なぜ日本でレプリコンワクチンが初めて承認されたのか 感染症の専門医が語る「コロナワクチンの役割と可能性」

新型コロナウイルスのワクチン接種が再び注目を集めています。中でも、2024年に国内で承認された「レプリコンワクチン」は、従来のmRNAワクチンを進化させた新しい技術です。接種を検討する際、多くの方が効果や安全性、副反応について疑問を持つことでしょう。そこで、感染症の専門家である忽那先生に、この新型ワクチンの特徴や社会的意義について詳しく伺いました。

監修医師:
忽那 賢志(大阪大学大学院医学系研究科 感染制御医学講座教授)
レプリコンワクチンとは?その特徴と安全性

編集部
「レプリコンワクチン」とは、どのようなワクチンですか?
忽那先生
レプリコンワクチンは、自己増幅型RNA技術を使用した新しいタイプのワクチンです。この技術では、体内に入ったRNAがスパイクタンパク質という「免疫を覚えるための材料」を効率よく作り出し、より少量で長期間効果が期待されます。従来のmRNAワクチンと似ていますが、効率的に抗体を作ることが期待される点が特徴です。
編集部
副反応についてはいかがでしょうか?
忽那先生
接種部位の痛みや腫れ、発熱、倦怠感などが、主な副反応として報告されています。従来のmRNAワクチンと同様、これらの症状は一時的で、数日以内に改善することがほとんどです。アナフィラキシー(急性アレルギー反応)や心筋炎など稀な副反応についても注意が必要ですが、約8000人に接種が行われた臨床研究でも副反応として報告はされておらず、頻度としては稀と考えられます。
編集部
特に接種が推奨されるのはどのような方々ですか?
忽那先生
高齢者や基礎疾患を持つ方には、感染予防だけでなく重症化を防ぐためにも特に接種をお勧めします。また、若い世代でも後遺症予防の観点で接種する意義は大きいです。
後遺症予防と感染症対策としてのワクチンの役割

編集部
ワクチンには後遺症を防ぐ効果があるというのは本当ですか?
忽那先生
はい、複数の研究で確認されています。感染後に起こる倦怠感や息苦しさなどの後遺症の発生率を低減できることがわかっています。若年層でもこうした症状に悩む方は多く、接種は生活の質を守るためにも有効です。
編集部
新型コロナウイルスはインフルエンザと似たものだと言う人もいますが、実際にはどう違いますか?
忽那先生
感染症としての特性が大きく異なります。インフルエンザは通常、冬に流行しますが、新型コロナウイルスは夏と冬の年2回流行する傾向があります。また、重症化しやすいだけでなく、後遺症を引き起こす頻度も高いのが特徴です。こうした点から、単なる「風邪」と同等には扱えません。
編集部
なぜ新型コロナウイルスは夏にも流行するのでしょうか?
忽那先生
まだ分かっていないことも多いですが、エアコンの使用による密閉空間での換気不足が要因の一つと考えられます。また、変異株の出現や免疫の低下も流行に影響します。このように、季節を問わず流行する可能性があるため、ワクチン接種を含む対策が必要です。
編集部
ワクチン接種を通じて社会全体にどのような効果がありますか?
忽那先生
ワクチンは集団免疫の形成を助け、感染拡大を防ぎます。特に、重症化リスクの高い方々を守るため、多くの人が接種を受けることも社会的な意義を持ちます。
新技術の可能性と日本初の承認の意義

編集部
なぜ日本でレプリコンワクチンが初めて承認されたのでしょうか?
忽那先生
日本の製薬会社がアメリカ企業と連携し、早期に開発を進めたことが大きな理由です。このワクチンは基本的に従来のmRNA技術を改良したものなので、完全に新しい仕組みというわけではないため、審査が比較的スムーズに進んだものと思われます。
編集部
今後、レプリコンワクチンは一般的な技術になると思いますか?
忽那先生
その可能性は十分にあります。レプリコンワクチンは効率的かつ長期的な効果が期待されるため、ほかの感染症や疾患予防にも応用されることが見込まれます。また、これが普及すれば、次のパンデミックにより適切に対応できる可能性もあります。
編集部
新型コロナウイルスのワクチン接種を迷っている方にアドバイスはありますか?
忽那先生
2025年1月現在では、レプリコンワクチンを接種できる医療機関がそれほど多くないこともあり、必ずしも急いで打つ必要はないと思います。まず一人ひとりが信頼できる情報源から正確な知識を得ることが大切です。高齢者や持病をお持ちの方は、医師と相談しながらワクチン接種の利点を検討してみてください。不安があれば、かかりつけ医や専門医に相談するのが良いでしょう。
編集部まとめ
今回、忽那先生にレプリコンワクチンについて詳しく伺いました。新型コロナウイルスの感染症対策や後遺症予防におけるワクチンの重要性が改めて浮き彫りになりました。不安を抱える方もいらっしゃるかと思いますが、正確な情報を基に自分に合った選択をすることが大切です。この記事が、ワクチン接種を検討する際の参考になりましたら幸いです。
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