最善の治療をするために知っておきたい不妊症の原因
不妊に悩む夫婦は20%以上とも言われています。そんな身近な不妊症ですが、そのうち自然に授かるだろうと放置していたり、悩みつつも、どうしたらいいのかわからなかったりする人もいるようです。
不妊症にはさまざまな原因があり、女性側にも男性側にも原因がある可能性はあります。そこで今回は不妊症の原因について、Medical DOC編集部がお届けします。
巷岡 彩子 (木場公園クリニック 医師)
目次 -INDEX-
不妊症は身近な病気
日ごろから、不妊症という言葉を耳にすることは多いと思います。では、不妊症とはどのような病気でどの程度の人が悩んでいるのでしょうか?
不妊症の定義
不妊症とは「生殖年齢の男女が、避妊をせず性行為をしていても、1年以上妊娠が成立しないこと」と定義されています。以前は、妊娠しない期間が2年以上で不妊症という考え方が主流でしたが、1年に短縮されました。
不妊症の割合は20%以上?
不妊症はかなり身近なものであり、実に20%以上のカップルが不妊に悩んでいるというデータもあります。女性が最も妊娠しやすいのが20歳代であり、30歳台後半以降には、一年毎に妊娠するのが難しくなります。
そのため、晩婚化も不妊症に悩むカップルが多くなっている一つの原因と言えるでしょう。
不妊症は女性だけの問題ではない
不妊症と聞くと女性側の問題だと思われがちですが、そうではありません。不妊症のカップルのうち、男性側にも問題があるケース約半数あるとされています。
つまり、不妊症の治療を考えるときには、女性だけでなく男性にも原因がないのかどうかを検討していく必要があるのです。
女性側にある不妊症の原因
女性の不妊では、排卵・卵管・子宮の要因に大別され、これらは三大原因と呼ばれています。ただし、実際には原因が特定できない「原因不明不妊」が全体の1/3を占めているとされており、検査を受けても、原因が特定できないケースも多いようです。
排卵因子による不妊
卵巣内では、下垂体から出るホルモンの命令に従って、卵子を入れた袋である卵胞が成長し、ある程度の大きさになると中の卵子が放出される、いわゆる排卵が起こります。その卵胞の成長、排卵に問題があるものが排卵因子による不妊症です。各種ホルモンの異常により卵胞が育たない場合や、本来閉経を迎えるはずのない20~30代の頃から卵巣の機能が落ちてしまう「早期卵巣機能不全」などが含まれます。過激なダイエットや強いストレスなど、精神的・身体的なコンディションの不良からも排卵障害が引き起こされます。月経周期が安定しており、基礎体温が二相性になる方は心配いりませんが、そうでない方は排卵因子が不妊の原因となっている可能性があります。
卵管因子による不妊
子宮は卵管から送られてきた受精卵が着床して成長する場所ですが、精子が卵管に向かう通り道にもなります。そのため、子宮の異常は、受精卵の着床やその後の成長に関してだけではなく、受精自体に問題が出ることもあります。子宮因子による不妊の原因は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症、慢性子宮内膜炎などを含みます。また、子宮の形に生まれつき異常がある子宮奇形も不妊や流産の原因になりえます。
子宮因子による不妊
子宮は卵管から送られてきた受精卵が着床して成長する場所ですが、精子が卵管に上っていく道にもなります。そのため、子宮の異常は、受精卵の成長異常だけでなく、受精自体に問題が出るケースもあります。
子宮因子による不妊の原因は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープや、子宮内膜症などがあります。また、子宮の形に異常がある子宮奇形も不妊症の原因になりますが、この場合は流産を繰り返すことが多いようです。
3大因子以外の不妊
3大因子以外にも、いくつか不妊症の原因が女性側にある場合があります。
