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「BMIの基準値」はご存知ですか?男女別・年齢別の基準値も医師が徹底解説!

 公開日:2024/11/30
「BMIの基準値」はご存知ですか?男女別・年齢別の基準値も医師が徹底解説!

BMIの基準値はどれくらい?Medical DOC監修医がBMIの年齢別の基準値や発症しやすい病気や日常生活で気をつけるポイントなどを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

BMIとは?

BMI(body mass index)とは、体格指数で肥満と痩せの判断基準です。世界各国で共通で使用されています。BMIは高すぎても、低すぎてもさまざまな病気を引き起こしやすくなります。
BMIは身長と体重を用いて計算して算出するため、筋肉量や体脂肪量は考慮されません。筋肉量が多く体重が重い場合、BMIは高くなることが多いです。BMIが低くても、筋肉量が少なく体脂肪率が高くなる場合もあります。
BMIの値だけで病気の有無を判断することは難しいですが、健康維持や生活習慣病の発症予防の指標の一つとして日々の管理に役立てましょう。

BMIの基準値

BMIが22の体重が標準体重です。統計上、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの病気になりにくい数値とされています。
日本肥満症学会ではBMIの基準値は次のとおりです。

日本肥満学会肥満度分類

BMI(kg/m²) 判定
18.5未満 低体重
18.5~24.9 普通体重
25~29.9 肥満(1度)
30~34.9 肥満(2度)
35~39.9 高度肥満 肥満(3度)
40以上 高度肥満 肥満(4度)

男女別・BMIの基準値

有病率の低い数値が男性22.1女性21.9という調査結果より、日本のBMIの基準値は男女共に22と定められています。
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査によると、肥満(BMI25以上)の人の割合は男性33.0%、女性22.3%、やせ(BMI18.5未満)の人の割合は男性3.9%、女性11.5%と報告されています。

BMIの計算方法

BMIは身長と体重で計算できます。

計算式:BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

例) 165cm 60kgの場合
60kg÷1.65(m)÷1.65(m)=22
BMIは22となります。

年齢別・BMIの基準値

BMIの年齢別の特徴は令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査によると、20歳代の女性のやせ(BMI18.5未満)が20.7%、男性は肥満(BMI25以上)が40歳代が39.7%、50歳代が39.2%です。
65歳以上の低栄養の傾向(BMI20以下)の割合は男性12.4%、女性20.7%で、年齢が上がるにつれ割合が上がっています。
日本人の食事摂取基準(2020版)では疾患別の発症率・総死亡率・死因とBMIの関連などを総合的に判断し、BMIの目標値を定めています。

10代~20代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
18~29 18.5~24.9

30代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
30~39 18.5~24.9

40代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
40~49 18.5~24.9

50代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
50~59 20.0~24.9

60代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
60~64 20.0~24.9
65~69 21.5~24.9

70代のBMIの基準値

年齢(歳) 目標とするBMI(kg/m²)
70歳以上 21.5~24.9

BMIが高いとどんな病気を発症しやすい?

BMIは高すぎると高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしやすくなります。BMIの分類では25以上は「肥満」にあてはまり、体脂肪が過剰に蓄積している状態です。肥満があり、肥満に関連する生活習慣病などの合併や発症するリスクが高い場合、「肥満症」と診断されます。医学的に減量治療が必要です。

糖尿病

糖尿病とは血糖を下げるインスリンというホルモンの作用不足により、高血糖が続く病気です。遺伝や環境が発症の主な原因です。
内臓脂肪型の肥満(メタボリックシンドローム)では、2型糖尿病の発症リスクが3~7倍上昇します。
慢性的な高血糖の状態は動脈硬化が進行し、合併症を起こすリスクが高まります。糖尿病特有の合併症は網膜症・腎症・神経障害です。
食事療法と運動療法が治療の基本です。肥満があり、減量が必要な場合は、現体重からまずは3%の減量を目指します。
食事療法と運動療法で十分な効果が得られない場合は薬物療法を併用します。
健康診断で血糖やHbA1cの高値を指摘されたり、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感などの症状がある場合はすみやかに一般内科を受診しましょう。

高血圧

高血圧とは血圧が高い状態です。診察室での収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。食塩摂取過剰・肥満・過剰飲酒・喫煙などが原因です。肥満があると標準体重者より、1.5~2.5倍高血圧のリスクが増加すると推定されています。
高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中・心疾患・慢性腎臓病を発症するリスクが高まります。
治療法は食塩制限・標準体重の維持・節酒・禁煙など生活習慣の改善が基本です。肥満症を合併している場合は、現体重から3%の減量で降圧効果が期待できます。生活改善で効果が不十分であったり、合併症がある場合など、必要に応じて薬物療法を検討します。
健康診断で高血圧を指摘されたり、家庭での血圧が基準値を越える状態が続くようなら早めに一般内科を受診しましょう。

