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健康診断の「AST(GOT)」とは?肝機能の数値が悪い人のリスクなど医師が解説!

 更新日:2023/10/10
健康診断の「AST(GOT)」とは?肝機能の数値が悪い人のリスクなど医師が解説!

肝機能のAST(GOT)とは?Medical DOC監修医が健康診断のAST(GOT)の見方や基準値・数値の異常の主な原因と病気のリスク・対処法などを解説。

金 仁星

監修医師
金 仁星(医師)

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大阪大学医学部卒業後、地元の病院で臨床研修修了。その後、医療法人 友広会の理事に就任、同法人のAGAメディカルクリニックで勤務。
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有

AST(GOT)とは?

AST(GOT)は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(Aspartate Aminotransferase)の略称で、肝臓や心筋などの細胞に多く存在する酵素です。AST(GOT)は、アミノ酸の代謝に関与しており、細胞が正常に働くために必要な物質を作ったり、不要な物質を分解したりする役割を担っています。AST(GOT)は通常は細胞内に閉じ込められていますが、細胞が破壊されると血液中に放出されます。そのため、血液中のAST(GOT)の値が高いと、肝臓や心筋などに障害を来していると推測することができます。

AST(GOT)が低い場合のリスクと貧血対策

AST(GOT)が低いとどうなる?

AST(GOT)は、肝臓や筋肉などに多く存在する酵素で、肝機能の指標としてよく測定されます。AST(GOT)が低いということは、肝臓の働きが低下している可能性があります。原因としては、ビタミンB6の欠乏や慢性的なアルコール摂取、妊娠などが考えられます。
ビタミンB6は、AST(GOT)の生成に必要な栄養素であり、不足するとAST(GOT)の活性が低下します。アルコールは、肝臓にダメージを与えるだけでなく、ビタミンB6の吸収を妨げるため、AST(GOT)の低下につながります。妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンの影響で、AST(GOT)の値が低くなることがあります。
特に目立った症状はありませんが、肝臓の働きが低下している場合は、体内の毒素や老廃物の排出がうまく行われないということなので、長期的には全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。例えば、疲労感や倦怠感、食欲不振や消化不良、皮膚や目の黄ばみなどが起こることがあります。

健康診断でAST(GOT)が低いと言われたら?

AST(GOT)が低いということは、必ずしも病気を意味するわけではありませんが、肝臓の健康に注意する必要があります。自覚症状がなくても、定期的に血液検査を受けて、肝機能の状態を確認することをおすすめします。

AST(GOT)を増やす方法は?

AST(GOT)を上げるためには、ビタミンB6を含む食品を積極的に摂取することが大切です。ビタミンB6は、バナナやアボカド、豆類やナッツ類などに多く含まれています。また、アルコールの摂取を控えることも必要です。妊娠中の場合は、医師の指示に従って定期的に検査を受けることで、AST(GOT)の値をチェックすることができます。

AST(GOT)が高い場合のリスクと対策

AST(GOT)が高いとどうなる?

AST(GOT)は肝臓や筋肉が傷つくと、血液中に放出されて血液検査で測定できます。AST(GOT)が高いということは、肝臓や筋肉に何らかの異常があることを示しています。
AST(GOT)が高い場合、疲労感や倦怠感、食欲不振などの症状が出ることがあります。また、黄疸や腹水などの重篤な症状も出る可能性があります。AST(GOT)が高い原因としては、肝炎や肝硬変、肝癌などの肝臓の病気や、筋肉の損傷や炎症などの筋肉の病気が考えられます。

健康診断でAST(GOT)が高いと言われたら?

AST(GOT)が高いと、肝臓や筋肉の病気だけでなく、心筋梗塞や膵炎などの他の臓器の病気も引き起こす可能性がありますが、まずはパニックにならないことが大切です。高い原因は、肝炎や肝硬変などの肝臓疾患だけではありません。運動や飲酒、薬剤などでも上昇することがあるので、他の肝機能検査やエコー検査などと併せて判断する必要があります。高い場合は、医師の指示に従って治療や生活改善を行いましょう。

AST(GOT)を下げる方法は?

