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「好酸球性食道炎」になりやすい人や症状はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2024/01/09

好酸球性食道炎とはどのような病気なのでしょうか?本記事では好酸球性食道炎について以下の点を中心に解説していきます。

・好酸球性食道炎とはどのような病気なのか?
・好酸球性食道炎の症状と原因について
・好酸球性食道炎の診断と治療法について

さらに好酸球性食道炎の予後についても解説します。好酸球性食道炎を知るためにぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

好酸球性食道炎とは

好酸球性食道炎とは

好酸球性食道炎とはどのような病気ですか?

好酸球性食道炎は、食道内に好酸球と呼ばれる特定の白血球が異常に増加し、食道の炎症を引き起こす病気です。好酸球は通常、アレルギーや寄生虫感染などによる免疫反応で増加しますが、好酸球性食道炎では不明な原因で食道に過剰に蓄積します。この過剰な好酸球の蓄積により、食道粘膜が炎症を起こしたり、痛みや不快感、食事の嚥下困難、胸焼けなどの症状が現れます。好酸球性食道炎はアレルギー性疾患の患者に多く見られ、内視鏡検査によって診断されます。治療では、抗アレルギー薬や抗炎症薬を使用したり、食事療法、生活習慣の改善があります。早期の診断と適切な治療により、炎症の軽減と症状の改善が期待されます。

好酸球とは何ですか?

好酸球は、白血球の一種であり、特殊な形態を持つ細胞です。好酸球は酸性の環境で染色されるためにその名が付けられています。通常、好酸球は骨髄で生成された後、血液や組織に分布しています。好酸球には免疫応答に関与する重要な役割があります。好酸球の増加は、炎症性疾患やアレルギー性疾患の診断や監視に役立ちます。血液検査や組織検査によって、好酸球の数や活性度を評価できます。しかし、好酸球の増加は特異的な疾患に限定されず、炎症性疾患の存在を示す一つの指標として考えられます。

好酸球性食道炎の症状について教えてください

好酸球性食道炎の症状は、以下のようなものがあります。

胸やけや胸の不快感: 食道内の炎症や胃酸の逆流によって、胸やけや胸の不快感が生じます。

嚥下困難: 食道の炎症や腫れによって、食べ物や唾液の通過が困難になり、嚥下(のみこむ)時に違和感や痛みを感じます。

胸痛: 食道の炎症によって胸痛が生じることがあります。痛みは胸の中央や胸骨周辺に感じる事が多いです。

声のかすれや咳: 食道の炎症が気管に影響を与えることで、声のかすれや咳が生じる場合があります。

食欲不振や体重減少: 食道炎症によって食事が困難になり、食欲不振や体重減少が起こる場合があります。

吐血や黒色便: 進行した場合、食道の潰瘍や出血が生じ、吐血や黒色便が現れる場合があります。

これらの症状が見られる場合は、医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。また、好酸球性食道炎は症状に乏しく、検診でたまたま見つかる場合が多くあります。症状は個人によって異なる場合があり、重症度も異なるため、医師の指導に従うことが大切です。

好酸球性食道炎の原因について教えてください

好酸球性食道炎の原因はまだ完全には解明されていませんが、主な要因としては次のようなものが考えられています。まず、アレルギー反応が関与していると考えられており、食物アレルギーであったり、環境アレルゲンに対する過剰な免疫応答が食道組織に好酸球の増加を引き起こす可能性があったり、遺伝的要因や遺伝子の異常も関与している可能性があります。さらに、胃酸の逆流や胃食道逆流症(GERD)が好酸球性食道炎の発症に関連していることも示唆されています。これによって食道組織が慢性的な炎症を起こし、好酸球の増加が引き起こされるのです。ただし、個々の患者によって原因は異なる可能性がありますので、詳細な原因を特定するためには医師の診断と検査が必要です。

どんな人が好酸球性食道炎になりやすいですか?

好酸球性食道炎は、ある特定の人々により一般的に発生しやすいとされています。以下は好酸球性食道炎になりやすいと考えられる人々の一般的な特徴です。

アレルギー症状を有する人: 食物アレルギー、花粉症、喘息などのアレルギー症状を有する人は好酸球性食道炎のリスクが高まる場合があります。

幼児や子供: 幼児や子供に多く見られ、特にアトピー性皮膚炎を有する子供は好酸球性食道炎の発症リスクが高いとされています。

食物アレルギーを有する人: 特定の食品に対するアレルギー反応がある人は、好酸球性食道炎の発症リスクが高まる可能性があります。

食道逆流症(GERD)を有する人: 食道逆流症(胃酸の逆流)を有する人は、好酸球性食道炎の発症リスクが高まる可能性があります。

ただし、上記は一般的な傾向であり、個々の人によって病因やリスク要因は異なる場合があります。正確な診断と医師の指導を受けることが重要です。

好酸球性食道炎の診断・治療

好酸球性食道炎の診断・治療

好酸球性食道炎の診断について教えてください

好酸球性食道炎の診断は、症状の評価と内視鏡検査が主な方法です。症状としては、喉の違和感や食物が詰まる感じだったり、胸やけであったり、吐き気などがあります。内視鏡検査では食道粘膜に縦走溝(縦に走る溝)や輪状の多発収縮輪などが観察されます。また、組織の生検をして食道上皮内の好酸球数の増加(20以上/HPF:強拡大)を確認します。血液検査では、好酸球の数が増加していることも示唆されます。これらの情報を総合的に評価し、好酸球性食道炎の診断がされます。

