「血液検査のCRP」が高いとどうなる?原因や発見できる病気などを医師が徹底解説!
公開日:2025/08/11

血液検査のCRPとは?Medical DOC監修医が血液検査CRPの基準値・高くなる原因・低くなる原因・発見できる病気などを解説します。

監修医師:
木村 香菜(医師)
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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
目次 -INDEX-
血液検査のCRPとは?
(導入) CRPとは、C反応性蛋白のことを指します。肺炎球菌という細菌の細胞壁のC多糖体と反応するタンパク質であることから、こうした名前がつけられました。 血液中のCRPの濃度は、細菌やウイルスの感染や、肥満や生活習慣などの影響による慢性炎症によって高い値を示します。そのため、こうした病気を捉えるマーカーとして、血液検査で調べられることがあります。 今回の記事では、CRPの正常値や、そしてどのような場合に高い値などの異常値を示すのかについて解説します。血液検査CRPの基準値
CRP定量とは、血液中のCRPの量を測定する検査です。採血し、その血液を調べるものになります。 以下に、血液検査でのCRPの基準値について解説します。CRPの正常値
通常の健康な状態では、CRPは低い状態です。しかし、感染や炎症が起こると、急激に上昇します。 以下に、日本人間ドック・予防医療学会で示されている判定区分をご紹介します。| A判定(異常なし) | B判定(軽度異常) | D判定(要精密検査) |
|---|---|---|
| 0.30mg/dL以下 | 0.31-0.99mg/dL | 1.00 mg/dL以上 |
CRPの危険な値
検査基準においては、CRP30mg/dL以上の場合には極端値とされています。 CRPが異常に高い場合、重篤な感染症が起こっていることが疑われます。実際にはこれほどにCRPが高い時には、発熱などの症状があり、医療機関をすでに受診していることが多いと考えられます。しかし、万が一健康診断などでCRPの危険な値が出た際には、すぐに医療機関を受診しましょう。血液検査CRPの値が高いとどうなる?
体の中のCRPが高い場合、体の中で何らかの炎症が発生していることが疑われます。 一般的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。- 発熱
- 倦怠感(体がだるい)
- 関節痛・筋肉痛
- 炎症が起こっている部位の腫れや痛み
- 食欲不振
血液検査CRPの値が高くなる原因
ここでは、血液検査のCRPが高くなる原因について解説します。細菌・ウイルス感染症
肺炎や腎盂腎炎、敗血症などの細菌感染症や、マイコプラズマ肺炎などのウイルス感染症、結核などの疾患でCRPは上昇します。 白血球は、外傷や細菌感染などの侵入を感知すると、迅速に反応し防御を開始します。その結果、炎症反応が引き起こされます。さらに、炎症部位では異物や壊死組織を貪食した単球やマクロファージが、IL-6やTNFαといったサイトカインを放出します。これらのサイトカインは肝細胞に作用し、CRP、フィブリノーゲン、α-アンチトリプシンなどの急性期タンパク質の産生を促進します。 治療を行い、炎症が改善すればCRPは下がります。自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、本来であれば細菌やウイルス、腫瘍などの異物を排除し、病気や感染から身体を守るはずの免疫系が、誤って自分自身の組織を異物と認識し攻撃してしまうことで発症する疾患です。この異常な免疫反応により、さまざまな症状が引き起こされます。 例えば、関節リウマチや血管炎症候群などでは、CRPは高値になることがあります。 しかし、全身性エリテマトーデス(SLE)や多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病ではそれほどのCRP上昇はみられません。外傷
外傷によって組織が損傷を受けると、それに対する反応としてCRPの値は高くなります。 また、外傷後に細菌感染などが起こると、その感染に対する反応としてもCRPは上昇します。 外傷の治療が適切に行われれば、CRPは下がってきます。 CRPが低いこと自体は、特に問題はなく、健康な状態であることを示します。血液検査CRPの値が低くなる原因
以下のような状態では、CRP値が低くなると考えられます。感染症が改善した場合
CRPは感染症のマーカーなので、治療によって炎症が治ると、CRPは自然に低下します。関節リウマチなどの自己免疫疾患が治ってきた場合
自己免疫疾患の治療が成功し、炎症が抑えられるとCRPが下がることがあります。新生児の場合