AST(GOT)が高くなる食べ物として、アルコールや脂っこい食べ物、添加物や保存料の多い食べ物などが挙げられます。これらの食べ物は、肝臓に負担をかけて機能を低下させたり、炎症を引き起こしたりする可能性があります。AST(GOT)を下げるためには、これらの食べ物を控えて、野菜や果物などのビタミンや抗酸化物質を含む食べ物を摂ることが大切です。
例えば、ビタミンCやカロテンが豊富な野菜や果物、オメガ3脂肪酸が含まれる青魚やナッツ、シリマリンが含まれるチョウジなどがおすすめです。これらの食材や食品は、肝臓の炎症を抑えたり、肝細胞の再生を促したりする効果があります。AST(GOT)を下げるためには、これらの食材や食品をバランスよく摂り、過度な飲酒や油っこい食事を控えることが大切です。

健康診断のAST(GOT)の見方と基準値・再検査が必要な数値・診断結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・血液検査の「AST(GOT)」の基準値(Hb・Hgb)

AST(GOT)は、肝臓や心筋などに多く存在する酵素で、肝機能や心筋梗塞などの判断に用いられます。基準値は7~38IU/Lであることが多いですが、個人差や検査機器によって異なる場合があります。基準値を超えると、肝臓や心筋の障害が疑われます。基準値の5倍以上ある場合は特に危険です。この場合は、すぐに医師の診察を受ける必要があります。

日本人間ドック学会では基準値は以下のように示されています。

基準値 要注意 異常
30U/L以下 31~50U/L 51U/L以上

健康診断・血液検査の「AST(GOT)」異常値・再検査基準と内容

血液検査でAST(GOT)の値が高い場合は、ALT(GPT)の検査値も参照して疾患の種類を推測します。肝臓の疾患が疑われた場合は肝臓の状態を詳しく調べる必要があります。そのためには、超音波検査を行うことが一般的です。超音波検査は、肝臓の大きさや形、内部のエコーなどを画像で見ることができ、無痛で安全な検査で、費用は約3000円程度です。健康診断を受けた医療機関や近くの内科・消化器科などで依頼することができます。
AST(GOT)の値が高い場合は、早めに超音波検査を受けることが望ましいです。超音波検査の結果によって、肝臓の病気の有無や程度が判断されます。肝臓の病気がある場合は、必要に応じて薬物療法や生活習慣の改善などの治療を行います。

健康診断・血液検査の「AST(GOT)」の異常が診断されたら気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「AST(GOT)」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性肝炎

急性肝炎とは、ウイルスや薬物などが肝臓に炎症を起こす病気です。AST(GOT)は肝臓の細胞に多く含まれる酵素で、肝臓が傷つくと血液中に漏れ出して数値が上昇します。急性肝炎の場合、AST(GOT)の数値は通常の10倍以上になることがあります。
急性肝炎の対処法は、原因によって異なりますが、一般的には安静にして水分や栄養を摂ることが大切です。また、アルコールや脂っこい食事など肝臓に負担をかけるものは避けるべきです。治療法は、ウイルス性の場合は抗ウイルス薬や免疫グロブリンの投与、薬物性の場合は原因となった薬物の中止や解毒剤の投与などが行われます。
急性肝炎の症状は、黄疸や発熱、食欲不振、吐き気などがありますが、初期段階では自覚症状がないことも多いです。そのため、血液検査でAST(GOT)の異常が見つかった場合は、早めに病院へ行くことが重要です。急性肝炎を疑う場合は、できるだけ早く消化器内科や感染症科へ受診することをおすすめします。

慢性肝炎

慢性肝炎とは、肝臓に炎症が長期間続く病気です。原因は、ウイルス感染や自己免疫異常、薬物やアルコールなどがあります。慢性肝炎は、無症状の場合も多く、進行すると肝硬変や肝がんになる危険性があります。慢性肝炎の診断には、血液検査のほかに、肝臓の形や大きさを調べる超音波検査が必要です。
治療法は、原因によって異なりますが、一般的には、抗ウイルス薬や免疫抑制剤などの薬物治療が行われます。また、生活習慣の改善や定期的な検査も重要です。AST(GOT)の値が基準値の2倍以上に高い場合や、黄疸や腹水などの症状が出た場合は、早めに医師に相談してください。慢性肝炎が疑われる場合には、消化器内科を受診することをおすすめします。

