「花粉症のアレルギー検査」はどこで受診できるの?費用についても医師が解説!
花粉症のアレルギー検査の費用や項目は?Medical DOC監修医が検査方法や数値など解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)
日本耳鼻咽喉科学会専門医、指導医。日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本耳鼻咽喉科臨床学会の各種会員。補聴器適合判定医、補聴器相談医。
目次 -INDEX-
花粉症のアレルギー検査とは?
花粉症のアレルギー検査には、大きく分けて2つあります。鼻汁を拭って顕微鏡で観察する検査と、血液検査です。いずれも保険診療で受けられる検査となっています。いくつか種類がありますので、それぞれについて詳しく解説します。また、どこで受けられるのかについても述べていきます。
花粉症のアレルギー検査方法は?
花粉症のアレルギー検査には大きく分けて鼻汁を拭って検査する鼻汁好酸球検査と、血液検査による特異的IgE抗体検査の2種類があります。
鼻汁好酸球検査とは、鼻汁の中の好酸球という細胞を観察する検査です。好酸球はアレルギー反応によって誘導される白血球の一種です。鼻汁中好酸球が観察されるということは、アレルギーによって鼻水が出ていることを示しています。例えば、3月に鼻汁好酸球検査で陽性であった場合、高確率でスギ花粉症であると考えられます。鼻汁を綿棒で拭うか、ティッシュでかんだ鼻水から検査に回すことができます。そのため、痛みはほとんどなく、アレルギー症状から生じた鼻水であると確定診断可能な点が特徴です。ただし、どの物質に対するアレルギーが生じているかについては、必ずしも特定できない場合があります。
血液検査による特異的IgE抗体検査は、アレルギーを起こす物質に対し、特定のIgE抗体が体内に生じているかを観察する検査です。例えば、スギ花粉に対する特異的IgE抗体が体内に生じていると、スギ花粉症という診断に近づけます。血液検査にはさまざまな種類があります。例えば、指先から血液を少しだけ採取するだけでさまざまな抗体を検査できる方法や、充分な量を採血して特定の抗体を検査する方法などもあります。スクリーニング的に多くの項目を検査可能なことが有利な点ですが、一方で偽陽性・偽陰性などに注意する必要もあります。
血液検査による花粉症のアレルギー検査項目にはどんな種類がある?
血液検査による花粉症のアレルギー検査には多くの種類があります。
今回は、
1. 項目別特異的IgE抗体検査
2. VIEW39やMAST48などのスクリーニング検査
3. イムノキャップラピッド
4. ドロップスクリーン検査
と4つの方法について紹介します。
1の項目別特異的IgE抗体検査は、特定の項目について特異的IgE抗体が体内にあるかどうかを検査するものです。例えばスギ、ヒノキなど決まった項目のみ検査することが可能です。抗体の量についても比較的正確に計測することができるため、基本的に行われる検査となります。
2のスクリーニング検査は、網羅的に多数の特異的IgE抗体を検査可能なものです。検査の種類により判明する項目は異なりますが、多数の花粉、動物、ハウスダスト、カビや食物アレルギーについて検査することが可能です。1、2については一般的な採血が必要となり、採血のために痛みはありますが、多くのクリニック・病院で行われています。結果については1週間程度の時間が必要となります。
3のイムノキャップラピッドはキットを用いた簡便な検査です。アレルギー性鼻炎の原因となる特定の8項目が検査可能で、20分で結果がすぐわかるのが特徴となっています。
4のドロップスクリーンは鼻炎だけでなく食物を含んだ41項目を30分間で検査でき、当日中にすぐわかる優れものです。3、4は指先から血液を採取することで検査可能なため、痛みも最低限であり、お子様でも十分施行可能ですが、特に4のドロップスクリーンは行っている施設が限られるため、希望される場合は事前に相談することをおすすめします。
花粉症のアレルギー検査はどこで受けられる?薬局で検査キットも買える?
花粉症のアレルギー検査は病院・クリニックでのみ受けられる検査です。現在のところ薬局で行うための検査キットは発売されていません。希望される場合は近くの病院・クリニックへの受診をご検討ください。
花粉症のアレルギー検査費用は?
