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「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかること」は?正確に診断されるコツも医師が解説!

 公開日:2025/06/24
「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかること」は?正確に診断されるコツも医師が解説!

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかることとは?Medical DOC監修医が前日・当日の注意点や発見できる病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

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内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)とは?

内視鏡検査とは、先端にカメラやレンズがついた柔らかい管(ファイバー)を口や鼻、肛門から挿入して、体内の消化器官をモニターに映し出して観察する検査です。
一般的に内視鏡検査といわれるものは大腸と胃の検査が代表的です。それぞれ大腸内視鏡(下部消化管内視鏡)・胃カメラ(上部消化管内視鏡)とも呼ばれます。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)とは何を調べる検査?

内視鏡検査では消化器官の状態を詳細に観察することができます。内視鏡の種類は大きく下記のように分けられます。

大腸内視鏡

先端に超小型ビデオカメラのついた管を肛門から挿入して、直腸・S状結腸・下行結腸・横行結腸・上行結腸・盲腸などを観察します。大腸内視鏡を受けることで下記のような症状を観察できます。

  • 大腸のポリープ
    大腸内にポリープがあるかどうかを確認して、必要に応じてその場で切除します。
  • 大腸癌の早期発見
    ほとんど自覚症状がない大腸癌の初期症状も見逃さずチェックできます。
  • 炎症性腸疾患の診断
    潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の有無を確認できます。

胃カメラ

口や鼻から先端にカメラがついた内視鏡スコープを飲み込んで、食道・胃・十二指腸を直接観察します。胃カメラを受けることで下記のような症状を観察できます。

  • 胃の内部の状態
    胃の粘膜に炎症や潰瘍がないかを確認します。また、ピロリ菌への感染の有無も検査できます。
  • 食道の状態を観察
    食道の粘膜の状態を調べ、逆流性食道炎や食道がんの兆候がないかを確認します。
  • 十二指腸の確認
    十二指腸の粘膜の異常や潰瘍の有無を確認します。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)はどこで受けることができる?

内視鏡検査は医療機関でなければ受けることはできません。一般的には内科の中でも、「消化器内科」「胃腸内科」などのある医療機関であれば、内視鏡検査を受けられます。
基本的には、内視鏡検査は予約制であり、実際の検査を受ける前に医師による問診や事前の準備の説明などが必要です。内視鏡検査を希望する医療機関に事前に相談しましょう。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)の前日・当日の注意点とは?

内視鏡検査で消化器官の状態を詳しく観察するためには、前日や当日の食事や行動に関していくつかの注意すべき点があります。
ここで紹介する注意点を守ることでより正確な診断が可能になるはずです。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)前日の食事メニュー

内視鏡検査の前日は、消化の良い食事を心がけましょう。具体的には、おかゆ・うどん・豆腐・じゃがいもなど低繊維・低脂肪で、胃の中に繊維が残りにくいものを選ぶのがポイントです。また、調理方法も工夫して、食材をやわらかく煮たり蒸したりゆでたり、あるいは細かく切り刻んだりすると消化しやすくなります。
胃カメラの場合であれば、食事の量を軽めして、消化の悪いものを避ける程度とそれほど注意は必要ありません。しかし、大腸内視鏡検査の場合には、病院で購入した検査食を食べていただき、腸内の残さ物をできる限り減らします。検査を受ける予定の医療機関の説明に従って食事を摂りましょう。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)の何時間前から食事は控えた方がいい?

内視鏡検査前日の食事時間では下記が一般的な目安です。

大腸内視鏡

検査日の3日前頃から食事制限をおこないます。繊維の多いものや、種を多く含む食べ物は避けましょう。また、検査前日の夕食は20時までに済ませて、それ以降は食べ物の摂取を控えますが、水分の摂取は可能です。おすすめの飲み物は、水や日本茶、麦茶、紅茶、コーヒーです。その後、20~22時頃に下剤を内服します。
検査当日は、水かお茶など無糖のものであれば飲んでも問題ありません。

胃カメラ

前日までは食事制限は特にありません。検査前日の夕食は20時ごろに済ませましょう。油っこい食事は避けましょう。

食事を控える時間や、食事後の動きが異なるのは、大腸内視鏡・胃カメラの目的がそれぞれ異なるからです。
大腸カメラは、大腸内部を観察するため、検査前日に下剤を使用して、腸内にあるものを全て出す必要があります。
一方、胃カメラは、大腸カメラとは異なり、腸内の内容物を除去する必要がないため、制限は緩やかです。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)当日の食事メニュー

大腸内視鏡・胃カメラともに検査当日の食事は絶食です。
大腸内視鏡の場合は水やお茶など検査直前まで摂取可能です。
胃カメラの場合には、当日の水分摂取も控えるようにしますが、検査4時間前までであればお茶や水など透明な水分摂取は可能です。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)前に食事をしてしまった場合はどうしたらいい?

内視鏡検査前に食事をしてしまった場合は、すぐに検査を担当する病院やクリニックに連絡し、状況を報告するようにしましょう。その際に、食事の内容と摂取した時間を正確に伝えることが重要です。
食事を摂ることで胃や腸が刺激され、内視鏡の進行が妨げられるため、基本的には検査はできません。しかし、水やお茶など透明な液体であれば比較的早く胃を通過するため、4時間までであれば検査が可能な場合があります。
場合によっては、検査の延期が必要となることがあります。次回は、指示通りに準備を行うようにしましょう。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)何時間後に食事はできるの?

