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「骨密度検査」ってどこでできるの?費用や測定方法も医師が徹底解説!

 公開日:2024/05/22
「骨密度検査」ってどこでできるの?費用や測定方法も医師が徹底解説!

骨密度検査は何がわかる?Medical DOC監修医が測定方法や結果の見方や基準値・発見できる病気などを解説します。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

骨密度検査とは?

人間の骨は加齢とともに強度が落ちていきます。一般的に、男女とも30歳頃に骨量は最大になり、その後減少に向かいます。
骨がもろくなると背中や腰が痛くなったり、腰や背骨が曲がったり、身長が縮んだりするほか、骨折により寝たきりや介護が必要な状態になることもあります。この状態を骨粗鬆症と呼びます。
骨粗しょう症は骨折が起きるまで自覚しづらいため、予防のためにはある程度の年齢になったら定期的に骨密度検査を受け、自分の骨の状態を把握しておくことが大切です。

骨密度検査とはどんな検査?

骨密度検査とは、骨を構成しているカルシウムなどの量を測定し、骨の強度を調べる検査です。
測定方法は大きく2種類に分けられ、X線を用いる方法と超音波による測定方法があります。

骨密度検査で体の何がわかる?

骨密度検査では骨を構成するカルシウムなどの量を測り、骨の強度を調べることができます。骨粗しょう症の診断のほか、代謝性骨疾患の診断、またそれらの治療の効果を確認できます。

骨密度検査はどうやって測定するの?

骨密度検査にはX線または超音波で測定します。X線による検査のやり方にはDXA(デキサ)法とMD法があり、DXA法は2種類のX線で測定する方法で短時間かつ正確に測定できます。MD法は両手をレントゲン撮影し、アルミニウム濃度を調べて測定します。どちらも被ばく量は少ないです。
超音波法はかかとに超音波を当て、骨量を推定します。こちらはX線を使わないため被ばくの心配がなく、妊婦の方でも安心して受けていただけますが、正確な診断は難しいため、あくまで骨粗しょう症の可能性があるかどうかの判定に用いられます。

骨密度検査はどこでできるの?

骨密度検査を受けたいと思った時、どこで受けられるのか気になりますよね。
骨密度検査は主に整形外科で行っています。
女性に対しては国が定める健康増進法の下、40歳~70歳の間の5歳刻みで骨粗しょう症検診が行われています。
その他、健康保険組合などが行う骨粗しょう症検診もありますので、自治体や健康保険組合に問い合わせてみても良いでしょう。

骨密度検査の費用・保険適用の有無

骨粗しょう症などの疑いがあり、治療目的で骨密度検査を受ける場合は保険適用となります。費用は検査を受ける機関によって異なる場合もありますが、一般的な目安としては全額負担で4,500円、3割負担で1,350円、1割負担で450円ほどです。
自治体の検診では自己負担が無料になることもあります。
保険適用になるかどうかは検査を受ける前に医療機関で確認するようにしてください。

骨密度検査前日や当日の注意点

骨密度検査では前日、当日の食事について制限はありません。健康診断や人間ドックなど、他の検査に伴う制限がある場合はその指示に従ってください。
検査を受ける際はアクセサリー類を外してください。金具やファスナー、ボタンの付いていない服装であればそのまま受けられますが、下着にワイヤーが入っている場合は検査着に着替えることもあります。
普段から服用している薬がある場合はあらかじめ担当医師に確認しておきましょう。

骨密度検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは骨密度検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

骨密度検査の結果や数値の見方・分類と主な所見

骨密度検査ではYAMという指標を見ます。YAMとはYoung Adult Meanの略で、若年成人平均値という意味です。
健康な若年成人(20歳~44歳)の平均値を100として、それに対して自分の骨量が何%かどうかで骨密度を測ります。
このYAMの数値が80%以上で正常とされ、70%未満で骨粗しょう症と診断されます。
70%~80%は骨量減少とみなされ、この範囲内であっても家族に骨粗しょう症患者がいる、軽微な刺激による骨折の経験がある、などの要素があれば骨粗しょう症と診断されることもあります。

骨密度検査の結果で精密検査が必要な基準と内容

自治体や健康保険組合などの骨粗しょう症検診で骨密度の低下や要精密検査と判定された場合、腰椎や大腿骨を測定できるDXA法での検査ができる医療機関で再検査を受けるようにしてください。
必要に応じて血液や尿による検査(骨代謝マーカー)が行われることもあります。
骨折を防ぐため、早く治療を始めるに越したことはありません。
精密検査の結果、骨粗しょう症と診断された場合は薬物治療、食事、運動療法などを組み合わせて治療計画が立てられます。

