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「尿蛋白が出やすい人」の特徴はご存知ですか?男女別の原因も医師が徹底解説!

 公開日:2024/05/27
「尿蛋白が出やすい人」の特徴はご存知ですか?男女別の原因も医師が徹底解説!

腎臓の健康リスクにつながる尿蛋白が出やすい人とは?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法等を解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

尿蛋白が出やすい人の特徴と考えられる原因・対処法

尿蛋白がみられた場合、腎臓病の可能性があります。しかし、腎臓病以外にも尿蛋白が出やすい病態もあります。今回は、尿蛋白が出やすい人の特徴や原因などについて解説いたします。

尿蛋白が出やすい女性に多い原因と対処法

女性で尿蛋白が出た場合、生理やおりものが影響している可能性があります。生理中、生理前後はなるべく尿検査を受けるのを避けましょう。また、おりものが混入して蛋白が陽性となることを避けるため、中間尿をとりましょう。妊娠中は尿蛋白が出やすくなります。定期妊婦検診を受け、尿蛋白が続いたり血圧上昇が起こる時には主治医に相談をしましょう。
また、男女かかわらず高血圧などの生活習慣病による腎臓病の発症で、尿蛋白がみられることがあります。生活習慣病がある場合、生活習慣に気をつけ、必要がある場合には治療をすることで腎臓病の発症を抑えられます。生活習慣病のコントロールをしっかりと行いましょう。

尿蛋白が出やすい子供に多い原因と対処法

子供で尿蛋白が出る場合には、激しい運動後や発熱時など調子が悪い時、脱水が起こっている可能性も考えられます。やせ型の体形の場合には、起きて体を動かすと腎臓が圧迫されて尿蛋白が出る体位性蛋白尿の可能性もあります。この場合には、尿を採取する時間に気を付けましょう。横になって寝ていたあとの、朝いちばんの早朝尿で検査をすると良いでしょう。また、体調が良い時に早朝尿をとり、再検査をすることがお勧めです。再検査でも尿蛋白が出ていたり、すでに尿蛋白が2+以上で多い場合には腎炎を起こしている可能性が考えられます。浮腫が強い場合には、ネフローゼ症候群を起こしていることもあります、まず尿検査で蛋白尿を指摘された場合には、小児科を受診しましょう。

尿蛋白が出やすい男性に多い原因と対処法

男性で尿蛋白が出ている場合には、激しい運動後、発熱など体調が悪く尿蛋白が出ている可能性もあります。また、男性では精子が尿に混ざると尿蛋白が陽性となることもあります。尿検査の前には、射精を避けた方が良いでしょう。尿蛋白陽性が認められた場合には、体調が良い時で、運動していない時に再検査をしましょう。再検査でも尿蛋白が持続する場合には、腎臓病の可能性があります。腎臓内科の受診をお勧めします。
また、最近は生活習慣病により腎臓病を発症する方が多くなっています。生活習慣病の可能性がある場合には、しっかりと生活習慣を見直しましょう。

尿蛋白検査の見方と再検査が必要な尿蛋白検査に関する数値・結果

ここまでは尿蛋白が出やすい人が考えられる原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・尿検査の尿蛋白検査の基準値と結果の見方

尿検査の基準値などを下に示します。参考にしていただき、異常の場合には腎臓内科を受診しましょう。

基準値 異常値 考えられる疾患
尿蛋白 -~± 1+~4+ 腎臓病、高血圧
尿潜血 -~± 1+~4+ 膀胱炎、腎臓病、結石など
尿糖 -~± 1+~4+ 腎臓病、糖尿病
尿ウロビリノーゲン 正~+ 2+~4+ 肝臓病、胆のう系疾患

健康診断・尿検査の尿蛋白検査の異常値・再検査基準と内容

尿蛋白が±(15mg/dL以上)以上の場合には、腎疾患の可能性があり、再検査をお勧めします。尿の濃さにより、尿蛋白の濃度が変化してしまうため、正常であっても尿検査で±~1+程度の尿蛋白を指摘されることもあります。再検査を行い、尿蛋白陽性が持続する場合には、アルブミン尿の測定をしたり、尿の蛋白量を測定し、クレアチニンとの比率を確認して、尿蛋白量が0.15g/gCr以上の場合には、尿蛋白の異常があると考え精査のため腎臓内科受診をお勧めします。

尿蛋白が出やすい人が注意したい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、尿蛋白が特徴の病気を紹介します。

糖尿病

糖尿病とは、インスリンが十分に働かないために血糖値が上昇してしまう病気です。血糖値が高い状態が続くと、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの合併症が起こる可能性が高くなります。糖尿病性腎症は、尿蛋白が出てネフローゼ症候群を来たしたり、やがて進行すると腎不全となることもあります。健康診断で血糖値が高いなど糖尿病の疑いがあると言われたら、内科(糖尿病内科)を受診しましょう。糖尿病の初期では、自覚症状がないことも多いです。自覚症状がなくとも、早めに受診をすることがお勧めです。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症とは、糖尿病の合併症の一つです。血糖値が高い状態が持続すると、全身の小さな血管が傷つき血管が詰まったり、破れてしまったりします。腎臓には糸球体があり、老廃物をろ過して体内の老廃物を排泄しています。この糸球体には血管が多く、血管が傷つくとつぶれてしまいます。その結果、尿蛋白が漏れ出る様になり、ネフローゼ症候群をきたしたり、腎機能が低下していき腎不全をきたします。現在日本において、透析導入原因疾患の第一位が糖尿病性腎症です。糖尿病と言われたら、しっかりと血糖値のコントロールをし、合併症が進行しないようにしましょう。糖尿病性腎症と言われたら、主治医の糖尿病内科もしくは腎臓内科で治療を受けましょう。