内視鏡検査後、1時間程度は食事を制限しましょう。この時間は喉の麻酔の影響が残っているため、飲水や食事は避ける必要がありますが、その後は飲食ともに制限はありません。
しかし、大腸内視鏡の場合は事前に下剤を服用しているため、消化に良い食品を選び、徐々に通常の食事に戻しましょう。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)後の食事メニュー

内視鏡検査後は、前日と同じように、お粥・柔らかいパン・蒸し鶏・煮野菜・スープなど消化に良い食品を選ぶことが大切です。
食べてはいけないものはありませんが、カレー・揚げ物・辛いものなどは避けるようにしましょう。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?

内視鏡検査前の薬の服用は大きく下記にわかれます。

血圧を下げる薬(降圧剤)

内視鏡検査前の緊張などのストレスから血圧は普段より高くなる傾向のため、内視鏡検査当日も必ず普段から服用している降圧薬は飲みましょう。
飲む時間ですが、大腸内視鏡検査は洗腸剤服用の2時間前までか、洗腸剤服用後に飲みましょう。一方、胃カメラの場合は、検査時間の2時間前までには飲むのが目安です。

血糖を下げる薬(血糖降下剤)

検査当日は朝から絶食しており、その状況で血糖を下げる薬を飲むと低血糖になるため、検査当日は絶対に飲まないようにしましょう。

上記のように検査前日・当日は飲んでいい薬が異なるため、必ず検査する医療機関に確認しましょう。内視鏡検査後はいつも通りに薬を飲んでもらって問題ありません。
喫煙に関しては、内視鏡検査の前後は控えるようにしましょう。タバコには血管を収縮させる作用があります。胃や腸の血流が悪くなるなどして検査の正確性が低くなってしまう可能性があるため、なるべく控えてください。

「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

大腸がん

大腸がんは、良性のポリープががん化して発生するものと、大腸の粘膜から直接発生する悪性腫瘍で、遺伝的要因・生活習慣・加齢などが原因といわれています。
初期症状においては無症状が多いですが、進行すると血便や便通異常、腹痛などの症状が現れることもあります。
治療法は、がんの進行度によって異なりますが、内視鏡的切除や手術、化学療法などを選択します。
便に血が混じる血便や下血がある、持続的な腹痛がある場合には消化器内科や外科を一度受診しましょう。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸粘膜の一部が、いぼのように盛り上がって内側に飛び出している状態の良性腫瘍で、遺伝性・生活習慣などで生じます。大腸ポリープは、腹痛や下痢、腹部の膨満感などが出ることもありますが、基本的にはポリープの大きさが小さい初期の段階では自覚症状はありません。しかし、ポリープが大きくなると、血便や粘液の混ざった便となる場合があります。また、一部のポリープはがん化する可能性があるため、6㎜程度以上の大きさになると切除することが一般的です。
ポリープが大きくなっているかは、定期的な大腸内視鏡検査を受けることで発見できます。便秘・下痢・腹痛・腹部の張りなど気になる症状がある場合は、消化器内科を受診しましょう。

胃がん

胃がんは、胃の粘膜の細胞が、無秩序に増えていくことにより発生する悪性腫瘍です。ヘリコバクター・ピロリ菌感染・塩分の多い食事・喫煙・過度な飲酒などが主な原因といわれています。
初期は無症状が多いですが、進行すると胃の痛み・胸やけ・吐き気・食欲不振などが生じます。また、がんから出血することによって、貧血が起こることや、黒い便が出る場合もあります。
胃がんは早期発見が重要で、内視鏡的切除や手術、化学療法などの治療法があります。もし、胃の不快感や食事摂取問題が続く場合は、消化器内科や外科を受診しましょう。

胃ポリープ

胃ポリープは、胃粘膜の一部が、いぼのように盛り上がって内側に飛び出している状態の良性腫瘍です。過剰なアルコール摂取・脂っこい食べ物の食べ過ぎ・運動不足・睡眠不足・喫煙・ストレスなどの生活習慣の乱れが原因といわれています。
大半の胃ポリープは良性なため、経過観察で十分ですが、2cm以上の大きさや形状によっては内視鏡の切除をおこないます。
胃ポリープは、がんのリスクは比較的低いですが、定期的な検査で経過を観察することが重要です。
胃の不快感・食欲不振など、気になる症状がある場合は、消化器内科を受診しましょう。

「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかること」についてよくある質問

ここまで内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかることについて紹介しました。ここでは「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)でわかること」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)は大腸や胃のどこまで検査することができますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

大腸内視鏡では、肛門から挿入した内視鏡を使用して、直腸から結腸、大腸の入り口である回盲弁など大腸全域を観察できます。
また、胃カメラ検査は、食道・胃の内部・十二指腸の間までを詳細に観察できます。

内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)は何年おきに受診するとよいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

内視鏡検査の受診頻度は個人の状況により異なります。
正常な場合は、ポリープやがんを早期発見・早期治療するために、3~5年に1回は受診しましょう。また、ポリープを切除した方や、大腸がんの治療をした方は1年に1度の検査をおすすめします。

まとめ 定期的な内視鏡検査で消化管の異常を予防

内視鏡検査は、消化官の状態を詳細に観察し、異常や疾患を早期に発見するための重要な検査で、検査をスムーズに進行するためには、前日や当日の食事や行動に注意が必要です。
内視鏡検査は、多くの医療機関で受けることができます。定期的な検査が健康維持に繋がるため、検査を希望する場合は、医療機関に事前に相談し、必要な準備を行いましょう。
内視鏡検査を定期的に受けることで、消化器疾患の早期発見と適切な治療が可能になるはずです。

「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)」の異常で考えられる病気

「内視鏡検査(大腸内視鏡・胃カメラ)」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

感染症内科の病気

  • ヘリコバクター・ピロリ感染症

下痢やお腹の張りなど気になる症状がある場合は、内視鏡検査を一度受けることで消化器系の詳細な観察が可能なため、症状が続く場合には医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師