新生児はCRP産生能力が未発達のため、極めて低い値(数μg/dL程度)で存在しています。しかし、新生児感染症が起こるとCRPは早期の段階から上昇します。「血液検査CRP」の異常で発見できる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「血液検査CRP」に関する特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。肺炎(細菌性、ウイルス性)病気・疾患
細菌性あるいはウイルス性肺炎は、細菌やウイルスなどの感染によって肺に起こった急性の炎症のことです。 原因としては、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌、マイコプラズマなどの細菌や、アデノウイルス、レジオネラなどのウイルスがあります。 特に肺炎球菌などによる細菌性肺炎では、血液中のCRPや白血球が非常に高くなります。 治療は、それぞれの病原菌に対する抗生物質の投与などがおこなわれます。呼吸不全が見られ、血中の酸素濃度が低くなってしまっている場合などには、呼吸管理などの全身管理が必要な際もあります。 予防法は、ワクチン接種や手洗いうがい、マスク着用などの感染対策があります。腎盂腎炎病気・疾患
腎盂腎炎は、尿路感染症の一つです。尿路感染症は、腎臓や膀胱、尿道などの尿の通り道のことです。男性の場合には精巣や精巣上体、前立腺を含みます。 尿の出口から細菌が逆行して膀胱、尿管を通り、腎臓まで達し、炎症を起こしたものが腎盂腎炎です。腎盂腎炎の症状は突然の発熱や、炎症を起こしている腎臓側の背部痛、血尿、寒気、吐き気、嘔吐などが特徴となります。 腎盂腎炎では強い炎症が起こっているため、CRPや白血球が上昇することが多いです。治療としては、抗生剤の点滴があります。高熱を伴う腎盂腎炎の場合には、入院が必要となる場合もあります。 血尿や吐き気、発熱、背部痛などが見られる場合、腎盂腎炎の可能性もあります。泌尿器科や内科を受診するようにしましょう。関節リウマチ
関節リウマチ(RA)は、自己免疫疾患の一つであり、免疫系が誤って自身の関節組織を攻撃することで発症します。主に関節の滑膜に炎症が起こり、腫れや痛みを伴います。進行すると関節の破壊が進み、変形や機能障害を引き起こすことがあります。 関節リウマチの治療には、抗リウマチ薬(DMARDs)、生物学的製剤、NSAIDs、ステロイドなどの薬物療法があります。また、リハビリテーションも並行して行われます。関節破壊が進行した場合には、人工関節置換術、関節形成術などの手術療法も行われます。 関節リウマチでは慢性的な炎症が持続するため、CRP値が上昇する傾向があります。特に、活動期(炎症が活発な時期)にはCRP値が1.0~10.0 mg/dL以上に上昇することがあり、疾患の活動性を評価する指標としても使用されます。 治療により炎症が抑えられるとCRPは低下し、寛解状態では正常範囲(0.3 mg/dL以下)に戻ることもあります。 以下のような症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。- 朝のこわばりが1時間以上続く
- 手指や膝などの関節に腫れや痛みがある
- 関節の変形がみられる
- 発熱や倦怠感が続く
- CRPやRF(リウマチ因子)が高いと指摘された
「血液検査のCRP」についてよくある質問
ここまで血液検査のCRPについて紹介しました。ここでは「血液検査のCRP」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
CRPの値がいくつになると入院が必要ですか?
木村 香菜 医師
CRPの値がいくつになると入院が必要かという明確な基準はありません。また、CRPがなぜ上昇しているのかによっても入院適応は変わってきます。 しかし、炎症の症状があり、CRP値が10 mg/dL以上になると、入院が必要となるケースが多くなります。例えば、軽い肺炎や気管支炎ではCRPが7~8 mg/dLまで上昇することがありますが、CRPが10 mg/dL以上の場合、重症の肺炎などの感染症の可能性も高いです。入院治療が検討されます。
CRPが上がるのはどんな時でしょうか?
木村 香菜 医師
CRP値は、肺炎や腎盂腎炎などの感染症や、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患、外傷、白血病などで上昇します。
まとめ 血液検査のCRPは炎症のマーカー
今回の記事では、CPRがどのようなものか、高い場合にはどのような原因が考えられるかについて解説しました。CRPが上昇しており、かつ咳や発熱などがある場合には急性感染症の可能性が高いです。また、症状がなくとも健康診断などでCRPが高い場合には、何らかの自己免疫性疾患が隠れている場合もあります。きちんと精密検査を受けるようにしましょう。「血液検査」の異常で考えられる病気
「血液検査 CRP」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。外科系の病気
- 外傷
- 熱傷




