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「白血球」が少ないのは「ストレスが原因?」改善方法も医師が徹底解説!

 公開日:2024/04/03
「白血球」が少ないのは「ストレスが原因?」改善方法も医師が徹底解説!

血液検査で白血球が少ない場合、ストレスが原因のこともある?Medical DOC監修医がその理由と気をつけたい病気のリスク、改善方法を解説します。

関口 雅則

監修医師
関口 雅則(医師)

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浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

健康診断や血液検査で白血球が少ない原因は?

普段の生活では、白血球数について意識する機会は少ないでしょう。しかし、健康診断や受診した病院などでの血液検査で白血球の数値が少ないと指摘されることがあるかもしれません。そのような場合にどのような原因が考えられるのでしょうか。今回の記事では、白血球が少なくなる原因や、ストレスと白血球数の関係について解説していきます。

血中の白血球が少なくなる原因とは

白血球は、細菌やウイルスなどから体を守る働きを担っています。
この状態の原因はさまざまですが、一般的には以下のようなものがあります:
骨髄の問題:白血球は骨髄で作られるため、骨髄がうまく機能していないと白血球の生産が減少します。例えば、白血病や骨髄異形成症候群などがあります。
感染症:特定のウイルス感染症は白血球の数を減少させることがあります。
薬剤による影響:抗がん剤や免疫抑制剤などの薬剤は、白血球の数を減少させる副作用があります。
自己免疫疾患:体が自分の白血球を攻撃してしまう病気もあります。
栄養不良:ビタミンやミネラルの不足は、白血球の生産に影響を与えることがあります。

ストレスと白血球はどんな関係があるの?

ストレスは体の防御システムに影響を与えます。
ストレスにさらされる状態が長く続くと、免疫力が低下することがわかっています。これは、抗体を産生するリンパ球という白血球の一種の働きがストレスによって低下してしまうためです。すると、ウイルスや細菌に対する抗体を作る能力も低下するのです。
その一方で、慢性的なストレスは白血球を増やすパターンも知られています。この場合には、白血球の増加などがアテローム性動脈硬化症や心筋梗塞と関連するのではないかと考えられています。

ストレスが原因で白血球が減少することはあるの?

先ほど述べたように、慢性的なストレスが原因で白血球が減少することもあります。
ストレスによって体が放出する化学物質、特にカテコラミンは、特定の白血球の活動を弱めてしまい、その結果免疫システムが弱まることがあります。
ストレス反応が個人によって異なるため、白血球の減少が起こるかどうかは、その人がストレスをどのように処理するかによって変わってくると言われています。

血液中に白血球が少ないとどんな健康リスクがあるの?

白血球が少ない状態を白血球減少症といい、感染症に対する抵抗力が低下してしまうという健康リスクがあります。
白血球は体の免疫系の一部であり、細菌やウイルスなどの病原体から身を守る役割を果たしています。白血球の数が通常より少ないと、風邪やインフルエンザなどの一般的な感染症はもちろん、より深刻な感染症を引き起こす可能性が高まります。
また、何からの病気の症状として白血球が減少していることもあるので、白血球が少ない場合にはその原因を特定して適切な治療を行うことが重要です。

白血球の検査は何科で受けられるの?

白血球の検査は基本的な血液検査項目なので、通常、内科や外科などさまざまな科を受診することで受けることができます。血液検査自体は外来で行える検査です。
発熱があったり、血が止まりにくかったりと、特定の症状がすでにみられる場合には、感染症内科や血液内科などの専門医を受診することもあるでしょう。必要に応じて、他の専門医に紹介されることもあります。また、白血球の検査は、一般的な健康診断の一環として実施されることもあります。

白血球の基準値と精密検査が必要な診断結果

ここまで白血球について説明をしました。
以下では、数値と精密検査について説明します。

血液検査の白血球の基準値(mm・ul)

白血球数の正常値は、3,100〜8,400/μLとなります。これよりもやや多い、8,500〜9,900/μLでは、要注意と判定されます。3,000/μL以下であったり、10,000/μL以上であったりする場合には異常値とされます。

血液検査・血球検査の白血球の精密検査基準と内容

採血検査の結果、3,000/μL以下であったり、10,000/μL以上であったりする場合には精密検査の対象となります。
血液検査で白血球の数値に異常があった場合、詳細な血液分析(例えば、白血球の分類数をより詳しく調べる血液検査)が行われます。また、骨髄に細い針を刺して検体をとり、顕微鏡などでより詳しく調べる骨髄検査なども行われることがあります。
検査費用は、実施する病院やクリニック、検査の種類によって異なりますが、保険診療となります。そのため、人によって保険負担率が変わります。血液検査のみであれば3割負担の場合、3,000円程度が相場かと考えられます。
再検査や精密検査は、最初の検査を行った医療施設または専門の血液内科で行われることが多いです。緊急度は初期の検査結果によりますが、医師が緊急と判断すればすぐに、そうでなければ数週間以内に行われることが一般的です。再検査結果に基づいて、必要に応じて薬物治療、あるいはより専門的な治療が検討されます。

