尿検査で『腎機能低下』? 尿タンパクや尿潜血の理由と受診の目安【医師監修】

健康診断の尿検査で「腎機能に異常あり」と指摘されると、不安を感じる人も多いでしょう。自覚症状がないまま進行する病気もあるため、結果の意味を正しく理解することが大切です。再検査や受診の目安、注意点を板橋腎・リウマチ隼聖クリニック院長の上野先生に聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
上野 智敏(板橋腎・リウマチ隼聖クリニック)
尿検査で「腎機能が低下している」ってなぜ分かる?

編集部
尿検査で腎機能の低下が分かるのはなぜですか?
上野先生
腎臓は血液をろ過し、体に必要な成分は残し、不要な老廃物だけを尿として排出する働きをしているからです。腎機能が低下すると、ろ過機能が乱れ、本来は尿に出ないはずのタンパク質や血液成分が尿中に漏れ出ることがあります。健康診断の尿検査では、「尿タンパク」や「尿潜血」の有無を調べることで、腎臓の機能に異常がないかを推測しています。
編集部
尿タンパクが出る場合、腎臓が悪いのでしょうか?
上野先生
尿タンパクが出たからといって、必ずしも慢性的な腎臓病とは限りません。激しい運動の後や発熱、脱水、体調不良などの要因で一時的に尿タンパクが出ることもあります。ただし、複数回の検査で繰り返し尿タンパクが確認される場合は、腎臓に何か深刻な問題が起きている可能性があります。健診で指摘された場合は放置せず、再検査を受けて経過を確認することが大切です。
編集部
尿潜血も腎機能低下のサインになるのですか?
上野先生
尿に血が混じる尿潜血は、健康な状態では基本的に見られません。ただし、尿潜血が出たからといって、必ずしも腎臓の機能が低下しているとは限らず、泌尿器科的問題が原因のこともあります。それでも、尿潜血を指摘された際は、医療機関で詳しい検査を受けることが大切です。特に、尿タンパクと尿潜血が同時に認められる場合は、腎臓由来の病気が強く疑われることがあり、精密検査が必要になります。
編集部
尿検査だけで腎機能低下を確定させられるのでしょうか?
上野先生
尿検査だけで腎機能低下を確定診断することはできません。尿検査はあくまで異常の兆候を捉える検査であり、実際の腎機能は、血液検査で測定するクレアチニン値やeGFR(推算糸球体濾過量)などを組み合わせて評価します。尿検査で異常が見つかった場合は、再度尿検査を行うほか、血液検査や画像検査を含めて総合的に判断することが必要です。
編集部
どのような医療機関へ行くと、詳しく調べてもらえるのでしょうか?
上野先生
腎臓機能の精査に適した診療科は腎臓内科です。腎臓内科では、一般的な健康診断に比べて尿検査をより詳細に行います。具体的には、尿タンパクはどのくらいの量が出ているのかを測定し、尿潜血を調べる際は実際に顕微鏡で尿を見て、尿中に含まれる赤血球の形や、赤血球が何個あるのかも確認します。検査で出た詳しい数値を基に、腎臓にどの程度の負担や障害が起きているのか評価していきます。
腎機能が低下するとどうなるか?

編集部
腎機能が低下すると、体にはどんな影響がありますか?
上野先生
腎臓は老廃物の排出だけでなく、水分量やミネラルバランスの調整、血圧のコントロールなど、重要な役割を担っています。腎機能が低下すると、体内に老廃物や余分な水分がたまりやすくなり、むくみ、疲れやすさ、食欲低下などが表れることがあります。初期にはほとんど症状がなく、知らないうちに進行してしまうのが特徴です。
編集部
なぜ初期症状が出にくいのですか?
上野先生
腎臓は多少の機能低下があっても、働きを補う力が高いからです。そのため、腎機能が半分程度まで低下しても、ほとんど自覚症状が出ません。症状が出た時にはすでに進行してしまって元に戻らないケースも多く、早期発見が非常に重要です。
編集部
腎機能が低下した場合、元に戻ることがありますか?
上野先生
原因や進行度によって異なりますが、多くの場合、低下した腎機能を元に戻すことは難しいとされています。ただし、原因となる病気の治療や生活習慣の改善によって、悪化のスピードを遅らせる可能性は十分にあります。
編集部
放置すると、どんなリスクがありますか?
上野先生
腎機能低下を放置すると慢性腎臓病が進行し、最終的には生命維持のために透析や腎移植が必要になる可能性があります。また、腎臓の障害は心臓病や脳卒中のリスクとも密接に関係しています。腎臓だけの問題と考えず、全身の健康に影響する病気として捉えることが大切です。
「腎機能が低下している」と言われたら、どうすればよい?

