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ヘモグロビンが低いとどうなる?医師が病気のリスクや再検査の内容などを解説!

 公開日:2023/07/24
ヘモグロビンが低いとどうなる?医師が病気のリスクや再検査の内容などを解説!

健康診断でヘモグロビンが低いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

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健康診断・血液検査で「ヘモグロビン値が低い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

血液検査で貧血気味であることを指摘された経験はありませんか。症状の自覚がないために、医療機関に相談することなく、いつも通り過ごしてしまいがちになりますよね。血圧は日々変動しますし、1日の中でも変動するので、一時的な血圧の値だけで判断し切れるものでもありません。しかし、平均して血圧が高い状態が続くことは、さまざまな病気の発症率を高めるため、望ましくありません。この記事では、高血圧の原因や、高血圧によって発症しやすい病気、日常生活での気を付けるべきポイントなどについて解説していきます。

ヘモグロビン値が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

「ヘモグロビン(Hb、血色素)」とは、血液中の赤血球に含まれる、鉄分(ヘム)とタンパク質(グロビン)からできている成分です。赤血球は身体中に酸素を運ぶ役割をしており、その中心を担うのがヘモグロビンです。ヘモグロビンの低下した状態を貧血といいます。
この貧血を引き起こす原因にはさまざまあり、ヘモグロビンや血球成分をうまく作ることができない場合や出血により血液自体が減っていることなどが考えられます。
具体的には、栄養の偏りや何らかの病気などのために、ヘモグロビンを作るのに必要な栄養素(鉄分、葉酸、ビタミンB12など)が不足したり、ホルモン(腎臓で作られるエリスロポエチンなど)が不足したり、骨髄で正常に血液細胞が作られなくなることがあります。月経や消化管出血などの出血、細菌感染や免疫の異常などのために赤血球が破壊されることもあります。
貧血の主な症状は、疲れやすくなる、めまいや立ちくらみを起こす、息切れが起こりやすい、動悸がする、頭痛がある、眠気が強い、だるいなどが挙げられます。
軽度の貧血の場合には症状を自覚しないこともありますが、原因が解消されない状態が続くと徐々に病状は進行しますので、健康診断などでヘモグロビンの低下に気がついた時点で早めに対処することが重要です。

ヘモグロビン値が低く、血小板など他の血液成分の値も異常であると診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

ヘモグロビン値と同時に測定される、血液中の他の成分も診断の手がかりになります。白血球や血小板が多い、あるいは少ないときには、血液の成分を作る過程で異常が起きている可能性があり、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液腫瘍が考えられます。この場合、追加の血液検査や、血液を作る骨髄の検査が必要です。輸血によりこれらの成分を一時的に補充する他、薬剤による治療、血液のもととなる造血幹細胞の移植治療などを行います。

高齢者でヘモグロビン値が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

高齢者で貧血が見られた場合に気をつけるべき原因の一つに、悪性腫瘍(がん)があります。がん細胞は異常に増殖を繰り返し、ヘモグロビンを作る材料を消耗します。さらに、食べ物が通る消化管のがんでは、表面からの出血が生じます。早期に診断し、治療を開始する必要があります。
悪性腫瘍の他には、日頃から鎮痛薬を飲み続けている場合にも注意が必要です。鎮痛薬は胃薬などと一緒に処方されることが多いのですが、一部の薬には消化管の壁を守る分泌物を減らし、消化液による損傷を引き起こし、胃潰瘍や消化管出血を発症する可能性があります。この場合には、鎮痛薬の中止や損傷部分の治療が必要になります。

健康診断の「ヘモグロビン」の見方と再検査が必要な「ヘモグロビン値が低い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「ヘモグロビン」の基準値

ヘモグロビンの基準値は、男性が13.0~16.6g/dL、女性が11.4~14.6g/dLとされています。ヘモグロビン値がこの範囲よりも低いと貧血と診断されます。
年齢や性別によって目安は変化し、成人男子は13 g/dL未満、成人女子と小児は12 g/dL未満で貧血と診断されます。小児では11−12 g/dL未満、高齢者や乳幼児では11 g/dL未満が基準となります。
特に危険な数値は、ヘモグロビン値が7~8g/dL以下であり、ほとんどの人に息切れやめまいなどの貧血症状が現れます。

判定 ヘモグロビン
基準値 男性:13.0~16.6g/dL
女性:11.4~14.6g/dL
小児:11~12g/dL未満
高齢者・乳幼児:11g/dL未満
貧血 成人男子:13g/dL未満
成人女子・小児:12g/dL未満
危険な数値 7~8g/dL以下

