「眼底検査の費用」はいくらかかる?発見できる病気などを医師が徹底解説!

眼底検査の費用はいくらかかるの?メディカルドック監修医が眼底検査当日の流れ・検査時間・結果の見方・発見できる病気などを解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
眼底検査とは?
眼底検査とは、眼の奥にある網膜や視神経、血管などの状態を詳しく観察するための検査です。網膜の異常や病気を早期に発見できるため、視力低下や失明のリスクを防ぐために重要な役割を果たします。特に、糖尿病網膜症や加齢黄斑変性、緑内障などの疾患は自覚症状が少ない場合も多く、定期的な検査によって早期に発見し、適切な治療を行うことが望まれます。また、眼底検査では眼科医が直接観察する方法と、眼底カメラなどを用いて眼の奥の画像を撮像する方法が主に行われます。どちらの方法を選択するかは、医療機関の設備や診察の目的によって異なります。眼底検査の費用はいくらかかるの?
眼底検査の費用は、保険適用の有無や検査方法、実施する医療機関によって異なります。特定の疾患が疑われ、医師が診察の一環として検査を実施する場合には健康保険が適用されることが多いですが、人間ドックや眼科検診目的で受診する場合は自費となることがあります。保険適用となった場合の眼底検査の費用
健康保険が適用される眼底検査は、医師が病気の診断や経過観察のために必要と判断した場合に限られます。たとえば、糖尿病網膜症や緑内障の疑いがある患者に対して行われる検査では、保険診療となります。たとえば、散瞳検査をした場合には、自己負担額が3割であれば、片眼で450円、両眼で900円となります。加えて、 一般的な眼底カメラを使用する検査を行うと、自己負担額は700〜1200円程度です。光干渉断層計(OCT)を併用する場合には、1300〜1800円となることもあります。ただし、眼底検査のみを行う場合は少なく、視力検査や眼圧検査、屈折検査などを併用することがほとんどなので、具体的な費用は行われた検査によって異なります。自費診療となった場合の眼底検査の費用
健康診断や人間ドックのオプションとして眼底検査を受ける場合や、病気の有無に関係なく視力や眼の状態をチェックしたい場合は、全額自己負担の自費診療となります。自費診療の費用は医療機関ごとに異なりますが、一般的には他の検査込みで10000~20000円程度の範囲で設定されています。 特に、最新の光干渉断層計(OCT)や無散瞳眼底カメラを用いた検査を行う場合は、より詳細な所見が得られるため、費用も高くなる傾向があります。健康診断の一環として受診する場合には、他の検査とセットになっていることが多く、検査項目によって価格が異なるため、どのような検査を希望するのか事前に確認すると良いでしょう。 また、自費診療で受けた検査の結果、異常が見つかり追加の精密検査が必要となった場合には、保険診療の適用が可能になるケースもあります。そのため、一度検査を受けた後の流れについても医師と相談しながら進めることが大切です。眼底検査はどれくらい時間がかかる?
眼底検査にかかる時間は、検査の種類や使用する機器、検査の目的によって異なります。散瞳検査という瞳孔を開く検査を行うかどうかによって、眼底検査に要する時間は変わります。散瞳検査を行わない場合は、5〜10分程度で終了することが多いです。 一方、散瞳検査を行う場合は目薬(散瞳薬)を点眼し、瞳孔が開くまで約15〜30分待つ必要があります。その後、実際の検査時間は5〜10分程度ですが、検査終了後も瞳孔が元の状態に戻るまで5-6時間はかかるため、その間は視界がぼやけたり、まぶしく感じたりすることがあります。 ただし、検査の種類や病院の混雑状況によっても所要時間は変わるため、余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。眼底検査前日や当日の流れ・注意点
眼底検査前日の注意点
眼底検査を受けるにあたって、特別な準備は必要ありません。食事や飲み物の制限もなく、普段通りの生活を送ることができます。ただし、散瞳検査を行う場合は、検査後しばらくの間、視界がぼやけるため車やバイクの運転ができなくなります。そのため、公共交通機関を利用するか、家族や友人に送迎をお願いすることを検討してください。また、コンタクトレンズの使用については、検査の種類によっては外さなければならないことがあるため、事前に眼科に確認し、必要であれば眼鏡を持参するようにしましょう。眼底検査当日の流れ
当日はまず受付を済ませ、問診票を記入した後、簡単な問診が行われます。検査の前には、視力検査や眼圧測定が必要になることもあります。その後、散瞳検査を行う場合は、散瞳薬を点眼し、瞳孔が十分に開くまで待機します。瞳孔が開くまでの時間は15〜30分ほどかかります。 瞳孔が開いた後、眼底検査を行います。検査では、眼底カメラや光干渉断層計(OCT)、眼底鏡などの機器を用いて眼底の状態を詳しく調べます。検査自体は5〜10分程度で終了しますが、医師が診察を行い、結果を説明するまでにさらに時間がかかることがあります。検査が終わったら、散瞳検査を受けた場合は瞳孔が元に戻るまで数時間かかるため、その間は注意が必要です。眼底検査当日の注意点