脂質異常症

脂質異常症とは、脂質の代謝異常の状態です。LDLコレステロールが140mg/dL以上、HDLコレステロールが40mg/dL未満、中性脂肪(空腹時)150mg/dL以上が診断基準です。低HDLコレステロール・中性脂肪高値は肥満との関連があります。脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心疾患・脳血管疾患などの合併症を起こすリスクが高まります。
摂取エネルギー過剰・肥満・過剰飲酒・運動不足が主な原因です。女性は閉経するとホルモン分泌が少なくなるため、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。
適正量のエネルギー摂取・飽和脂肪酸やコレステロールの摂取制限・食物繊維を多く含む食品を多く摂るなどの食事療法と運動療法が治療の基本です。肥満がある場合は、3~6ヶ月間で現体重より3%減量し、維持することで、改善が期待できます。
生活改善を行っても下がらない場合は薬も併用していきます。
健康診断で脂質異常症を指摘されたら早めに一般内科を受診しましょう。

BMIが低いとどんな病気を発症しやすい?

BMIが低いと、栄養不足になっていることが多いため、貧血や疲労感や月経不順などを引き起こします。摂食障害や低栄養は食事量が少なく、エネルギー摂取不足から低体重となり、BMIが低くなります。
20~30代の女性の低体重はダイエットや偏食が原因になることが多いです。月経不順や貧血、将来骨粗しょう症を発症したり、若年から妊娠期にかけての低栄養により、子どもの将来の生活習慣病発症のリスクを高める危険があります。
高齢者の低体重は、食欲や消化能力の低下や噛む力・飲み込む力の低下などが原因となり、栄養不足から低栄養を招きます。免疫力の低下・認知機能の低下・骨折しやすくなるなどのリスクを高めます。

月経不順

月経不順とは正常の月経周期日数にあてはまらないものです。正常の月経周期日数は25~38日と定義されています。
原因は急激なダイエットや肥満・ストレスなどによるホルモンバランスの乱れなどです。
過度なダイエットによるやせ・肥満がある場合は食事療法やカウンセリングが治療の基本です。月経不順の原因・年齢などによってはホルモン療法や漢方薬を検討します。
月経不順は不妊の原因となる場合もあります。正常と異なる月経周期日数が続く場合は婦人科を受診しましょう。

神経性やせ症

神経性やせ症とは摂食障害の症状の一つです。自らの意思での摂食拒否・著しいやせ・体重増加への強い抵抗などが主症状です。
発症は若年の女性に多くみられますが、年齢や性別問わず発症する可能性はあります。発症の原因は心理的・社会的などさまざまです。うつ病や統合失調症などの精神疾患を合併している場合もあります。低体重が原因で現れる症状は、低血圧・脱水・浮腫・低体温などです。
重症度に応じて、外来治療または入院治療にてカウンセリングや食事療法を行います。緊急性がある場合や、摂食拒否が強い場合は経腸栄養や高カロリーの点滴を行います。
神経性やせ症は早期発見と適切な治療が重要です。疑わしい症状がある場合は、すみやかに心療内科や精神科を受診しましょう。

低栄養

低栄養とは主にエネルギーとたんぱく質の不足により、必要な栄養素が不足した状態です。
原因は、栄養素の摂取不足・吸収や代謝障害・甲状腺機能亢進症やがんなどにより、必要エネルギー量の増大などです。高齢期でBMIが20以下では低栄養のリスクが高まります。
症状は体重減少・貧血・疲労感・倦怠感・むくみなどです。免疫力が低下し、感染症にもかかりやすくなります。栄養不足は体の筋肉を分解し、痩せていても体脂肪率が高い隠れ肥満になるおそれがあります。
治療法は通常、口からの栄養補給です。一日3食、主食・主菜・副菜をそろえた食事にして、エネルギー・たんぱく質・ミネラル・ビタミンなどの栄養素を十分に摂取します。
低栄養の原因となる病気がある場合は、その治療を行います。
食欲不振が続いたり、体重減少、貧血、下半身のむくみなどがある場合は一般内科を受診しましょう。

BMIが25以上の人が生活習慣で注意するべきこと

BMIが25以上で内蔵脂肪蓄積型の肥満の場合は、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしやすくなります。
肥満を解消することは、生活習慣病の発症予防や改善効果があります。標準体重や普通体重の維持が理想ですが、まずは現体重から3%の減量を目標にしましょう。

摂取エネルギーを適量にしましょう

肥満はエネルギー摂取量が消費量を上回り、過剰分が体脂肪として体に蓄積された状態です。肥満の解消には適正量のエネルギー摂取にしましょう。
適正量は、25kcal×目標体重(kg)以下/日、(高度肥満症の場合には一日20~25kcal×目標体重(kg)以下/日)です。

目標体重が60kgの場合:25kcal×60(kg)=1日1500kcal以下
高度肥満症:20~25kcal×60(kg)=1日1200~1500kcal以下
になります。