「ヘモグロビンが低い」ときの再検査内容

健康診断などで貧血と診断された場合、身体診察を行い、血液検査の再検査を行います。
前述したように、貧血を引き起こす原因は多岐に渡るため、血液検査の再検査では、血液一般検査や血液像(白血球分画)などの検査を行います。また、肝臓や腎臓、脾臓の状態を確認するために、腹部超音波検査なども行うことがあります。
骨髄で正常に血液細胞が作られなくなることが疑われる場合には、骨髄検査といって骨の中の骨髄を顕微鏡で評価する検査を行います。染色体検査も追加される
月経異常や不正出血などが疑われる場合には、産婦人科的な画像精査(超音波検査やMRI検査など)も追加されます。
消化管出血などの出血が疑われる場合には、内視鏡検査(胃カメラ検査や大腸カメラ検査)を行う必要があります。
検査費用は検査項目の数やご自身が何割負担するかによって変わります。3割負担の方が初診で貧血の検査をした場合は、5,000円~7,000円程度となる可能性がありますが、疑われた病気の内容によって変動する可能性があります。
症状がなくても貧血であることを指摘された際には、早めに一般内科や血液内科での検査を受けることをお勧めします。
再検査結果によって原因が特定された場合は、その原因に応じた治療を行います。例えば、栄養素不足による貧血であれば、その補給を行うための薬物治療を、血液疾患の場合は薬物療法や骨髄移植などを行います。腫瘍性病変があれば、その病状に対応した治療を行います。また、食事内容の見直しを含めた生活習慣の改善も重要です。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビンが低い」診断で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ヘモグロビンが低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、貧血の中で最も多く見られ、60~80%を占めると言われます。ヘモグロビンの材料である鉄分が不足することで、十分な量を作ることができなくなる病気です。一般的な症状に加え、爪の変形、氷を食べたくなるなどの症状が出現します。血液検査で鉄分に関する値を測定し、診断します。
また、女性は定期的に生理による出血があること、食事量が比較的少ないこと、妊娠や授乳の際に赤ちゃんの分も負担すること、などの理由で鉄分が不足しがちです。女性特有の心配事がある場合は、婦人科を受診しましょう。
偏った食生活を送っている、など思い当たる点があれば、まずは鉄分の多い食材を含めたバランスの良い食事を心がけることが重要です。鉄分にはレバーなどの動物性食品に含まれるヘム鉄と、ほうれん草などの野菜や海藻といった植物性食品に含まれる非ヘム鉄があります。1日に摂取する鉄分の量は成人女性で6.5mg、成人男性では7.5mgが目安です。1~3か月程継続し、数値がどうなるかを確認します。程度によっては、内服や点滴の薬剤による補充が必要となります。

「ヘモグロビンが低い」ときの正しい対処法・改善法は?

貧血と診断されたら、その貧血の原因によって治療方法が異なるため、まずは適切な診断をつけることが重要です。食事や内服薬などの生活習慣、便の色や生理の程度などの身体の状態、出血や繰り返す発熱などの特徴的な症状、といった日常生活の情報が診断の重要な手がかりになります。
原因となる病気が幅広いため、まずは近くの内科で分かる範囲の診察と検査を受け、必要に応じて適切な専門科に紹介してもらうようにしましょう。

日頃から自分で行うことのできる貧血の予防法は、食生活を改善することです。鉄欠乏性貧血は貧血の中でもよく遭遇しますが、主に鉄分を摂取することによって対策可能です。
鉄分には大きく2種類あり、肉や魚類などに多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻、穀類などに多い「非ヘム鉄」があります。非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収されづらいので、ビタミンCなどと一緒に摂ることで吸収率が上がります。食事内容は他の栄養素もバランスよく摂ることも大切ですが、それでも鉄欠乏性貧血を繰り返すときや、月経過多などの場合には、予防としてサプリメントなどで鉄剤をとるのがよいでしょう。

「ヘモグロビンが低い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ヘモグロビンが低い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断でヘモグロビン値が低いと言われたらどうすべきですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

ヘモグロビン値が低い(貧血)ときには息切れの症状が見られるため、その可能性があります。しかし、他にも心臓の病気や肺の病気などさまざまな原因が考えられるので、症状が改善せず悪化するような場合には、内科を受診しましょう。

低いヘモグロビン値を増やすのにおすすめの食事はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

栄養素をバランス良く摂ることが重要です。鉄欠乏性貧血の対策では、主に鉄分やビタミン群などを意識して摂取すると良いでしょう。

ヘモグロビンが低いとき、サプリは効果的ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

鉄分や葉酸など、ヘモグロビンの材料となる栄養素が不足している場合、食事以外にもサプリメントで補うことができます。ただし、他の原因によるヘモグロビン値低下には効果が乏しい可能性があるため、適切に診断することが重要です。

血液のヘモグロビン値がどれくらい低いと輸血が必要なのでしょうか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

厚生労働省では、慢性的な貧血ではヘモグロビン値6g/dL以下、出血など急性の貧血では7 g/dL以下を輸血の目安としています。ただし、輸血の必要性はヘモグロビン値だけでなく、全身状態などを踏まえて総合的に判断します。輸血は一時的な対処に過ぎないため、原因を特定して根本的な治療を行う必要があります。

まとめ 健康診断でヘモグロビン値が低いと言われたら食事内容や生活習慣の見直しが重要!

ヘモグロビン値の低下を引き起こす原因はさまざま考えられます。それぞれの原因に応じた適切な治療を受けるためには、まずは診断をつけることが重要です。症状を自覚しない程度に軽くてもヘモグロビン値が低い場合には、食事の改善やサプリメントだけでは対応しきれないことも考えられます。早めに受診して相談することをご検討ください。

「ヘモグロビンが低い」で考えられる病気

「ヘモグロビンが低い」から医師が考えられる病気は29個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器内科の病気

腎臓内科の病気

  • 腎性貧血

内分泌代謝科の病気

婦人科の病気

救急科の病気

  • 外傷
  • 血管損傷

その他の病気

  • その他の悪性腫瘍
  • 薬剤性貧血

貧血の原因には、ヘモグロビンを含む赤血球の病気だけでなく、血液の成分を作る臓器の病気や出血など、幅広い臓器の病気が考えられます。

この記事の監修医師