眼底検査を受ける際には、いくつか注意する事項があります。特に、散瞳検査を行った場合、瞳孔が開いた状態が5-6時間続くため、明るい場所ではまぶしさを感じやすくなります。まぶしさを軽減するためには、サングラスを持参するとよいでしょう。また、視界がぼやけてピントが合いにくくなるため、車やバイクの運転は控えてください。コンタクトレンズを使用している場合は、検査の内容によって外す場合があるため、メガネやコンタクトレンズケースを持参してください。 さらに、眼底検査は病院の混雑状況や検査の種類によって時間が前後することがあるため、スケジュールに余裕をもって受診することが大切です。特に、瞳孔を開くと細かい作業が難しくなったり、思うように見えなかったりすることがあるため、検査を行う予定の後に重要な予定を入れないようにしてください。検査結果によっては追加の検査が必要になることもあるため、一度の診察で終わらない可能性もあります。 このように眼底検査にはいくつかの注意点があります。心配な方は事前に眼科に電話等で相談しておくと安心です。 眼底検査は、眼の奥にある網膜や視神経、血管の状態を詳しく調べるために行われます。検査結果は、病気の有無や進行状況を判断する重要な情報となりますが、専門的な用語が多く、どのように結果を理解すればよいか戸惑う方も多いでしょう。ここでは、眼底検査の結果の基本的な見方について解説します。眼底検査の結果・判定・カテゴリーの見方
眼底検査の結果は、大きく 「異常なし」「経過観察が必要」「精密検査が必要」 の3つのカテゴリーに分類されることが一般的です。1. 異常なし(正常)
眼底に特に問題がなく、視神経や網膜、血管の状態が正常であると診断される場合です。この場合は特に治療の必要はありません。
2. 経過観察が必要
軽度の変化や異常が見られるが、すぐに治療が必要な状態ではない場合、このカテゴリーに分類されます。例えば、網膜の小さな異常(ドルーゼン)、軽度の眼底出血、動脈硬化性変化などが該当します。通常は定期的な検査を行い、変化がないか経過観察することになります。
3. 精密検査が必要(要再検査・要精査)
重大な異常が見つかった場合や、病気の可能性が高い場合、さらに詳しい検査が必要とされます。具体的には、緑内障の疑いがある場合や、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性の所見が見られる場合などです。このような結果が出た場合は、早めに専門医の診察を受けることが推奨されます。
また、眼底検査の画像には、視神経乳頭や黄斑部、網膜血管の状態が記録されています。眼科医はこれらの所見を確認し、診断書や結果報告書には「視神経乳頭陥凹の拡大」「加齢黄斑変性疑い」などの病名を記載します。
眼底検査で要精密検査と診断されたら?
眼底検査の結果で「要精密検査」と診断されると、不安を感じるかもしれません。しかし、すぐに重大な病気があるとは限らず、詳しく調べることで治療の必要性や進行の程度を確認することが目的となります。精密検査が必要とされた場合、まずは速やかに眼科を受診し、医師の指示に従いましょう。特に網膜剥離や急性の眼疾患が疑われる場合は、放置すると視力に影響を及ぼす可能性があるため、早めの対応が重要です。精密検査では、さらに詳細な眼底撮影、光干渉断層計(OCT)による網膜の断層解析、蛍光眼底造影検査(FA)などが行われることがあります。これにより、病気の有無や重症度がより正確に評価され、適切な治療を行うことができます。「要精密検査」と診断されても、早期に発見・対応すれば治療可能な疾患が多いため、必要以上に心配せず、医師の指示に従って適切な診療を受けることが大切です。「眼底検査」で発見できる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「眼底検査」に関する病気を紹介します。どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病によって網膜の血管が損傷を受け、視力低下や失明のリスクを伴う疾患です。高血糖が続くと血管が詰まりやすくなり、網膜の酸素不足が進行すると、新生血管(異常な血管)が発生しやすくなります。これが原因で出血や網膜剥離を引き起こすことがあります。初期の段階では特別な治療は必要ないことが多いのですが、病気が進行するとレーザー治療や硝子体手術が必要となります。治療には血糖コントロールが重要で、食事療法や運動療法、内服薬やインスリン治療を適切に行うことで進行を抑えることができます。糖尿病と診断された時点で、眼科で定期的に眼底検査を受けることが推奨されており、視界のかすみや黒い影(飛蚊症)が増えた場合は、すぐに眼科を受診するようにしましょう。眼科を受診することが基本ですが、糖尿病の管理をしている場合は内科や糖尿病専門医と状態を共有するため、連携することも重要です。加齢黄斑変性
加齢黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑が加齢によって変性し、視力が低下する病気です。黄斑は細かい文字を読んだり、色を識別したりするのに重要な役割を担っています。この病気には萎縮型(ゆっくり進行するタイプ)と滲出型(新生血管が発生し、急速に進行するタイプ)があり、特に滲出型は視力低下が急激に進むことがあるため注意が必要です。萎縮型には有効な治療法がないため、進行を抑えるためにルテインやゼアキサンチンを含むサプリメントが推奨されることがあります。一方、滲出型の場合は、抗VEGF療法(異常な新生血管の成長を抑える薬剤の硝子体注射)が主な治療法となります。レーザー治療が行われることもありますが、現在は抗VEGF療法が標準的な治療とされています。視界の中心がゆがんで見える、直線が曲がって見える、視野の一部が暗くなるといった症状が現れたら、できるだけ早く眼科を受診する必要があります。緑内障