「骨密度検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「骨密度検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の量(骨量)が減少し、骨の質(骨質)も低下したことで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
女性に多い病気で、骨の新陳代謝に重要な働きをする女性ホルモンが減少することで骨密度が低下します。
他の原因としては無理なダイエットなどによる栄養不足、運動不足や過度の飲酒、喫煙などの生活習慣、また、副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患、関節リウマチのほか、糖尿病をはじめとする生活習慣病も骨粗しょう症の発症リスクを高めます。
骨粗しょう症は自覚に乏しいため、骨折してから気付くことも少なくありません。
年齢や疾患などのリスク要因がある方は定期的に骨密度を測り、検査で骨粗しょう症の可能性を指摘された場合は速やかに治療を始めてください。
骨粗しょう症に対応する科は主に整形外科ですが、内科や婦人科で診察することもあります。

骨折

骨折とはその名の通り骨が折れることです。完全に折れた状態のほか、ヒビや欠け、凹みも骨折です。
骨折は骨に外的な力が加わり、その刺激に耐えられないことで起こります。
通常、健康な骨であればかなり強い力が加わらない限り折れることはありませんが、何らかの理由により骨が弱くなっている場合は弱い力でも骨折が起きます。
また、健康な骨に弱い力が掛かる場合でも、繰り返し同じ箇所に力が加わり続けると骨折することがあります。この状態を疲労骨折と呼びます。
骨折の中でも折れた骨が皮膚を破って外に露出している開放骨折の場合、露出した骨髄に細菌が感染して骨髄炎となる恐れがあるため、治療を急ぐ必要があります。
転倒や打撲などの外傷が加わった際は、骨に異常がないかどうか整形外科で診てもらってください。
骨折の治療やかかる期間はその部位や折れ方、個人によりさまざまです。医師の方針に従って治療にあたりましょう。

「骨密度検査」についてよくある質問

ここまで骨密度検査について紹介しました。ここでは「骨密度検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

医療機関で骨密度検査はどのように行われますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

骨密度検査はX線や超音波を用いて行われます。このうち超音波法はX線を使用しないため、妊婦や子どもでも受けることができますが、検査精度に限界があり、あくまで骨粗鬆症の可能性があるかどうかの判定に使われます。正しく骨密度を図るためにはX線検査であるDXA(デキサ)法、MD法といった方法を用いて、骨粗鬆症かどうかを診断します。

骨密度検査の平均費用はどれくらいですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

骨密度検査の費用は医療施設や検査の種類によっても異なりますが、全額負担の場合で4,500円、3割負担で1,350円、1割負担で450円ほどです。
自治体によって費用の補助があったり、勤務先の健康保険組合から補助があったりする場合がありますので、一度お住まいの自治体や健康保険組合に問い合わせてみてください。

骨密度を測定して70%未満の場合、骨粗鬆症なのでしょうか?

木村 香菜木村 香菜 医師

骨密度がYAM(若年成人平均値)の70%以下であれば骨粗鬆症と診断されます。ただし、過去に骨折の経験がある場合、その骨折の仕方によってはYAMの数値が70%を超えていても骨粗鬆症と診断されることもあります。

骨密度検査は何歳から受けるべきですか?年齢の目安が知りたいです。

木村 香菜木村 香菜 医師

女性の場合は、骨量が低下し始めると言われている50歳頃を目安に受けることをおすすめします。また、閉経後は年に1回の検査が推奨されています。
男性の場合は70歳を過ぎた頃で検査を受けると良いでしょう。
ただし、糖尿病や慢性腎臓病の方、飲酒や喫煙の習慣がある方、および家族に骨粗鬆症の患者がいる方は骨密度の低下リスクが高いため、自覚が無くても定期的に検査を受けることをおすすめします。

骨密度の検査結果で数値が低い人はどんな治療が受けられますか?

木村 香菜木村 香菜 医師

基本的に薬での治療となります。骨吸収を抑える薬、骨形成を促す薬、カルシウム製剤などを患者さんの症状や進行の度合いに応じて処方します。ほか、食事や運動も組み合わせた治療計画が立てられます。
骨粗鬆症の治療は効果が表れるまで年単位の時間を要し、根気のいる治療となります。自己判断で薬の服用を止めたり、飲み忘れたりすることのないようにしましょう。

まとめ 骨密度検査は定期的に受診を!

骨密度は目に見えず、また自分で自覚することができないため、気が付いた時にはかなり骨がもろくなってしまっている場合もあります。
一定の年齢を超えた女性や、骨粗しょう症のリスク要因がある方は、骨の健康を保つために定期的に骨密度を測定すること大切です。
本記事が健康な生活の一助となれば幸いです。

「骨密度検査」の異常で考えられる病気

「骨密度検査」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科系の病気

循環器系の病気

内科系の病気

呼吸器系の病気

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

骨粗しょう症は加齢による骨密度の低下のほか、特定の病気や服用している薬が原因となって発症する場合もあります。上記の病気をお持ちの場合や、ステロイド薬を長期服用している場合は骨粗しょう症リスクについても主治医に確認してみてください。

この記事の監修医師