白血球が少ないことでかかりやすい病気・疾患

感染症

白血球には、好中球や好酸球、好塩基球、リンパ球などさまざまな種類があります。そして、好中球は白血球の中でも多くを占めており、体から細菌などの病原体から守るのに対して中心的な役割を果たしています。
白血球が少ないことでかかりやすい感染症には、細菌やウイルスによるものがあります。
特に、白血球の中の好中球が500/μL未満となると、感染のリスクがとても高くなってしまいます。
例えば、肺炎や皮膚感染症、更には普段は問題にならないような真菌(しんきん)などによる軽度の感染症も深刻なものになりえます。治療法は抗生物質や抗ウイルス薬が用いられることが多く、場合によっては入院治療が必要になることもあります。
病院に行くべき目安としては、発熱、持続的な疲労感、予期せぬ体重減少、呼吸困難などの症状がある場合です。受診すべき科は一般内科や感染症内科、状況によっては血液内科が適切です。症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は、骨髄が十分な血液細胞を作ることができなくなる病気です。
再生不良性貧血では、血液中の白血球のみならず、赤血球、血小板のすべてが減少してしまいます。この状態は、汎血球減少症(はんけっきゅうげんしょう)と呼ばれています。程度が軽い場合には貧血と血小板減少だけがあり、白血球数は正常に近い値に保たれていることもあります。
再生不良性貧血では、主として好中球が減少します。
原因は不明の場合が多いですが、自己免疫疾患や遺伝、あるいは環境因子が関係していることがあります。
治療には免疫抑制療法、ホルモン療法、場合によっては骨髄移植が含まれます。
病院に行く目安は、疲れやすい、呼吸困難、頻繁に感染症にかかるなどの症状がある場合です。受診すべき科は血液内科です。これらの症状がある場合は早めに専門医の診断を受けることが大切です。

白血病

白血病とは、血液のがんともいえます。骨髄には、赤血球や白血球、血小板などといった血液細胞になる前の段階の造血幹細胞という細胞があります。その造血幹細胞がそれぞれの血液細胞に分化(ぶんか)、つまり成長する段階でがん化し、無秩序に増殖する白血病細胞になってしまうものです。
白血病細胞が増えると、正常な血液細胞の生成が妨げられてしまいます。
白血病の場合、血液検査での結果で、白血球数が異常に高いか低い値となる場合のどちらもありえます。
白血病の原因は遺伝的な要因などが知られています。治療法には化学療法、放射線療法、分子標的療法、骨髄移植などがあります。疲れやすい、頻繁に感染症にかかる、簡単に出血するなどの症状が現れたら、すぐに病院を受診する必要があります。あるいは、特に症状がなくても健康診断で異常を指摘されることで発見される場合もあります。受診すべき科は血液内科です。

関節リウマチ

関節リウマチは、関節の慢性的な炎症を引き起こす自己免疫疾患です。
多くの症例で、炎症が起こっていることを反映して白血球や血小板は増加します。一方、脾腫や白血球が減少するフェルティー症候群というものもあります。
関節リウマチの原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要素と環境的要素の相互作用が関係していると考えられています。治療には抗炎症薬、免疫抑制薬、生物学的製剤などが使われます。関節の痛み、腫れ、機能障害が持続する場合、医療機関を受診しましょう。適切な科はリウマチ科や整形外科です。早期診断と治療が症状の管理と病気の進行を遅らせる鍵となります。

「白血球が少ない原因とストレス」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「白血球が少ない原因とストレス」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

疲れやすいのですが、白血球が少ないことが原因ですか?

関口 雅則関口 雅則 医師

白血球が少ないこと自体が疲労感の直接の原因になっていることは考えにくいです。一方で、白血球が少なくなる原因として、自己免疫疾患や白血病などがある場合には、その症状の一つとして疲労感が現れることもあります。

風邪が原因で白血球が少なくなることはありますか?

関口 雅則関口 雅則 医師

風邪のような原因となるウイルスに感染し、白血球が少なくなることはあります。

健診で白血球が少ないと指摘されたらどんな改善方法がありますか?

関口 雅則関口 雅則 医師

低栄養状態によって、骨髄の栄養障害が起こり、貧血や白血球減少、血小板減少などが引き起こされることがあります。そのため、しっかりと栄養をとることが白血球減少の改善方法となる可能性があります。

ストレスを減らすと血液中の白血球が増加する可能性がありますか?

関口 雅則関口 雅則 医師

慢性的なストレスによって骨髄の機能が落ちるなどで白血球の数が減少してしまうことがあります。そのため、ストレスを減らすと血液中の白血球が増加する可能性はがあります

まとめ 白血球が少ない原因になるストレスに注意!

今回の記事では、白血球が少なくなる原因としてストレスやその他の病気について解説しました。長期間ストレスにさらされた状態では、白血球が減ってしまい、感染症にかかりやすくなるという危険性があります。一方で、白血球が少なくなる病気には感染や自己免疫性疾患、血液のがんである白血病もあります。そのため、なんらかの症状がある場合や、健康診断などの採血データで白血病の低下がみられる場合には、専門医療機関を受診するようにしましょう。

「白血球」の異常で考えられる病気

「白血球の少なさとストレス」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器血液系の病気

白血球の異常がみられる病気には、これらのものがあります。ストレスも白血球の増加あるいは減少の原因となりえます。

この記事の監修医師