好酸球性食道炎の治療法について教えてください

好酸球性食道炎の治療法は、症状の緩和と炎症の抑制が主な目標です。通常、以下のようなアプローチが取られます。

刺激物の回避: 強い刺激を与える食物や飲み物(辛いもの、アルコール、カフェインなど)を避けることで、症状の軽減が期待できます。

食道の保護: 食道を保護するために、酸逆流を防ぐための薬(プロトンポンプ阻害剤など)が使用されます。

抗アレルギー療法: アレルギー反応による炎症を抑えるため、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬(クロルフェニラミンなど)が処方される場合があります。

ステロイド治療: 炎症を効果的に抑えるために、吸入ステロイドの口腔内噴霧とその嚥下によって治療します。

内視鏡的バルーン拡張症術: 食道が狭くなってしまった場合は、バルーン拡張(風船で狭くなった所を拡げる治療)が行われます。

治療は個別の症状や患者の状態に応じてカスタマイズされるため、医師の指示に従うことが重要です。定期的なフォローアップや症状のモニタリングも大切です。

好酸球性食道炎の予後・注意点

好酸球性食道炎の予後・注意点

好酸球性食道炎の予後について教えてください

好酸球性食道炎の予後は、症状の程度や治療法の効果によって異なります。以下に一般的な予後の情報を示しますが、個々の症例によって異なる場合もあります。
治療によって炎症が改善され、症状が軽減されることが多いです。薬物療法や食事管理によって炎症が抑えられれば、食道の組織へのダメージが減少し、症状が改善します。
ただし、好酸球性食道炎は慢性的な疾患であり、再発する可能性があります。症状の再発や炎症の悪化に注意が必要です。定期的なフォローアップや症状のモニタリングが重要です。
長期的な予後については、個々の症例によって異なります。一部の患者では、持続的な治療と管理によって症状の改善が見られたり、良好な予後を得られます。しかし、一部の患者では症状が持続したり、食道の瘢痕形成や狭窄などの合併症が生じる場合もあります。
予後を向上させるためには、早期の診断と適切な治療が重要です。専門医の指導のもと、定期的なフォローアップと治療計画の見直しをすることが推奨されます。

好酸球性食道炎は日常生活でどのような注意が必要ですか?

好酸球性食道炎の方は、以下の点に注意することが推奨されています。

食事管理: アレルゲンとなる食品や物質を特定し、それらを避けることが重要です。一般的なアレルゲンとしては、卵、乳製品、小麦、大豆、魚介類、ナッツ類などがあります。自身のアレルギー特定や食事管理には、医師や栄養士の指導を受けることが役立ちます。

食事の摂取方法: 食事をゆっくりとよく噛むことや、食べ物をよく嚥下することが重要です。大きなかたまりの食べ物や堅い食品は、食道に負担をかける可能性があります。また、食事の後は少なくとも2〜3時間は寝る前に横にならないようにしましょう。

ストレス管理: ストレスは症状を悪化させる要因となることがあります。適切なストレス管理方法を見つけることが大切です。リラクゼーション法やストレス軽減のための活動(ヨガ、瞑想、散歩など)を取り入れることが有益です。

医師の指導に従う: 医師からの指示や処方された薬物療法に従うことが重要です。定期的なフォローアップを受け、症状の変化や治療効果について報告しましょう。

アレルギーの管理: 他のアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)を持っている場合は、それらの管理も重要です。適切なアレルギー治療を受け、アレルゲンに対する過敏反応を軽減させることが目指されます。

上記の注意点は一般的なガイドラインですが、個人の症状や医師の指示に基づいて具体的なケアプランを確立することが重要です。医師との相談を通じて、自身に合った日常生活の注意点を確認しましょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

好酸球性食道炎は飲み込みの困難や食物の摂取に影響を及ぼし、長期的には食道の狭窄や食道炎を引き起こす可能性があります。そのため、症状に悩んでいる場合は、食事療法や薬物療法などの適切な治療を受けることが重要です。治療により、飲み込みや食事に関する問題が改善し、食道の狭窄や食道炎のリスクが減少し、日常生活の質が向上し、食事を楽しむことができるようになります。

編集部まとめ

好酸球性食道炎
ここまで好酸球性食道炎について解説してきました。好酸球性食道炎についてまとめると以下の通りです。
・好酸球性食道炎は、食道内に好酸球と呼ばれる特定の白血球が異常に増加し、食道の炎症を引き起こす病気である
・好酸球性食道炎はアレルギー反応が関与していると考えられている
・好酸球性食道炎の治療法には刺激物の回避、食道の保護、抗アレルギー療法、ステロイド治療がある
これらの情報が好酸球性食道炎について知るための参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修医師