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「視力検査の気球」で何がわかるかご存知ですか?発見できる病気も医師が解説!

 更新日:2024/01/17
「視力検査の気球」で何がわかるかご存知ですか?発見できる病気も医師が解説!

視力検査の気球を見る項目は何のためにある?Medical DOC監修医が健康診断や眼科の眼底検査で発見できる目の病気や検査結果の見方と所見を詳しく解説します

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

プロフィールをもっと見る
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。

視力検査で気球を見る意味とは?

機械に額を当てて、レンズの中にある気球を見る検査をしたことがある方も多いかと思います。あの検査はなぜ行われるかご存知でしょうか。実は、単に気球を見ているだけではなく、知らぬ間に検査をしているのです。本記事ではこの検査について詳しく解説していきます。

視力検査で気球を見るオートレフケラトメーターとはどんな検査?

気球が映る検査は「オートレフラクトメーター」と呼ばれ、目の屈折度を調べる検査です。初めて検査を受ける時はどこを見れば良いか少し戸惑うかもしれませんが、遠くに見えるあの気球を眺めればOKです。
具体的な仕組みとしては、気球がはっきり見えたりぼやけたりするのを繰り返し、目がリラックスした瞬間に赤外線を網膜に当てて、その反射から目の屈折力を測定するのです。指示された通りに機械をのぞき込むだけなので、簡単に検査を受けることができます。

視力検査で気球を見ると目の何がわかる?屈折度を測る理由

オートレフラクトメーターで気球を見ると検査できるのは、近視、遠視、乱視の度数、角膜の形状(曲率半径)です。

視力検査の費用は?

オートレフラクトメーターによる屈折検査の診療報酬は69点です。1点10円なので690円ですが、保険適用であれば自己負担3割の人の費用は210円となります。
たいていの場合、その他の検査も同時に行います。眼底検査の診療報酬が56点、眼圧検査の診療報酬が82点といった形で、どちらも保険適用であれば数百円の費用となります。

視力検査前日や当日の注意点

検査前日は、十分な睡眠を取りましょう。目を閉じて休むことで、ものを見るために働く目の周囲の筋肉がほぐれるため、最善の状態で検査を受けることができます。アルコールの摂取は睡眠の妨げになる可能性もあるため、前日は控えましょう。
検査当日は、目の筋肉が疲れていない午前中に検査を受けることが望ましいです。検査時は姿勢を正して、目を細めないようにして検査をすると、より正確な結果が得られます。

視力検査の結果の見方と再検査が必要な診断結果・所見

ここまでは視力検査について基本的なことを紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

視力検査結果の見方・分類と主な所見

視力検査の正常値は、0.8~1.2とされています。
一般的な視力検査の結果は、【右0.5(1.0)左0.2(0.8)】といったように出てきます。数字のみの視力は裸眼視力で、()内に書かれている視力はメガネやコンタクトレンズを用いた矯正視力が書かれます。例えば、上の例であれば、【 】に書かれている検査結果から、裸眼視力は正常値よりも低いですが、矯正することで正常値となっているため、異常なしと判定されます。

視力検査結果で精密検査が必要な基準と内容

健診などの視力検査で0.7以下の場合は、眼科で精密検査を受ける必要があります。眼科ではまず気球を見る検査(オートレフラクトメーター)を行います。その後、視力検査と眼圧検査を行い、眼底検査は必要に応じて行います。
メガネやコンタクトレンズの度数の調整で済むこともあれば、白内障や緑内障など治療が必要な病気が見つかることもあります。

「視力検査」で発見できる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「視力検査」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

近視

本来は丸い眼球ですが、ラグビーボールのように長くなると、ピントの合う位置が網膜より前にずれてしまうため起こります。そうなると、近くのものは見えても、「黒板の文字が見えない」といったように、遠くのものがぼやける状態になります。
近視の原因は、近くでものを見る癖がついているなどの環境因子と遺伝両方の要素があります。治療はメガネやコンタクトレンズによる矯正です。見えにくさを感じたら、眼科を受診をしましょう。
子どもの場合は、健診結果ももちろん大事ですが、見えにくさについての発言や、近くでないと物が見れずに姿勢が崩れていないか保護者がチェックしておくと良いでしょう。