寝ている間はエネルギーが消費されにくいため、一日の摂取エネルギーが同じであっても、夕食のエネルギー過多や遅い時間の摂取は肥満につながりやすいです。3食のエネルギーを均等にする、または夕食のエネルギーが朝食・昼食より少なくなるように摂取することをおすすめします。
菓子・ジュースやコーヒーなどの糖入り飲料・アルコールによって摂取エネルギーが過剰になっている場合も多いため、それらを減らすことは摂取エネルギーの減少に効果的です。
極端な食事制限は体重減少の効果は早く現れますが、継続が難しいこと、筋肉量の減少により基礎代謝が落ちやすくなるためおすすめできません。1か月に1~2kgの体重減少を目標にしましょう。

いろいろな栄養素を摂りましょう

糖質が多く、たんぱく質が少ない食事は肥満と関連します。
丼物や麺類やパンのみの食事ではなく、定食のように主食(ごはんやパンやめん)・主菜(肉や魚や大豆製品や卵)・副菜(野菜や海藻やきのこ)をそろえた食事にすると、栄養素をバランスよく摂取できるためおすすめです。
十分な食物繊維の摂取は体重減少に効果があります。目標量を満たすよう摂取しましょう。

日本人の食事摂取基準(2020年版) 食物繊維摂取目標量

男性 女性
18~64歳 21g以上 18g以上
65歳以上 20g以上 17g以上

ゆっくり食べましょう

早食いはエネルギー摂取量とは独立して肥満と関連します。満腹中枢が刺激されるには食事をしてから15~20分かかるため、早食いをすると満腹を感じる前に食べ過ぎてしまい、摂取エネルギー過剰の原因になります。
一般的に一日のエネルギー摂取量が一番多くなるのが夕食です。また、内臓脂肪は夜に蓄積されます。早食いの習慣がある方は、まずは夕食が早食いにならないように意識してみましょう。
おすすめの食べ方は野菜や海藻など低エネルギーの副菜をゆっくりと時間をかけて食べ、そのあと主菜や主食をゆっくり食べることです。

早食いを予防するには

  • よく噛んで食べましょう。30回咀嚼してから飲み込むことをおすすめします。
  • 一口ごとに箸やフォークを置きましょう。
  • 一口の量を減らしましょう。
  • 嚙みごたえのある食材を選ぶと噛む回数が自然に増えます。

BMIが18.5未満の人が生活習慣で注意するべきこと

BMIが18.5未満の人は、栄養不足で低体重となり、貧血・疲労感・倦怠感・月経不順といった症状が現れることがあります。
65歳以上では低栄養を予防することは看護や介護予防に重要です。生活習慣を工夫したり注意することは、BMIが低いことで発症する病気の予防が期待できます。
摂食障害が疑われる場合は専門機関で診断や治療を行う必要があります。

不足しないように食べましょう

食事量が少なく、低体重になっている場合は、エネルギーやたんぱく質などさまざまな栄養素が不足していると考えられます。
主食(ごはんやパンやめん)・主菜(肉や魚や大豆製品や卵)・副菜(野菜や海藻やきのこ)をそろえた食事にすると、エネルギー摂取不足になりにくく、バランスよく栄養素を摂取できるためおすすめです。

朝・昼・夕の3食を食べましょう

欠食すると必要なエネルギーやたんぱく質など、さまざまな栄養素が不足します。
朝・昼・夕の3食、色々な食品を食べるようにしましょう。

間食を取り入れましょう

1回に摂取できる量が少ない場合は、食事の回数を増やしたり、間食を摂ることで不足分を補うことができます。間食には菓子類よりも、牛乳やヨーグルトなどの乳製品や果物、市販の栄養補助食品の摂取をおすすめします。

「BMIの基準値」についてよくある質問

ここまでBMIの基準値について紹介しました。ここでは「BMIの基準値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

男性と女性でBMIの基準値は異なりますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

日本のBMIの基準値は男女共に標準体重が22です。有病率の低い数値が男性22.1女性21.9という報告をもとに定められています。

病気のリスクが上がるBMIの基準値について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

BMIは身長と体重で算出される簡易的な指標です。BMIが25~29.9が肥満度Ⅰに当たりますが、BMIのみでは肥満といえません。肥満の判定には体脂肪量の測定が必要となります。浮腫や筋肉量が多く体重増加している場合は脂肪の過剰蓄積による肥満ではありません。

高齢者の肥満度はBMIだけで計測できないというのは本当ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高齢者は骨格筋の減少などによる体脂肪率の増加、低栄養・腎臓病・心臓病などが由来の浮腫による体重増加などがみられることがあり、BMIが体脂肪量を正確に反映しない場合があります。

まとめ BMIの基準値は8.5-24.9の普通体重を目指しましょう!

BMIは標準より低くても高くてもそれぞれ、さまざまな病気を発症するリスクになります。身長と体重で算出する簡易な数値ですが、健康状態を把握する一つの指標として役立てましょう。
食事など生活習慣の改善で体重コントロールが可能な場合が多いです。BMIが標準の範囲外であれば、食生活を見直すことをおすすめします。

「BMI」の異常で考えられる病気

「BMI」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

BMI高値

内科系の病気

循環器系の病気

BMI低値

心療内科の病気

婦人科の病気

  • 月経不順

整形外科の病気

BMIの低値や高値は栄養不足や過栄養の原因となり、さまざまな病気を引き起こすリスクになります。心配な症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師