検査の費用は検査法によって異なりますが、いずれも保険診療で行えます。鼻汁好酸球検査はそれ自体では3割負担で45円と非常に安価です。採血による検査は項目数によって異なりますが、ほとんどの場合は3割負担で5000円程度となります。
花粉症アレルギー検査の数値と検査結果の見方・所見
ここまで花粉症のアレルギー検査について説明をしました。
以下では、数値と検査結果の見方について説明します。
花粉症アレルギー検査の数値(特異体IgE抗体等)
花粉症アレルギー検査結果において、特異的IgEの量はU/mLで表されます。必ずしも抗体の量が多ければ症状が強い、ということではありません。しかし、抗体の量が多いと症状が強い傾向があるというのは事実です。そのままの数値では結果の判定がわかりにくいので、次で説明する「クラス」という評価単位を使います。
花粉症アレルギー検査結果の見方・所見(測定値クラス)
特定の物質に対する特異的IgE抗体の量をわかりやすく分類したのがクラスになります。クラスは0から6までの数値で表されます。0は抗体なし、1は擬陽性といって、陽性の疑いだがほぼ症状はでないもの、2以上は陽性となります。クラスが高いからといって必ずしも症状が強くなるわけではありませんが、その傾向は強くなります。例えばスギでクラス3というような結果が出た場合、その方はスギ花粉症である可能性が非常に高いと考えられます。スギ特異的IgE抗体陽性に加え、スギ花粉飛散期に症状があるようであればスギ花粉症の確定診断と言えます。
「花粉症のアレルギー検査」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「花粉症のアレルギー検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
花粉のアレルギー検査は耳鼻科・眼科・皮膚科等どこで受診できますか?
小鷹 悠二 医師
アレルギー検査は、耳鼻科、眼科、皮膚科、内科など広く一般的に行われています。鼻汁好酸球検査は通常耳鼻咽喉科でのみ行われます。また、受診先のクリニックや病院によって採用している検査が異なります。特にドロップスクリーンは検査を行うための機械が必要となりますので、希望される場合は受診前に問い合わせすることをおすすめします。
花粉症のアレルギー検査は痛いですか?血液検査が必要ですか?
小鷹 悠二 医師
鼻汁好酸球検査は鼻汁を採取するだけなので、痛みはほぼありません。血液検査は種類があり、通常の血液検査による特異的IgE抗体検査や、VIEW39、MAST48といったスクリーニング検査では採血が必要になるため、採血による痛みは生じます。イムノキャップラピッドやドロップスクリーンによる検査は、指先から血液を数滴採取するだけになるため、ごく僅かに痛いと感じる場合もありますがお子様でも十分施行可能な検査になっています。
花粉症のアレルギー検査結果はどれくらいで出ますか?すぐわかりますか?
小鷹 悠二 医師
アレルギー検査検査では、結果がでるまでに、通常の採血による検査はおよそ1週間程度の時間がかかります。イムノキャップラピッドではキットを用いて迅速検査が行えるため、20分程度で結果がわかります。ドロップスクリーンでは30分程度で結果がわかります。
花粉症のアレルギー検査の時間はどれくらいかかりますか?
小鷹 悠二 医師
鼻汁好酸球検査、採血検査、指先採血検査いずれも数分以内で終了するごく簡単な検査です。
花粉症治療の薬はアレルギー検査の結果によっても異なりますか?
小鷹 悠二 医師
アレルギー検査は、まずは症状によって治療法を選択します。アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬などを用いることが一般的です。ただし、アレルギー検査の結果によって治療法が異なることもあります。スギおよびハウスダストアレルギーがある場合、舌下免疫療法という選択肢があります。舌下免疫療法は、アレルゲン物質を長期に舌下(舌の下側)に毎日投与することで体質を変え、アレルギー症状全般を改善することを目標とする治療法です。舌下免疫療法を開始するためにはアレルギー検査によってアレルギー性鼻炎と確定診断する必要があります。また、重症の花粉症に対してはゾレアという注射薬があります。ゾレアでは抗体の量によって点滴で投与する薬の量を調節する必要がありますので、血液検査が必須となります。
まとめ 症状がある場合には花粉症のアレルギー検査をぜひ受けてみましょう!
スギやハウスダストをはじめとした、アレルギー性鼻炎や花粉症で悩んでいらっしゃる方は非常に多いです。アレルギー性鼻炎で使う薬が変わらないなら検査は必要ないのでは?と聞かれます。しかし、検査によって症状の原因を確認しておくことで、症状が軽いうちから対策と治療が可能です。また、舌下免疫療法によって根本的に近い治療も選択できるようになってきました。一度検査したら、症状が変わらない限り定期的に検査するようなことは必要ありません。もし花粉症を疑う症状があるなら、一度アレルギー検査を受けることを検討してください。
「花粉症のアレルギー検査」の異常で考えられる病気
「花粉症のアレルギー検査」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
呼吸器系の病気
- 気管支喘息
- アレルギー肺アスペルギルス症
- 好酸球性肺炎
消化器系の病気
- 好酸球性食道炎
- 好酸球性胃腸炎
耳鼻咽喉科系の病気
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性真菌性副鼻腔炎
- 好酸球性副鼻腔炎
皮膚科系の病気
- アトピー性皮膚炎
- アレルギー性皮膚炎
眼科系の病気
アレルギーに関係する症状であることから、主に外から摂取するものに関わる耳鼻咽喉科、呼吸器科、消化器科、皮膚科に関わる病気が多く考えられます。
参考文献