。月経逆流説が原因の一つであるという考えがあります。月経逆流説とは、排出される月経血の一部が骨盤内に逆流し、月経血に含まれる子宮内膜の組織や細胞が骨盤内など子宮以外の臓器に付着し発育することで発症すると考えられています。

子宮内膜症は、病気の程度や年齢・妊娠の希望など複合的に判断して適した治療を行います。

主な治療法はホルモン療法と手術です。月経痛などの痛みの治療には鎮痛剤を使用します。症状が緩和されない場合には、プロゲスチン製剤や低用量エストロゲンなどのホルモン剤を使った薬物療法を行います。

健康診断で血尿を指摘されたり、月経痛や月経時以外の腰痛などの症状がある場合は早めに婦人科を受診しましょう。

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎臓炎とは腎臓の糸球体という部分に急激に炎症が起こる病気です。症状は一過性で適切な治療を行えば多くの場合が完治します。急性糸球体腎炎の発症の原因は溶連菌の感染による扁桃炎や皮膚炎がきっかけになります。血尿・むくみ・高血圧などの症状が現れます。治療方法は減塩と水分制限・安静にすることです。感染症に対する抗生物質の使用や一時的に降圧薬や利尿薬を使用する場合もあります。

扁桃炎などの感染症を発症した後、血尿や強いむくみ・高血圧などの症状が現れた場合、急性糸球体腎炎の可能性が考えられます。早めに腎臓内科を受診しましょう。

「生理中の尿検査」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「生理中の尿検査」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

生理中に尿検査をした場合、生理だと分かってしまいますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

生理中の尿には月経血が混じりやすく尿潜血が陽性になる可能性があります。一般的な尿検査では潜血の有無や量を調べます。生理であると分からないかもしれませんが、正しい尿検査の結果がでない可能性があるため、生理中の尿検査は避けることがおすすめです。

生理が終わった後でも尿検査の結果に影響が出ますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

一般的に生理後の5~6日間は尿検査での尿潜血の結果が正しく測定されないことが多いといわれています。生理が終わって、尿の見た目では血が混じっていないように見えても尿潜血が陽性になる可能性があり、正しい検査結果にならない可能性があります。

まとめ 正しい結果を知るために、生理中の尿検査は避けましょう

尿検査は簡易にできる検査ですが、病気の有無を調べたり、次の検査へ進む判断基準になる重要な検査です。生理中や生理の前後の尿検査では潜血が陽性になる可能性が考えられます。採取した尿の見た目に血が混じっていなくても、検査をすると尿潜血の反応がでる場合があります。正しい検査結果を得るためにも、生理期間中の尿検査は避けることをおすすめします。

「尿検査」の異常で考えられる病気

「尿検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

腎臓系の病気

婦人科系の病気

泌尿器系の病気

尿検査は健康診断などでは必須の項目です。痛みがなく、簡単に検査ができることが特徴です。病気の有無や病態の判断にもちいられます。尿検査に異常値が現れる原因は病気以外にもあります。女性の生理や飲酒・激しい運動などです。

この記事の監修医師