緑内障は、眼圧の上昇や視神経の障害によって視野が狭くなる病気であり、初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な検査が必要とされます。進行すると視野が狭くなり、最終的には失明する可能性もあります。特に日本人では、眼圧が正常範囲内でも発症する正常眼圧緑内障が多く、発見が遅れやすいことが特徴です。治療の基本は眼圧を下げることであり、点眼薬を継続的に使用して進行を抑えることが重要になります。薬物療法で十分な効果が得られない場合は、レーザー治療や手術(線維柱帯切開術、線維柱帯切除術など)が行われることもあります。視界の一部が見えにくい、視野の隅がぼやける、といった症状が出た場合は、早急に眼科を受診する必要があります。また、家族に緑内障の患者がいる場合は、40歳を過ぎたら定期的な眼底検査を受けることが推奨されています。網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まり、血液の流れが滞ることで出血や浮腫を引き起こす疾患です。動脈硬化や高血圧、糖尿病が主な原因とされ、高齢者に多く発症します。この病気には網膜中心静脈閉塞症(CRVO)と網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の2種類があり、閉塞の範囲によって症状の重さが異なります。基本的な治療法は、抗VEGF療法による浮腫の抑制や、レーザー治療による血流改善が挙げられます。重症の場合は、硝子体手術が必要になることもあります。また、根本的な原因となる高血圧や糖尿病の管理も重要であり、生活習慣の見直しが再発防止に重要です。突然の視力低下や、片目の視界がかすむ、部分的に暗くなるといった症状が現れた場合は、できるだけ早く眼科を受診する必要があります。放置すると、さらに重篤な合併症(黄斑浮腫や新生血管緑内障)を引き起こすことがあるため注意が必要です。「眼底検査の費用」についてよくある質問
ここまで眼底検査の費用について紹介しました。ここでは「眼底検査の費用」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
眼底検査はどんな方が受診した方がいいですか?
栗原 大智 医師
眼底検査は、特に以下のような方が受診することをおすすめします。まず、糖尿病や高血圧といった生活習慣病をお持ちの方は、目にもその影響が出る恐れがあるため、定期的な検査が必要です。糖尿病網膜症や高血圧性網膜症は、進行すると視力が大きく下がるリスクもあるため、早期発見・早期治療が重要になります。また、40歳以上の方は、緑内障や加齢黄斑変性などの疾患が発症しやすくなるため、定期的な眼底検査を受けることが推奨されます。特に、家族に緑内障の方がいる場合は、遺伝的な要因も考えられるため、早めに検査をしておくと安心です。 さらに、視界がぼやける、歪んで見える、黒い虫やゴミ(飛蚊症)が増えたと感じる方 は、網膜剥離や加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症などの可能性があるため、早急に眼科を受診するようにしましょう。特に、急激な視力低下や視野の一部が欠けるといった症状がある場合は、早めの検査・治療が必要な場合が多いです。 定期的な眼底検査は、目の健康を守るために非常に重要な検査ですので、気になる症状がある方はもちろん、年齢や基礎疾患に応じて検査を受けることをおすすめします。
まとめ 眼底検査の費用は保険適用で数百円から、自費なら数千円から
眼底検査の費用は、保険適用される場合は数百円から数千円程度で済むことが多く、自費診療の場合は10000〜20000円程度かかることがあります。費用は検査の種類や医療機関によって異なりますが、目の健康を維持するためには定期的な検査を受けることが重要です。 特に、糖尿病や高血圧などの生活習慣病をお持ちの方、40歳以上の方、視界がぼやける・歪んで見えるといった症状がある方は、眼科での検査を検討することをおすすめします。緑内障や糖尿病網膜症は自覚症状が少なく、進行するまで気づかないことも多いため、早期発見のためにも定期的な検査が重要です。 また、散瞳検査を行う場合は検査後しばらく視界がぼやけるため、運転ができなくなることに注意が必要です。眼底検査を受ける際は、事前に医療機関に問い合わせ、費用や検査の流れについて確認しておくと安心です。 目の病気は放置すると視力低下や失明につながる可能性もあります。費用が気になる方もいるかもしれませんが、早期発見・早期治療をすることで、結果的に治療費を抑え、生活の質を守ることができます。気になる症状がある場合は、早めに眼科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。「眼底検査」の異常で考えられる病気
「眼底検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 眼底検査は、目の病気だけでなく、全身の健康状態を反映する重要な検査です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病による影響も確認できるため、定期的な受診が推奨されます。異常が見つかった場合は、早めに専門医の診察を受けることが大切です。参考文献