腎臓病・慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病とは、「腎臓の障害」もしくは「腎機能低下」が3か月以上持続している状態です。腎臓の障害とは蛋白尿や腎形態異常を指し、腎機能低下とは糸球体濾過量60ml/min/1.73m2未満を指します。慢性腎臓病の原因は腎炎や生活習慣病(高血圧、糖尿病、高尿酸血症など)などです。慢性腎臓病は成人全体で8人に1人と多く、この頻度は高齢者になるほど高くなります。慢性腎不全の症状は初期には自覚症状が出ないことが多いです。進行するとむくみ、末期になると呼吸困難、倦怠感、食欲不振などが認められます。慢性腎不全は進行すると改善することが難しいため、早期での発見、治療が必要です。腎機能が悪い、尿蛋白があるなど腎臓病が疑われたら、早めに腎臓内科を受診しましょう。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、糸球体の障害による大量の蛋白尿と、これに伴う低蛋白血症を特徴とする症候群です。
ネフローゼ症候群の診断基準として、
①3.5g/日以上の蛋白尿が持続する
②低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dL以下、血清総蛋白量6.0g/dL以下
が必須条件です。
ネフローゼ症候群に伴い、浮腫や脂質異常症をきたしやすいです。ネフローゼ症候群は、腎炎による原発性ネフローゼ症候群と、膠原病、糖尿病や薬剤性などによる続発性ネフローゼ症候群に分類されます。健康診断などで尿蛋白が3+や4+となった場合にはネフローゼ症候群の可能性があります。早急に腎臓内科を受診しましょう。

「尿蛋白が出やすい人」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「尿蛋白が出やすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

尿検査で尿蛋白が指摘されたら腎臓病の危険性がありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

尿検査で尿蛋白が陽性になった場合には、腎臓病の可能性があります。しかし、尿蛋白は体調が悪い時や運動後などで陽性となりやすいです。一度、尿蛋白が陽性となったとしてもすぐに腎臓病とは言えません。まず内科や小児科を受診して、再検査をしましょう。

健康診断前のストレスが原因で尿蛋白が検出されることはありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

ストレスで体調が悪い時には、尿蛋白が出ることもあります。健康診断は、体調を整えて受診をしましょう。

検尿で尿タンパクを指摘された女性はどんな治療が必要ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

尿蛋白が陽性と指摘されたら、まず尿蛋白量を確認します。尿蛋白が0.15g/gCr以上が持続する場合には、何か腎疾患がある可能性があります。特に0.5g/gCr以上の場合には、腎炎の可能性が高く、腎臓内科を受診し腎臓に針を刺して組織の一部をとる腎生検検査を施行し、詳しく原因を調べます。この結果により、治療方針を決定します。

尿蛋白検査前の食事はどうすれば良いですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

尿検査前には、カロリーがない水分をとり、脱水とならないように気をつけましょう。また、たんぱく質を多く摂取しすぎると腎臓に負担がかかる可能性があります。たくさん食べすぎないようにしましょう。

尿蛋白が出やすい人が食べると良い食べ物はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

尿蛋白が出やすい人が食べると良い食べ物は、とくにはありませんが、腎疾患を合併している場合には減塩がお勧めです。また、腎臓病の状態によっては蛋白制限が必要な場合もあります。食事療法に関しては主治医に確認をしましょう。

まとめ 生活習慣病にかかっている人は尿蛋白に注意

尿蛋白が出ていても、すべてが腎臓病とは限りません。体調や尿検査をした条件によっては正常な方でも尿蛋白が出ることもあります。尿蛋白は軽度であれば自覚症状が出ないこともあります。しかし、腎臓病のSOSのサインの可能性も高く、注意が必要です。特に最近は生活習慣病に伴う腎臓病が多くなっています。生活習慣病に蛋白尿を伴う時には、腎臓病を合併している可能性があります。早めに腎臓内科での治療が必要です。腎臓病は早期に治療をしないと進行した場合には改善が難しい病気です。尿蛋白を放置せず、再検査でも尿蛋白が持続する場合には腎臓病の可能性もあり、早めに治療が必要です。腎臓内科を早めに受診しましょう。

「尿蛋白」の異常で考えられる病気

「尿蛋白」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

内分泌・代謝系の病気

腎・泌尿器科系の病気

  • 腎炎
  • 腎臓病

尿蛋白がみられた場合、さまざまな病気が考えられます。腎臓病が発症している場合には、原発性の腎炎の可能性、生活習慣病を含めた続発性の腎臓病の可能性が考えられます。尿蛋白が陽性となった場合には、再検査を必ずしましょう。腎臓は沈黙の臓器とも言われています。症状が出にくく、腎不全が進行した場合には改善が難しいです。このため、早期に発見し治療を行うことが大切です。

この記事の監修医師