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「大腸カメラ」は痔があると受けられない? 検査の痛みは? 注意点を医師が解説!

 公開日:2025/10/31
「大腸カメラ」は痔があると受けられない? 検査の痛みは? 注意点を医師が解説!

痔があると「検査は痛そう」「悪化しそうで怖い」と感じて、検査をためらってしまう人も少なくありません。実際のところ、痔があっても「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」は受けられるのでしょうか? そこで、検査時の痛みや注意点について、「多摩せいせき消化器内視鏡クリニック」の嶋田先生に解説していただきました。

嶋田 隆介

監修医師
嶋田 隆介(多摩せいせき消化器内視鏡クリニック)

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杏林大学医学部卒業。その後、杏林大学医学部付属病院、立正佼成会附属佼成病院(現・杏林大学医学部付属杉並病院)などで経験を積む。2023年、東京都多摩市に「多摩せいせき消化器内視鏡クリニック」を開院。日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会認定内視鏡専門医、日本内科学会認定内科認定医。

大腸カメラとは

大腸カメラとは

編集部編集部

大腸カメラでは、どのような病気が見つかるのですか?

嶋田先生嶋田先生

大腸全体の粘膜をカメラで直接観察できるのが大腸カメラの特徴です。大腸がんやポリープのほかにも、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性腸炎、大腸憩室炎、過敏性腸症候群など、様々な病気の診断につながります。

編集部編集部

ポリープが見つかった場合、どうなるのでしょうか?

嶋田先生嶋田先生

多くの場合、検査中にその場で切除が可能です。特に大腸がんの多くはポリープが進行して発症するため、早期に発見して取り除くことで、大腸がんの予防にもつながります。大腸カメラは、病気の早期発見だけでなく、予防にもつながるのです。

編集部編集部

ポリープが見つかった場合、切除しなければならないのですか?

嶋田先生嶋田先生

大腸ポリープの多くは良性なので、あまり心配はいらないのですが、「腺腫」と呼ばれるタイプは、長い時間をかけてがんに進むことがあります。特に大きさが20mmを超えると、半分以上の確率でがんになるとも言われており、「前がん状態」として注意が必要です。また、小さなポリープでも詳しく調べるとがん細胞が見つかることがあるため、基本的には見つかった時点で切除しておくことが望ましいとされています。

編集部編集部

その場で切除できるのですね。

嶋田先生嶋田先生

はい。ポリープだけでなく、初期の大腸がんで周りへの浸潤がないものも、その場で切除できる場合があります。検査と同時に治療ができれば、入院の必要もなく、体への負担も少なく済みます。ポリープの数や大きさによっては後日の対応や専門機関への紹介となることもありますが、多くは検査当日に処置が完了します。

痔があっても大腸カメラは受けられる?

痔があっても大腸カメラは受けられる?

編集部編集部

痔があっても、大腸カメラは受けられるのでしょうか?

嶋田先生嶋田先生

基本的には、痔がある人でも検査は可能です。痔は大きく分けて「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」の3つのタイプがあり、それぞれの状態によって大腸カメラを受ける際の注意点が少し異なります。

編集部編集部

それぞれ教えてください。

嶋田先生嶋田先生

「内痔核(ないじかく)」と呼ばれる直腸内にできるいぼ痔は、軽度であれば問題なく検査が可能です。むしろ、内痔核は出血の原因となることもあるので、大腸ポリープやがんと見分けるためにも内視鏡検査が推奨されます。

編集部編集部

別のいぼ痔についてはいかがでしょうか?

嶋田先生嶋田先生

「外痔核(がいじかく)」は肛門の外側にできる痔で、痛みや腫れを伴うことがあります。大抵の場合は、ゆっくり丁寧にカメラを入れることで問題なく検査が可能ですが、腫れや痛みが強い場合は無理せず痔の治療を優先し、状態が落ち着いてから検査をおこなうこともあります。

編集部編集部

切れ痔(裂肛)についても教えてください。

嶋田先生嶋田先生

切れ痔は排便時に痛みや出血を伴いますが、内視鏡検査時にも痛みを感じやすい傾向があります。無理に検査をおこなうのではなく、必要に応じて鎮静剤を使用したり、患部の状態を見ながら慎重に進めたりします。検査前に症状を医師に詳しく伝えることが大切です。

編集部編集部

では、あな痔(痔ろう)がある場合、内視鏡検査は難しいですか?

嶋田先生嶋田先生

痔ろうは肛門の周囲にトンネルのような管ができてしまう状態で、炎症や痛みを伴うことがあります。状態によっては検査を延期することもありますが、基本的に大腸カメラは可能です。痔ろうの治療歴や症状の有無によって対応が変わるため、事前に医師と相談してください。

大腸カメラで注意が必要なケース

大腸カメラで注意が必要なケース

編集部編集部

痔があっても検査は可能なのですね。

嶋田先生嶋田先生

基本的には、痔があっても大腸カメラは可能です。むしろ、出血があるのに「おそらく痔だから」と、検査を避けてしまうリスクの方が心配です。痔と診断されている人や痔の可能性がある人も、事前に医師に相談することで、より痛みが少なく検査ができるよう配慮できると思います。

編集部編集部

ほかに、痔のある人が大腸カメラを受けるにあたって知っておいた方がいいことはありますか?

嶋田先生嶋田先生

痔と大腸がん、または痔と大腸ポリープが同時に見つかることもあります。繰り返しになりますが、「痔があるから出血しているだけ」「痔があるから検査できない」と先延ばしにせず、痔がある人こそ大腸カメラを受けていただくことが大切です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

嶋田先生嶋田先生

世界的に、50歳未満の大腸がんが増えてきています。初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、早期発見のためにも、若い人でも積極的に大腸カメラを受けていただきたいと思います。大腸カメラでは、がんの前段階であるポリープだけでなく、初期の浸潤していない大腸がんも切除することが可能です。痔がある場合でも、医師に相談していただければ適切な方法を提案できます。ご自身やご家族のためにも、ぜひ検査を受けてください。

編集部まとめ

痔がある人でも、多くの場合は大腸カメラを受けることができるとのことでした。検査時の痛みや不安については、鎮静剤の使用やスコープ操作の工夫など、医療機関側が様々な配慮をおこなってくれます。痔があるからといって検査を避けるのではなく、不安な点は事前に相談したうえで、安心して受けられる環境を整えることが大切です。病気の早期発見のためにも、ぜひ定期的な内視鏡検査を検討しましょう。

医院情報

多摩せいせき消化器内視鏡クリニック

多摩せいせき消化器内視鏡クリニック
所在地 〒206-0011 東京都多摩市関戸1丁目1-5 ザ・スクエア2F
アクセス 京王線「聖蹟桜ヶ丘駅」 徒歩1分
診療科目 内科、消化器内科

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