アルコール性肝炎

アルコール性肝炎とは、過度な飲酒によって肝臓に炎症が起こる病気です。肝臓はアルコールを分解する働きがありますが、分解能を超えると肝臓の細胞が壊死し、線維化や硬化(肝硬変)を引き起こします。
アルコール性肝炎の対処法は、まず飲酒をやめることです。飲酒をやめれば、初期段階では肝臓の機能は回復する可能性があります。また、栄養バランスの良い食事やビタミンB群の補給も重要です。
健康診断や血液検査でAST(GOT)の値が高い場合は、アルコール性肝炎の可能性があります。アルコール性肝炎の疑いがある場合は、早めに医師に相談してください。消化器内科や肝臓内科などの専門医に受診することをおすすめします。

脂肪肝

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積される病気です。肥満や飲酒、糖尿病などが原因で発症することが多く、無症状の場合もあります。しかし、放置すると肝硬変や肝臓がんに進行する危険性があります。脂肪肝の診断には、血液検査のほかに超音波検査が有効です。超音波検査では、肝臓の大きさや形、エコーの強さなどを評価します。
脂肪肝の対処法としては、食事や運動などの生活習慣の改善が重要です。また、医師の指示に従って薬物治療を行う場合もあります。AST(GOT)の値が正常値以上の場合や、超音波検査で肝臓に異常が見られる場合は、早めに病院へ行くことをおすすめします。受診する科は、内科や消化器内科などです。

「AST(GOT)」が低い時、高い時の正しい対処法・改善法は?

AST(GOT)が低い場合は、肝臓の機能低下やビタミンB6の欠乏などが考えられます。AST(GOT)が高い場合は、肝臓の炎症や損傷、肝硬変や肝がんなどが考えられます。どちらの場合も、医師の診断が必要です。
AST(GOT)の値を改善するためには、運動や生活習慣・食生活に気を付けることが大切です。以下に具体的な方法を紹介します。
AST(GOT)が低い時は、ビタミンB6を多く含む食品(バナナ、豆類、魚介類など)を摂ることで改善できる可能性があります。肝臓の機能低下に伴って免疫力も低下する可能性があるので、感染症に注意してください。また、貧血や神経障害などの合併症も起こりやすいので、定期的に血液検査を受けてください。
AST(GOT)が高い時は、肝臓に負担をかけないようにアルコールや脂っこい食べ物を控えることが必要です。肝臓の炎症や損傷によって黄疸や腹水などの重篤な症状が出る可能性があるので、早めに医師に相談してください。また、薬物やハーブなども肝臓に影響を与えることがあるので、服用する前に医師に確認してください。
AST(GOT)を改善するためには、バランスの良い食事を心がけることが基本です。特に、タンパク質やビタミン・ミネラルなどを十分に摂ることが重要です。タンパク質は肝臓の再生に必要な成分であり、ビタミン・ミネラルは肝臓の代謝や解毒に関与する成分です。おすすめの食品は以下の通りです。

  • タンパク質:鶏肉、卵、牛乳、豆腐など
  • ビタミン:レバー、ニンジン、ブロッコリーなど
  • ミネラル:海藻類、ナッツ類、バナナなど

飲み物では、水分補給をしっかり行うことが大切です。水分不足は血液の流れを悪くし、肝臓への酸素供給を低下させます。また、カフェインやアルコールは利尿作用が強く、水分排出を促進します。そのため、水や白湯、ハーブティーなどの無カフェインの飲み物を選ぶことがおすすめです。
AST(GOT)を改善するためには、睡眠やストレス緩和やリラックスも重要です。睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、肝臓の働きを低下させます。また、リラックスすることで自律神経のバランスを整え、血流を改善します。以下のような方法で睡眠やストレス緩和やリラックスを心がけましょう。