乱視

乱視とは、角膜や水晶体のゆがみによって、目に入ってきた光の焦点が複数できてしまう状態です。乱視の中にはさらに大きく分けて正乱視と不正乱視の2種類があります。
正乱視は角膜や水晶体が一定方向にゆがんでしまっている状態で“垂直の線がはっきり見えるものの、水平の線はぼやけて見える”といったように、ぶれやすい方向とぶれにくい方向があるのが特徴です。これは角膜や水晶体の形状が影響しているため、主な原因は遺伝や加齢です。
対して、不正乱視は角膜の表面が不規則に歪んでいることで生じるもので、ものが何重にもぶれて見えます。主な原因は、角膜の外傷(ケガ)や角膜の炎症などであり、後天的な原因が多いのが特徴です。
乱視の治療はメガネやコンタクトレンズによる矯正になります。ただし、不正乱視の場合は表面のでこぼこをメガネやソフトコンタクトレンズでは矯正するのが難しいため、ハードコンタクトを使用します。それでも矯正できない場合は、原因によっては手術を検討します。

遠視

遠視とは、目で見たものの焦点が網膜よりも奥で合ってしまう状態を指します。遠視には2種類あります。1つ目は「軸性遠視」で、これは眼球の長さが普通より短いために起こります。2つ目は「屈折性遠視」で、角膜や水晶体の屈折力が平均より弱いことで起こります。
遠視の方は、特に近くのものにピントを合わせる時に、頑張って調節する必要があるため、目が疲れやすくなります。具体的な生活シーンとしては読書やスマホの使用などで眼精疲労を感じることがあるでしょう。眼精疲労の他、頭痛、肩こり、見えにくさなどを感じることもあります。子供の場合、強い遠視は斜視や弱視のリスクを高めることがあり、早期発見・早期治療が大切です。治療はメガネやコンタクトレンズによる視力の補正です。

「視力検査」についてよくある質問

ここまで検査でわかる可能性のある病気や診断結果の見方などを紹介しました。ここでは「視力検査」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

視力検査の気球は何を調べていますか?

栗原 大智栗原 大智 医師

気球を見る検査では屈折度を測定し、近視、乱視、遠視がないか確認しています。

視力検査のオートレフラクトメータは乱視を測定するのですか?

栗原 大智栗原 大智 医師

はい。屈折度を計測することで乱視を確認できます。また、乱視だけではなく、近視や遠視も確認することができます。

健康診断で視力検査を受けるときのポイントを教えてください。

栗原 大智栗原 大智 医師

まず、前日はしっかり休みましょう。視力検査のときは、姿勢を正して測定します。前かがみの姿勢や、細目で見たりすると正確な検査でなくなります。
片目を隠す「遮眼子」を使用しますが、軽く当てるようにしましょう。隠している目を遮眼子で強く押さえると、押さえた目の視力が検査の時に一時的に悪くなってしまうかもしれないため、注意が必要です。

視力検査で赤い屋根の家を見るのは気球と同じ仕組みですか?

栗原 大智栗原 大智 医師

同じ仕組みです。機械を販売しているメーカーの違いになります。

まとめ 「視力検査」で近視を早期発見!

気球を見る視力検査は単に視力の数値だけではなく、何が原因で見えにくくなっているのかまで調べることができます。「最近、視力が落ちてきたかも」と思ったときは、速やかに眼科を受診しましょう。
メガネやコンタクトレンズの度数を確認して調整するだけで済むこともありますし、治療することで良くなる目の病気が重症化する前に見つかるかもしれません。

「視力検査」の異常で考えられる病気

「視力検査」の検索結果から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

眼科系の病気

脳神経の病気

目の見えづらさは角膜炎や網膜剥離など目の病気からくるもの以外に、脳卒中など脳の病気からくる場合もあります。定期的に視力検査を行い、早期に病気を発見し治療しましょう。

この記事の監修医師