「火事場の馬鹿力」は本当にあるの?ピンチのときに力が出るメカニズムを詳しく解説!

人間は日常生活で3%〜10%程度の能力しか発揮していないとされています。しかし、緊急事態や命の危機に直面すると、無意識にいつも以上の力を発揮することがあります。
いわゆる火事場の馬鹿力はどうして起きるのか、自在に火事場の馬鹿力を発揮できる方法はあるのかについて解説します。

監修医師:
白水 寛理(医師)
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人間は普段100%の力を出していない?
人間が持てる荷物の重量は、成人男性の場合、自身の体重の40%とされています。女性だとさらに減少して、仮に男性と同じ体重でも40%のうち約60%しか持ち上げられません。
例えば体重60kgの男女がいたとすると、男性はおよそ24kgまでの物を持てます。対して女性は24kgの60%で、およそ14.4kgまでしか持ち上げられない計算です。
男女ではもともとの体格や筋力に大きな違いがあるため、本来なら許容範囲を大きく超える重量を持ち上げることはできません。
ところが、人間が命を脅かされている場面で思いがけず力を発揮して助かる話は、かなりの頻度で耳にしたことがあるかもしれません。
100%の力を出すと体に負担がかかる
人間にいわゆる火事場の馬鹿力が備わっているなら、常に全力を発揮できれば苦労しないと思われるでしょう。ところが実際は、力を発揮したい場面でも思うようにいきません。
100%の力を出しきる行為は、身体にとっては諸刃の剣です。
体を守るために脳に安全装置のような仕組みがある
日常動作に支障が出ないよう、普段は安全装置(リミッター)のようなものがかけられています。
全力を出し続けると身体を痛めてしまうばかりか、負荷がかかりすぎて立ち上がれなくなり、日常生活に多大なる影響を及ぼしてしまいます。時と場合によっては身体に甚大な被害を及ぼしかねません。
ピンチのときに火事場の馬鹿力が出せるメカニズムは?
それでは、火事場の馬鹿力はどのようにして発揮されるのでしょうか。大まかに説明すると、何らかの要因で興奮状態になると、ホルモンの作用でリミッターが外れます。
ピンチにより興奮状態になる
ピンチ(危機的状況)になる状況には、災害や犯罪に巻き込まれるなどで命の危機が迫っている状況が考えられます。このときに冷静さを失い興奮状態になると安全装置が外れます。
アドレナリンが大量に放出される
安全装置の解除とともに、脳内にはアドレナリンが放出されます。アドレナリンとは副腎髄質から出るホルモンで、エネルギー代謝を促して限界以上の力が発揮されるようになるのです。
意識的に火事場の馬鹿力を出す方法はある?
方法自体は存在します。ただし、コントロールが難しく再現性も低いため現実的ではありません。中途半端に習得すると、本当に火事場の馬鹿力が必要なときにリミッターが外れず危険です。しかし、成功する姿を強く意識すると実力を発揮しやすくなることもあります。
まとめ
火事場の馬鹿力は危機的状況に陥るようなきっかけで引き起こされるケースが多く、アドレナリンの放出により普段の実力以上の成果を発揮できることがあります。
意図して火事場の馬鹿力を引き出すことは困難ですが、イメージトレーニングにより似た状態を引き起こすことは不可能ではないので、日常生活の合間で取り入れてみるとよいでしょう。