  • 睡眠:一日に6~8時間程度の睡眠をとることが理想です。就寝前にはカフェインやアルコールを控えることも大切です。
  • ストレス解消:ストレスが溜まった時は、適度な運動や趣味などで気分転換をすることが効果的です。また、友人や家族などに相談することもストレス解消に役立ちます。
  • リラックス:入浴やマッサージなどで筋肉をほぐすことでリラックスできます。また、アロマテラピーなどで香りを楽しむこともリラックス効果があります。

AST(GOT)の値を早く改善したい時は、上記の方法を実践するだけでなく、医師の指示に従って治療を受けることが必要です。AST(GOT)の値は肝臓の状態だけでなく、他の臓器や疾患にも影響されることがあります。そのため、自己判断せずに専門家の意見を聞くことが大切です。

「AST(GOT)」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「AST(GOT)」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

肝臓の検査数値AST(GOT)とALT・γ-GTPの違いは何ですか?

金 仁星金 仁星 医師

AST(GOT)は、肝臓だけでなく、心筋や筋肉などにも存在する酵素です。そのため、AST(GOT)が高いだけでは、肝臓の問題かどうかは分かりません。一方、ALT・γ-GTPは、ほとんど肝臓にしか存在しない酵素です。そのため、ALT・γ-GTPが高い場合は、ほぼ確実に肝臓に異常があると考えられます。

AST(GOT)のみが高いときはどういった病気の可能性がありますか?

金 仁星金 仁星 医師

AST(GOT)は肝臓の損傷を反映する酵素の一つですが、肝臓以外にも筋肉や心臓などにも存在します。そのため、AST(GOT)のみが高い場合は、肝臓だけでなく、筋肉の障害や心筋梗塞などの可能性もあります。AST(GOT)の高さだけでは病気の原因を特定できませんので、他の検査項目と合わせて医師に相談することが大切です。

AST(GOT)を下げるには何をすればいいですか?

金 仁星金 仁星 医師

AST(GOT)を下げるには、原因となる病気や生活習慣の改善が必要です。例えば、肝炎や脂肪肝などの肝臓の病気がある場合は、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。また、アルコールや脂っこい食事などの肝臓に負担をかけるものを控えることも効果的です。適度な運動や睡眠も肝臓の健康に役立ちます。

筋トレが原因でAST(GOT)の数値が上がることはありますか?

金 仁星金 仁星 医師

筋トレが原因でAST(GOT)の数値が上がることはあります。AST(GOT)は肝臓だけでなく、筋肉にも存在する酵素です。筋肉が損傷すると、AST(GOT)が血液中に放出されます。筋トレは筋肉に微小な損傷を与えるので、数値が上昇する可能性があります。しかし、これは一時的な現象であり、健康に害はありません。数値が高いままだと、肝臓の病気の可能性も考えられるので、定期的に検査を受けることをお勧めします。

まとめ 「AST(GOT)」の異常は肝臓や心臓の病気に注意!

この記事では、肝機能のAST(GOT)について、解説しました。AST(GOT)は肝臓だけでなく、心筋や筋肉などにも存在する酵素で、血液中の濃度が高いと肝臓や心臓などの臓器に異常がある可能性があります。
AST(GOT)の異常がある場合、肝炎、肝硬変、肝がん、心筋梗塞などの病気が存在する可能性があります。これらの病気や疾患は早期発見・早期治療が重要です。そのため、定期的に血液検査を受けて、AST(GOT)の値をチェックすることが大切です。
また、AST(GOT)の値を下げるためには、アルコールや脂っこい食事の摂り過ぎを控える、適度な運動をする、ストレスを減らすなどの生活習慣の改善が必要です。
AST(GOT)に異常があった場合は1人で悩まずに医師の診察を受けましょう。

「AST(GOT)」の異常で考えられる病気

「AST(GOT)」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

循環器系の病気

「AST (GOT)」の異常だけでも、これらのような様々な疾患が疑われます。どの疾患かを見極めるには、AST値以外に必要な情報が多数あるため、医療機関での検査は欠かせません。健康診断で指摘されたら放置せずに、早めに再検査を受けましょう。

この記事の監修医師