子宮頸管に原因がある不妊症は頸管因子による不妊と呼ばれます。子宮頸管とは子宮と膣をつなぐ管上の部分であり、排卵の時期に粘液を分泌することで、精子が膣から入り込むのを助けます。頸管から分泌される粘液が手術による切除などにより減少することで、不妊の原因になります。
また、女性側に精子を攻撃してしまうような異常な免疫があるケースを、免疫性の不妊と呼びます。精子を攻撃する「抗精子抗体」や精子の動きを止めてしまう「精子不動化抗体」などが知られています。これらの異常があると精子のの運動性や受精能が落ちてしまうため、不妊となります。
男性側にある不妊症の原因
冒頭に述べた通り、不妊症の約半分のケースでは、男性側にも原因があると言われています。妊娠に至るためには、正常な精子と精液を作り、女性の体内に射精するという働きが必要で、そのどこかに異常が出ることで不妊となります。
造精機能障害
精子をつくる精巣の機能自体に問題がある場合を造精機能障害と呼び、男性不妊の原因の90%を占めます。造精機能障害には以下のものが含まれます。
無精子症
精液の中に精子が全く見られない病気を無精子症と呼びます。
無精子症には、精巣で全く精子を作れない場合(非閉塞性無精子症)と、精巣で精子は作れているのに精液中に精子を出せない場合(閉塞性無精子症)の2種類があります。前者の場合はほとんどが原因不明ですが、染色体や遺伝子の異常が原因になっているケースもあります。一方で後者には先天的な精管の欠損や鼠径ヘルニアの手術既往、炎症による精管の狭窄、閉塞などが原因となります。
乏精子症
精子は存在するけれど、受精するのに十分な数が存在しないものを乏精子症と呼びます。
正常であれば、1回あたり数億の精子が射精されますが、それでも卵子の周囲にたどり着けるのはたった数百程度されています。乏精子症では射精される精子の数が少なく、受精にまで至るだけの精子がいないため、不妊となると考えられます。
精子無力症、奇形精子証
精子の数は正常でも、精子の運動機能に異常がある病気を精子無力症と呼び、奇形が増えることを奇形精子症と呼びます。このような精子が多い場合は、卵子にたどり着き、受精をするという正常な機能を果たすことが難しく、不妊につながります。
精液性状の低下
精液は精子が、女性の体内で卵子の待つ卵管へと移動し、受精可能な状態へと変化するのを助ける役割があります。精液は精嚢(せいのう)と前立腺で作られ、射精のタイミングで精子と一緒に男性の体外へ放出されます。精液に問題があると、たとえ十分な量の健康な精子が存在しても、卵子と出会うまでに精子の活性が落ちてしまい受精することができなくなってしまいます。
性機能障害
精子や精液には異常がないものの、性行為自体が困難で不妊につながる状態を性機能障害と呼びます。
代表的なものが勃起機能不全(ED)で、年齢だけでなく、動脈硬化や糖尿病などが原因となるケースもあります。
また、性行為はできても、女性の体内に射精できない膣内射精障害も性機能障害に含まれます。精神面も多分に影響し、過去のトラウマがや、不妊治療中のプレッシャーによって、性機能障害が引き起こされることもあります。
不妊の原因を知って適切な不妊治療を受けることが大切
晩婚化が進むとともに、不妊症に悩む夫婦は増えてきています。不妊症には女性側の原因だけでなく、男性側にも原因があるケースは少なくありません。また、不妊症の約1/4は、男性にも女性にも原因があると言われています。これらのことから、不妊治療を行う際には、夫婦一緒に病院へ行き、検査を受けることが大切になってきます。
不妊症には原因が特定出来ないケースも多いため、受診により必ず原因が見つかる訳でも、またすぐに妊娠できるというものではありません。ただし、年月を経るに従って妊娠が難しくなることもありますので、早めに適切な検査や、段階をおっての治療を受けることは大切です。そのためにも、不妊に悩んでる方は、この記事を参考にしながら、早めに相談するようにしてくださいね。
監修ドクター:巷岡 彩子 医師 木場公園クリニック 医師
不妊治療でおすすめの婦人科 関東編
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