編集部
健診で指摘されたら、まず何をすべきですか?
上野先生
まず大切なのは、症状がないからといって自己判断せず、医療機関を受診することです。健診の結果は一時的な変化である可能性もあるため、再度尿検査や血液検査を行い、腎機能の状態を正確に確認します。検査によって高血圧や糖尿病など原因となる病気が見つかれば、早期に治療を始めることで腎臓を守っていくことができます。
編集部
すぐ腎臓を専門に診る医師にかかる必要はありますか?
上野先生
可能であれば、最初から腎臓内科を受診することをおすすめします。特に、原因がはっきりしない尿異常や数値の変化がある場合ほど、腎臓を専門に診る医師の判断が必要になります。最近は、サプリメントや漢方薬、健康食品が原因で腎臓を傷めてしまうケースが増えています。中でもサプリメントの影響は大きく、「健康維持のために」と服用しているつもりでも、本人が気付かないうちに腎機能障害が進んでいるケースもあります。ほかにも、ピルを服用している場合、尿に少量のタンパクが出ることもあり、ピル服用による尿タンパクに関する相談は年々増えています。数値の異常が何に由来しているのか、腎臓内科で詳しい検査を受ければ原因が明らかになります。今後の行動につなげるためにも、ぜひ早いうちに腎臓内科で相談してみてください。
編集部
日常生活で気を付けることはありますか?
上野先生
塩分を控えた食事、適正体重の維持、禁煙、適度な運動が腎臓を守る基本です。また、市販の鎮痛薬の過剰使用は、腎臓に負担をかけることがあるため注意が必要です。水分摂取については、腎機能に応じた適切な飲水量があるので、医師の指示に従い無理のない範囲で行いましょう。
編集部
市販薬にも注意が必要なのですね。
上野先生
はい、特に腎機能の低下がすでに分かっている人は注意してください。市販薬を通常量のまま服用すると、副作用が出やすくなることがあります。例えば、花粉症の薬や痛み止め、風邪薬など、身近な薬でも腎臓に負担をかける場合があります。薬の種類や量を調整することで、安全に治療を続けられるケースも多くあるため、自己判断で使い続けるのではなく、一度腎臓内科で相談することをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
上野先生
尿検査で腎機能の異常を指摘された場合は、腎臓内科を含めた医療機関に一度相談することをおすすめします。「問題ない」と腎臓を専門に診る医師に判断されれば安心できる上に、万一異変が見つかっても、早期に対処可能です。特に、初めて異常を指摘された人は放置せず、早めに相談してほしいと思います。不安があれば、近くの腎臓内科を受診してみてください。
編集部まとめ
尿検査や腎機能の数値に変化があると、不安になる人も多いでしょう。まずは腎臓内科を専門とする医師にに相談し、問題がないかを確認することで安心への第一歩を踏み出せます。腎臓は沈黙の臓器ともいわれ、異常が見つかりにくいとされています。健診の結果をしっかりと生かし、早期発見につなげたいですね。
医院情報

| 所在地 | 東京都板橋区中板橋29-6 |
| 診療科目 | 内科、リウマチ科、腎臓内科、皮膚科 |
| 診療時間 | 午前: 月火水金土 9:00~12:30 午後: 月火水金土 14:30~21:30 |
| 休診日 | 木・日・祝 |




